生徒会長イッセーと鳥さんと猫   作:超人類DX

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………。誰だよこのカテレアさん。
いやマジで誰だよ。

そんな感じです。

※ちょっと色々と修正しました。


失恋からのモテ期な匙きゅん

 何でこうなるんだ。

 俺はイッセーと友達になって強くなった木場みたいに強くなろうと自分なりにやって来たつもりであり、惚れた腫れたの話はうんざりだと思ってたんだ。

 それにやっとソーナ・シトリーからの呪縛から逃れられ、木場や白音ちゃんと同じく本当の自由を手に出来たし、これからは大手を振ってテメーの力を磨いていく事に専念できる――そう思ってたのに。

 

 

「ジョワユーズ使いも強そうで益々楽しくなりそうだよアザゼル。

流石コカビエルに鍛えられてるだけはある」

 

「言うと思った、つくづく餓鬼だなオメーは。

にしてもあのコカビエルの所に居る小娘は何者なんだ?」

 

 

 アザゼルさんやヴァーリみたいな……。

 

 

「『疾風』の慣らし運転ぐらいにはなったぜボス」

 

「フリード様の出で立ちはまさに騎士でした!」

 

「おうおうそうかそうか。やはりルフェイを引き込んで正解だったな」

 

 

 コカビエルとフリードみたいな……。

 

 

「神の死を伏せていた件は本当に申し訳ありませんでした……それに聖剣計画の件も」

 

「い、いえ! ミ、ミカエル様が私等に頭をお下げる必要は……」

 

「僕も自分なりにケジメは付けられたので……」

 

 

 

 木場とゼノヴィアさんみたいな、

こう……強くなれるって感じがビシバシするような何かが欲しいだけなのに。

 

 

「で、残ったのはカテレア一人だけみたいだけどどうするの? このままおめおめと帰って『私以外全滅です』って連中に報告するのかい?

多分責任持たされて殺されるか玩具にされるかもねー……あーぁ、大変だな」

 

「ひぃっ!? そ、そんな事無い! だって私はレヴィアタン――」

 

「血族の末裔ってだけじゃないか。

第一本当に襲撃をするつもりだったら、キミだけじゃなくて他の末裔軍勢全員で襲撃するべきだろうに」

 

「うっ……! そ、それは私の中にオーフィスの『蛇』を入れて凄いパワーアップをしたから……」

 

 

 俺は何でほぼ初対面の旧レヴィアタンなる人に抱き着かれたまんまなのかが解らない。

 俺関係無いじゃん……。

 

 

「ふーん、じゃあ益々当て馬にされたねカテレア。

オーフィスの力の一部を与えられとしても僕達全員を相手にして勝てるのかい?」

 

「ぅ……」

 

「無いんだろ?

ほら、キミ一人の力量じゃあ不可能だと最初から判断されたんだよ」

 

「そ、そんなぁ……」

 

 

 痴女魔王は物凄い無表情でガン見してくるし、ギャスパーもオロオロしつつも何か意味深な顔だし。

 何なんだよこの状況……なんだってんだよ。

 

 

「あのー……お話の最中申し訳ないんですけども、そろそろ離れてもらえますかね。俺達そろそろ帰りたくて……」

 

「ええっ!? そ、そそ、そんな! 本物のレヴィアタンである私の仲間になって――」

 

「いや、仲間なら友達が居ますし間に合ってるんで……」

 

 

 褐色肌でかなりスリットの開いたドレスを着てるという、露出的な――されど眼鏡のせいで妙に知的に見えなくもない女の人に抱き着かれたままってのは、正直色々と辛い。

 というより、この人は会談を襲撃してきた敵だし、結局フリードとヴァーリによって襲撃軍団は全滅して詰んでる状況で絶望してるのは解るけど、俺関係ないし……。

 

 

「スキルを覚醒させたんだろ白音? 後で俺と手合わせしてくれよ」

 

「良いですよ。

もし私が一誠先輩を倒したら舌まで絡ませる凄いキスをしてもらいますね? そして私が負けたら私から一誠先輩に舌まで絡ませる凄いキスをしてあげます」

 

「え"?」

 

「その前に私がズタボロにしてやるよチビ猫」

 

 

 無理だろこんなの。

 というか、白音ちゃんまで先の領域に進入したのかよ。

 これは益々頑張らないと置いていかれてしまうぜ。

 

 

「そもそも俺単なる転生悪魔ですし、言うほど強くもないんで仲間にしても邪魔になるだけっすよ。

それにもう捨て駒扱いはごめんなんで」

 

「そ、そんな事っ! このアホで能天気な化物達に対しておくびもなく意見を通せる精神の強さはこの、レヴィアタンである私からしても称賛に価しますから! な、何卒! じゃないと私……こ、殺されちゃう……!」

 

「……………。まあ、匙君に殺すのを止めて欲しいと言われたら僕はなにもしないけどね。

ただし、キミの持ってる情報を全て僕たちに差し出して貰うけど」

 

 

 そう意味深な台詞と共にサーゼクス様が俺を見る。

 カテレアって悪魔もずーっと俺の腕辺りにしがみつきながら半泣きで見てくる。

 そしてトドメに他の全員も俺を見てる…………………え? これ俺が決める流れなの? な、なにゆえ?

 

 

「し、死にたくない……!」

 

 

 ブルブルと俺の腕にしがみついて震えるカテレアって悪魔。

 レヴィアタンだと事あるごとに自称してたけど、俺には今の彼女が魔王たる覇気も感じず、ただただ怯えた女の人にしか見えない。

 こう、ライオンの群れだらけの檻にぶちこまれたインパラというか……。

 初対面の俺にすらプライドもクソもポイ捨てして助けを請う姿に居たたまれない気持ちすら芽生えてしまう。

 

 

「あのー……。

体の良い捨て駒にされたのなら、その他の旧魔王派って奴等からはこの人は殺されたと思うと思うんで、殺さずに情報を獲る方向が良いんじゃないっすか? いや、知らんけど」

 

 

 だからまあ……これっきりしか関わらないだろうし、死ねとは流石に思ってないので、殺す必要は無いのではとだて言ってみる。

 

 

「!?」

 

「元士郎くん!?」

 

「元士郎先輩!?」

 

 

 すると自分で死にたくないと言っていた筈のカテレアって人は目を見開いて驚き、痴女魔王とギャスパーもも何故かオーバーに驚いていた。

 

 

「ほう、キミは殺すべきでは無いと?」

 

「ま、まあ、別に死んで欲しいとは思ってはないので……はい」

 

 

 捨て駒、か。

 ちょっと前の自分を思い出すぜ。

 もしイッセーと出会わなければ、俺はあの性欲馬鹿に示唆されたソーナ・シトリーに神風特攻させられて死んでいたのかもしれないと思うと、甘い考えだけどこの人にちょっと同情してしまう。

 それに好き好んで『死ねば良いじゃん』と言える趣味も無いし、サーゼクス様の言った通りこの人から情報を引き出す方が現実的で戦略的なんじゃないかなー……なんて。

 

 

「ふーん……? カテレアちゃんには妙に優しいね? ふーん?」

 

「な、なんだよ」

 

 

 その際、目を見開いて驚いてるカテレアって人と俺を無表情で見ながら喉に引っ掛かる様な言い方をする痴女魔王に居心地の悪さを感じる。

 さっき言われた冗談が俺をそう思わせているのか……。

 

 

「だってさカテレア。匙君に感謝するんだね」

 

「……」

 

 

 ………。結局俺の意思を何故か尊重してカテレアって人は殺されずに済んだ。

 しかし、生き残れた事がこの人にとって幸福なのかは微妙だ。

 だって多分、これから待っているのは不自由な生なんだろうから。

 

 

 

 

 た、助かった……?

 軍勢を全滅させられ、更にはサーゼクスに私は捨て駒として送り込まれたんだと指摘され、思い当たる節だらけで絶望していた中、私はこの少年によって生かされた。

 

 

「よかったねーカテレアちゃん。元士郎くんに優しくして貰えてー?」

 

「……………」

 

 

 セラフォルーが妙に刺々しい言い方をしてくるのとハーフ吸血鬼が複雑な顔をしてるのに、ちょっとムカつくけどこれで私は生き残れた。

 ふ、ふふ……やはり私こそレヴィアタン。

 似非では無いからこそ生き残るべくして生き残った……そうに違いない。

 

 

「あのー……取り敢えず離れてくれると……」

 

「ぁ……す、すいません」

 

 

 ふ 、ふふん……このお馬鹿さん達め。

 この私の演技にまんまと騙されたわね! これこそ私がレヴィアタンとして再臨する為の布石!

 この少年を利用してお馬鹿さんを騙して生き残り、そして隙を突いてこの少年をまずは人質に――

 

 

「これ飲みます? ちょっとは落ち着きますよ?」

 

「へ?」

 

 

 人質にして……。

 

 

「あと安物だけど飴玉も……」

 

「ぁ……は、はい、頂きます……」

 

 

 ひ、人質に……。

 

 

「その……色々と災難でしょうけど頑張ってください」

 

「ぁ……。(キュン)」

 

 

 で、出来ない……。

 こ、こんな転生悪魔というだけの少年相手に私は躊躇っている。

 そ、それどころかこの胸の高鳴りは……!

 

 

「やはり随分とモテるな元士郎……。まあ、何と無くそんな気はしてたが」

 

「おいおいやめてくれよイッセー。

あの人だって色々と崩壊してワケわかんなくなってただけだろうぜ。

でなきゃガキで転生悪魔程度の俺にあんな真似なんざしねーだろ?」

 

「どうしたらそんな考えに行き着くのか不思議なのですが逆に」

 

 

 違う。旧魔王派に所属してる男達とはタイプがまるで違いすぎる!

 茶髪の少年と話してる……元士郎と呼ばれた少年から目が、目が離せない。

 

 

「それにこの人はこれからマジで大変なんだぜ?

寧ろ無責任に殺すのを躊躇わせた俺としても微妙に罪悪感が……」

 

 

 思えばセラフォルーにレヴィアタンの称号を奪われてからは周りから軽く見られ、他の旧魔王派の連中からも嘗められた態度をされ、挙げ句捨て駒としてこんな化物だらけの集いに特攻してこいと言われて……。

 そりゃあセラフォルーを倒してレヴィアタンとして返り咲く夢を持って居たので、嘗めてる連中を見返すつもりでオーフィスの力をちょっと取り込み引き受けたけど、来たら来たでセラフォルーからすら無視され……挙げ句に引き連れた禍の団の構成員も全滅させられた。

 

 これではおめおめと逃げ帰っても馬鹿にされてしまうだろうし、最悪サーゼクスの言った通り殺されるか玩具にされてしまう。

 そんな中この少年は無視をされていた私を見かねて化物達に向かって『聞け』と一喝した処か、命まで救った。

 

 

「う……うぅ……!」

 

 

 こんなちっぽけな人間から悪魔に転生しただけの少年によって私は……私は……!

 

 

「や、やっぱり……す、好きー!!」

 

 

 この少年を絶対に仲間にする。

 勢い任せじゃない……仲間に出来たら絶対得になるからこそ私は少年に先程と同じく飛び付いた。

 だが……。

 

 

「させないよカテレアちゃん」

 

「へぶ!?」

 

 

 憎きセラフォルーが飛び付いた私の足首を掴んだせいで床へ顔面から激突してしまった。

 

 

「うぐぅ……な、何をするセラフォルー!」

 

「何をって……カテレアちゃんが元士郎くんにまた変なことをしようとしてるからだよ?」

 

 

 変な事!? 仲間に勧誘することの何が悪いのだ!

 いや待ちなさいカテレア・レヴィアタン。此処でムキになればセラフォルーの思うつぼ。

 ここは冷静に……私らしく知的にクールに……。

 

 

「ふん、人聞きが悪いですねセラフォルー

私はあの少年の精神の強さに感服して、是非仲間にと……」

 

「だからそれが変な事なんだよカテレアちゃん。

第一元士郎くんに『好きー!!』なんて言いながら飛び付いている時点でアウトだもん」

 

「あ、アレは違う!

この私が――真なるレヴィアタンを継ぐ私が転生悪魔の少年に心を奪われるわけがない! 寧ろ私の色香に少年の方が――」

 

 

 ぐぐっ、さっきから何なんだこの女は。

 またしても私の邪魔を……!

 

 

「匙さん、さっさと止めたらどうでしょうか?

明らかに貴方を巡って言い争ってますわよ?」

 

「いやいやいや、痴女魔王はともかくあの人は違うだろ。単に痴女魔王と馬が合わないから言い争ってるだけで、俺は関係ないと思うぜ」

 

「『好きー!!』って言われながら激しく抱き付かれておきながらそりゃ無いにゃん」

 

「よ、匙先輩のモテ男ー」

 

「…………。惚れた腫れたはもういいよ」

 

 

 ……!? な、なるほど、子供集団の会話で全てが解った。

 

 

「ふふん、成る程、納得しましたよセラフォルー

貴女はどうやらあの少年にあらぬ気持ちを抱いている様ですね」

 

「む、だからなに?」

 

 

 妙に刺々しい言い方と目をしていた理由が分かりました。

 成る程……という事は私がこの少年の心を掴めば精神的にセラフォルーに勝てると……ふふふ!

 

 

「精神がお子様なセラフォルーには恋愛なんて解らないでしょうね? だって彼は貴女の名前すらまともに呼ぼうとしませんし? 寧ろ突っぱねられてると見ました」

 

「むっ!」

 

 

 図星を突かれた様に顔をしかめたセラフォルーに私は今度こそ勝利の道を見出だした。

 これで勝てば私こそレヴィアタンになれる!

 

 

「匙さん? いえ、元士郎!」

 

「え、は、はい?」

 

 

 それなりに容姿と体型には自信がある。

 …………。それなのに何故か言い寄られた事は皆無なのはきっと私がレヴィアタンで、おそれ多いと誰もが思ったからだ。

 だがさっきからニタニタしながら此方を見てる化物集団連中に対して怯えも見せず発言できる精神の強さは、私を捨て駒扱いしてくれた男共なんかよりは遥かに上だ。

 それに年頃の男子であるし、さっき思わず抱き着いた時の反応からして……ふふ、これなら勝てる!!

 

 

「私と!」

 

「うおっ!?」

 

 

 セラフォルーとは違って私はちゃんと役に立ったらご褒美をあげられます。

 どうせセラフォルーはギャーギャーと一方的に言い寄るしか出来てないだろうし、本当の大人の女悪魔の色気なら私の遥かに上。

 故に言えば一撃で……彼の両手を握り締めながらこう言えば一撃で。

 

 

「私と……!」

 

「はぁ……」

 

「わ、私と……!」

 

 

 狂わせて……

 

 

「わ、わたしと……」

 

「えっと、なんですか?」

 

 

 私の言うことを何でも聞く都合の良い……。

 

 

「わ、わた、わたしの……」

 

 

 良い……。

 

 

「…………………うっ」

 

 

 いい……。

 

 

「そ、その……わ、私と文通をして戴けませんか?」

 

「……。はい?」

 

 

 う……顔が熱いし全然違う言葉が……。

 

 

「ぶわっはははははー!!! おいおい何だよ、見た目とは裏腹にかなり初だなオイ!」

 

「ふむ、確かに文通とは珍しいな」

 

「ガブリエル……貴女は天使でありながら悪魔にある意味負けてますよ?」

 

「うぐ……だ、だってコカビエルが鈍いからああするしか……」

 

「……。やばい、匙くんを彼女に会わせたらある意味でヤバイかもしれない。

この際カテレアを生かしてセラフォルーとどっちでも良いから匙くんを……」

 

 

 出歯亀みたいに趣味悪く傍観している化物連中が笑ってるせいで余計悔しいやら恥ずかしいやら。

 ですが、当初言うつもりの台詞とは違うものの、これならまだ軌道修正が……。

 

 

「ぶ、文通?」

 

「う、うー……」

 

 

 目を丸くしてる少年に、私は全身が焼かれるような熱さと、バクバクと鼓動する心臓に少年の顔をまともに見れず、思わず下を向きながら情けなくも頷くだけしか出来ない。

 軌道修正をしようとすればするほど妙な気恥ずかしさを感じてしまい、少年だけど私より背は高いその顔を見れずに……今の自分の顔を見せたくないと俯いてしまった。

 真なるレヴィアタンが転生悪魔程度の少年に……なんて事だ。

 

 

「そ、それはまた前時代的っすね」

 

「き、機械がちょっと苦手で……」

 

 

 加えて急に声もうまく出せなくなるし、下を向いてしまって見えない少年の声に小さく頷くだけという情けなさを露呈させている私は、不思議と悔しさとは違う意味の歯がゆさを感じた。

 こんな私は私じゃないし、そもそも何でこの私がこれ程に緊張してるのかもよく解らない。

 引き込める自信があるのならさっさと言ってセラフォルーに勝ち誇れば良いというだけなのに、胸の中の心臓がトクントクンと切なさすら覚える鼓動のせいで上手くいかないのに……。

 

 

「でもアンタ、旧魔王派って派閥だったんだろ?

生き残れたとはいえ、これからはかなり自由に制限が掛かるんじゃ……」

 

「た、確かにそうなると思います。

けれど書き物をするくらいなら大丈夫ですし、そ、その……本当に時折で構いませんので、顔を見せてくれたら――――嬉しいかな、なん……て」

 

 

 それなのに私は何を言ってるのだ? 子供じゃあるまいし。

 さっさとこの少年を誘惑してセラフォルーより精神的に上の立場に立てればそれ良いのに……私は一体どうしてしまったのだろう?

 

 

「う……おっ!?

い、いや、その……! ひ、暇になったら別に良いッスけど……!?」

 

 

 捕らわれる事を自分で受け入れてるような台詞に加えて、会いに来てくれることを望む。

 元・人間の転生悪魔の少年相手にこの真なるレヴィアタンの私が宣う台詞じゃないのに、私はほぼ自然に沸き上がる衝動に身を任せるように言ってしまった。

 その結果――何と彼は驚きと戸惑いを感じさせる声で会いに来てくれると言ってくれた。

 

 

「!? ほ、本当に?

あ、あはは……は! う、嬉しい……です」

 

 

 その言葉が……いえ少年からの答えに今までにない満ちた気持ちとなった私は、思わず顔を上げて目を泳がせていた元士郎と呼ばれた少年の両手を再び取りながら頬を緩ませてしまう。

 

 

「いっ!?(な、何だその顔は……!? ぐっ、急に心臓がうるせぇ!!)」

 

 

 何だろうかこのフワフワした気持ちは。

 戦って勝った時の高揚感とは違う、擽ったいこの気持ちは……。

 

 

「どうしました? お顔が……」

「っ!? な、何でもない!(あ、ありえねぇ! こんなの単なる間違いだ!)」

 

 

 何処かに忘れてしまった様なこの気持ちは一体なんだろうか? 私は胸の中で感じる擽ったい気持ちに自問自答しながら、私から顔を逸らした元士郎なる少年を見つめるのだった………彼のこの両手を離さないまま。

 

 

「…………………………。ありえない……ダメだよこんなの。私の方が元士郎くんの事好きだもん」

 

「……。元士郎せんぱい」

 

 

 少年の両手の体温を感じながら、ただひたすら考えて……。

 

 

 

 

「あの人凄いですね。

ほぼ初対面なのに匙先輩が狼狽えてますよ。

アレが所謂ギャップ萌えって奴でしょうか?」

 

「というより、セラフォルー・レヴィアタンが『個性的』過ぎたせいだと思うぞ……俺にはよくわかる」

 

「と言うことはもし私があんな感じになったらイッセーは即私をベッドに連行してくれるにゃ?」

 

「………。いや、熱が無いか心配する」

「……。会談と裁判が終わってから妙に緩くなってますわね」

 

 

 




補足

ゼノヴィアさん並みのヒロイン力を覚醒させたまさかのカテレアさんだった。

匙きゅんも近くの女性達が殆ど向こう側故に、ああいう反応されると激しく狼狽えるのは仕方無いよね。

てか、何だこのラブコメ。


ちなみに大人達はニタニタしながら見てました。
そして天使さんは隣でフムフムと眺めてた堕天使さんをチラチラ見ながら目の前のやり取りを自分達に当て嵌めて妄想してキュンキュンと……。


その後フリードきゅんとルフェイたんはまた散歩にでていきました。

この二人も何気にラブコメ度が高い。

ヴァーリきゅんもまた一人で修行に……。


その2

言い寄られた事が無かったのは……。
まあ、ぽんこつというか、何というか……旧レヴィアタンの血族者である事を事あるごとに主張するけど、何処か微妙にずれてるせいで他のメンバーからうざがられてたりしてました。
 けど末裔だし使えるだろー? みたいな感じで取り敢えず置かれていたという何とも可哀想な背景。

ちなみにカテレアさんはセラフォルーさんに何処か勝ればすぐドヤ顔する。

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