【勘違い物】性欲を抑えながら頑張るIS学園生活   作:シロガネ11号室

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第六話 そして彼は煌めく舞台へ

 俺と一夏の対戦は直ぐに終わらなかった

 彼には相当の戦闘センスがあるらしく、刃を交えていくごとに成長していく。正に主人公といった所か

 

 いや、いかん、認めんぞ。主人公ポジションの友人に立つ死亡フラグほど怖いものはない。あと闇堕ち

 でも闇堕ちした先に可愛い女の子がいてハーレムとか出来るんならそれでも良いかなーなんて

 

 まあ、チートボデーの僕ちんが全力で戦えばさっきオルコットに苦戦していた一夏が勝てるわけもなく、結局

 

 

 

 

 

「ということでクラス代表は織斑一夏君に決定しました! いやぁ、一繋がりで縁起がいいですね!」

「何が『というわけで』ですか!? 俺は全敗したんですよ!!」

「私が認めたんだ。答えは『はい』と『イエス』しか認めんといったはずだ馬鹿者」

 

 一夏がクラス代表になった。どうしてこうなった

 

 こうなるはずでは無かった。全勝した俺がクラス代表になりそうになったんだが、コミュ症がなると事故に決まっている! そこで、オルコットに『やれ、異論は認めん。俺は勝者だ(ドヤァ』って言ってやったのだ

 

 なんかクラス代表になりたがってたし、男を見下してるから一夏に代表を譲ることはない、俺達コミュ障大勝利! ってなシナリオのはずだったんだけど……

 

「ジパングさんから代表の権利を譲られましたから、私も『一夏さん』に権利を譲りましたの。素人なのに私に迫るセンス、感服いたしましたわ」

 

 ちょ、ちょろいさん……

 そう、オルコットは一夏にデレた。ちょろい! ちょろすぎるぜ! でもどうしてそこでデレるんだよ!! もっと頑張れよ! コミュ障がクラス代表とか事故だよ!(※違います)

 

「ジパングさんも一夏さんがクラス代表にふさわしいと、そう思って頂けますわよね?」

 

 瞬間、背筋に冷や汗が流れた

 アカン、これ面倒な奴や

 オルコットの方を見ると笑顔であるが、顔に『認めろゴルァ』と書いてあるのが読める。本当に書いてある

 

 俺はノーとは言えない日本人。すまない、すまない―――こんどジュース奢ってやるから許してくれ一夏(三本目)

 オルコットの問いに俺はコクコクと頷くことしか出来なかった

 

「や、大和ぉ!」

 

 ごめんな、一夏。人の恋路を邪魔すると馬に蹴られてタヒんじゃうんだ。不甲斐ない俺を許してくれ

 そしたら何かオルコットと篠ノ之で口論が始まった。内容は『どっちが一夏の教官役になるか』だ

 

 おおう、もしかして篠ノ之も一夏が好きなのか。ぬぅん、これは面倒なハーレムフラグだぞ、一夏!

 羨ましいが暴力系剣道少女と面倒な金髪ロールに思われても絶対体が持たない

 

 で、口論の中でIS適正ランクなるものが出てきた。一夏はBで篠ノ之はC、オルコットはAらしい。俺は何だろうなー気になる

 

 こうして、授業の妨害として騒いでいた三名が出席簿ブレード、出席簿(投擲武器)により撃沈し、事態は沈静化した

 やはり俺達は先生には逆らえないようだ

 

 

 

 

 

 

「今から飛行操縦の実践をする。織斑、オルコット。ISを展開しろ」

 

 今日はISの実践授業。何というかISスーツはエロいんだが、今日は専用機持ちしか実演しないらしいから誰もスーツを着ない、というか誰もまだ持ってない。ぬう、残念

 

 そう言えばここ最近の俺の実情を確認していなかったか。当然エロいことは全て封印(もうムラムラやばい)して、部屋に備え付けのPCでも文字が流れる動画サイトとかしか見ていない

 俺の部屋に監視カメラがあるのは確定的に明らか(実は本当にある)

 他人に見られたらアカンような姿を見せようものならそれを利用して脅されるに決まってる。だから一時も気が抜けず、その、何て言うか

 

 下品な言い方ですがね、ふふっ、常に野性的なのですよ。私

 え? 何がって、そりゃ本能に従いそうになってて危ないんですわ

 

 ほら、ここ元々女学校じゃん。女子ばっかで無防備じゃん、無防備な女子みるじゃん、勃つじゃんマイサン

 僕の息子は毎日元気でホント困ります、フフッ

 

 でも、まだ春先だから上着で何とか隠せるのだ! これは思わぬ良い誤算!

 夏の薄着とか考えるだけで恐ろしいぜ……ッ! 一夏はどうしてるんだろう?

 

「どうした織斑、早くISを展開しろ」

 

 と、俺が下品な事を考えていると一夏が怒られていた。右腕にガントレットがついた一夏はそれを掴む

 そう、そのガントレットこそが彼のIS、白式の待機形態なのである!

 一夏はペカーっと光って、その光が消えると彼は白式を装着していた

 

「よし、翔べ」

「了解しました」

 

 織斑先生の声と共にオルコットはとブルー・ティアーズはグッと急上昇し空で静止した

 

「行きます!」

 

 一夏はオルコットよりも遅めのスピードでふわっと飛び上がる

 

「織斑! お前の白式のほうがオルコットのISより出力が上だぞ!」

 

 次に急降下と地上スレスレ10cmでの静止

 

「お先に」

 

 オルコットはそれを見事にこなし、一夏はと言うと

―――轟音

 地面に埋まっていた。なんともまあ、無残な事

 

 

 次の授業、無残な姿になったグラウンドを直してきた一夏は疲労困憊し、寝てしまったとさ

 でも、今日の出来事はそれだけじゃなかった

 

「織斑君クラス代表決定おめでとう!」

『おめでとー!』

 

 パン、パンとクラッカーが鳴る。女子の無駄な団結力とは素晴らしいもので、今日は一夏がクラス代表になっただけなのにパーティが開かれた

 

 いや、しかし。これはめでたくない、めでたくないぞ皆の者! コミュ障がクラス代表になったと気づいているのは俺だけなのか?

 

「ほら、ジパング君も乾杯」

「ぉ、おう」

 

 まあ、皆が楽しんでるならいいかな、という気になってしまうのは悪いことでは無いのだろう

 

「人気者だな、一夏」

「ありがたすぎて涙が出るねぇ……ッ!」

 

 震え声だった。俺は何も出来なかった、してやれなかった

 

「はーい! 新聞部でぇーっす!! 噂の男の子二人に特別インタビューをしに来ましたよ!」

 

 どよめきが起きる。新聞部ってのがここにはあるのか

 スキャンダルとか? 学園のマドンナのヌード写真とか!? あったら定期購入したいぜ!

 

「私は2年、黛(まゆずみ)薫子。よろしくねっ☆ 新聞部の部長やってるの、はい名刺」

「あ、どうも」

「どうも」

 

 俺達はついつい受け取ってしまう。一夏が『なんか画数の多い漢字だなぁ』とかつぶやいている。うん、確かにそうだ

 

 ずいっとボイスレコーダーを突き出される。おお、なんか本格的だなぁ

 

「では先に織斑一夏君! クラス代表になった噂の君にインタビューしたいと思います! さあ、なった感想を!」

 

 コミュ障にそういうの求める? ははぁ、さてやこいつも相川と同じ世界の歪みか

 しかし、今の俺ではこの人を駆逐できない! ここで逃げたら『えー、うっそー、マジー? 無理とかコミュ障~? ぶっちゃけありえないしぃ~』って言われるに決まってる!(偏見)

 

「が、頑張ります!」

 

 よくやった一夏。さあインタビューは終わりだ! 飯くおうぜ飯!

 

「えぇ~? それだけー? 『あのぉ、俺、マジ強いんッスよ。マジで~』とか無いの?」

 

 コミュ障と対極的なDQNじゃね? この薫子とやらが求めてる解答

 

「俺をどういうキャラにしたいんですかあなたは!」

「ぶー、まあいいか。どうせ捏造する予定だったし」

 

 捏造すんのかよ! ならインタビューとかいらねーじゃねえか!!

 そう俺が心の中で突っ込んだのは間違いじゃないと思う。でも言わない、だってコミュ障だもの

 

「じゃあ次! 謎多き美少年と噂の大和君! どうしてクラス代表を織斑君に譲ったのかな?」

 

 次は俺か。つか、俺は一夏じゃなくオルコットに譲ったんだけど。『コミュ障だから』とか言ったらだめだよな、流石に

 

「―――勘だ」

「勘?」

「そう、勘だ。オルコットに権利を譲れば何かが起きる―――そういう予感を感じた」

 

 まあ嘘はいってない。オルコットに権利を譲れば俺達が万々歳な結果が手に入ると予感して譲ったのだから。そんな事は無かったけど

 

「一夏には同じ(コミュ障の)男として頑張ってもらいたい。彼の両肩に俺たち(コミュ障)の期待がかかってる」

「なるほど。同じ(ISを使える)男として頑張って欲しい、か。うーん! いい記事が書けそう!」

 

 よっし! 乗り切ったぜ! 何か考えているふりして斜め上を見ながら話す戦法が功を奏したようだ

 

「じゃあ、最後にこの学園について一言!」

 

 はい? この学園について一言かぁ……そうだな『ムラムラする』は却下。流石にゴミ虫を見るような目で見られたくはないし、あと気になることと言ったら匂いだな、匂い。女の子の甘酸っぱい匂い

 

「匂いが気になる―――いままで感じたことのない、強烈な」

「匂い……?」

「華やかさの中に潜む、(襲ってしまいそうなほど)危険な香りがする。まあ、俺個人の思ったことだ気にしないでくれ」

(華やかさに潜む危険……もしかして、彼は何かキナ臭い物でも感じているというの?)

 

 でも匂いとか言ったら変態扱いされないかなぁ、うーん。ま、大丈夫だろう! さっきこの人捏造するって言ってたし!

 

 

 

 

 

 

 

 パーティでのインタビューが終わり、薫子は大和の言っていた危険な香りについて気になっていた

 

『匂いが気になる―――いままで感じたことのない、強烈な』

 

 とてつもない身体能力を持つ謎めいた彼、記憶喪失と聞いてはいるが記憶を失う前はただものではなかった事くらい容易に推測できる、と薫子は考えた

 おそらく彼の感じた匂いとは、普通私達の言う匂いとはまた違った『匂い』そう考えが辿り着く

 

―――いい記事が書けそうだわ。二人の男子についての特集記事と、大和・ジパングに対する考察やその不思議な言動をまとめる。これは絶対需要があるはず!

 

『特集! 大和の感じた『匂い』を探る!』

 

(……良い!)

 

 そう考えて彼女は筆を動かし始めた。後に、その彼の言葉が予言になるとも知らずに

 

 同じ頃、夜十時。ようやく終わったパーティの熱気から冷めるために大和は外に出ていた。空には丸い月と、綺麗な星が光っていた

 

 IS学園は都市部から離れたところにある。そのために周囲に光がなく、綺麗に空が見えるのだ

 

「月が、綺麗だ―――」

 

 大和の生きる時代は光があふれていて、所々に自然保護区があるものの、宇宙進出を果たす以前の人類が緑を奪い、人類の生存圏を拡大していった

 そのせいで綺麗な星を見る機会なんて一度も無かった、そう、一度も

 

 大和は空に手をかざす

 

(今日は、下らない欲望に振り回されずに眠れそうだ)

「ああ、平和で楽しいな。こんな日々がずっと続けばいいのに」

 

 大和は自分を見つめる一つの影に気付くこと無く、それからしばらく月を眺め続けた

 その影は偶然にも通りかかった千冬で、大和の呟きを聴きとった

 

(今の言葉は無意識なのか? あの言い方だとまるでかつて平和な場所にいたことがないようなものじゃないか)

 

 風が少し吹き、二人の髪がなびいた

 

(う、食い過ぎた。う○こ行きてえ)

 

 大和は立ち上がり、自室に向かって歩きはじめた




誰か続きはよ



早く『性欲を抑えながら頑張るIS学園生活編』にならないものか

今のところウ○コネタの方がオ○ニー云々より仕事してるような(※してません)
勘違い物など俺には半生記ほど早かったようだ。難しい
他の偉大な先駆者様達のをやっぱパク……参考にせねば

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