ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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大変遅くなり、申し訳ありませんでした。
気がついたら、お盆がもうすぐという事態に・・・。

小説の話のネタは思いつきますが、それを文章にするのが苦労してます。
更に、仕事が早番に回ってきたので、書く暇がないという。

それでも、この小説を読んでいる皆様の為に頑張って書きます!!


第五話 =連続焼失事件=

ライドウ&ゴウトが鋼弥の事務所に住んでから、依頼が楽々片付いた。

その内容を軽く説明しよう。

 

―爪や牙などの素材を集めて欲しい依頼。

 

―食材を探し、持ってくる依頼。

 

―特定の悪魔を探し譲ってほしい依頼。

 

こうした依頼をこなして、生活費を稼いでいる。

そんなある日のことだった・・・。

 

「やっほー、鋼弥」

 

「お元気ですか?」

 

カンカンダラの件で知り合った、珠樹と彗花だ。

ライドウとゴウトの姿を見て、驚く珠樹と彗花の二人。

魔界でも有名であり、あのアスタロトと契約を果たした事もあるほどの実力の持ち主と説明する。

鋼弥は何故、二人がここに来たのか話を聞いてみた。

 

「しかし、二人はどうしてここに?」

 

「実は、ウィッカーマンがこの人間世界に迷い込んだのよ」

 

「ウィッカーマンって、それほど苦戦する様な悪魔ではないはずですが・・・?」

 

「問題なのは、ウィッカーマンが群れを率いて、こちらに来たんです」

 

彗花の言葉に、ゴウトは怪訝な表情をする。

 

「群れを率いて・・・?妙な事だ。あいつらが群れを率いて行動するわけなど、聞いたことも無い」

 

「けど、ウィッカーマンが群れを率いて、人間世界へ行ったのを目撃したのよ」

 

魔界組みはあれやこれやと話しているが、一誠達は会話の話について来れてない。

 

「な、なぁ・・・そのウィッカーマンってなんなんだ?」

 

「ウィッカーマンは、ケルトのドルイド僧が生贄を入れる為の檻に魂が宿った幽鬼です」

 

リオがポケットコンピューターで操作すると、画像が表示された。

ウィッカーマンの名前とその姿が≪人の顔を模した木製の檻≫だった。

 

「原因はどうあれ、ウィッカーマン達を止めに行かないとね」

 

「・・・その前に、情報を集めないといけない。あいつらがどの時間帯に現れるのか」

 

 

◇◆◇◆

 

 

街の人々から情報を掻き集めた結果・・・。

ウィッカーマンたちはこの広い十字路の道、19時過ぎに現れる。

他にも、首無しの騎士がここを通ろうとするモノ達を阻んでいるとか。

出没するという時間に調整して、集合した。

 

―東はリアス、一誠、アーシア、祐斗、ドルキー。

 

―西は鋼弥、朱乃、小猫、リオ、ライドウ。

 

―北は珠樹、彗花、ロスヴァイセ、イリナ、ゼノヴィア。

 

ウィッカーマン達を探しにチーム分けをし、散開した。

 

◇◆◇◆

 

まずは、東方面を探索しているリアスチーム。

すると、ギシッ・・・ギシッ・・・という音が聞こえる。

ウィッカーマンの群れだ。どうやら、人間を探しにウロウロとしているようだ。

ドルキーが望遠鏡で様子見をしている

 

「どうやら、見つけた様だが・・・既に遅かったか」

 

スッとリアスに渡して、見るように促す。

望遠鏡から覗くと、焼け焦げた物体と焼死体があった。

 

「既に犠牲者が出ていた訳ね」

 

「酷な事を言うが、運が悪かったとしか言いようがないな・・・。」

 

ドルキーは帽子を深く被り、ウィッカーマンを睨む。

両手には風の渦が巻き起こる。

 

「これ以上、犠牲者を出させないぜ」

 

ドルキーの眼は鷹の様な鋭い眼差しだった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

西方面では、ウィッカーマンの群れを討伐していた。

小猫の格闘で、ウィッカーマンが支えている脚を破壊。

次に、ライドウは仲魔のアビヒコとナガスネヒコを呼び出して、共にウィッカーマンを叩く。

鋼弥はコノハナサクヤに変身してマハラギダイン、リオのマハザンダイン、朱乃の雷光でウィッカーマン達を薙ぎ払う。

 

【雑魚悪魔だから、対して強くないけど、数で攻められれば少し面倒ね】

 

「ここは、片付きましたから他の場所へ行きましょう」

 

朱乃の言葉に皆は賛同して、別の場所へと移る。

小猫は立ち止まって、辺りを見渡したが、何もない。

 

「・・・?」

 

「小猫ちゃん、どうかしたの?」

 

「・・・いえ、なんでもありません」

 

ウィッカーマンの他に獣の臭いを嗅いだが、気のせいだと思い後を追う。

 

 

◇◆◇◆

 

 

北方面の珠樹チームはウィッカーマンの群れを倒し終えた所だ。

 

「やっぱ、集団で行動してても、弱点つければ楽勝ね」

 

珠樹は愛刀をヒュンと振り回して、納める。

次なるポイントへと移ろうとした時、何かの気配を感じた。

 

――目の前に何かが居る。

月明かりが照らされると、その姿がはっきりと見えた。

黒い鎧、死人の様な青白い肌、頭を自分の脇に抱えている水色の長髪の女性だった。

 

「まさか、あの悪魔は・・・デュラハン!!」

 

アイルランドやノルウェーに伝わる亡霊騎士の妖精、人の死を予告しに現れるという。

首無しの馬が引き、棺を運ぶ馬車か戦車に乗って現れると言う。

首無しの騎士という一般的だが、頭を小脇に抱えている女性の騎士である。

ケルトや北欧神話において死者を運ぶ戦乙女ヴァルキリ―と混同されている事もある。

 

「貴女が、ウィッカーマン達を率いて、この事件を・・・?」

 

【違う。私はウィッカーマン達を止めに来た】

 

「ウィッカーマンを止めに来た?」

 

デュラハンの言葉に引っかかるロスヴァイセ。

すると、またウィッカーマンの群れが出現したのだ。

燃やす対象を見つけたのか、真っ直ぐこちらへ向かって来ている。

 

【話はあとで、こいつらを倒す・・・】

 

頭を首の所へ置き(接合?)、剣を抜き取りウィッカーマンたちの脚を擦れ違いざまに斬る。

 

「あの正確に部位を斬る技術。中々の悪魔ね」

 

「我々を襲う気がなければ、助かるな」

 

「そうね、とっとと片づけましょう!!」

 

イリナは光でできた剣を投擲しウィッカーマン達を破壊する

ゼノヴィアはデュランダルを豪快に振り回して、斬る。

ロスヴァイセは北欧の魔術を展開して、大群を薙ぎ払う。

 

「喰らいなさい!!奥義一閃!!」

 

珠樹の必殺の太刀が唸り、ウィッカーマン達を横一線に斬り捨て、鞘に収めると同時に横へとずれて崩れた。

 

「不浄なるモノ達に、光を!!マハンマオン!!」

 

彗花が破魔魔法を唱え、ウィッカーマン達を浄化する。

しかし、どういうことか・・・際限なくウィッカーマン達が湧き出で来る

 

「こんなに、出で来ると言う事は・・・北の方が当たりかしら!?」

 

このままでは、数に押されて火刑にされてしまうのも時間の問題だ。

 

―――ゴオオオオオオッ!!!!

 

―――ビガガガガガッ!!!!

 

風と雷が巻き起こりウィッカーマン達を薙ぎ払った。

その方向を見ると、朱乃とリオだった。

他のメンバーも合流して、結果報告をした。

 

「このデュラハンが何か知っているみたいなの。ウィッカーマンが出現したこと」

 

【・・・魔界で、ウィッカーマンが忽然と姿を消して、様子がおかしかった。

 色々と調べて、人間世界に入り込んで、次々と人間を焼き殺していた。

 私は、人間が寄り付かないように、留まっていました】

 

「つまり、"首無し騎士"は貴女が関与して、人間達を通らないようにしていた訳ね」

 

【・・・今の事で思い出したけど、ウィッカーマンは人間の魂を回収するための者。

 そうなると、魂を喰らう操り主が居る事になるわね】

 

「ということは、黒幕が居ると言う事か?」

 

その時、とてつもなく強大な妖気や魔力が発せられる。

 

【貴様らか、俺の計画を邪魔しているのは!?】

 

現れたのは牡鹿の角、鋭い歯が並んだ獣の頭を持つ朱色の毛を持つ獣人だった。

ゴウトがその悪魔を見て、驚いた。

 

「こやつは、死神ケルヌンノス・・・!!」

 

ケルト神話における冥界の動神。

その名前は「角を持つ者」を意味し、頭に牡鹿か牡山羊の角を生やしている。

角は生殖を象徴している為、豊穣神としての側面を持つとも言われる。

他にも、狩猟、多産を司っている。

 

「・・・ケルヌンノス。何故、貴様が人間の世界にいる?」

 

ライドウは真っ直ぐな目でケルヌンノスに問いかける。

ケルヌンノスはニヤリッと笑う。

 

【何しに?俺は人間の魂を貰いに来たのよ。

 俺は人間が死ねば死ぬほど高位の神格を増す祖神。

 死因は何でも良い。戦争(ウォーフェア)だろうが生贄(サクリファイス)だろうがな】

 

ケルヌンノスの"生贄"という言葉を聞いて、今回の事件のピースが埋まった。

 

「ウィッカーマンは、生贄となる人間を求めて片っ端から回収し、

 ケルヌンノスが自分が力を増す為に殺していたという事か」

 

「ウィッカーマン達が人間世界に来たのも、この事件もこいつの仕業という訳ね!!」

 

【そこにいるデュラハンが現れて人間どもが減って別のポイントを探ろうとしたが・・・、

 テメェらの様な強力な魂を持つ連中がノコノコとやってきたから、ついているぜ!!】

 

【一つだけ、聞きたいわね。魂を集め、力を増してどうする気?】

 

コノハナサクヤの問いに、ケルヌンノスはニヤリッと笑う。

 

【俺たちを貶めた唯一神がいねぇ以上、盲目的に崇めている人間どもを、ぶっ殺してやるのさ!!】

 

「自分達の復讐の為に、人間を刈り取って力を増す・・・最悪な行いね。貴方を消し飛ばしてあげるわ!!」

 

リアスの手に滅びの魔力が集まりだして、消滅の宣言をする。

 

【随分と大きな事を言うなぁ。冥界の軟弱悪魔さんよッ!!!!】

 

ケルヌンノスが雄叫びをあげると、ビリビリッと空気が振動する。

相手は冥界を司る神の一柱。それも人間の魂を食った強力な存在へとなっている。

ケルヌンノスは大きな腕を振りかざして、攻撃を仕掛けてきた。

地面がえぐれてしまうほどの破壊力だ。当たったら、一たまりも無い。

祐斗とゼノヴィアが懐に入って、斬撃を与えるが刃が通っていない。

 

【オレ様の皮膚と毛は硬質でな。そんな剣じゃあ、傷一つもつけられねぇぜ!!】

 

大きな角を振りかざして、祐斗とゼノヴィアを吹き飛ばす。

 

「リオ!!彗花!!私が時間を稼いでいるでいる隙に!!」

 

「解ったわ!!」

 

「はい!!」

 

リオと彗花は魔法の詠唱を始める。

珠樹が刀を抜き、牽制する。

 

【無駄な事をして、飽きないなぁ、人間!!】

 

「確かに、物理的な攻撃は通用しないけど・・・魔法だったらどうかしら!?」

 

珠樹が離脱をすると同時に、リオと彗花は風魔法のザンダインを放つ。

風の大砲がケルヌンノスに直撃したが、信じられない事が起きた。

ザンダインを吸収して、回復したのだ。

 

「そんな!?貴方の弱点は衝撃の筈なのに!?」

 

【残念、俺様は雑魚の悪魔を食って偶然にも"衝撃吸収"を身に付けた。

 つまり、俺様の弱点を着く事が出来ないと言う訳だ!!】

 

ケルヌンノスは掌で珠樹を叩き潰しにかかるが、コノハナサクヤの姿を解除した鋼弥が受け止めた。

 

「早く・・・逃げろ!!」

 

「う、うん!!」

 

珠樹が先に離脱して、鋼弥はケルヌンノスを投げ飛ばす。

背中から、叩き付けるケルヌンノスだが、ムクリッと起き上がる。

 

【この俺様を投げ飛ばすとは、半魔の分際でやるじゃねぇか】

 

「悪魔を討伐するのが・・・俺の仕事だからな」

 

【大きく言ったな。てめぇの四肢を引き千切り、その魂を喰らってやるわ!!】

 

鋼弥は構えるが、ライドウが横に並ぶ。

 

「・・・同時に奴を叩こう。そうでなければ、勝目は無い」

 

ライドウの問いに、頷く鋼弥。

二人は同時に駆け出す。

 

【いい加減、うるせぇよ!!冥界波!!】

 

ケルヌンノスは雄叫びを上げると紅い衝撃波が巻き起こる。

強力な波動が地面を抉るほどの威力でライドウと鋼弥に襲うが、二人はジャンプして避ける。

 

【諦めの悪い奴が・・・!?】

 

その時、ケルヌンノスが膝に剣が刺さっていた。

デュラハンが剣を投擲して、ケルヌンノスの膝に当てたのだ。

このチャンスを無駄にしない為、ライドウは刀を抜き構え、鋼弥の両手に炎が奔る。

 

「磁霊虚空斬!!」

 

「マグマ・アクシス!!」

 

ライドウの必殺の太刀と鋼弥の必殺の炎が炸裂した。

ケルヌンノスはボロボロとなり、身体が崩れ始めてきたのだ。

 

【ぐ・・・おおお・・・。魂を充分、喰らったのに負けちまうなんて・・・!!】

 

ライドウは刀をヒュン―と振るい鞘に収め、鋼弥は両手の炎を消す。

だが、ケルヌンノスは、クククッと笑っていた。

 

【・・・これで、終わりだと思うなよ。俺たち、古き神々の復活は諦めた訳じゃない・・・。

 もっと、俺と同じ神々を復活させて・・・新たな世界を復興させてやる!!】

 

ケルヌンノスはそう言いながら、四散した。

ウィッカーマンの群れが使い物にならなくなった以上、人間狩り計画は水の泡となった。

建物の間から、うっすらと太陽の光が差し込んできている。

 

「まさか、あんな事を考えている悪魔もいるなんてね」

 

「元は神の地位に着きながらも、唯一神によって貶められた神々は多くいる。

 あのケルヌンノスもその一柱だ」

 

「・・・神でも、恨みや復讐を持てば悪魔となる。

 我々にも、そういった心に影が潜んでいるのを忘れぬ事だ」

 

鋼弥とゴウトがそう説明する。

珠樹がデュラハンが立ち去ろうとしていた事に気づき、呼びとめた。

 

「貴女はこれから、何処へ行くの?」

 

【・・・私の役目もこれで、おしまい。魔界に帰るだけ】

 

「ねぇ、よければ、私達と友達になってくれない?」

 

【・・・友達?】

 

「ダメ、かな?」

 

珠樹が頬をかいてデュラハンの返答を待つ。

デュラハンをニコッと笑う。

 

【・・・私は妖精デュラハン。今後ともよろしくね】

 

新しくデュラハンが仲魔となり、珠樹が引き取る事になった。

鋼弥が率いるチームとして所属する事になり、魔界のゲームで活躍するのは・・・別の話。


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