生徒会長イッセーと鳥さんと猫   作:超人類DX

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ギャーきゅんは取り敢えず引きこもりのまま、一誠達による生徒会執行される予定ですが、その他にも生徒会の仕事はある………。

的な一幕。


※ちと直しました


友達とプール遊び

 コカビエルが負けた。

 それもたった一人の人間との一騎討ちで。

 

 その話を聞いた俺は正直に信じられなかったが、アイツがやらかしてしまった見逃せない罪の清算の為に送り込んだヴァーリがニヤニヤしながら傷だらけで帰ってくるなりそう言ったので、間違いは無かったと納得せざるを得なかった。

 

 

「胸に風穴を開けたまま、血ヘドを撒き散らした文字通りの致命傷だったコカビエルにこのザマだ。

それと、全開状態のコカビエルを倒した、赤龍帝にそっくりな神器すら持たないあの男はまさに人外だ……間違いなくな。クックックックッ!」

 

「……。コカビエルにやられた割りには嫌に楽しそうだな?」

 

「実際楽しいからね。

赤龍帝はコカビエルに狩られたが、それ以上の存在を少なくとも俺はあの場で何人も見つけたんだ。楽しくないわけが無いだろう?」

 

「何人もだと?」

 

「英雄シュラウドとエシル・フェニックスの娘、見たこともない力に覚醒したはぐれ悪魔祓いと転生悪魔の騎士に、コカビエルと兵藤一誠……クックックックックックッ! これ程に自分の人生が楽しいと思える事は無かった……!」

 

「…………」

 

 

 英雄シュラウドとエシルって……あの化け物フェニックス夫婦の事でその娘だと? 前線を退いてると聞いてたから特に思うことは無かったが、コカビエルを倒した兵藤一誠って餓鬼の他にもまだそんな小娘が控えてたのか……。

 寧ろよく生きてたなコカビエルの奴。

 

 

「強くなれ………。

フッフッフッ、なってやるよコカビエル。そして俺を生かした事を後悔させてやるよ……!」

 

 

 ヴァーリにも何か残して勝手に去りやがって……。

 オメーは何時だって勝手な奴だ。

 勝手に一人で強くなり、勝手に一人で周りを省みず先に進んで遂には在りし日の神すら越えやがって。

 

 

「あの天然タラシが。悪党顔の癖に余計タチが悪いったらありゃしねぇ」

 

 

 お前は知らんだろうが、お前が抜けたせいで下の若い奴等の半分が後追いで抜けようとすらしてんだぜ? それなのに最後まで自由にしやがって……。

 取っ捕まえたら罰ゲームで性別変換装置の実験台にしてやるぜ。

 

 

 

 ギャスパー・ヴラディの無事を確認した一誠達。

 旧校舎の開かずの間に引きこもっていた彼――いや性別不明のハーフ吸血鬼は色々と臆病だった。

 

 しかしそんなギャスパーに一誠は無理に連れ出す真似をせず、寧ろ『逃げる』事を肯定さえした。

 

 

「今の貴様がその現状が良いと言うなら俺は否定しない。

何せ貴様はもう下僕悪魔じゃない――転生悪魔というだけのギャスパー・ヴラディなのだからな」

 

 

 いっそ優しく。

 外に出ることさえ怯えるギャスパーにそう言い聞かせた一誠。

 見た限りでは人間なのに、封印の術式ごと扉を破壊したその腕力に怖がっていたギャスパーもこれには罰が悪くなるが、それでもまだ勇気が無かったギャスパーはその言葉にある意味で救われた気がした。

 だけどまだ……まだギャスパー自身の心は怯えている。

 

 

 

 ヴラディ1年の無事は何とか確認できた。

 後はどうあ奴に詫びを示すかだが、今はまだ本人自身の心が後ろ向きな為に手出しはできない。

 結局の所、何をするにもヴラディ1年の心が大事なのだから。

 

 

「プール清掃の依頼を受けたのだが……もし手伝ってくれたら一番に入っても良いらしい。故にお前達、暇なら手伝ってくれんだろうか?」

 

 

 そんはヴラディ1年の事もあるが、俺には他にも生徒会としての様々な仕事がある。

 それが夏の日差しが良い感じになってる今日決行される――プール清掃である。

 

 

「水面走りの術!!(物理)」

 

「ぶわっぷ!?」

 

「うわっ!? 凄い水飛沫が……!?」

 

 

 ご褒美ありきで教師から受けたこの依頼は、レイヴェルや白音や祐斗や元士郎の他に、休日決行を利用できたが故に黒歌とゼノヴィアの手も借りられたお陰で即刻終わらせる事が出来た。

 なので早速――実を言えばプール遊びがかなり楽しみだった俺達は、さっさと着替えて一足早く男三人で遊びまくってた。

 

 

「ぬははは楽しいな!

何故か知らんが今まで以上に変なテンションになる!」

 

「お、おう……。荒ぶってるお前を見てればよーく解るぜ」

 

「それにしてもゼノヴィアさん達は遅いね……」

 

 

 ライザーやルヴァルやヴァルガの兄貴達としか男同士で遊んだ事がないせいなのか、異様にワクワクして仕方無く、若干二人に呆れられてる気がするけど気にしない。

 そして祐斗の言うように女性陣はまだ来ない。

 

 

「エシルねーさん――いや、レイヴェルの母がよく言ってたが、女性ってのは準備もまた戦いらしいからな。色々とあるんだろうさ」

 

「ふーん?」

 

「あぁ……そういえば正気だったリアス元部長に言われた事があったかも」

 

 

 だから心を広くして待てとよく教えられたもんだ……。

 等と考えつつ二人に説明してると、漸くその女性陣が姿を見せた……水着で。

 

 

「お待たせしました一誠様~!」

 

 

 そう言いながら全員が水着姿となって来た訳だが、元士郎や祐斗は知らんけど、俺は正直に慣れてるせいか挙動不審にはならなかった。

 というのも、俺自身がレイヴェルの水着姿に一々新鮮味を感じ無いからだ……毎年見てるし。

 まあでもやっぱり女性だし華はあると聞かれれば三人して満場一致で頷く訳だが……っと?

 

 

「おい、何でコレが紛れてる?」

 

 

 レイヴェル、白音、黒歌、ゼノヴィア。

 それに俺達三人を加えたメンバーでプール清掃を行っていた筈なのに、何故か女性陣の中に一人見慣れない姿が一人だけ混じっていた。

 人懐っこくニコニコと笑顔を絶やさず、長い黒髪を二つに結んだ少女――

 

 

「えへ、元士郎くんに会いに来ちゃった♪」

 

 

 冥界四大魔王――セラフォルー・レヴィアタンが、顔を見るなり露骨に嫌そうな顔をしてる元士郎に対して気にせずの笑顔で会いに来たと告げている。

 それを見た俺は、着替えが遅かった理由がこれで分かったと納得した。

 

 

「それがその……。

お着替えをしていたら突然お越しになりまして……。

事情を説明したら自分も混ざって良いかとセラフォルー様が……」

 

「あぁ、なるほど……」

 

 

 特に飾らない、シンプルで瞳と同じく蒼いビキニ姿のレイヴェルの説明に、俺は物凄い露骨に嫌がって逃げようとしてる元士郎に後ろから抱き着くセラフォルー・レヴィアタンを見て理解と納得を深めた。

 

 セラフォルー・レヴィアタンとはまともに会話しては無いものの、元士郎繋がりで姿を目にする機会が増えている。

 それは勿論、セラフォルー・レヴィアタンが妙に元士郎に拘りを見せてるというか執着しているというか……。

 

 

「アンタはプール掃除してねーだろうが! 帰れ!!」

 

「帰れと言われたら帰りたくないし……寧ろプール入るよりキミにこうしていたいな☆」

 

「だぁまぁれぇぇぇえ!!! 離れろクソ痴女がァ!!!」

 

 

 セラフォルー・レヴィアタンはどうやら元士郎が気に入っているらしく、何処かで――いや俺が黒歌とかによくされてる様なスキンシップをしてる。

 

 

「ふむ、本人同士の問題だな」

 

 

 が、別にスキンシップをしてるだけで元士郎に害を為すつもりも無いし、特に止める必要も追い出す必要も無いのが見て解る。

 

 

「ですね」

 

「ええ」

 

 

 故にレイヴェルや白音達も皆して、触らぬ神にならぬ触らぬ魔王に祟りなしとばかりに生暖かく見守る流れに意見を一致し、俺達は俺達でプール遊びを楽しむ事にした。

 

 

「おっと、言い忘れてたがレイヴェルよ。お前は何を着ても似合うな……うむうむ可愛いぞ」

 

 

 プールサイドで仲良く暴れ、遂には仲良くプールへとダイブしても尚くっついてる元士郎と……多分借り物なんだろう、学園指定の水着姿のセラフォルー・レヴィアタンを横に、俺は俺で忘れる前にレイヴェルに思った通りの感想を告げる。

 贔屓目に見ずともやはりレイヴェルは可愛いと思うからこそなのだが……。

 

 

「あぁん♪ 一誠様にその様な不意打ちをされると下腹部がきゅんってしちゃいますわぁ……」

 

 

 日に日に……というか黒歌がアレなせいで割りとぶっちゃけ度が増してしまってるんだよな……。

 

 

「この前ので感じられたかと思いますが、胸が少し成長しました……ほら」

 

「た、確かにだが、そんなわざわざ俺の手を掴んで押し付けんでも……」

 

 

 それはその……色々と困るというか……ねぇ?

 

 

「チッ、学園指定は悪手でしたね……」

 

「あ、それなら全裸になれば良いにゃ!」

 

「いや、白音はそれでビックリな程にしっくり来るよ……。

黒歌は……聞かなかった事にする」

 

 

 そして二人もまた……やっぱり似合うというね。

 というか……黒歌が学園指定の水着は色々と危険な絵面というかインパクトがね……何処がとは言わんけど。

 

 

「あ、イッセーったら今私の胸を見たでしょ? ふふん、そんなに気になる?」

 

「べ、別に………おぶ!?」

 

「強がらなくても良いにゃ~」

 

 

 しかし視線でバレたのか、黒歌の胸で思いっきり視界が塞がれてしまった。

 

 

「あぁん……♥ イッセーの息が気持ちいいにゃぁ……」

 

「ふがふが……!?」

 

「ハァ……またですかこの雌猫は」

 

「怒らないんですか? 貴女らしくもない」

 

「考えてみれば色々と私の方が貴女達より遥かに一誠様と近いですし、これこそ余裕という奴ですよ」

 

「……………。じゃあ一誠先輩とアナタの目の前でべろちゅーって奴をしても余裕なんですね? わかりました、後でしますから邪魔しないでくださいね?」

 

「やってみろよ雌猫。刹那で灰にしてやるから」

 

 

 俺って微妙に兄貴と同じ轍を踏んでないか? 何だか自信が無くなってきた……。

 

 

「イッセーのイッセーにゃ……」

 

「にゅぎゃ!? そ、それだけはひゃめへ……!?」

 

「このっ! 一誠様の一誠様は私専用ですわよ!! アナタなんて死ぬまで玩具でも使ってなさい!!」

 

「動かないでください先輩――――おぉ……これが一誠先輩の一誠先輩……」

 

 

 いや……別に他の女からされても、殴り飛ばしてでも逃げるけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

「正直信じられんよ。

神を信仰していた私がお前達と楽しく過ごしてる事に」

 

「あはは、そうだね」

 

 

 プールで各々が遊んでる中、僕とゼノヴィアさんもまたプカプカと浮きながらお話をしていた。

 

 

「うむ、その調子で途中で息継ぎをしつつ足を使えば前に進む。はいワンツーワンツー」

 

「わんつーわんつー……ぷは」

 

「意外でしたわ、白音さんと黒歌さんが泳げないなんて」

 

「本能というか、水辺に落ちる機会が無かったからねー」

 

 

 何時ものやり取りから抜け出せた一誠くんは、レイヴェルさんと一緒に白音さんと黒歌さんに泳ぎ方を教え……。

 

 

「ハァハァ……く、腐っても魔王か……。

ぜ、全然引き剥がせねぇ……!」

 

「疲れた? なら誰も居ない更衣室に行こうよ? 沢山疲れを癒してあげるかな☆」

 

「う、うるせー!! 絶対にお断りじゃボケ!!」

 

 

 元士郎くんは……ごめんなさい、僕じゃあ助けられないから見なかった事にするよ。

 

 

「奇妙な偶然が重なりあって、今僕達はこうして笑っていられる。

僕はそれが楽しくて大切だなって思うよ」

 

「……。それは私も含まれているのか?」

 

「うん……キミが居なかったら今の僕は居なかったから」

 

 

 自由の為。

 ケジメの為。

 あの時の仲間達の声により、漸く着けられた過去への決着は今でも銀牙騎士として死ぬその時まで僕の心に刻み込まれた。

 

 

「だから今度は、勝手ながら僕がキミの助けになれる男になる。

悪魔の騎士としてでは無く、一人の銀牙騎士として……」

 

 

 立場を越え、転生悪魔である僕を応援してくれたゼノヴィアさんに対する恩を返す為に、支えを失ってばかりの彼女を支えたい……。

 これは僕の本心と覚悟であり――――願い。

 

 

「そういえばお前には思い切り胸を鷲掴みにされたな……どさくさ紛れに」

 

「う!? あ、アレは決して故意じゃなくて――」

 

「ふふ、冗談だよ祐斗。それに今なら好きなだけ触らせて良いと思ってるぞ?」

 

「えっ!?」

 

 

 我が名は木場祐斗、またの名を――

 

 

「いっそ子供でも作ってみるか? 私もまた自由に――少しは女らしく生きてみたいと思っててな。

ズバリ女としての欲を考えてみた結果、子供を授かってみたいと浮かんで――」

 

「い、いやそれは分かったけど、何で僕なんだよ?」

 

「強いからな。聖魔剣と銀牙騎士という見たこともない力に覚醒させたお前なら文句なしだ!」

 

「そ、そんな僕なんて強くなんか……。それに強さならコカビエルを倒した一誠くんの方が」

 

「ただ強いだけな訳が無いだろう。お前だからそう思えるんだよ……。

まったく、最後まで言わせるな祐斗」

 

「っ!? ちょ、ちょっと……距離が縮まってない?」

 

「縮めてるんだよ、そして当ててるんだよ……お前なら分かるだろ? 言わせなるよこれでもかなり恥ずかしいんだぞ?」

 

 銀牙騎士……絶狼―ZERO―

 

 

 

 

 セラフォルー・シトリー

 冥界四大魔王にてレヴィアタンを注いだ魔王の一角だが、その性格は著しく軽くてシスコンだった。

 

 

「くそったれ!

アンタごときすら振り払えねぇなんて情けねぇ……」

 

 

 しかしその性格は大事な妹がグレモリー眷属の兵士と関係を持ち、堕ちていってしまったのを楽観視して放置してしまった後悔から変わっていった。

 

 

「つーか何で学園指定の水着なんだよ? どっから盗みやがったんだ……?」

 

「あぁ、プールなんて聞いてなかったら保健室って所から借りて来たんだよ」

 

「予備の事か……チッ」

 

 

 そして何より、その割りを食った妹の眷属だった少年のヤサグレ具合を見てからもっと変化した。

 

 

「まぁそれは良いとして、真面目な話あの女は――ソーナ・シトリーはどうしてるんだよ」

 

「…………む。ソーナちゃんはまだあの兵士しか見えてないよ。

それどころか隙を伺って兵士と逃げようって考えてるみたい」

 

「何だそりゃ? ケッ、どうやら救い様の無い女に成り下がったか……バカが」

 

 

 いくら妹でも容赦を――贔屓をしない決心をした。

 楽しい楽しいスキンシップを一旦中断し、プールサイドに腰掛けた諦め顔の元士郎に話を振られたセラフォルーは、一気にふざけた態度を止めて妹の近況を報告する。

 

 

「そこまで盲目だといっそ憐れだぜ」

 

「……………。そうだね……私がもっと早く手を打てば今頃――」

 

「無理だな、あの性欲バカに目をつけられたら一瞬で終わる。

奴の洗脳を凌駕する精神力が無かった時点で何もかも終わってたんだよ」

 

 

 妹の兵士の少年――つまり元士郎の事は洗脳される前のソーナから聞いていた。

 真面目になり、自分の為に何でもしてくれる弟分みたいな子だと……。

 でも兵藤誠八が現れてからはその話しは無くなり、代わりに誠八を無意味に褒め称える話しばかりとなり、遂には関係さえ持ってしまった。

 

 

「何ならアンタも奴に洗脳されるか試したら?」

 

「いやいや元士郎くん、あんな程度の子に揺さぶられてたら魔王なんてやってられないよ? それに最近の私はキミが――」

 

「聞かなかった事にしてやる」

 

 

 それにより元士郎は妹を完全に見限り、自由の為にグレモリー眷属の騎士と戦車……そして人間の少年と力を合わせて遂には伝説の堕天使であるコカビエルを撃退した。

 

 これこそまさにグゥの音も出ない話だ。

 魔王や天使長や堕天使総督じゃない……人間と転生悪魔が力を合わせて、足手纏いとなった妹達を抑えて偉業とも言える結果を残したのだ。

 

 転生悪魔である元士郎、祐斗、白音は位の昇格すら出きるだろう。

 しかし妹を通じて悪魔に対して一種の警戒心を持ってしまった三人はそんな申し出を鼻で笑って蹴っ飛ばすだろう……。

 

 出会った時から魔王の自分に物怖じせずヤサグレ口調である元士郎を見ればよく分かる。

 

 

「はぁ……、今にして思えば俺はなーにをやってたんだか。

あんな女に惚れました~なんてクソ馬鹿らしい理由で転生するとか死ねよ」

 

「元士郎くん……」

 

「加えてその女の面影ありまくりな魔王に何故か遊ばれてるし……はぁぁぁ~」

 

「……。(遊んでるわけじゃ無いんだけどなー)」

 

 

 だからこそセラフォルーは元士郎が気になり、放っては置けなかった。

 口では見限ったと宣う癖に、隙あらばソーナの事を聞いてくる辺り、完全に吹っ切れてないのが分かるからだ。

 

 

「良いよな~一誠や木場はよ……。可愛い女の子達と楽しそうで……」

 

「えー? 私は可愛くないのかな?」

 

「此方は地雷ばっかりだぜ……」

 

「む、無視はひどいよー?」

 

 

 『あの女(ソーナ)と似た顔で一々謝るな!! さっさと消えろ、そして二度とそのツラを俺に見せんじゃねぇぇぇっ!!』

 

 全てを知り、謝りに行こうと初めて会った時に言われたこの言葉は今でも忘れられない。

 乱暴で拒絶するような言い方だったけど、泣きそうな顔で……苦しむような顔もセラフォルーは忘れられなく、そして初めて母性というものを擽られた。

 

 

「どーん☆」

 

「どわっ!?」

 

 

 最初はソーナの事について割りを食わせた事への罪悪感だった気持ちは、元士郎の強がりな姿を見ている内に『放っておけない男の子』へと変化し、媚びへつらう真似は一切無く自分と会話する姿を見て『気になる男の子』へと変わり……。

 

 

「ごほっげほっ!? な、何しやがるこの能天気魔王が!!」

 

「はっはっはっー! ソーナちゃんの事を愁いに想う元士郎くんを見てたら何かムカムカしちゃってね☆」

 

 

 一身に……誰にも渡したくないとさえ想う愛情へと変質する。

 口では何だかんだと言ってるけど、その表情からまだソーナに複雑な気持ちを持ってる元士郎に異様なモヤモヤ感を感じる。

 これもまた初めて抱く明確な嫉妬心であり、それを示すために元士郎をプールに突き落としたセラフォルーは、外交的では無い本心の笑顔を浮かべると、続いて自分も飛び込み、彼の身体に思い切り飛び付いて抱き着く。

 

 

「どうであれ他の女の事を考えてる元士郎くんは嫌だなぁって……はむはむ」

 

 

 本気で気になる男なんて悪魔には居なかった。

 

 

「軽くて能天気って思ってるだろうけど、元士郎くんに言うことに嘘は一つだって無い……。

こうする事でキミを逃がさない……逃がしたくない……食べてしまいたい……」

 

 

 故に初めて抱いたこの感情をどう示して良いのか分からないセラフォルーはただ本能の赴くままに愛情行為として元士郎に示す。

 自分だけのだとばかりに抱き着き、水着で上半身裸であるその首筋や耳を甘噛みし、悲鳴をだしながらもちょっと悶えてるその姿に何とも言えない気持ち良さに酔う。

 

 

「ひっ!? て、テメッ何処噛んで―――っひ!?」

 

 

 一誠達他の面子が『まーたやってる……』と呆れ顔になってるけど、セラフォルーはそれを知らないとばかりにビクビクと反応する元士郎の身体をまさぐり……やがてその手は……。

 

 

「あひぃぃ!?!? ふざけんなよぉぉぉ!!! マジで何処触ってんだクソボケェェ!!!」

 

「あは……♪ 元士郎くんったらかーわいい☆ ソーナちゃんから絶対に奪ってあげるからね?」

 

 

 セラフォルー・シトリー

 レヴィアタンを継ぎし魔王は、過激に傷付いた少年を欲しがる一人の女となった。

 

 

「あぁ……お腹が熱いよ元士郎ちゃん……☆ ほら此処……熱いでしょう?」

 

「うるせー!! 耳元でボソボソ言うなぁぁ……へぇぇぇ……」

 

「あぁ可愛い、撫で撫でしたい……。

甘やかしてあげたいなぁ……。欲しい……欲しい……絶対にアナタが欲しいよぉ……えへへ」

 

 

 それが例え……ストーカーじみても本人に自覚が無ければどうしようも無いのだ。




補足

強さのインフレが高まるほど変態指数もアップする。

特にプールなんて変態さんにすれば『ご馳走』なのである。



その2

木場きゅん……密かにゼノヴィアさんとフラグをぶち立てる。
割りと一番にまともなカップルなのかもしれない……(笑)

そして銀牙騎士は――まあ、絶狼ですよえぇ……。


その3
そもそもセラフォルーさんが来た理由は、干渉されない自由をという意味で、サーゼクスさんを抜かした魔王三人がかりでも一蹴されてしまう程に強いコカビーを、ほぼ無名の転生悪魔と人間達が撃退した褒美で位の昇格を言い渡そうとしたからです。

対象者は白音さんと元士郎きゅんと祐斗きゅんの三人。

人間である一誠と転生悪魔では既に無くなってる黒歌さん、そして元悪魔祓いのゼノヴィアさんは残念ながら何もありません。

 まあ、三人はほぼ確実に断るとセラフォルーさんは踏んでおり、さりげにまだソーナさんが心に残ってる元士郎くんを見てムーブ!! しちゃいましたけど(笑)




ヴァーリくん的にこんなインフレだらけの世界は寧ろご褒美。
アザゼルさんは密かに憧れてもしていたコカビーの失踪による戦力大低下に苦労しまくりだけど、装置の実験台にしてケタケタ笑ってやろうと画策中。



ちなみに黒歌さんなのにスク水。
セラフォルーさんなのにスク水。
 想像せんでもインパクトがヤバイ……。

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