ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

103 / 174
今回は四騎士に変わり、新たな悪魔と契約を結ぶ話。

戦闘描写は相変わらず下手ですが、少しでも楽しんでくれれば幸いです。


第三話 =悪虐の魔竜と豊穣の地母神=

久々に魔界へ赴き、依頼の掲示板を覗いていた鋼弥。

すると、鋼弥宛にドクロマークの張り紙を見つけた。

このドクロマークが付いている依頼書は超危険な悪魔討伐が書かれている。

送り主は・・・魔王ルキフグスからだ。

 

――炎の国の火山地帯の奥にいる魔竜ドラゴネルを退治して欲しい。

――この竜が暴れ出したら、国が消し炭になってしまうだろう。

――危険な依頼ですが、鋼弥殿に是非とも、お願いしたい。

――彼女を止める方法はなんでもよいです。

 

流石に、この依頼事は朱乃や皆を巻き込む訳にはいかない。

相手があの"悪虐魔竜"だとすれば・・・。

早速、依頼の紙をはぎ取って、受注した。

目指すは、火山と温泉の国だ。

 

 

◇◆◇◆

 

火山の国の奥地へと足へ運ぶ鋼弥。

この荒れ果てた地に立っている古城マレブランケにその竜がいるという。

古城が見えて、いざ進もうとしたその時だった。

古城から何かが飛び出し、こちらに向かって来ている。

現れたのは、竜の様な鱗に覆われた手足に鋭い爪、背には鳥の様な黒い翼、蜥蜴の様な尾。

頭に二本の歪な角、猫の様な瞳、口から覗く鋭い牙が並んでいる女性だった。

 

【アタシの名は、悪虐の魔竜ドラゴネル。聞いた事あるでしょ?】

 

「おまえが噂の悪魔竜か・・・」

 

【その通り。ここに来る者は二つに一つ。

 集めた財宝を狙いに来た盗賊は爪でバラバラに、命を狙いに来た者たちは熱閃で黒焦げに。

 それで、アンタはどっちのほうだい?】

 

「・・・お前と契約しにきた」

 

本来ならは、12体までの契約だが、四騎士たちとは契約を解除したのだ。

鋼弥の力が十分成長したと言う理由だった。

だから、新しく契約することとして、ドラゴネルと対峙する。

ドラゴネルは驚くが直ぐにニヤリッとした顔になる。

 

【面白い事を言うわね。このアタシと契約をするねぇ・・・】

 

ドラゴネルは翼を大きく広げて、鋭い眼光で鋼弥を見る。

 

【あんたが、あたしを従わせるほどの実力があるのか。確かめてやるよ!!】

 

バッと飛び掛かり、鋭い爪を振り翳してくる。

鋼弥は迫りくる爪を捌いて、反撃をするが、相手も簡単に当てさせてはくれない。

両者は互いに距離を取って、一気に詰め寄り拳の嵐を仕掛ける。

衝撃波が起こり、周りの地面が削れていくのだった。

ドラゴネルの口が開くと、小さな光がドンドン凝縮していく。

次の瞬間―――カッと光線が放たれ横に薙ぎ払われ、大爆発と轟音が響き渡り紅蓮の炎壁ができあがる

炎が踊り狂い、焼け焦げた臭い、黒煙が昇る。

 

「なんという破壊力だ・・・!!」

 

【ボヤボヤしている暇は無いわよ?】

 

いつの間にか、目の前に迫っておりドラゴネルは延髄蹴りを仕掛けてきた。

間一髪防御するが、地面に踏み留める事が出来ず弾き飛ばされた。

 

【今の防御が遅かったら、アンタの首が千切れ飛んでいたかもしれないね】

 

防御するのが遅かったら、千切れるどころか粉々になっていたかもしれない。

それすらもできるほどの力を持つ魔王ドラゴネルの実力がここまで強いと言う事だ。

 

「・・・頼むよ。アシェラト」

 

鋼弥は業魔化身を使い、アシェラトへと変身した。

 

【今回の相手は、大物ね。それでこそ・・・やりがいがあるわ!!】

 

両手に青銅の斧剣を構えて、駆けだし連続で斬りかかるがドラゴネルは爪で全ての斬撃を受け止める。

 

【くっ、マハマグダイン!!】

 

大量の岩石の雨がドラゴネルの頭上に降り注がれるが、ドラゴネルはニッと笑っていた。

 

【マハラギダイン!!】

 

炎を自在に操り岩石を絡め取り、アシェラトに返したのだった。

燃え盛る炎の岩となり、アシェラトに降り注がれる。

避けきる事が出来ず、直撃し大ダメージを負った。

 

【まさか・・・魔法をそのまま、返してくるなんて・・・】

 

【そろそろ、お終いにしてあげようか?】

 

ドラゴネルは大きく翼を広げ、魔力を解放すると地面が割れたのだった。

右手に炎、左手に雷のエネルギーが生み出され、両拳を組んだ。

エネルギー波動で、アシェラトを捕縛した。

 

【テトラプリズン!!】

 

翼を羽ばたかせて、超突進でアシェラトへと向かう。

 

ズドンッ!!!!

 

両拳がアシェラトの腹部に叩き付け、大爆発が巻き起こった。

煙が晴れると、アシェラトは倒れていた。

ドラゴネルは、立ち去ろうとしたが・・・アシェラトは身を起こしたのだ。

 

(アシェラト、引くんだ!!このままだと、お前が殺されてしまう!!)

 

【ダメですわ・・・、化身を解いたら、マスターが殺されてしまいますわ。私が犠牲になれば助かるわ・・・】

 

(俺は仲魔を犠牲にして、生き延びたくない!!やめろ、アシェラト!!)

 

【・・・マスターは何があっても護るわ・・・命に変えても!!】

 

折れた斧剣を構える、アシェラト。

 

【そんな、ボロボロの身体で何も出来ず、マスターとともに死にな!!】

 

ドラゴネルは口から地獄の業火が勢いよく放たれた。

最早、これまでかと思った・・・その時だった。

アシェラトから眩い光が放たれ、業火が着弾し渦巻く爆炎が巻き起こる。

 

【ふん・・・所詮はこの程度か・・・】

 

ドラゴネルはつまらなそうに、立ち去ろうとしたが、足元を見ると花が咲いていた。

だが、おかしい、炎の世界であるこの地に花が咲くなんて絶対にあり得ない。

まさかと思い振り向くと、其処には―――。

 

―――流れる様な金色の長髪、雄牛の角、白いドレスを身に纏った絶世の美女が立っていた。

 

【あんた、何者だ・・・?】

 

【我が名は地母神イシュタル。母なる大地を調べる者なり】

 

イシュタルと名乗る女性悪魔は静かに、口を開いた。

 

【まさか、ランクアップをしたと言うのか!?】

 

それも、限られた高位の神族。

バビロニアにおける愛、豊穣、戦の地母神であり星を意味する神。

アシェラトを含み、誕生と死を司る神アナト、エジプトの母神イシス、戦争の女神キュベレなど派生するほどの大母神。

ヘルハウンドがコウへと変異した時と同じ様に、アシェラトはイシュタルへと変異を果たしたのだ。

 

【くくく・・・面白いね。久々にワクワクしてきたよ。あたしと本気で戦える相手ができたことを感謝するよ!!】

 

翼を大きく広げ、魔力を解放するドラゴネル。

対して、イシュタルは静かに魔力を解放する。

剛と柔。それぞれの戦いが始まろうとしていた。

 

【参ります】

 

先に仕掛けてきたのはイシュタルだ。

両手に雷のエネルギーを作りだし、二つとも合わせ、空へと上げる。

 

【マハジオダイン!!】

 

呪文を唱えると天から無数の雷が降り注がれる。

ドラゴネルも負けじと、魔法を唱えた。

 

【マハラギダイン!!】

 

業火の渦が、雷の雨に激突し、爆発が巻き起こる。

イシュタルはその隙に次なる呪文を唱えた。

 

【ブフダイン×5!!】

 

ブフダインを連続で5つ放つと、ドラゴネルの足元が凍りついた。

 

【ちぃっ!!こんなんで、足止めしたつもりか!?なめるなぁッ!!】

 

無理矢理、凍りついた足元を破壊してイシュタルへと向かう。

鋭い爪で引き裂こうと飛び掛かるが・・・

 

【テトラカーン!!】

 

【しまっ・・・!!】

 

イシュタルが物理反射の壁を唱え、ドラゴネルの物理攻撃が跳ね返りダメージを負う。

自分自身の力を受けて、ドラゴネルは少しだけふらついていた。

 

【ち・・・反射魔法をしかけてくるとはね・・・。一つ聞きたいが、あんたのその強さはどこから来る?】

 

イシュタルは手をソッと自分の胸に当てた。

 

【マスターと一心同体・・・絆の力です】

 

【・・・そんなので・・・強くなれるのか!?

 生まれ持った力で、全てを捻じ伏せる事こそ強さだ!!

 勇気、信頼、友情、愛情、絆・・・ただの綺麗事だ!!】

 

ドラゴネルは怒りの表情で、イシュタルの言葉を否定する。

イシュタルは否定的な言葉と表情を見てある答えが解った。

 

【貴女はずっと、孤独でしたのね。本当は誰かと一緒にいたい、ただ、それだけですのね・・・】

 

【あたしをそんな可哀相な目で見るなッ!!同情をするな!!強ければ、仲間も絆なんか、欲しくない!!】

 

翼を広げて、イシュタルへと一直線へ向かうドラゴネル。

 

―彼女には解っているはずだった。

―こんな古城で独りで居座るのじゃなく、旅をして誰かと一緒ないたい気持ちがあった。

―強大過ぎるこの力で、誰かを傷つけてしまうのではないかという恐怖が支配していた。

―だから、独りでいる方が気が楽だった。でも、本当は誰かと一緒にいたかった。

 

【うあああああああああああっ!!!!】

 

ドラゴネルは涙交じりの雄叫びをあげて、テトラプリズンを放つ。

イシュタルは左手を天に掲げると、金色の弓が現れ、構えた。

 

【貴女の孤独を・・・射ぬきます】

 

弦を限界まで、引き絞り、矢には電撃が奔る

 

【バルク・カウス!!】

 

雷の矢が放たれ、雷光一閃の如く駆け廻りドラゴネルを射抜いた。

その瞬間、膨大な雷が奔りドラゴネルの身を焼き焦がした。

糸が切れた操り人形のように、地面に堕ちた。

イシュタルの姿を解き、鋼弥へ戻りドラゴネルの方へと向かう。

 

【・・・生まれて初めて負けたよ。でも、気持のいい負けだな・・・】

 

仰向けに倒れているドラゴネル。

涙が少し出ているが、顔は嬉しそうだった。

 

【あんたの力と心意気、よく解ったよ】

 

「それじゃあ・・・」

 

【ああ、約束は守るさ】

 

ドラゴネルはゆっくりと身を起して鋼弥を見る。

 

【アタシの名は魔王ドラゴネル。この名をしっかりと覚えな】

 

アシェラトがイシュタルへとランクアップし、四騎士の後任として魔王ドラゴネルと契約完了した。

新たな力を着実に身に付ける鋼弥であった。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。