バカと忠義の狂戦士   作:練火

6 / 18
ゲホゴホッ!

……ハッΣ(゜Д゜)
……………………どうもー練火でーす(;´∀`)

やっぱり、コメントが来ると嬉しいって良くわかるよ。
コメントありがとうね~♪


約束

秀吉と榊、二人っきりの教室で窓枠下の壁を背にして座っている。

お互いに口を開かず、重たい空気が流れていたが、隣にいる秀吉が三角座りで目線を下にしたままゆっくりと口を開いた。

 

「すまぬのじゃ」

 

「………」

 

「『役に立てずに、負けてしもうてすまんのじゃ』…」

 

「ーーー!?ああ…その言葉は……やっと思い出した」

 

榊もその重たい口を開いた。

 

「お前はあのときの…見知らぬじいさんと一緒にいた奴か…」

 

「…覚えておったのか?」

 

秀吉が静かに此方をみながら聞いてきた。

 

「…一応な」

 

ホントに一応である。だが、そう口に出すと段々と思い出してきた。

確か…雄二殿と出会って二年目の中三の冬だったか…?

することもなく夜の散歩をしてたら近くの公園の真ん中辺りで不良五人くらいと揉めてる男装の女子+その後ろには尻餅をついている爺さんがいて、暇だったんで女子側に混ざりに行って一暴れしただけのハズなんだが………

 

「確か、その時にもお前はじいさんにもよく似た台詞を言ってしな…」

 

「ぬ…そうか……///」

 

あれは今となっては恥ずかしかったのか。秀吉は頬を紅くすると、プイッと顔を反らした。

 

「つまり、恩返しってあの時の事だったのか?」

 

そう訊くと、コクンっと頷いてくれた。

 

「別に恩返しせんでも良かろうに」

 

そう口にすると、秀吉が口を開く

 

「……ワシは榊のような男に成りたかったのじゃ、強くて優しい男にのう。じゃが、ワシはこんな見た目じゃ………だから……。だからせめて、気持ちだけでもお主のような男に……!」

 

気持ちが昂ってきたのか、その目には涙が溜まっている。

 

「じゃが…。ワシは…ワシは…………!!」

 

秀吉は一粒二粒と涙を溢しながら、話続ける。

どうやら秀吉は高一の時に榊を見つけ、国語が苦手だと知った秀吉は今こそ。前に助けてもらった恩返しをせねばと思い苦手だった勉強を死にもの狂いでやり、あの点数を取ったのらしい。

じゃあ何故、Fクラスに?と訊くと

 

「……あのテストは一問ずつ回答がズレておって直しておったら時間切れで終了じゃ」

 

秀吉が顔を下に向けながら答えてくれた。

何ともまぁ…と思い更に聴いていくとそれでも国語だけがBクラス~Aクラス中位まで取れるそうだ。

 

「じゃが、ワシは最大の機会を自滅で逃してしまった大空け者じゃ!馬鹿者じゃ!!何の…ヒックッ…何のために今まで……!!」

 

その慟哭に榊はため息を吐くと、三角座りの秀吉を自分の方へ倒した。

秀吉は体勢が崩れ、顔が榊の胸元に当たる。

榊はよいしょっとの掛け声で秀吉の体を少し上げその顔を肩に乗っけた。

 

「さ……グスッ…か…き……?」

 

右腕で秀吉を抱きしめ、左手でその後ろ髪を撫でる。

 

「こういうのは苦手なんでな、率直に終わらす。ーーーーー良くやった。秀吉、お前の勇気。努力を全員に認められなかったとしても…俺は、俺だけは認めてやる。だからそう……自分を卑下するな、な?」

 

秀吉はそれを聞くと更に涙を流した。榊はあやすように髪を撫でていく。

 

「さか、きぃ…ヒグッグスッ。ワシは、お主、の、グスッ、ようにヒックッ、なれたのか?グスッ」

 

涙声で訊いてくる言葉に榊は頷きつつ答えた。

 

「ああ、お前はーーーーー最高のバカ()だ」

 

Fクラスに秀吉の声が響いた。

 

 

▼△▼△▼△▼

 

 

 

一時間後。泣き止んだ秀吉を連れ、Aクラスに戻ってみると、先生方が話し合っている。

 

「……なんだこりゃ」

 

思わず、そんな事を口走った。

 

先鋒戦【国語】

 

木下優子○ー×木下秀吉

 

次峰戦【化学】

 

佐藤美穂○ー×吉井明久

 

中堅戦【保健体育】

 

工藤愛子×ー○土屋康太

 

副将戦【総合点】

 

久保利光×ー○姫路瑞希

 

大将戦【小学生の歴史テスト上限100点】

 

霧島翔子98点ー坂本雄二98点

 

……引き分け??

 

榊は坂本の所に行き、説明を求めた。

 

「雄二殿、いったいこれはどういう?」

 

坂本は榊に気付く。

 

「おぉ、恭介に秀吉か。まさかな…俺が満点取れないとは知らなかったぜ」

 

「自分が罠になってどうするのさ!!?」

 

横で騒いでいる吉井を無視し、坂本から答案用紙を渡され、確認すると

 

【問29】

 

1192年に征夷大将軍になったのは()である。

 

答え、徳川家康

 

先生のコメント

 

生まれてません。

 

 

「「…………」」

 

 

その答えに呆然としている榊と秀吉。

榊はチラッと坂本を見ると、その顔はニヤリとしていた。

……そういう事か。

坂本の考えが解り、内心で苦笑いを浮かべる。

雄二殿は俺の実力を改めて知りたいのか……

坂本は榊の側に来ると、

 

「後は頼んだ」

 

ボソッと呟いた後、肩にポンッと手を置かれた。

 

「御意」

 

榊も頷きながら前に出る。

 

 

ーーーーーそして

 

 

「大将戦が引き分けに終わり、二勝二敗一引き分け。先生方…代表戦ってのはどうですかい?」

 

そう先生方に提案した。

 

『そうか!代表戦に成れば、俺達は姫路さんが出せる!』

 

『ならば、勝利は貰ったぜ!』

 

『いや、向こうは霧島さんを出してきたら……負けるだろ?』

 

周囲がざわりと騒いでいく。

 

「榊君。先生方の話し合いに口を出さないでもらえますか?」

 

高橋先生がそういうと、西村先生(鉄人)が額に手を添え、笑いながら。

 

「こいつは良い。それなら遺恨は残らんな……!」

 

「ですが西村先生!」

 

高橋先生が反対意見を言おうとした時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ーーー良いさね、それでジャリどもが暴れなければそうしようじゃないかい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モニターの画面がついさっきの対戦表から、ある人物の顔に変わる。それを見た途端、榊は頭を下げる。

 

 

『『『『バ、ババア!!!!??』』』』

 

 

『お前ら全員、そこにいる榊やAクラスメンバーのように目上に対する敬意を持ちな馬鹿ども!!』

 

Aクラスメンバーの何人かもババアって叫んでたけどな。

ついさっきの威厳を持った表情から一転して、顔を真っ赤にして怒鳴ったこの文月学園の理事長兼学園長、藤堂カヲル学園長であった。

 

「しかし、学園長」

 

『これはアタシの決定さね。文句は後で聞いてやるから落ち着きな』

 

学園長にそう言われ、高橋先生は渋々と了解した。

 

『さて。それじゃあ代表戦になったけど、誰を出すか決まったのかい?』

 

その言葉に坂本は頷き、声を張り上げる。

 

「Fクラスの代表は榊恭介だ!!行ってこい!!」

 

「ハッ!!」

 

短く返事を返し、Aクラス勢を睨む。

しかし、それに問題があるのかFクラスの何人かが抗議を始めた。

 

「雄二!何で榊君を出すのさ!!ここは姫路さんじゃないの!?」

 

「そうよ、坂本!アイツが瑞希以上に点数を取ってるって言うの!!」

 

「さ、坂本さん。わ、私はまだ行けます!!」

 

その返答に坂本は軽くため息を吐くと、

 

「お前らも補充テスト受けただろ?アイツだって受けて点数が変わってるハズ」

 

と自信満々に言う坂本に榊は申し訳なさそうに答えた。

 

「ーーーあー、雄二殿。すまんが補充テストはサボったから受けてない……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『えええぇぇぇぇぇえええぇえええっ!!!!!???!』』』』

 

 

 

 

 

Fクラスの悲鳴が教室中に響き渡った。

 




それではまた次回に会いましょう!


エル・プサイ・コンガリィ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。