ソードアート・オンライン~死神と呼ばれた剣士~   作:畜生ペンギン

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Part119 死銃~戦慄の恐怖~

本戦と言うバトルロイヤルの舞台で俺 キリト シノンの3人は一時休戦し、デスガンの奴を倒すために異例のバトルロイヤル中にチームを組んだ。

 

今現在、メインアームがスナイパーであるデスガンが街に行ってる可能性が高いということで3人で街に向かって移動していた。

 

テツヤ「な、長ぇな・・・街までこんなにかかるとは・・・」

 

シノン「文句言わない。こうしてる今もデスガンは次なる標的を狙ってるのかもしれないのよ。」

 

キリト「その通りだテツヤ。リアルで日頃から運動してるお前ならこれくらい余裕だろ?」

 

テツヤ「そりゃそうだがよ・・・」

 

そうこうしてる内に無事に街に到着。だが、移動してる間デスガンらしき人影は1度も見かけはしなかった。

 

シノン「デスガンとは遭遇しなかったわね。」

 

キリト「走りながら水中のチェックもしてたけどそれらしき人影は1度たりとも現れなかった。」

 

テツヤ「となると・・・既に街の中ってことかな・・・よし、んじゃ2人共。次のスキャンで奴の居場所を見極めよう。そして俺が先行して交戦するから2人は隙をついて攻撃してくれ。特にシノン お前のスナイパーがこの共闘作戦のカギだ。頼むぜ。」

 

シノン「了解。ただ1つその作戦に異議を唱えさせてもらうわ。」

 

テツヤ「異議?」

 

シノン「デスガンって言うのは別名。アイツの真のプレイヤーネームは別にあるのよ。ペイルライダーはあの時殺られたから、残りは銃士Xかスティーブンのどちらかってとこね。」

 

テツヤ「そ、そういやそうだったな・・・俺がさっきあの戦闘見たのもペイルライダーがデスガンかどうかを見るためだったんだ・・・」

 

キリト「2人共街にいたら少し面倒なことになるな。その場合は?」

 

テツヤ「そんときゃそん時でまた考えるさ。」

 

シノン「ねぇ2人共。凄く安易な考えではあるんだけど、銃士Xって名前 銃士をひっくり返せば士銃 デスガンってことになるわよね。Xはクロス ペイルライダーを撃つ前にデスガンがやっていた十字を斬るジェスチャー。なんて考えは安易すぎるかな?」

 

キリト「うーん、でもプレイヤーネームなんてそれこそ安易で決めてるとは思うんだ。俺は本名の捩りだし。シノンは?」

 

シノン「私も・・・テツヤは?」

 

テツヤ「俺?俺は・・・ここだけの話リアルネームなんだ・・・VRMMO始めた時の名前もリアルネームにしてさ その名残でね。内密にね。」

 

シノン「そうなのね・・・でも、場合によっては考えてる戦闘スタイルのことをそのまま名前にしてる人もいるかもしれない。」

 

テツヤ「まぁ偶にいるパターンだよな・・・よし。んじゃこうしよう。2人いたら銃士Xの方に狙いを定める。これで外してたらスティーブンがアイツの真の正体って訳さ。」

 

キリト「先陣を切るのは任せて良いのか?」

 

テツヤ「先頭バッターくらい華麗にこなしてみせるさ♪キリトも頃合いを見て戦いに加わってくれ。2対1でアイツが焦りだしたところで最後は勝利の女神様が微笑むって寸法さ。」

 

シノン「そ、そこまで期待されると逆に怖いんだけど・・・」

 

キリト「とにかく 3人共無事にデスガンを倒そう。それから本戦再スタートと行こう。」

 

テツヤ「おう!頼んだぜ2人共!」

 

俺はそう言ってキリトとシノンの肩に手を置いた。

 

キリト「あぁ。2番バッターの役目は任せておけ。」

 

シノン「確認しとくけどこれはあくまで一時休戦なんだからね!デスガン倒したら容赦無く2人共狙い撃つからね!!!」

 

テツヤ「分かってるさ♪んじゃどこか隠れられそうな場所でサテライトスキャンの時間を待とう。」

 

俺達は隠れられそうな適当な場所を見つけ、そこでサテライトスキャン更新時間を待った。

 

待つこと数分でサテライトスキャンが更新された。3人で協力して各プレイヤーの名前を確認していく。そして、恐らく街の中の廃れたドームであろう場所にいるプレイヤーの名前は 銃士Xを示していた。

 

テツヤ「みーっけた!2人共スティーブンの方は!?」

 

キリト「いや、見つからない。」

 

シノン「右に同じ。そうなるとやっぱり銃士Xが・・・」

 

テツヤ「あぁ・・・ようやく見つけたぜ・・・デスガン・・・!!!」

 

俺はそう言いながら立ち上がり、その場で軽い準備運動をした。

 

テツヤ「次の標的が奴の射程に入るまでに叩こう。作戦はこうだ。まずは3人でドーム付近に向かう。そして近づいたら先に俺が先陣を切る。シノンは近場のビルから援護を。キリトは俺の交戦後1分前後で敵の後ろから奇襲をかけてくれ。そして奴が押されたところでシノンがトドメを刺す。この作戦でどうだ?」

 

キリト・シノン「了解。」

 

テツヤ「よし、んじゃ早速ドームに向かおう。」

 

サテライトスキャン端末を閉じ、俺達は作戦通りにドーム付近に向かった。

 

到着するとシノンが索敵をする。シノンの索敵で敵はビルの看板からライフルを出して標的を待ち構えていた。

 

シノン「あそこね。」

 

テツヤ「よぉし。んじゃ作戦通り行動開始だ。」

 

シノン「あ・・・あのさテツヤ・・・さっきは了解なんて言ったけど・・・アンタは大丈夫なの・・・?テツヤだってデスガンの弾丸に当たったら・・・」

 

テツヤ「その為のお前だよシノン。俺とキリトはお前の援護があるから恐れず敵に近づける。現状この3人はチームなんだ。俺が先陣担当。キリトが奇襲担当。そしてシノンが援護担当。この布陣で奴を倒すんだ。」

 

俺はそう言ってシノンの肩に手を置いた。

 

シノン「テツヤ・・・・・・分かった。2人の援護任させてもらうわ。だから2人共失敗するんじゃないわよ。」

 

テツヤ「任せとけ。」

 

キリト「仰せの通りに。」

 

テツヤ「よし、んじゃ作戦開始!」

 

俺はその場から離れ銃士Xのいる場所へと向かった。

 

だが、俺の立てたこの作戦がこのチームを大きく引き離す事となってしまうこということを、この時の俺は知る由もなかった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

~シノン side~

 

私はテツヤに言われた通り、近場のビルに向かい 援護射撃の準備に取り掛かろうとした。

 

シノン「頼むわよ・・・先陣切ったアンタが早々に殺られましたなんて許さないからね・・・!!!」

 

私はビルの入口手前で止まり、移動の際で乱れてた呼吸を整えた。

 

それにしても・・・本戦前は絶対にテツヤを倒すなんて決めてたのに・・・なんで共闘なんかしてるんだろう・・・あの時にテツヤを倒してれば・・・

 

ううん。あんな所でテツヤを倒してもそれは本当に昔の私を超えたことにはならない。正々堂々。真正面からテツヤとぶつかるんだ。それで勝ってこそ 私は本当に変わることが出来るのだから。

 

その為には確実にデスガンを倒さないとね。

 

シノン「よし、それじゃあ・・・」

 

私はテツヤと戦うんだということをもう一度強く思い、ビルに入ろうとした。

 

その時、私は急激な身体の痺れを感じ その場で倒れ込んでしまった。

 

これは一体何なの?なんで急に・・・?

 

私は右腕に目を移すと、あの時ペイルライダーに撃ち込まれていたスタンバレットが私の右腕にも撃ち込まれていた。

 

そして、ペイルライダーを倒したのはあのデスガン。つまりこれはデスガンの・・・・・・?いや、でも今デスガンはテツヤが・・・・・・一体なんで・・・・・・

 

色々な思惑が脳内で錯綜してると、いきなり目の前の空間がまるで時空が歪んだかのような荒れ方をし始めた。そして、誰もいなかったその場所から現れたのは 髑髏マントの男・・・・・・即ちデスガンだった。

 

シノン「っ!?」

 

ここにデスガンがいるって言うことは・・・・・・テツヤが今戦ってるのは全くの別人・・・・・・つまりスティーブンがデスガンの本当の・・・・・・!?

 

死銃「・・・・・・黒の剣士は愚か・・・・・・死神すらいないとは・・・・・・不用心な奴らだ・・・・・・」

 

デスガンはそう言いながら私にジリジリと近づいてくる。

 

死銃「・・・・・・俺の標的はテツヤ・・・・・・キリトはその次だ・・・・・・どちらにせよ2人をおびき寄せるその為には・・・・・・犠牲を作らなくてはならない・・・・・・」

 

シノン「なっ・・・!?」

 

死銃「新しく出来た仲間であるお前を殺せば・・・・・・恐らく奴らは猛り狂い、俺を殺しにかかるだろう・・・・・・理性を失いかけた人間程脆いものは無い・・・・・・安心しろ・・・・・・直ぐに2人をあの世に送ってやるさ・・・・・・」

 

・・・・・・嫌だ・・・・・・こんな所で・・・・・・こんな所で私は・・・・・・死にたくない・・・・・・!!!!!!

 

まだ身体に痺れが残る中左腕を腰部に付けてるハンドガンに伸ばす。

 

でも、私の前にデスガンが素早くハンドガンを取り出した。

 

でも、そのハンドガンは 私にとってのトラウマ、そして悪夢の象徴であった。

 

シノン「っ!?・・・・・・黒星(ヘイシン)・・・・・・54式・・・・・・!?」

 

黒星(ヘイシン)54式。そのハンドガンは私が強盗犯を直接殺してしまった代物。マガジンが入る部分に星マークが付いているのが特徴のハンドガン。

 

私はそのハンドガンをみた瞬間に 伸ばしていた左腕が急速に脱力してしまった。

 

何故か?そもそも私はあのハンドガンのせいで未だに拳銃という物に恐怖感を抱いている。GGOをプレイしているシノンの時は別に発作も何も起こりはしなかったけど 私がこうなってしまった全ての原因であるあのハンドガンだけはGGOの世界だけでも触れたくも見たくもなかった。

 

嫌だ。見たくない。死にたくない。見たくない。死にたくない。見たくない。死にたくない。

 

そう思いながらデスガンを睨むと、デスガンはハンドガンをスライドさせ いつでも弾丸が出せる状態にした。

 

私はデスガンの赤い目をずっと睨んでいた。すると その赤い目からあの時私が殺めた強盗犯の顔が覗いた。

 

シノン「っ!?」

 

身体中の血液が急速に循環していくのが心臓の鼓動を通して感じる。

なんで・・・・・・なんで・・・・・・なんでゲームの中でさえあの銃は私の邪魔をするのよ!!!!!!!!!!

 

死にたくない・・・・・・誰でもいい・・・・・・誰でも良いから・・・・・・!!!

 

私を助けて!!!!!!!!!!!!

 

目を閉じて必死に祈る。助けを。だけど現実は非常でその瞬間に銃声の音が聞こえた。

 

私の命・・・・・・ここで終わっちゃうのかな・・・・・・

 

・・・・・・あれ・・・・・・弾丸を食らった感覚がない・・・・・・でも銃声は確かに・・・・・・

 

閉じていた目を開けると、目の前で私に狙いを定めていたデスガンは肩の部分を撃たれていた。

 

そして、もう1発の弾丸がデスガンのマントに当たる。そこでデスガンはすぐ近くの柱に隠れてどこから狙われていたのかを探り出した。

 

すると、今度は弾丸ではなくビルの近くにグレネードが投げ込まれた。

 

シノン「ぐ、グレネード・・・!?」

 

デスガンはビルの中に隠れ爆発に備えたけど、未だにスタンバレットの効果が切れない。私は今度こそ終わってしまうのかと思ったけど そのグレネードはスモークグレネードであって、爆発はしなかった。

 

煙幕が私を包んでいる隙に、何者かが私のことを抱えてどこかへと連れ出した。

 

煙の中から出て、その顔を確認すると それはキリトだった。

 

シノン「き、キリト・・・なんでここに・・・テツヤと一緒じゃ・・・?」

 

キリト「移動しながら話をする!銃士Xと交戦したテツヤは・・・・・・」

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

テツヤ『銃士X!かく・・・・・・ご・・・・・・?』

 

まず、銃士Xは女性プレイヤーだったんだ。完全にデスガンだと思い込んでたテツヤはそこで酷く困惑したんだが、BOBはバトルロイヤル戦。人数を1人でも減らすため銃士Xと戦い始めた。

 

そして俺の出番なんて必要無く その戦いはテツヤの勝利で幕を閉じた。

 

キリト『違ったようだな。テツヤ。』

 

テツヤ『まぁな。んじゃ待機させてたシノンと合流を・・・って!?おいキリト!!!アレまさか!?』

 

キリト『アレ?』

 

俺はテツヤの指差す方向を向いた。すると そこには倒れてるシノンとデスガンがいたのが見えたんだ。それを見て直ぐにシノンのピンチだって分かった。

 

テツヤ『ヤバい!直ぐに援護に・・・』

 

シノンと合流する為に移動を始めたんだが、そこで俺達は3人程のプレイヤーに一斉に襲われたんだ。数発の弾丸が見舞われ当たりはしなかったが互いに危ない状況だと分かったんだ。

 

テツヤ『畜生!!!こんな時に!!!』

 

キリト『どうするんだ!?』

 

テツヤ『仕方ねぇ!ここは俺がアイツらを引き受ける!お前がシノンの援護に行け!!!』

 

キリト『い、良いのか!?いくらお前と言えど新天地で3人を相手にするのは・・・』

 

テツヤ『お前と幾つ修羅場乗りこえたと思ってんだよ!!!それにもし何かあって少し離れた場合でも俺なら直ぐに戻って来れるだろ!だからここはお前がシノンを助けろ!!!良いな!!!』

 

キリト『了解・・・・・・死ぬなよ・・・・・・!!!』

 

テツヤ『お前こそな!!!ほーらお兄さん達!ボクの方に着いておいで!』

 

こうして、俺がシノンの援護に そしてテツヤは現れた敵を別の場所に誘導する為にとここで別れたんだ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

シノン「・・・・・・そう言う・・・・・・ことね・・・・・・ねぇキリト・・・・・・もう私のことはほっておいて・・・・・・もう・・・・・・」

 

キリト「駄目だ!!!君はテツヤともう一度戦いたいんだろ!?諦めるな!!!」

 

キリトは私を連れ、走りながらそう言った。

 

そして、その背後から何発かの銃声が聞こえた。恐らくデスガンの攻撃だろうけど、今私にはそんなことを確認する余裕はなかった。

 

街中を走っているとあの時のようにバイクがあった。そしてバイクと一緒に機械式の馬も置いてあった。

 

キリトは悩むことなくバイクに私を乗せ、エンジンをかけて走り出した。

 

シノン「て、テツヤは・・・どうするの・・・?」

 

キリト「アイツのことだ 直ぐに戻ってきてくれるさ!それよりシノン!君のスナイパーライフルであの機械式の馬を撃って破壊してくれないか?」

 

シノン「馬を・・・?」

 

キリト「アイツが追ってくるのが1番最悪なことだ。バイクに乗れるかは分からないがとにかく不安要素となりうるあの馬を破壊してくれ!」

 

シノン「わ、分かった・・・」

 

キリトはバイクを停止させ私が狙撃しやすいようにしてくれた。私は言われた通り馬に狙いを定めた。

 

私はいつも通りのルーティーンで馬を狙撃しようとした。しかし、幾ら落ち着こうともバレットサークルが定まることはなく、そして幾ら引き金を引こうとも指がそれを許さなかった。

 

シノン「う・・・嘘・・・なんで・・・?」

 

言葉ではそう言ったけど、内心では検討は着いていた。デスガンの所持していた黒星54式のせいだ。

 

私のトラウマの要因であり、私が未だに過去と戦い続けている要因でもあるあの銃は 私にとっての天敵そのもの。そんな物を見て弱い私が平常心を保っていられる訳がなかった。

 

シノン「なんで・・・なんで・・・!?」

 

キリト「どうしたんだ!?」

 

シノン「と、トリガーが・・・引き金が引けない・・・!」

 

キリト「なんだって!?」

 

トリガーが引けないって言うスナイパーにあるまじき前代未聞の自体に陥った私は 1度スコープから目を離した そして目に入ってきたのはこちらに走ってきていたデスガンの姿だった。

 

こちらを見通すその赤い目は 恐ろしい恐怖の色だった。

 

シノン「っ・・・・・・デス・・・・・・ガン・・・・・・」

 

キリト「シノン!捕まれ!」

 

キリトは私の手をバイクの背もたれ部分にかけさせた。でも私はずっとデスガンのことを見ていた。

 

デスガンを見ていると、デスガンのマスクがどんどん変形していき その姿はまた あの時の強盗犯の狂気の顔に変わっていた。

 

シノン「っ・・・・・・!」

 

嫌だ 来るな 来ないで 私の前に姿を見せないで その顔で私を見ないで

 

そう思っていると キリトはバイクを走らせた 私はバイクの進行方向に完全に身体を向け デスガンのことを見ないようにした。

 

シノン「な・・・なんなの・・・・・・アイツ・・・・・・一体・・・・・・」

 

キリト「くっ・・・やはり馬を使ってきたか・・・!」

 

シノン「へ・・・?」

 

私はバイクのサイドミラーを見た するとそこにはデスガンが私が撃てずに終わった馬を使って私達を追ってくる姿が捉えられていた。

 

馬の速度はどんどん早くなっていき このままでは私達はアイツに追いつかれてしまう。それだけは絶対に嫌だ。

 

シノン「キリト・・・もっと・・・あの時みたいにスピード出してよ・・・!追いつかれちゃうよ・・・!」

 

キリト「くそっ!馬の癖になんなんだあのスピードは!!!機械式だからとかそんなのありなのか!?」

 

サイドミラーではなく、自分自身の目でデスガンを確かめると 既にデスガンは私達のバイクの後ろに付けていた。

 

そして、デスガンはハンドガンを私達に向けて構えてきた。

 

シノン「っ!!!!!!」

 

弾道予測線が馬の影響かチラついていた。そして、遂に弾道予測線は私の頬を捉えた。

 

シノン「っ!?」

 

私は予測線から逃げるように顔を逸らした デスガンの放った弾丸が私の頬を掠めるように逸れて行った。

 

もし、当たっていたら私はあの日の強盗のように・・・・・・

 

シノン「いや・・・嫌ァ!!!」

 

そんなこと考えたくもない。私は思わずキリトの背に顔を填めた。

 

デスガンはその後も何発か発砲したけど その弾丸は私に当たることは無かった。

 

でも その弾丸がいつ私に当たってもおかしくない。私は今生か死かのラインギリギリを生き延びていた。恐怖感とトラウマの両方に胸を苦しめられていた。

 

シノン「いや・・・・・・助けて・・・・・・助けてよ・・・・・・!!!」

 

『お前を危険な目には合わせはしないよ。約束だ。』

 

危険な目に合わせないんでしょ・・・・・・!?なら・・・・・・ならなんでこんな肝心な時にアンタは居ないのよ!!!!!

 

キリトは運転で精一杯のこの状況なのに・・・・・・なんで一大事に居ないのよ!!!!!!

 

それなのに・・・・・・何が安心しろよ・・・・・・何が約束よ・・・・・・!!!

 

できない約束・・・・・・笑いながらするな馬鹿テツヤ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

キリト「くそ・・・・・・このままじゃ追いつかれる・・・・・・シノン!今は当たる当たらないは問わない!牽制でも構わないからアイツを狙ってくれないか!?」

 

シノン「・・・・・・ごめんキリト・・・・・・肝心な時なのに・・・・・・私今・・・・・・引き金を引けないの・・・・・・」

 

キリト「くっ・・・まだ駄目か・・・デスガンが影響してるのか!?」

 

シノン「で・・・デスガンが・・・・・・デスガンが・・・・・・私の・・・・・・!!!」

 

私のトラウマを呼び寄せた。私はその言葉を言えずに言葉を呑んでしまった。

 

もう嫌だ 戦いたくない 逃げたい こんな所から離れたい 私は強くなんかならなくてもいい ずっと弱くていいから。

 

GGOなら・・・・・・シノンなら強くなれると思ったのは・・・・・・幻想に過ぎない私の戯言だったんだ・・・・・・

 

シノン「もう・・・もう嫌だ・・・・・・!!!」

 

私は意図せずに涙を零した。

 

キリト「くっ・・・もう追いつかれる・・・・・・!!!」

 

気づいたら私達とデスガンの距離は目と鼻の先だった。

 

デスガンが乗っていた馬がバイクの横につくと その馬がバイクに衝突した。そしてその衝突で私とキリトはバイクから振り下ろされてしまった。

 

キリト「なっ!?」

 

シノン「いやっ!?」

 

私とキリトは強い衝撃を受けながら地面に叩きつけられた。衝撃の影響で少し身体が麻痺してるけど 無理り身体を起こした。そして 私の目の前に 再びデスガンが現れた。

 

デスガンは私を見ると マスク越しから赤い目がギロりと光った。

 

シノン「い、嫌・・・・・・来るな・・・・・・来ないで・・・・・・!」

 

今の私に戦うすべはない。ただ後ずさりすることが今の私に出来る唯一の方法だった。

 

でも、そんな私のことなど気にせず デスガンはまた あのハンドガンで私を狙ってきた。

 

シノン「っ!?」

 

死銃「さぁ。覚悟は良いか。女神よ。」

 

シノン「いや・・・いや・・・いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

なんで なんでこんな目に会わなくちゃいけないの?私はただゲームをしてるだけなのに なんで死ぬ目に会わなきゃいならないの?私は強くならずに ただ弱いまま死んでいけって そう言いたいの?

 

へカート・・・・・・私を助けて・・・・・・!!!

 

私はへカートを握りしめ 一心不乱で助けを祈った。

 

そして その祈りが通じたのか デスガンを狙う弾道予測線が現れた。

 

死銃「ほぉう。やはりあれくらいで死にはしないか 黒の剣士 いや、キリト。」

 

弾道予測線の正体はキリトのファイブセブンだった。キリトはファイブセブンの銃口をデスガンに向けながら私を守るように私の前に立った。

 

キリト「彼女を撃ちたければまずは俺から撃つんだな 言っとくが昔のままの俺だと思ったら大間違いだぜ ラフィン・コフィンさん。」

 

死銃「ふんっ。ならばその実力 今確かめてやろう。メインディッシュは後からでも遅くはない。安心しろ 死神の奴も直ぐに捉えて殺してやる。」

 

なんで・・・なんで私なんかの為に・・・・・・もう・・・・・・私は戦いたくないよ・・・・・・そっとしておいて・・・・・・キリト・・・・・・

 

キリト「良いかシノン!よく聞け!!!」

 

シノン「へ・・・・・・?」

 

キリト「君は今引き金を引けない状態にある!でも!引き金を引けないからって諦めるな!!闘志を捨てるな!!!諦めさえしなければ・・・・・・必ず活路は見いだせる!!!!!!」

 

シノン「活路って・・・・・・でも・・・・・もう私は戦えない・・・・・・引き金を引けないガンマンなんて・・・・・・!」

 

キリト「だからって諦めるのか!?嘘だったのか!?君がテツヤともう一度戦いたいって言う気持ちは!!!」

 

シノン「っ・・・・・・」

 

キリト「正直に言って現状戦闘が行えない君を庇いながら戦うこの状況は圧倒的にこちらが不利だ・・・・・・でもだからって俺まで諦めたら全ての可能性が潰えてしまう!!!まだ俺達にはアイツがいるんだ・・・・・・!!!勝つ確率がある限り諦めはしない!!!」

 

シノン「アイツって・・・・・・こんな肝心な時にいないやつを・・・・・・なんでそこまで信用できるの・・・・・・?」

 

キリト「確かに本来だったら信用はできないさ。でも 俺はアイツの事を心から信用してる。大事な時にいなくとも信頼出来る関係。それが本当の意味での仲間ってものなんじゃないかな。シノン。」

 

シノン「仲間・・・・・・」

 

死銃「お喋りもそこまでにしたらどうだ?どちらにせよこの俺に狙われた貴様らの生存確率は・・・・・・0だ。」

 

キリト「あぁそうかい・・・・・・なら殺ってみるんだな!!!!!!」

 

キリトはそう言って光剣でデスガンに攻撃を仕掛けた。

 

分からない なんでなのキリト。アイツは アイツは嘘をつく奴なんだよ?それなのになんでそんなに信頼できるの?

 

仲間って・・・・・・そんなにも信頼出来るものなの・・・・・・?

 

ねぇ・・・・・・・・・今は一時休戦してるのよ・・・・・・要するに今は仲間なのよ・・・・・・?

あの時の言葉と笑顔・・・・・・それが嘘じゃないって言うなら・・・・・・ここに来てよ・・・・・・ここに来て・・・・・・私達を助けてよ・・・・・・テツヤ・・・・・・!!!

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~テツヤ side~

 

テツヤ「はぁ・・・はぁ・・・クソが・・・どいつもこいつも・・・・・・俺一人だけ狙いやがって・・・・・・!!!」

 

今現在俺は街から大分離れた荒野にいた。

 

シノンのピンチだって言うのに 急に3人のプレイヤーが俺とキリトを襲い その場は俺が引き受けキリトにシノンの救助を託したその後だが、俺は俺でピンチに陥ってしまった。

 

まず、あの3人を倒した頃にはもう街の外に出てしまっていた。2人の援護に向かう為に戻ろうとするとまた複数人のプレイヤーと遭遇してしまい とんでもない大混戦となってしまった。

 

大混戦とは言うが俺は本戦要注意プレイヤーに上げられていたようで周りのプレイヤーが即興でチームを組みだし、俺のみを狙ってきたのだ。

 

幾多の修羅場を乗りこえた俺も新天地で新しい武器を手に複数人を相手にするのは厳しく 時間をかけて銃弾を避け 敵を倒し また避けて 倒してを繰り返し、遂に俺はその混戦をも乗り越えた。

 

だがしかし、移動しながらの戦いのおかげで俺は完全に街から離れてしまった。 幾らスピードに自信のある俺でも街が視認できない距離からだと時間は食う。下手をすれば2人は今頃デスガンに・・・・・・

 

得意気に敵を引き受けた結果がこれかよ・・・!!!2人は守るって決めたのに何してんだ俺は!!!クソっ!!!!!

 

歯を食いしばり 早く救援に向かおうとその場から移動しようとしたが 急に俺の足場が揺れだした。軽い揺れからどんどん激しい揺れに変わって行った。

 

テツヤ「な、なんだ?」

 

揺れが激しくなると 後ろから大きな汽笛の音が聞こえた。

 

テツヤ「こ、この音って・・・・・・まさか・・・・・・!?」

 

俺は直ぐに後ろを向いた。すると 数メートル先に猛スピードで走ってくる汽車が向かってきていた。

 

テツヤ「なぁ!?や、ヤバい!!!」

 

あんなのに引かれたら一瞬で死ぬ!!!こんな所で死んで敗退とかシャレにならねぇ!!!

 

俺はその場から右方向に飛び込んだ。するとその瞬間に汽車は俺のいた足場を通っていき 汽車はどんどん離れていった。

 

テツヤ「あ、危ねぇ・・・死ぬとこだった・・・」

 

それにしてもなんで汽車なんかがこんな荒野に?俺は汽車の走った足場を見てみると そこには汽車の走るレールが敷いてあった。

 

テツヤ「な、なんだ・・・ここは汽車の通り道だったのか・・・・・・にしても凄いな こんな場所を走るなんて・・・・・・ん・・・・・・?レール・・・・・・?」

 

俺はレールを見てある事が脳に浮かんだ。レールは真っ直ぐに俺が今来た道を進んでいた。恐らくこのレールは街にも・・・・・・

 

テツヤ「これを使えば・・・・・・悩んでる暇はねぇ!!!今は行くしかねぇんだ!!!!!」

 

恐らくこれなら格段に早く街に行けるはず・・・!!!頼む!!!2人共無事でいてくれよ!!!!!!




銃士Xがデスガンだと思ったテツヤ考案の作戦がまさかの大失敗となり、テツヤは2人と遠く離れてしまう自体となった。

そして、シノンはデスガンの所持しているトラウマの象徴である黒星54式を見た結果精神不安定状態となり、デスガンに追い詰められてしまう大ピンチを迎える。

テツヤは無事に2人と合流出来るのか!そしてキリトはテツヤが来るその時までにシノンを守りきれるのか!?

次回もお楽しみに!

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