ソードアート・オンライン~死神と呼ばれた剣士~   作:畜生ペンギン

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Part127 2人の英雄~死神と女神~

ある日のこと 俺はシノンに報告することがあった為GGOに呼び出していた。

 

街中にあるバーにシノンを呼び出し俺はシノンが来るのを待っていた。

 

テツヤ「にしてもやっぱここに呼び出したの失敗かな・・・・・・さっきから声かけられてめんどくせぇ・・・・・・」

 

実は先程から俺に声をかけるプレイヤーが多いこと多いこと。やっぱりBOB優勝したことが原因だろうけどやはり何故俺のアカウントが女から男に変わっているのかを知りたがるプレイヤーが大半だった。

 

説明しても理解してくれる人の方が少なくて大変だった。

 

テツヤ「はぁ・・・まだかなぁシノン・・・」

 

溜め息を吐いて頼んでいた酒を飲むと 何者かに肩を叩かれた。

 

「お兄さん?真昼間からいいご身分ですね?」

 

テツヤ「あん?」

 

俺は肩を叩いた人物を見た するとそこにはシノンが立っていた。

 

テツヤ「おっ やっと来たなシノン。」

 

シノン「て言うか なんでわざわざ人目に付くようなこんな場所に呼び出したのよ!見てみなさいよ周りの目を!」

 

テツヤ「いや、それは俺もここに来てから後悔してる・・・素直に安宿でも取っておけば良かったよ・・・・・・」

 

シノン「それなら早く移動しましょう こんな所じゃ話なんてとてもじゃないけど出来ないわ。」

 

テツヤ「そうすっか んじゃ行くぞシノン。」

 

俺はシノンを連れてバー近くにあった安い宿を取り、そこでシノンと2人きりになり腰を落ち着かせた。

 

テツヤ「はぁ・・・やっと落ち着けたぜ・・・」

 

シノン「BOB優勝者ってこと忘れたの?しばらくは一般プレイヤーとしてプレイできるとは思わないこと。」

 

テツヤ「そうだな・・・・・・まぁ、そんなことももう今日でおさらばだな。」

 

シノン「へ?それってどういう・・・」

 

テツヤ「さて、お前を呼び出した本題を話すよ シノン 俺は今日限りでGGOを仮引退する。」

 

シノン「へっ!?それってどういう・・・」

 

テツヤ「と言っても俺が元いた場所に戻るだけさ。ALOに再コンバートしようと思ってね だから今日はシノンを呼び出したんだ。」

 

シノン「ALOに・・・そうよね・・・貴方の本来の居場所はALOな訳であって・・・」

 

テツヤ「キリトも俺と同じタイミングでコンバートする。そんな訳でもうしばらくはこの世界とはおさらばだな。またBOB開催が近づいたら新規アカウントでログインでもしようかな。」

 

シノン「テツヤ 今日呼び出したのはこの件で?」

 

テツヤ「あぁ。これだけは会って伝えたくてさ 悪かったなこんなことに時間取らせちまって。」

 

シノン「貴方この後時間は?」

 

テツヤ「ん?一応相手はいるけど・・・」

 

シノン「そう。実はね 私も貴方に1つお願いがあったの こっちの世界でね。」

 

テツヤ「そうなのか?そのお願いって?」

 

シノン「決まってるでしょ テツヤ 私と今すぐ決着を付けなさい。BOBの真の優勝者を決めるわよ。」

 

テツヤ「BOBの真の優勝者か・・・面白いじゃねぇか。でも良いのか?今俺には天鎖斬月に加え コルトパイソンにスラッシュエッジもある。言うなれば俺の今までの集大成と言ってもいい 手加減しようにも出来ないかもしれねぇけど構わないか?」

 

シノン「愚問ね 私だってあの頃の私じゃないのよ。お互いに全力を出して戦いましょう。最後に見せてもらうわよ 貴方の死線を越えた先の強さって物を。」

 

テツヤ「よっしゃ!なら早速荒野に駆り出すか!!!!」

 

シノン「うん!負けないわよ!」

 

テツヤ「こっちだって!」

 

こうして、俺達はBOBの真の優勝者を決める為にシノンと戦闘が出来る荒野に向かった。

 

~GGO内・荒野フィールド~

 

テツヤ「さて、そいじゃあ早速行きますか!」

 

シノン「ちょっと待ちなさい 貴方は剣を持っているからいいけど本来なら皆銃撃戦をするのがこの世界よ?こういった時は1分程度互いに離れてからスタートするのよ。」

 

テツヤ「あ、悪い悪い。つい癖でな んじゃあ俺も離れっからシノンも離れろよ!1分後この置型信号弾が発射されたらゲームスタートだ。良いか?」

 

シノン「えぇ。いつでも良いわよ。」

 

テツヤ「よし・・・・・・んじゃあ1分後にタイマー設置して・・・・・・よし、こいつを置いたら互いに離れるぞ!」

 

俺は信号弾のタイマーを設置し地面に置くと 互いにその場から離れた。

 

これが最後のGGOでの1戦。シノン お前の成長を俺に直接ぶつけてくれ!!!!

 

一定の距離離れてから岩場に隠れると、信号弾が発射された。いよいよ試合開始だ。

 

だが、今この状況だとへカートがあるシノンが有利。俺は自分の有利範囲に持ち込むために近づくことが先だ。

 

テツヤ「よし!行くぜシノン!」

 

俺は岩場から飛び出しシノンがどこにいるかを探し出した。バレットラインが出てない現状シノンに1発撃たせる前にシノンを見つけなくちゃ・・・

 

岩場に隠れながら少しずつ少しずつ前進していくと、1つの岩場には時限爆弾がしかけられていた。

 

テツヤ「なにぃ!?」

 

俺はその爆弾を回避するために岩場から飛び出すと同時に爆弾は爆発した。

 

テツヤ「ふぅ・・・危ねぇ危ねぇ・・・」

 

俺は這いつくばりながら冷や汗を拭くと、俺の目の前に手榴弾が転がってきた。

 

テツヤ「なぁ!?またかよ!?」

 

俺は急いで立ちその場から離れると手榴弾は爆発した。俺はその爆風に軽く吹き飛ばされてしまい地面に叩きつけられた。

 

テツヤ「ぐぬぬ・・・!流石はシノン・・・良い作戦を立てる・・・!」

 

俺がその場から立ち上がろとしたその時だった。背後から頭に銃口を押し付けられた。状況的にシノンで間違いないだろう。

 

テツヤ「っ!」

 

シノン「悪く思わないでよ こうでもしないと貴方の動きは止められないからね。」

 

テツヤ「ははは・・・やっぱこっちの世界での戦闘はお前の方が1枚上手だな・・・・・・だけどよシノン ちょっと詰めが甘かったな。」

 

シノン「へ?それってどういう・・・っ!」

 

そう、俺はシノンに銃口を押し付けられたその時両手は何も封じられていなかった。だから俺は腰にマウントしていたキリトからの預かり物である光剣の剣先をシノンの脇腹に押し付けていた。

 

シノン「流石はテツヤね・・・この作戦結構良いと思っていたけどこれくらいじゃ無理だったわね・・・」

 

テツヤ「でもよ おかげで俺はお前に近付けた訳だ 俺の優位範囲なら・・・」

 

シノン「テツヤ 忘れてる?私 未だに弾丸を放っていないのよ。」

 

テツヤ「へ?それがどういう・・・」

 

シノン「こういうことよ!」

 

シノンは俺の頭から銃口を離すと その場に煙幕を張った。

 

テツヤ「しまった!?」

 

俺は背後を振り向きシノンのことを捉えようとしたが、既にその場にシノンはいなかった。

 

まずったな・・・・・・確かにまだ初撃を放っていないシノンにこのまま離れられたのはまずい・・・・・・!

 

テツヤ「くそっ!」

 

俺は光剣で煙幕を振り払い視界をクリアにした。すると俺の目にへカートを構えたシノンが数十メートル先に霞んで見えた。

 

そして シノンの持つへカートが若干だが揺れた シノンが弾丸を放った反動だろう。

 

俺は急いで身体を逸らし その弾丸を避けた。

 

テツヤ「よっしゃ!」

 

シノン「くっ!やっぱりそう簡単にはいかないか・・・!」

 

テツヤ「よし!こっからは条件対等だ!俺も全力を出させてもらう!卍解!!!!!!!!」

 

俺は力を貯めながら卍解をした。いつものロングコートの装備と天鎖斬月。やっぱりこれが俺の正装だ。

 

シノン「卍解・・・貴方の・・・死神と呼ばれた所以の姿・・・そんな貴方を・・・女神と呼ばれた私が倒す!!!!」

 

テツヤ「俺も負けねぇさ!!!!シノンにも味わってもらうぜ 俺の戦い方を!!!!」

 

俺はその場から一気にシノンの目の前に移動した。慣れない速度にシノンはかなり驚いていた。

 

シノン「なっ!?」

 

テツヤ「こいつで!」

 

俺はシノンを肩先から斬ろうとしたが、一瞬の隙を付かれてタックルされてしまい体勢を崩してしまった。

 

テツヤ「なっ!?」

 

シノン「少し大振りが過ぎるわよ!!!!」

 

シノンはそう言って体勢を崩した俺にハンドガンで攻撃しようとしたが 俺は崩れた体勢からシノンのハンドガンを持つ手を蹴り飛ばし、ハンドガンをふっ飛ばすことでその攻撃を防いだ。

 

シノン「くっ!やるわね!」

 

テツヤ「そっちこそ!」

 

俺は受身を取り体勢を立て直した。そして天鎖斬月をシノンに向けた。

 

テツヤ「シノン 女神と呼ばれたお前を倒して俺が真の優勝者になる。俺も負けるのは嫌な性分でね。」

 

シノン「真の勝者は譲れない 憧れの貴方を倒すために全力で行かせてもらうわ。あの時味わって貰えなかった物・・・敗北を告げる弾丸の味を貴方に味わってもらうわ!」

 

テツヤ「あぁ お前に負けたなら悔いはないさ でも俺だって負けないぜ!」

 

シノン「勝たせてもらうわよ!テツヤ!!!!」

 

シノンはへカートを持ち 俺の攻撃に備え身構えた。至近距離でもハンドガンを拾わずスナイパーライフルであるへカートを使うのはシノンの女神としての意地だろう。なら 俺はシノンの意地に応えたい。

 

テツヤ「行くぜ・・・・・・シノン!!!!!!!!」

 

俺はシノンに向け1発の月牙天衝を放った。シノンは月牙天衝を避けるとへカートのスコープを覗くことなく俺に弾丸を放った。かなりの反動があるスナイパーライフルを避けながら撃つとは俺も驚いた。

 

その弾丸は俺の太腿に当たり、若干だがダメージを貰った。

 

テツヤ「さすがだな!でも俺もまだまだ!」

 

俺はスラッシュエッジを立て続けに2つ投擲した。投擲したスラッシュエッジはシノンの左右両方から襲いかかった。

 

シノン「くっ!」

 

シノンはその場で伏せることでその攻撃を凌いだが 俺もそれは計算通りだった。

 

テツヤ「貰った!!」

 

シノン「っ!」

 

俺はコルトパイソンの引き金をシノン目掛けて引いたが、シノンはそれすらも避けてしまった。

 

シノン「甘いわね!それくらい予想通り・・・」

 

テツヤ「甘いのはお前さシノン!!!!」

 

シノン「っ!?」

 

俺はそのまま戻ってきたスラッシュエッジをもう一度シノン目掛けてまっすぐ投げた。シノンは避けた拍子に体勢を崩していた為スラッシュエッジの刃を腹部に食らった。

 

シノン「っ・・・流石ねテツヤ!!!!」

 

テツヤ「お前こそ!やっぱりお前との戦いは心が踊る!!!!」

 

シノン「そう言って貰えて光栄よ!!!!」

 

俺とシノンはそのままほぼ近接状態での殴り合いになった。

 

互いに隙を付いては攻撃を重ねていき、それはとてもGGOの戦闘とは思えない様なものだった。

 

シノン「これで!」

 

シノンはとてもへカートを持っているとは思えないような身のこなしで俺の攻撃をかわし、その弾丸を少しずつ俺に食らわせていた。

 

大きなダメージになるような場所には俺も当てさせないようにしているが塵も積もれば山となるように既にHPバーは半分を切っていた。

 

テツヤ「まだまだ!!!!」

 

だが俺だってただ食らっているだけでは無い シノンの隙を少しずつついていきスラッシュエッジやコルトパイソン 天鎖斬月で攻撃を繰り返しシノンのHPも半分以下になっていた。

 

シノン「お互いに残りHPはわずか・・・」

 

テツヤ「そうだな・・・悪いがこれで決めさせてもらうぜ!!!!」

 

俺は先程と同じようにスラッシュエッジを投擲した シノンの足めがけ向かっていったスラッシュエッジをシノンは飛んで避けた。

 

シノン「もうこんなのもの!」

 

テツヤ「やっぱり避けてくれたか!!!!サンキューシノン!!!!」

 

シノン「っ!?」

 

本来ならシノンの足を斬り裂いていたスラッシュエッジ2つを俺はコルトパイソンで狙い撃った。以前細工しておいた通りにスラッシュエッジはその場で小さな爆発を起こした。

 

シノン「っ!!一体何を・・・!!!!」

 

テツヤ「こいつは俺の今出来うる最高のコンビネーションだ!!!!」

 

シノン「っ!?」

 

俺は天鎖斬月に力を込め シノンに向けそう言った。爆発が収まりシノンは俺の足場に黒いオーラが集まっていることに驚きを隠せてはいなかった。

 

シノン「さっきの2つは力を溜めるための・・・!?」

 

テツヤ「その通りだ・・・悪いがこれで終わりだ!!!!!!!!」

 

俺はそう言って天鎖斬月を思い切り振り下ろした。

 

テツヤ「月牙天衝!!!!!!!!!!!!」

 

俺はシノンに向け全力の月牙天衝を放った。特大の月牙天衝はその大きさ故に斬り裂いたシノンのことを見られずにいたが、流石に至近距離での月牙天衝をほぼ初見のシノンが避けられるとは思えない。

 

テツヤ「チェックメイトだ シノン。」

 

俺は月牙天衝が斬り裂いたシノンの生死を確認しようと近づいたが、その場に残っていたのは倒れたシノンでは無く、シノンの両足だった。

 

テツヤ「っ!?」

 

シノン「トドメよ!!!!!!!!」

 

シノンの声のするほうを向くと 足を斬り裂かれたシノンがへカートで俺に狙いを定めていた。シノンが俺の攻撃で倒れたと踏んでいた俺はその奇襲を避けきれずに、シノンの弾丸が俺の心臓部に当たった。

 

テツヤ「ぐっ・・・!?」

 

既に残り体力が半分以下だった俺はその攻撃によって、HPが全損に近い形で減り その場で倒れた。本来ならば死んでいるはずだがコンバートによる影響と俺の死覇装がそれをなんとか防いでくれたようだ。

 

テツヤ「ぐっ・・・・・・流石だな・・・・・・シノン・・・・・・」

 

俺の目の前にも足を失い立つことの出来なくなったシノンが落ちてきた。シノンも俺同様のHPを残しており互いにジワジワと減りゆくHPが消えゆくのを待つだけだった。

 

シノン「やっと・・・貴方に味合わせられたわね・・・敗北を告げる弾丸の味を・・・・・・」

 

テツヤ「あ・・・あぁ・・・味あわせてもらったぜ・・・」

 

シノン「でも・・・私も貴方の全力の一撃貰っちゃった・・・あんなに大きな衝撃波どう避けろって言うのよ・・・・・・」

 

テツヤ「ははは・・・・・・でも両足犠牲にしてでも俺を撃ちに行くとは・・・・・・恐れ多い女神様だよお前は・・・・・・」

 

シノン「ふふふ・・・・・・英雄と謳われた貴方にそんなこと言われたら・・・・・・私も嬉しい限りよ・・・・・・」

 

シノンはそう言って最後の力を振り絞り 俺の手を握ってきた。

 

シノン「テツヤ・・・・・・ありがとね・・・・・・」

 

テツヤ「あぁ・・・・・・こちらこそ・・・・・・」

 

俺とシノンはHPが全損するまで手を握り続け ほぼ同タイミングで全損し、死んでしまった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

テツヤ「んん・・・・・・」

 

シノン「テツヤ 気がついた?」

 

テツヤ「あれ・・・俺達どうなったんだ・・・?」

 

シノン「あの後互いにHP全損して 宿屋でリカバリーしたみたいね。私の方が早く回復したのを見たところ 勝ちは私ってことかな♪」

 

テツヤ「えぇ!?そんなぁ・・・・・・負けちまったか・・・・・・そっか・・・・・・」

 

シノン「あ、貴方が異議を申し立てるなら再戦でも良いわよ?」

 

テツヤ「うーん・・・・・・いや、俺は全力を出し切ったんだ。今回はシノンの勝ちで構わないさ。」

 

シノン「そ、そう?それなら真の優勝者は私で良いの?」

 

テツヤ「あぁ シノンは今回の一件で強くなったんだ。紛れもない真の優勝者だよ。それにあの時傷だらけだった俺を攻撃してればほぼシノンの優勝だったんだ。結果的には二人の優勝ではあるけど本当の優勝者はシノンだよ。」

 

シノン「そこまで言うなら 真の優勝者の称号 喜んで預からせてもらうわね♪」

 

テツヤ「シノン 本当に良く頑張ったな 君は強くなった。」

 

俺はそう言って笑いながらシノンのことを撫でた。

 

シノン「テツヤ・・・テツヤ・・・・・・テツヤぁ・・・・・・!!!!!!!!」

 

シノンは俺の顔を見ると、何故か泣き出してしまい俺の胸元に飛びついてきた。

 

テツヤ「なっ!?ど、どうしたんだ!?」

 

シノン「私嬉しいの・・・・・・!!!!憧れの貴方に強くなったって言ってもらえて・・・・・・褒めて貰えて・・・・・・!!!!」

 

テツヤ「そっか・・・・・・」

 

シノン「うっ・・・・・・うわぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

この時 俺は初めてシノンが大きな声を出して泣いたのを見た。それも悲しさや恐怖から来る物ではなく 本当に心から喜んでいる喜びの涙によって。

 

テツヤ「よしよし・・・もうお前は弱くない・・・強い強い女神様だ・・・」

 

シノン「ぐすっ・・・ほんとに・・・ほんとにありがとうテツヤ・・・!!!!」

 

テツヤ「こちらこそ シノンに出会えて本当に嬉しいよ。」

 

俺はそのままシノンが泣き止むまで優しく撫でてあげた。5分程度シノンは泣き続けた後に泣き止んだ。

 

シノン「ごめんね・・・何だか私最近涙腺緩いのかしら・・・貴方の前でずっと泣いてる気がする・・・」

 

テツヤ「あんな恐怖の場面に直面して泣かない子がいたらそれはそれで恐怖だよ。泣いたっていいんだよシノン 泣くことが恥ずかしいなんて時代でも無いんだ。」

 

シノン「うん。テツヤにそう言って貰えると嬉しい。」

 

テツヤ「でも 強くなれたシノンを見れて本当に良かった。それだけでも今日ここにログインした価値はあったよ。」

 

シノン「・・・・・・それじゃあテツヤ 次は私のお願い聞いてもらってもいい?」

 

テツヤ「ん?なんだ?」

 

シノン「今度はリアルで会いたい。シノンではなく朝田詩乃として 荒波哲也にお礼が言いたいの。」

 

テツヤ「そういう事ならおやすい御用だ。」

 

シノン「良かった。それじゃあログアウトしてから 私達が初めて出会ったあの場所に 私は電車で移動するから少し時間頂戴。」

 

テツヤ「分かった。それじゃあログアウトしちゃうな。」

 

シノン「うん。私もそうするね。」

 

こうして、俺達はリアルで会うためにGGOをログアウトした。

 

哲也「ふぅ・・・」

 

木綿季「あっ!帰ってきた!」

 

木綿季は起き上がった俺の事を見るなり俺に飛びついて頬ずりしてきた。デスガン事件以来木綿季の甘え具合が更に加速してる気がする。

 

哲也「よしよし。」

 

木綿季「~♡」

 

哲也「っとこんなことしてる暇じゃなかったんだ。悪い 少し出かけてくるな木綿季。」

 

木綿季「へ?どこに?」

 

哲也「ちょいと用事!!!!」

 

俺はそう言って急いで初めて詩乃と出会った場所に向かった。

 

木綿季「・・・・・・怪しい・・・・・・」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

哲也「確かこの辺りに・・・あっ、あったあった。」

 

俺は詩乃と初めてであった雨宿りをした店の前に到着した。どうやら今日は休業中らしく以前のようにシャッターが降りていた為陽射しを避けるためあの日のように店の前に立った。

 

30分程経ってから詩乃は到着した。今日は燦燦と日が出ているのにも関わらず傘を持ってきていた。

 

詩乃「お待たせ哲也 待った?」

 

哲也「いや、そうでも無いさ それよりお前何で傘を?」

 

詩乃「何でって この傘が私と貴方を繋いでくれたようなものでしょ?だから持ってきたのよ♪」

 

哲也「そっか 本当に大切にしてくれてたんだな。」

 

詩乃「うん。怖いことや嫌なことがあったら私は思わずこの傘を握っていたの そうすればあの時の彼のようになれるんじゃないかって思ってね。でももうこの傘にその用途で使うことは無いと思う 貴方のおかげで私は完全とはまだ言えないと思うけどトラウマを克服することが出来たから。」

 

哲也「もうお前は詩乃としてもシノンとしてもそういう恐怖には立ち向かえるとは思う。でももしまた何かの拍子に恐怖心や不安感が出たらいつでも言ってくれ 俺が幾らでも話を聞いてやる。」

 

詩乃「ありがとう哲也 でももうしばらく銃と触れ合う生活とは離れることにするわ。」

 

哲也「と言うと?」

 

詩乃「私も ALOを始めようと思うの。貴方のホームグラウンドで私も一緒に戦いたい。」

 

哲也「おっ!詩乃もALO始めるのか!!!!大歓迎だよ!!!!」

 

詩乃「今度色々と手ほどきしてくれる?」

 

哲也「勿論!手取り足取り教えてやる!」

 

詩乃「ありがと♪GGOの時とは立場逆転ね♪」

 

哲也「そうだな ALOでも女神としての威厳発揮してくれよな♪」

 

詩乃「任せて♪ALOでもきっちり援護してあげるからね♪」

 

哲也「頼もしいよ 頼むな詩乃♪」

 

詩乃がALOに・・・また頼もしい仲間が増えたってことだな。ALOやるのが楽しみになってきたぜ。

 

詩乃「了解よ♪・・・・・・ねぇ 哲也。」

 

哲也「ん?」

 

詩乃「あの、私ね 貴方には心から感謝してるの それこそ言葉なんかではそれを表せられないほどに・・・私がヤケになった時も貴方は私を見捨てずに守ってくれた・・・私の中での英雄は貴方たった一人よ。」

 

詩乃はそう言うと俺の右手を握ってきた。

 

哲也「俺だって詩乃がいなかったらあの世界できっと陸に動けなかったと思う お前がいてくれたからこそ俺はお前を守ることが出来たんだ。」

 

詩乃「そう言えるのは貴方の強さであって優しさだと思う・・・私はそんなあなたに惹かれたんだと思う・・・・・・全く・・・・・・女神と呼ばれた私がね・・・・・・」

 

詩乃は小声で何かを呟いた 俺はその言葉を聞き取れなかった。

 

哲也「詩乃?どうしたんだ?」

 

詩乃「哲也・・・・・・私からのお礼 受け取って♪」

 

詩乃はそう言うと 俺の右の頬にキスをしてきた。

 

哲也「なっ!?」

 

詩乃「本来ならこんなことじゃお礼の足しにもならないと思う・・・でも、今のは私が初めてしたキスよ 受け取って♪」

 

詩乃はそう言うと満面の笑みを俺に見せてくれた。その可愛らしい笑顔を見て俺も思わず微笑んでしまった。

 

哲也「あぁ。詩乃のファーストキス受け取らせて貰ったよ♪」

 

詩乃「本当にありがとう 死神であり私の中の英雄 荒波哲也君。」

 

哲也「詩乃・・・・・・」

 

詩乃「哲也・・・・・・」

 

詩乃が左の手も握ってきた為、俺は詩乃と顔を見合った。それは赤の他人から見たらカップルと取られて当然の光景だった。

 

そんな時だった。

 

「哲也ァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

どこからともなく聞こえた俺を呼ぶ大きな声 俺はその声のする方を向くと髪を逆立ておぞましいオーラを身体に纏わせた木綿季がそこにはいた。

 

哲也「いぃ!?ゆ、木綿季・・・!?」

 

詩乃「っ・・・!?な・・・なに・・・!?この威圧感・・・!?」

 

木綿季「怪しいとは思ったけど・・・・・・まさか朝田さんと浮気してたなんて・・・・・・!!!!!!!!!!!!」

 

哲也「だぁぁぁ!?待て待て!!!!!!!!お、お前今回の一件では浮気とは怒らないって言ったじゃんかぁ!!!!!!!!いや浮気も してないけどもね!?」

 

木綿季「GGOの任務は・・・・・・とっくに終わってるじゃんか!!!!!!!!ボクのこと無視して会ったなんていい度胸だねぇ・・・・・・流石は英雄だねぇ!!!!!!!!」

 

哲也「あわわわわ・・・・・・」

 

詩乃「あ、貴方の彼女何者なの・・・・・・デスガンより怖い・・・・・・!」

 

俺と詩乃は涙を浮かべながら仁王立ちをしている木綿季を見ていた。

 

木綿季「じゃあ久しぶりに・・・・・・お仕置き行ってみようか・・・・・・!!!!」

 

哲也「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」

 

こうして、俺はいつもより多めに木綿季の暴力によるお仕置きをたっぷり味わってしまった。

 

木綿季「ふんっ!!!!用件が済んだなら早く帰るよ!!!!!!!!」

 

哲也「ぐぶっ・・・は・・・はい・・・またな詩乃・・・」

 

木綿季「それじゃあ朝田さん またね♪」

 

詩乃「ま・・・また・・・」

 

俺は木綿季に引きずられながら帰らされた。

 

詩乃「・・・・・・英雄のそばには恐怖の彼女あり・・・・・・か・・・・・・またね・・・・・・哲也・・・・・・」

 

詩乃(ねぇ哲也・・・・・・貴方にこんなことは絶対に言えないけど・・・・・・女神と呼ばれた私が死神と呼ばれる貴方に惹かれる 禁断の恋をした・・・・・・なんて言ったら 貴方はなんて言って笑ってくれるかな・・・・・・優しくて強くて勇敢な貴方が"大好き"だよ・・・・・・哲也・・・・・・!)

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

木綿季「全く!!!!こんなことなら浮気容認なんてするんじゃなかったよ!!!!!!!!ボクが目を離すと直ぐに可愛い子とイチャイチャしだすんだから!!!!!!!!」

 

哲也「はい・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」

 

木綿季「今日の夜はボクが満足するまで相手してもらうからね!!!!」

 

哲也「俺も最初からそのつもりだったよ お前は俺の大切な彼女なんだから。」

 

木綿季「それなら良し♪早く帰ろ♪」

 

木綿季は哲也の手を引いて帰路へと向かった。だが、哲也はその場で立ち止まり木綿季の手を離した。

 

木綿季「哲也?」

 

哲也「・・・・・・あ、あのさ・・・・・・俺お前に隠してた秘密があったんだ・・・・・・」

 

木綿季「秘密?」

 

哲也「うん・・・・・・それを言ったらお前は俺から離れて行くんじゃないかって不安で不安で言い出せなかったんだ・・・・・・でも、詩乃が強くなって怖さを克服したのに 俺がこれを言い出せなかったら俺は詩乃の前で英雄なんて面構えできない・・・・・・この話を聞いてどうするかは木綿季の好きにしてくれ・・・・・・」

 

木綿季「哲也・・・・・・分かった 哲也の秘密ボクに教えて。」

 

哲也「ありがとう・・・・・・お前は血の惨劇のことは覚えてるか?」

 

木綿季「うん、あのラフィン・コフィンとの殺し合いの事だよね?」

 

哲也「そう・・・俺はあの時お前を守るために5人を殺した・・・でも問題はその後なんだ・・・」

 

木綿季「その後?」

 

哲也「前に飛鳥のことを話したよな?」

 

木綿季「うん。哲也が守れなかった人だよね・・・」

 

哲也「あぁ・・・・・・その飛鳥を殺した相手は30人近いラフィン・コフィンの残党だったんだ・・・・・・」

 

木綿季「さ、30人!?哲也はその時アスカさんと一緒にいたんだよね!?どうやって帰ってこれたの!?全員気絶させたとか瀕死にさせたとか!?」

 

哲也「そのどちらでもない・・・・・・俺は30人全員皆殺しにしたんだ・・・・・・」

 

木綿季「っ!?み・・・皆殺し・・・!?」

 

哲也「あぁ・・・気づいた時にはもう俺の天鎖斬月が29人を殺していて 最後に飛鳥にトドメを刺した奴を月牙天衝で斬り裂いて殺したんだ・・・5に加えて30人 計35人を俺はSAO時代に殺していたんだ・・・・・・」

 

木綿季「っ・・・・・・」

 

哲也「俺が今まで恐怖に震えてお前に甘えてる時 俺はその時殺した奴らの夢を見てたんだ・・・・・・そいつらが俺を人殺しと蔑み 恨み言を言い 俺を囲むんだ・・・・・・そんな夢が俺は怖くて怖くて仕方が無かった・・・・・・35人殺したことを俺は詩乃同様に後悔していたからだ・・・・・・」

 

木綿季「そっか・・・哲也はそんな怖い夢と戦ってたんだね・・・」

 

哲也「俺はこのことを意を決して詩織さんに話してみたんだ・・・・・・そしたら詩織さんは人殺しをしていた奴らを殺して悔やんでるんじゃねぇって言われてさ そこで俺は初めて自分の過去の行いを悔いることを止められたんだ。んで 詩乃もあの親子と会ったことでトラウマを脱却できた。俺が最後にしなきゃいけないのは大切な木綿季にこのことを話すことだって思ってな・・・・・・」

 

哲也は少し震えていた身体を深呼吸して落ち着かせ、続いて木綿季に話した。

 

哲也「木綿季・・・・・・この話を聞いてもし怖いと思ったり嫌だと思ったら俺の側から離れてもらっても良い・・・・・・俺は自分のやったことに後悔はしていない・・・・・・でもお前は女の子だ・・・・・・人殺しと付き合ってられないと思ったなら・・・・・・」

 

木綿季「哲也の馬鹿!!!!」

 

木綿季はそう言うと哲也の頬をビンタした。

 

哲也「っ!?」

 

木綿季「何でそんなこと言うの!!!!ボクは何があっても哲也に付いて行くって決めてるんだよ!?結婚を前提に付き合ってくれだなんて言ったくせに側から離れてもいいだなんて言わないでよ!!!!」

 

哲也「木綿季・・・」

 

木綿季「それに・・・・・・ボクだって哲也を守るために1人殺してる身なんだよ・・・・・・!?人殺しに人数なんて関係ない・・・・・・ボクだって人殺しなんだ・・・・・・ボクにはもう哲也しか有り得ないんだよ!!!!」

 

木綿季はそう言って涙を流しながら哲也に抱きついた。

 

木綿季「そんなことで離れろだなんて嫌だよ・・・・・・!!!!ボクは一生哲也に付いていくんだから・・・・・・!!!!」

 

哲也「・・・・・・ごめん・・・・・・木綿季・・・・・・!」

 

木綿季「35人殺していようが哲也はボクにとっての大切な彼氏でボク達SAOプレイヤーを帰してくれた英雄なんだから・・・!!!!そんなこと言わないでよ・・・・・・!!!!人殺し同士カップルでも良いじゃんか・・・!!!」

 

哲也「木綿季・・・・・・!!!」

 

哲也は涙目で訴える木綿季のことを強く強く抱きしめた。

 

哲也「ごめん木綿季・・・!!あんなこと言って・・・!もうあんなこと言わないよ・・・・・・寧ろ俺の傍から離れてみろ・・・・・・お前のこと地の果てまで追ってでも殺しちまうからな・・・・・・!!!!!!!!」

 

木綿季「ボクだって・・・・・・!!!!これからも浮気してたら殺しちゃうんだから・・・・・・覚悟しててよね・・・・・・!!!!」

 

哲也「木綿季・・・・・・!!!!」

 

木綿季「哲也・・・・・・!!!!」

 

2人は涙を浮かべながら キスを交わした。それは他の真髄を許さない2人の固い絆を表す甘いながらもしょっぱいキスだった。

 

死銃事件 それはGGOを恐怖の戦慄に震え上がらせたVR内での死人が出る事件。

 

死神と女神 本来ならば組むことの有り得ない二人の神が手を組んだ奇跡のタッグは事件を無事に解決させ互いのトラウマに悩む日々に終止符を打つことが出来た。

 

死神と呼ばれた少年は 多くの命を救い助けることが出来た大きな英雄

女神と呼ばれた少女も少ないながら2つの命を救った小さな英雄。

 

そして小さな英雄は大きな英雄に助けられることとなった。

 

小さな英雄にとってのこれまでの日常は常に世界が暗闇に覆われ ただただ闇雲に走り続けるだけの物だったが、これからは違う。

 

これまでの暗闇に覆われた世界からは変わり 夏の陽射しよりも明るく 幾つもの道がこれから先英雄を導く筈。

 

二人の英雄による物語はこれからも続いていくであろう 二人に人を想う気持ちある限り──────

 

 

 

 

 

 

ガンゲイル・オンライン~死神と女神編~ FIN




上記の通り 今Partを持ちまして死神と女神編の完結とさせていただきます。

メインヒロインの木綿季より詩乃が多く登場したこのGGO編はお楽しみ頂けましたでしょうか?

まず第一に長らくの間投稿を滞らせてしまってことを深くお詫び申し上げます
楽しみに待って頂いた方がいらっしゃる中でこのようなことをしてしまったのにも関わらず未だこの小説を読んでくださることを心から感謝します。

一応これからの予定はまた私自身の考えた話をお送りし、その後本編秋頃にキャリバー編 キャリバー編の後にまた私の話をした後に時期未定ですがマザーズロザリオ編へと移行しようと思っております。一応劇場版の話もどこかで混ぜれたらと思っております。

今現在も放送されているアリシゼーション編につきましては私個人が見ていない事+話として余りにも長いということを耳にし私の小説ではこちらの話を書くことを断念させてもらいます 申し訳ありません。

一応次回からも本編という事ではなく、SAO編ALO編でも行ったそーどあーとおふらいんを用い皆さんとGGO編を振り返った後、再度本編に突入という形にさせていただきます。

何はともあれ これからも私のお送りする小説に付き合って貰えたら幸いでございます。

それではまた次回にお会いしましょう!!!!

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