【勘違い物】性欲を抑えながら頑張るIS学園生活   作:シロガネ11号室

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第二話 ナヅェダドンドコドーン!

「諸君、今日から本格的な実践訓練を行う。各自のスーツが届くまでは学校で用意したISスーツを着てもらうことになる。忘れるなよ? 忘れた場合は水着、それすらもない場合は下着でうけてもらう。いいな?」

 

 はい! めっちゃ大賛成です! 何故か? 下着が見れるかもしれねえからだよぉ!

 同じ男の一夏なら同意してくれるはずだ、が、席次の問題で彼の表情を見れない。しかし織斑先生に『お前、いやらしいこと考えてただろ?』と突っ込まれてないからそう考えていないんだろうか

 

 奴は性的欲求は無いのか!?

 

 で、どうして俺は織斑先生にいやらしい事を考えていないのかを表情で読まれないのかというと『無表情の俺、カッコイイ』的な感じでアバターの感情表現レベルを少し下げているのだ! つまり今の俺は無表情! 素晴らしい!

 某友人には厨二病乙とまた言われたけどなんだろうちゅうにびょーって

 

「はい、では今日の連絡事項―――の前に、なんと! このクラスに転校生が来ます! それも二人です。デュノア君にボーデヴィッヒさん、入ってきてください!」

 

 何故に二人? 普通分散されるだろう

 と、教室に入ってきた二人を見て教室はざわつく。何故なら一人が男子生徒だったからだ

 

「男の子……?」

「ええ、僕と同じ男性が二人いると聞いてやってきました、シャルル・デュノアです。よろしくお願いします」

 

 彼は中性的な―――というか可愛い―――顔立ちをした金髪の物腰の柔らかい少年だった

 シャルルとか噛むからデュノアと呼ぼう。これ確定

 

「きゃあああああああああ!」

「男の子よ! 男の子!」

「ワイルド系イケメンの織斑、クール系イケメンのジパング、そして貴公子系イケメンのデュノア君!!! 素晴らしいわ!」

「きっとデュノア君は誘い受け♂」

 

 おい最後、ちょっと黙れ

 しかし、このデュノアはちっとばかし可愛過ぎないか? ちょっと前のムラムラ状態の俺なら男であるからってちょっと過激なスキンシップを撮っていたに違いない♂

 

 もう一人の転校生の眼帯を左目につけた銀髪の少女(子供以上に小さいから手を出したらおそらく犯罪)はそんな教室の喧騒に興味を示さず、ただ無表情でそこに立っていた

 

「お前ら朝にうるさいぞ、黙れ。……ボーデヴィッヒ、挨拶をしろ」

「了解しました、教官」

「ここでは『織斑先生』だ、いいな?」

「はい、先生」

 

 腕を組んだ彼女は下らなさそうに教室を見渡し、そして一言

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

 とだけ言った

 ヤダ……男前ッ! 濡れちゃう!

 

「……」

「……」

 

 教室は沈黙、まるで名前だけ宣言した一夏の時のような空気になり、なんというか軍人ロリ(眼帯と容姿から)との我慢比べの様相を呈していた。でも、軍人ロリはこの沈黙をなんとも思わないようで

 

「そ、それだけ?」

「以上だ」

 

 とだけ勇気を出して聞いたクラスメートの質問に応えた。ヤダ、カッコイイじゃないの……

 と、いきなり彼女は一夏の正面に立って彼の頬を叩く

 

 パァン、といい音がして

「貴様が……あの人の弟であると認めん……!!」

 そう軍人ロリは言った

 ああ、これはそうだ。大体一夏が悪いに決まってる。コミュ障のくせに女関係のトラブルは絶えないからな、あいつ

 

 そのままHRは終了し、俺達男組は「デュノアの面倒を見ろ、同じ男だ」と言われてはいとだけ答えた

 しかし初対面の人間の面倒を見ろなどとコミュ障の俺達二人には荷が重すぎる

 

 そう思いながら女子が着替えるとのことで教室を出ると

 

「あ! 噂の男の子! 金髪でエメラルドの瞳! あぁん、正に王子様!」

 

 アカン、これ面倒な奴や

 

「一夏、逃げるぞ」

「え、あ、おう。行くぞ!」

「ちょ!」

 

 俺達は息ぴったりにデュノアの両手を引っ張り加速した

 おそらく背後には―――

 

「男の子が三人手をつないでる!」

「まさか既にそういう関係!? ……ゴクリ」

 

 アカンで、はよ逃げな

 俺達は事情の分からないデュノアを無視して更衣室へ向かう。頑張った、俺達超頑張った

 

「ゼーゼー……ここが更衣室だ。男子は実習のたびにここで着替えるから覚えるように……」

「おい一夏、水を飲んでこい。それじゃ授業を受けれんぞ」

「そうだけど、次の授業まで5分も無いんだけど」

「そこは気合で何とかしろ」

 

 チートボデーの僕は余裕だけど一夏は体力を全て使い果たしたようで。でもデュノアは結構余裕そう

 

「じ、自己紹介がまだだったね。僕はさっきも言ったけどシャルル・デュノア」

「……大和・ジパング」

「俺は織斑一夏、気軽に一夏って呼んでくれ、シャルル」

 

 一夏、コミュ障なのに立派や……いい子に育ってお母さん嬉しいわぁ

 

「うん、一夏。で、君はなんて呼べば……」

「着替えるぞ、時間がない」

 

 織斑先生の出席簿は怖いからな、初めての授業で可愛い彼がその被害にあわないようにしてあげないと

 

「え、あ、うん……ねえ一夏、彼って」

「あいつは少し口数が少ないけどいいやつだ。安心してくれ」

 

 フォロー有難う一夏。今度体にピース出来る飲み物の原液を上げよう、牛乳と混ぜると美味しいからそれもあげようと思う

 俺は制服を脱いでISスーツ姿になる。面倒だから実習があるときいつも下に着てるのだ

 

「先に行かせてもらう」

「げ、早っ! ちょっと待ってくれよ!」

 

 悪いが一夏、始業までもう二分切ったんだ

 

 遅れて到着した二人は織斑先生に怒られ、そして一夏に出席簿ブレードが発動する

 デュノアは初日だからって事で見逃してもらえたんだろう、うん、やっぱいい先生だ

 

「あれ? 一夏あんた何顔に紅葉つけてんのよ」

「転入生にはたかれたのですわ」

「はん、どーせまた馬鹿やったんでしょ」

 

 馬鹿はお前だ! 子供……ッ! お前は背後に出席簿を構えた織斑先生に気が付かないのか!

 本日二発目の出席簿ブレードは青空によく響いた。打ってる先生も多分気持ちがいいに違いない。日本は体罰駄目だけどここは日本扱いされてないし無問題無問題

 

「今日は戦闘の実演だ―――そうだな、オルコット、鳳! 前に出ろ」

「はい!」

「あー、頭がまだズキズキする」

「お前らには戦闘の実演をしてもらう。相手は……」

 

 そう言うと先生は天を指さした。なんか堂に入っててカッコイイ

 すると、指さした方向が光ってISが突っ込んできた! って、ええええ!?

 

「ちょ、ちょっとどいてくださぁ~い!!」

 

 山田先生が一夏へ直線コースで落下してきた、って、危ない! お前が逝ったらコミュ障の俺一人でこの学園を過ごすことになるんだぞ!

 

 俺は真宵を展開し、自動防御システム『銀月』を発動。力場を弱めに発生させて(強くすると屈折してどっかいくから)少しでも先生の速度を落とそうとする

 そして先生はその力場を減速しながら通過し、一夏に突っ込んでいった!

 

 一夏の白式を展開する光、そして先生はその一夏の上に軟着陸する。いきなりのことに体制を崩した一夏に先生は馬乗りになっていた! おい一夏変われ、てかお前の手は今どこにある? 先生の胸だぞ! しかも鷲づかみしていやがる!

 ふ、ふざけるな! うらやまけしからんさっさと俺とその場を変わらんか!

 

 と思ってたんだけど、瞬間、一夏の顔の真正面スレスレをビームが通過していく

 

「オホホホホ、外してしまいましたわ」

 

 あ、やっぱ変わんなくて結構です

 というかごめん、一夏。そのまま先生が落下してた方がそんな事(痴情のもつれによる一方的な攻撃)にならなかったかも知れんのに余計なことしてすまんな

 こうなったのは私の責任だ、だが私は謝らない

 

 俺が呆然と恋する乙女の怒り(これは俗に言うヒドインレベルの暴力や)を眺めていると、山田先生がいきなりライフルを構えた。狙っているのは―――

 

「○ね! この変態スケベ野郎!」

「わ、ちょ、鈴!」

 

 子供の青竜刀だ

 子供がそれを振り下ろしたと同時に山田先生が発砲。放たれた弾は見事に青竜刀へと吸い込まれ、その軌道を変化させた

 うわ、山田先生がいなけりゃ首掻っ切られてたぞ一夏。絶対防御があるから問題ないけどさ

 

 その弾を撃った先生はというと、いつもの雰囲気と違って落ち着き払い、まるで歴戦の戦士のようだった。ロリ巨乳クール、全然アリだぜ!

 

「勝手な私闘はやめろ、オルコット、鳳。……まあいい、今から戦闘の実演だ。相手は山田先生で二体一だ。……ん? お前ら不思議そうな顔をしているな? 彼女は代表候補生、その中でも代表に最も近かった女だ。貴様らのような小娘では勝てまい」

 

 ほう、山田先生って強かったんだ。胸の大きさって強さに比例するんですかねぇ? 織斑先生も大きいし。え? あ? 篠ノ之? うーん、大きいし強いけどISは……ね?

 しかし子供はペッタンコの癖にヤケに強いから胸の大きさと戦闘力については要検証とのことで

 

「では始め」

 

 織斑先生が開始の合図を告げると共に戦闘が始まる。山田先生の駆るラファール・リヴァイヴは第二世代なのに対し、二人のISは第三世代。世代差に人数差。圧倒的に先生が不利に見えるが……

 

「デュノア、山田先生のISについて説明してみろ」

「はい。山田先生の使用しているIS『ラファール・リヴァイヴ』は……ので操縦者を選ばず―――また、世界シェアの三割を獲得し性能としては初期の第三世代ISには決して劣るものとは言い切れません」

「見事だ。お、ちょうど試合が終わったな……どうした小娘共?」

 

 デュノアが説明をしている間に戦闘が終わっていた。内容は一方的で、と言っても山田先生に二人共瞬殺されたという意味で一方的だった

 

「見ての通り山田先生は実はすごい先生だ。以後、きちんと尊敬するように」

「ぐぬぬ・・・」

「ぐぬぬ・・・」

 

 オルコットと子供の顔の『ぐぬぬ・・・』感がすごい。なんというか『ぐぬぬ・・・』って感じ。よく分からんけど『ぐぬぬ・・・』してる

 

「これでIS学園教師のレベルが分かっただろう? ……では実習に入る。専用機持ちである織斑、オルコット、デュノア、、ボーデヴィッヒ、ジパング、鳳をグループリーダとして人数がなるべく均等になるよう分かれろ、いいな?」

 

 先生がそう言うと同時に一夏とデュノア、そして俺の所に女子がわらわらと集まってくる、って何故に

 と、女子が押し寄せてやばい! 匂いが! 息子が! 織斑先生、ヘルプ!

 

「お前らは馬鹿か小学生か。まともに分散も出来んとは……出席番号一番から順に入っていけ。もたつくようならIS背負ってこの時間中グラウンドを走らせるぞ」

 

 シュッと全員分かれた。流石俺の織斑先生(※お前のじゃない)

 それぞれのグループを見渡すと悲喜こもごもで、一番悲惨そうなのはロリ軍人のチームだった。なんか空気が淀んでいてそこだけ黒く見えるよ

 

 と、一夏のグループを見てみると世界の歪みこと相川がいた。お、篠ノ之もいるじゃん、殺っちゃえYO!

 デュノアのグループはなんというか白馬の王子様に出会えた女子って言えばわかりやすいだろうか、そんな雰囲気である

 

 で、俺の所は

 

「……」

『……』

 

 ああ、空気が重い。コミュ障の俺に指導なんて出来ねーよ責任者出てこい! って織斑先生じゃないかーい! ってこれ二回目だ自重しよう

 

「あ、あの……」

「おそらくあそこにある打鉄かラファールを早い者順で取ることになるだろう。お前らで何がいいか決めろ」

「は、はい!」

(ああん、目付きの鋭い寡黙な王子様!)

(いつもと変わらない無表情がカッコイイ!)

(けど戦闘中の楽しそうな顔ももっといい!)

 

 ふう、少し早口だったけど噛まずに言えた。噛んだりしたら気まずいし。男が『かみまみた』とかキモいだろ常識的に考えて

 結局使用ISは打鉄に決まった。理由は俺が一番初めに使ってたかららしい、どーでもいいがな

 

『書く班長は装着を手伝ってください。午前中で動かすところまでお願いしますね~』

 

 ああ、これまで以上に憂鬱な午前になりそうだ。今まで話したことないような子と会話、しかも教導をするとか苦痛でしかない

 

「どうするの? ジパング君」

「……番号順に装着、起動に歩行だ。番号順に並べ」

 

 並んだ、さっきも思ったけど女子なのに体育会系並に行動はやいな

 と、装着の時点で問題が発生した

 

「届かない……」

 

 ISが人間より高いから仕方がない。なら

 

「真宵」

 

 俺は真宵を展開して一番の子をひょいと持ち上げる。なんか柔らかかったりぐんにゃりした感触とかあったけど気にしないキニシナイだから気にするなよ息子よ

 

「乗れ」

「あ、うん、ありがとう……」

「……授業で何回かやっただろう? それと同じようにやればいい」

「わ、わかったわ」(目を逸らされた、他人に興味ないのかしら? あぁん、そんな冷たい対応に痺れちゃう!)

 

 か、顔が近い。見慣れたアバターには『生きている』という実感がわかなかった。だから初対面でも会話が出来てたのだが、今ここにいるのは生きている人間、血肉の通っている人間だ

 思わず目をそらした、ああ、これで『目をそらすとかないわぁ。人としてどうかと思うわぁ』とか思われたんだろうなぁ

 

 そんなこんなで

 

「午前の実習は終わりだ。午後は各訓練機体の整備を行うため格納庫に班ごとに集合、専用機持ちは自分のも一緒にだ、いいな?」

『はい!』

「では各自休憩とする、解散」

 

 終わった。終わったぜ……猛る息子も頑張って耐えた。眼福な光景によく耐えた……ッ!

 

「よし、帰るか二人共」

「あ、ちょっと僕は……」

「デュノアは用事があるようだな、なら先に帰らせてもらう」

 

 ふ、これで友達の友達みたいな気まずさにはならないですむぜ!

 全く汗をかかないチートボデーだけどなんか気になるから着替えるとしよう。うん、暑かったし冷たいシャワーはきっと気持ちがいいに違いない


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