ソードアート・オンライン~死神と呼ばれた剣士~   作:畜生ペンギン

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今回からいよいよBOBが始まります!

一体誰が優勝するのか!?

それでは本編です!どうぞ!


Part112 バレット・オブ・バレッツ~最強プレイヤーは誰だ~

キリト「よし!もう到着だ!」

 

キリトはバイクを総督府の入口前で急停車させた。俺はその勢いで遂に振り落とされた。顎から落下してしまいかなりの衝撃が襲った。

 

テツヤ「ゴブッ!?」

 

シノン「後5分!行くよ2人共!」

 

テツヤ「め、目がまわるぅ・・・」

 

キリト「何してるんだテツヤ!早く!」

 

テツヤ「き、キリトの野郎・・・後で殺す・・・!!!!」

 

俺はフラフラになった身体を頑張って立ち上がらせ、シノンについて行った。

 

~総督府~

 

キリト「こ、ここが総督府・・・」

 

テツヤ「け、血気盛んな奴らが大勢・・・人の多さで吐きそう・・・」

 

総督府の中は既にBOB一色に染まっており、中には既に出場するであろうプレイヤーがわんさかいた。

 

この中にデスガンもいるんだろうか?って・・・今人なんか探したら本気で吐きそうだし止めとこう・・・

 

シノン「さぁ 2人共こっちよ。あのコンソールで参加登録するの。」

 

テツヤ「うえぇ・・・気持ち悪い・・・」

 

シノン「ご、ごめんねテツヤ。貴女のことつい忘れて飛ばせなんて言っちゃって・・・」

 

テツヤ「い、良いから早く登録を・・・」

 

シノン「そ、そうね!それじゃあ2人共。コンソールの案内通りに登録して!」

 

テツヤ「了解~・・・」

 

俺はコンソールのエントリーボタンを押すと、ユーザー情報入力の画面が現れた。どうやら上位に入賞した時の景品を送るために名前 住所 電話番号 メールアドレスを入力するらしい。

 

テツヤ「リアルの情報を入れるって・・・」

 

俺は備考欄を良く見てみると、空白や偽りのデータでも参加は可能と書いてあった。ならこんなの入力しない方がいい。下手に自分のリアルがバラされたら大変なことになっちまう。

 

俺はユーザー情報登録をせず、大会にエントリーした。

 

キリト「うぅ・・・」

 

テツヤ「どしたんだ?」

 

キリト「いや、上位入賞賞品は悩む・・・」

 

テツヤ「んなので悩んでる暇あったら俺への謝罪文考えやがれ!」

 

俺はキリトのユーザー情報を登録させずにエントリーさせた。

 

キリト「んなぁ!?」

 

テツヤ「けっ。んな賞品に目をくらませる前に自分の目的考えろっつうの!」

 

キリト「はぁ・・・まぁ下手に住所バレるよりこれで良かったのかな・・・」

 

シノン「2人共終わった?」

 

テツヤ「う、うん!終わったよ!」

 

キリト「は、はい!」

 

シノン「2人共。予選ブロックはどこ?」

 

テツヤ「予選ブロック?これのこと?」

 

俺は自分のエントリーしたコンソールを見ると、そこにはFの文字が。

 

テツヤ「ボクはFみたい。」

 

キリト「私はGですね。」

 

シノン「そっか。ほぼ同時の申し込みだからブロックが近くなったのね。テツヤ 私は貴女と同じブロックよ。」

 

テツヤ「えぇ!?シノンと!?」

 

シノン「言っとくけど、簡単に負けるつもりはないからね!テツヤも手加減は無用よ!」

 

ま、まずい・・・!流石にコンバートしてるとは言えシノンはかなりの手練に見える・・・!シノンに勝てなきゃデスガンと接触するチャンスが・・・

 

シノン「それと、BOBの予選は1位と2位が本戦に出場する機会があるの。私とテツヤは当たるとしたら決勝だし、そしたら一緒に本戦に出れるね。」

 

テツヤ「あ、そうだったんだね!それなら良かった♪」

 

よ、良かった・・・それならまだ準優勝でも機会はある・・・

 

キリト「私は2人とは違うブロックではあるけど、勝ち上がって本戦で合流出来るように頑張りますよ!」

 

テツヤ「よし!じゃあ3人で本戦に出場するぞー!」

 

シノン・キリト「おー!」

 

よぉし・・・さっきは準優勝でもって言ったが予選だろうが勝たせてもらうぜ!悪く思わないでくれよシノン!

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

シノン「それじゃあ2人共。控え室に行って装備を変えましょう。控え室は地下にあるの。付いてきて。」

 

テツヤ「うん!」

 

キリト「ひ、控え室・・・ってことは・・・」

 

テツヤ「お前の弁護はしねぇからな!」

 

キリト「そ、そんなぁ・・・」

 

シノン「また2人で話ごと?仲が良いのね。」

 

テツヤ「あ!いや!それほどでも・・・」

 

シノン「それじゃあ行くわよ。」

 

俺達はシノンに付いて行き、エレベーターを使い選手控え室のある地下へと向かった。

 

地下で降りると、そこには自身の武器を見せつけた殺気の立つ男達が沢山いた。

 

シノン「全く試合前に自分の武器見せつけてアホみたい。調子乗ってるんじゃないかしら。」

 

テツヤ「あ、あはは・・・」

 

シノン「あんなの対策してくれって言ってるようなものじゃない。そんなので戦場で勝てると思ったら大間違いよ!」

 

キリト「は、はい・・・」

 

俺達はシノンにGGOの何たるかを聴きながら、女性用の選手控え室に入った。

 

~選手控え室~

 

シノン「ったく。良い?あんな弱そうな奴らにやられたら許さないからね!本戦出場を確実に果たすこと!」

 

テツヤ「う、うん!」

 

キリト「は、はい!」

 

シノン「じゃあ2人も試合前から自分の買った武器を見せびらかすような馬鹿な真似はしないでね?じゃあ着替えましょうか。」

 

キリト「っ!?」

 

テツヤ「そうしよう!」

 

お、俺は女なんだ・・・脱いでも大丈夫大丈夫・・・

 

シノンは着ていた服を脱ぎ、下着姿になると俺もそれに続き下着姿に。良かった。脱いだら男に戻るとか変なバグじゃなくてちゃんと女の子だ・・・って俺は正真正銘の男だっての!

 

テツヤ「よし!じゃあ早速防具を・・・」

 

シノン「?どうしたのキリト。早く着替えないと間に合わないわよ?」

 

キリト「い、いや!あの・・・その!」

 

ははーん。こいつ今まで男だって嘘ついてたツケが回ったな。ザマまぁみろ!俺をバイクであんな目に合わすから天罰が下ったんだ!

 

キリト「す、すいませんでした!!!!俺は君を騙してた!!!!」

 

キリトはそう言ってシノンに自身のステータス画面を送った。これで男ってバレたな。

 

シノン「い、今?・・・・・・っ!?お、男!?」

 

キリト「ごめん!!こんなナリしてるけど男なんだ!でも女って言ってた方が都合がいいかなって思って・・・!騙してごめん!!!!」

 

シノン「う、うそ・・・明らかに女の子の恰好なのに・・・って!?」

 

シノンは今現在の自分の格好に気がついた。そう。下着姿だったのだ。つまりシノンは男であるキリトに下着姿を見せつけていたことになる。

 

シノン「こ、このド変態!!!!」

 

シノンはそう言いながらキリトの頬に渾身のビンタをかました。

 

キリト「ハブっ!?」

 

キリトの顔には真っ赤なビンタの跡ができていた。そりゃ性別騙して下着見られたんじゃこうなるけど、こう思うと俺の場合は性別を勘違いしての不可抗力だけど初っ端から鈴奈に凄く失礼なことしてたんだなぁと思う・・・後でもう1回謝っとこう・・・

 

シノン「お、女の子のフリしてそんなことしてるなんて信じらんない!!!!最低のドスケベ野郎!!!!」

 

キリト「な、何も言えない・・・」

 

テツヤ「ざまぁみろ~!」

 

シノン「テツヤ。貴女こんな奴と友人だなんて縁切った方が良いわよ?いつ襲われるか分かった物じゃない。」

 

テツヤ「う、うん・・・」

 

い、言えない・・・俺が男なんて・・・言ったら殺される・・・デスガンじゃなくてシノンに・・・

 

キリト「こ、この野郎・・・テツヤ!!!!お前もいい加減正体を現したらどうなんだ!?」

 

テツヤ「っ!?馬鹿!余計なことを!!!!」

 

シノン「しょ、正体?どういうこと?」

 

テツヤ「はぁ・・・もう言わなきゃ収拾がつかないよな・・・正直に言う。俺も男だ。」

 

シノン「・・・・・・・・・あ、貴女頭がおかしくなった?貴女は正真正銘女の子じゃない。こんなやつのこと庇うために嘘なんてつかなくて良いのよ?」

 

テツヤ「シノン。1から説明するから聞いてくれ。その後に思う存分殴ってくれ。」

 

シノン「は、はぁ。」

 

俺はシノンにデスガンを追ってGGOにログインしたってこと以外を全部話した。自分は本来男だが、バグのおかげでこんな女の子のアバターになってしまったネカマプレイヤーってことを。俺の女の子の口調は仲のいい女の子の真似であることも伝えた。後極力俺と話す時に他の誰かがいる時は俺を女として扱って欲しいということも。

 

シノン「つ、つまり・・・本来男だけどバグで女の子になったってこと!?」

 

テツヤ「その通りさ。さぁ 俺も殴られなきゃキリトに悪い。殴ってくれ。」

 

俺はそう言ってシノンの前に立ち、目を閉じた。もう殴れる覚悟は出来てるんだ。いつでも殴って来てくれ。

 

・・・・・・あれ?いつまで経っても殴られない?どうなってんの?

 

テツヤ「し、シノン?」

 

目を開けてシノンのことを見ると、俺の事をじーっと見ていた。

 

シノン「・・・・・・貴方は殴れないわ・・・・・・自分で女の子のフリしてたのは正直ムカつくけども、男の子なのにバグで女の子になったなんて・・・・・・可哀想だし・・・・・・」

 

キリト「えぇ!?テツヤは良いの!?」

 

シノン「アンタとは別でしょ!!」

 

テツヤ「い、良いのか?俺もれっきとした男で君の下着姿を見ちまったし・・・」

 

シノン「それも含めて許すの!!・・・・・・ただし条件付きよ。決勝戦まで必ず来なさい!そこで貴方と真剣勝負をしてもう一度審議にかける!もし貴方がどうしようもないクズだったらやっぱり許さないし、礼儀正しい人だったらもうとやかく言わないわ。ただしキリト アンタだけは当分許さないからね・・・!」

 

キリト「そ、そんなぁ・・・」

 

シノン「ほら!分かったらさっさと着替える!テツヤもそこのドスケベも!」

 

テツヤ「お、おう!」

 

キリト「好きで女の格好になったわけじゃないのにぃ・・・!」

 

こうして、俺達は思わぬハプニングを迎えたが俺はシノンに情けをかけてもらい、キリトはド変態のレッテルを貼られてしまったが無事に着替えは終わった。 俺はシノンにキリトがシノンを覗かないよう見張るようにって命令を受けたからずっとキリトを見てたけど・・・

 

着替えが終わると、俺達は控え室から出て来るその時を待っていた。

 

シノン「・・・・・・・・・」

 

キリト「あ、あのさ・・・この後一体どうなるのかな・・・?」

 

シノン「テツヤそこのドスケベにこう伝えて 『時間になったらブロック毎に戦場に転送されて、それから予選が始まる』って」

 

テツヤ「だ、そうだ。」

 

キリト「はぁ・・・」

 

シノン「だいたい!最初っから男だって言っとけば良いものをなんで女だなんて嘘つくの!?その神経が信じられない!」

 

キリト「だ、だってテツヤが女の子として近づいたしシノンも俺を最初女の子だって勘違いしてたからその方が良いかなと・・・」

 

シノン「これからは人を外見で判断するのは止めよう・・・」

 

テツヤ「ははは・・・」

 

シノン「良い。予選は勝てばここに戻ってこれる。負けたら終わりよ。テツヤ 私は貴方の結果はずっと見張ってるからね!負けたらこのスケベみたいになるって思っときなさい!言わば貴方は執行猶予付きよ!」

 

テツヤ「は!はい!」

 

シノン「Fブロックは5回勝てば本戦出場確定。それまでに負けたら・・・分かってるわね?」

 

テツヤ「は、はい・・・」

 

キリト「あ、あの・・・Gブロックは・・・」

 

シノン「自分のブロックは自分で確認!」

 

キリト「は、はい!」

 

シノン「テツヤ 貴方が男だって分かったなら手加減はしない。テツヤは私が必ず倒してあげる。貴方に色々とレクチャーしたけど 決勝戦で最後のレクチャーをしてあげるわ。」

 

テツヤ「へぇ。偉く自信があるな。んで?最後のレクチャーってのは?」

 

シノン「《敗北を告げる弾丸の味》 貴方に思う存分知ってもらうわ。」

 

テツヤ「面白い。んじゃシノン。俺からも宣戦布告と行かしてもらう。敗北を告げる弾丸の味は教えられねぇが・・・《死線を超えた先の強さ》ってやつを存分に味あわせてやる!」

 

シノン「なら私もたっぷりとレクチャーしてもらおうかしら。でも大口叩いて決勝に来られなかったら恥ずかしいわよ?」

 

テツヤ「まぁ負けたら俺もそこまでの奴だったってことさ。そんときゃシノンの罰も受ける。」

 

キリト「が、頑張れよ2人共・・・俺も頑張るから・・・」

 

シノン「・・・・・・キリト、アンタも本戦出場が条件よ。出場出来なかった時は晒される覚悟を持ちなさい」

 

キリト「晒・・・!?が、頑張ります!」

 

シノン「いい!?何はともあれここまでレクチャーしたからには本戦で私と戦いなさい2人共!」

 

テツヤ「任せとけ!」

 

キリト「汚名は返上してみせるさ!」

 

シノン「そこの所理解して予選に挑みなさいよ!」

 

シノンの激励のおかげで気合が入った。よし!んじゃ予選決勝に進んだ時には真剣勝負だぜシノン!

 

シノンに喝を入れられたところで、俺達の前に1人の男のプレイヤーが。

 

「やぁ。遅かったなシノン 遅刻するかと思ったよ。」

 

シノン「あら こんにちはシュピーゲル。」

 

シノンに話しかけたそのプレイヤーはシュピーゲルと言うらしい。男だが髪を結ぶほどに長い髪が特徴的だ。んな事言ったらキリトの髪も長いが・・・

 

シュピーゲル「シノンにしては遅かったじゃないか。何してたんだ?」

 

シノン「ちょっと道案内をね。」

 

そう言ってシノンは俺達の方に目を向けた。

 

テツヤ「ど、どうも~♪」

 

キリト「こんにちは♪」

 

シュピーゲル「こ、これはまた随分と綺麗なプレイヤーで・・・」

 

シノン「騙されないで。こっちは男。」

 

そう言ってシノンはキリトを指さした。

 

シュピーゲル「えっ!?」

 

キリト「キリトって言います♪以後お見知り置きを♪」

 

シュピーゲル「う、噂に聞くレアアカウントってやつだね・・・ビックリした・・・」

 

テツヤ「レアアカウント?」

 

キリト「そう言えばログインした時にこのアカウントを売ってくれって人が・・・もちろん断ったけど・・・」

 

シノン「噂に聞くM9000番台のアカウントって訳ね・・・こんなややこしいアカウント作る必要ないでしょうが・・・!」

 

な、なるほど・・・GGOではアカウント事にレアリティがあるのか・・・俺の本来のアカウントはどんなやつなんだ・・・?

 

テツヤ「と、特殊な趣味の人用に作られたんじゃないかな~・・・」

 

シュピーゲル「となるとまさかそちらも!?」

 

シノン「ううん。こっちと違って彼女は正真正銘女の子よ。」

 

テツヤ「はい!ボクの名前はテツヤって言うんだ!」

 

シュピーゲル「お、女の子でテツヤ?」

 

テツヤ「実はこれボクの彼氏の名前なんです♪」

 

シュピーゲル「そ、そういう事か・・・まぁ名前は個人の自由だしね・・・」

 

いちいち出会った奴らに名前の言い訳考えるのも大変だ・・・名前だけ変えさせてもらえれば良いのに・・・

 

シノン「ところでシュピーゲル 貴方今回のBOBには参加しないって言ってたのにどうしてここに?」

 

シュピーゲル「何って、シノンの応援さ。ここなら大画面で応援できるだろ?」

 

シノン「そういう事ね ありがとう。あ、紹介しとくわねテツヤ。彼はシュピーゲル。一応前回のBOBで上位の成績を収めたんだけど 今回は未参加で応援に回るらしいの。」

 

キリト「露骨な俺への無視が辛い・・・」

 

シノン「自分がやった事の反省をしなさい!」

 

キリト「はい・・・」

 

テツヤ「と、とにかく!ボクの応援もよろしく♪」

 

シュピーゲル「あ、あぁ。任しといてよ。」

 

テツヤ「ところでなんでシュピーゲルさんは今回BOBに出ないんですか?」

 

シュピーゲル「へ?あぁ 理由はリアルの都合と ちょっともうこのアカウントじゃ厳しくてね。 選択した能力振りを間違えてね。これじゃあやってられないってことに気づいたのさ。」

 

テツヤ「そうなんですか、どんな能力振りだったんですか?ボク達一応コンバート組なんでそこの所は一応分かります!」

 

シュピーゲル「そうなんだね。実はある理由でアジリティに極端に振ってたんだけど それじゃあやってられないってことに気づいてね。全く 何がアジリティ最強だよ 困ったものさ。」

 

テツヤ「アジリティ?それってつまり素早さ重視ってことですよね?」

 

シュピーゲル「まぁそうだね。」

 

テツヤ「なーんだ!それならボクと一緒だね!」

 

シュピーゲル「君もなのか。でもそれなら残念だ。この世界ではアジリティ型は通用しないよ。」

 

テツヤ「ふーん・・・・・・よし!じゃあシュピーゲルの考えをボクが粉砕してあげるよ!」

 

シュピーゲル「へ?」

 

テツヤ「アジリティが無理?そんなの腕次第で幾らでもどうにでもなるってことを見せてあげるよ♪」

 

シュピーゲル「初心者ほどそう言ってくるのさ。甘い世界じゃないよGGOは。」

 

テツヤ「ふーん。ねぇシュピーゲル シノンはどれくらい強い?」

 

シュピーゲル「シノン?シノンはGGOの中でもナンバーワンの狙撃の腕を持ってると言われてる。そして彼女はGGOでも何人かいる中での異名持ちなんだ。」

 

キリト「異名?なんて呼ばれてるんだ?」

 

シュピーゲル「シノンの異名は゛女神゛ 由来はシノンの使うライフルの名前から来てるんだ。」

 

へぇ、女神か。シノンの異名も神の名を冠してるってことだな。

 

テツヤ「つまり、相当強いってことで間違いないね?」

 

シュピーゲル「ま、まぁ下馬評でBOB優勝もありえるって言われるくらいにはね。」

 

テツヤ「なら、ボクがシノンのことを倒してみせるよ!」

 

シュピーゲル「き、君が?無理だと思うが・・・」

 

シノン「良いじゃないシュピーゲル 言わせとけば。 テツヤ!決勝戦まで来なさいよ!アンタに風穴開けてやるからね!!」

 

テツヤ「望むところ!」

 

俺がシノンと目を合わせると、BOB開催のアナウンスが流れた。

 

『予選試合もそろそろ始まります。皆さん準備をよろしくお願いします。』

 

テツヤ「よっしゃ!勝つぞー!!!!」

 

俺はそう言いながらその場から離れ、軽い準備運動をした。

 

シュピーゲル「テツヤ 君がシノンを倒せたらアジリティでもやれるってことは認めるよ。夢を見させてくれよ。」

 

テツヤ「任しといてよ!キリト!負けないでよね!」

 

キリト「おう!俺もそろそろ1試合目だしな!」

 

シノン「私以外の奴に撃たれたらタダじゃおかないからね!」

 

テツヤ「分かってるよー♪」

 

そう言って笑顔を見せると、俺の身体は光に包まれた。いよいよ予選試合のステージに飛ばされるようだ。

 

シュピーゲル「馬鹿が・・・・・・アジリティじゃあ無理なんだよ・・・・・・!!!!」

 

シュピーゲルはそう言いながら、自身の拳を強く握りしめた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

テツヤ「こ、ここが予選ステージか・・・」

 

俺が転送されたのは広いとも狭いとも言えない崩壊した城のような物が崩れ落ちてるフィールド。さて、敵はどこに・・・

 

テツヤ「うーん・・・どこにいるんだろう・・・」

 

俺は念の為にコルトパイソンを右手に持ちながらあたりを見渡した、すると1発の弾丸が俺の横を通って行った。

 

テツヤ「っ!そこか!」

 

弾丸の発射された方向を見ると、そこには1人のプレイヤーが俺を狙っていた。よし!見つけたなら近づいて・・・

 

と思ったが敵の銃からは何発もの弾丸が一瞬のうちに発射されている。シノンの言ってたアサルトライフルとかそういうタイプか?

 

テツヤ「ちょ!?多すぎ!だっつうの!」

 

予測線が見えてるとはいえ流石にこの数を全部捌くのは無理だ。数発の弾丸を貰いながら俺は柱の裏に隠れた。柱の裏に隠れても相手からの弾丸の雨は止まない。俺は俺で弾をよけるのに必死で敵を見失ってしまった。

 

テツヤ「あんなのどう避けろっつーんだよ!」

 

俺は身体を縮こまらせて弾丸に当たらないようにした。しばらく待つとようやく弾丸の雨が止んだ。弾切れのようだな。

 

テツヤ「よぉし・・・こっからはこっちの番だ!」

 

俺は腰に装備したスラッシュエッジに手を付け、敵がどこにいるかを探る。こいつで敵を狙って気を逸らした隙にコルトパイソンで・・・よし!イメージは完璧だ!

 

テツヤ「さぁ出ておいで・・・かわい子ちゃんよ!」

 

息を殺し、敵の僅かな音を読み取るために耳に神経を集中させた。すると、近くの草むらがガサッと動いた。

 

テツヤ「っ!そこだあ!!!!」

 

俺はブーメランを敵に投げ、それと同時に敵に近づいた。動きは天鎖斬月の時よりかは劣るがそれでも充分自慢できるスピードはある!

 

「っ!ブーメラン!?牽制か!」

 

テツヤ「その通り!」

 

「っ!?」

 

敵が牽制用のブーメランに気を取られてる隙に俺は一気に近づくと、バレットサークルは敵のみを示していた。これなら当たるだろ!

 

俺はコルトパイソンの引き金を引いた。俺の放った弾丸は敵に見事にクリーンヒットした。

 

テツヤ「よし!」

 

クリーンヒットしたはいいが、敵のHPは微妙な値を残してしまった。

 

テツヤ「いぃ!?」

 

「あ、危ねぇ・・・可愛い嬢ちゃんには酷だが死んでもらう!」

 

敵は俺の頭に直接銃口を押し付けた。確かにこの距離で撃たれたらヘッドショットで一撃でお陀仏だ。

 

テツヤ「負けるなんていやぁ~!!!!・・・・・・なーんてね♪」

 

「あん?」

 

俺の発言に油断した敵は、俺を殺すことなくHPが無くなり、目の前から消え去った。俺は手元に戻ってきたスラッシュエッジをキャッチし、その場に座り込んだ。

 

それと同時に、俺の勝ちのアナウンスが流れた。

 

テツヤ「あっぶねぇ・・・とっさだったけど間に合ってくれたか・・・」

 

俺が敵をどうやって倒したか?それは簡単。スラッシュエッジでだ。

 

あの時俺は牽制用にブーメランを投げたが、それと同時に攻撃用にもう1つのブーメランを投げていたんだ。

 

牽制用のブーメランはすぐ様敵の目に入ったが、攻撃用のブーメランは大きな円を描き敵の背後から接近し俺のやられる寸前で当たったという訳だ。

 

コルトパイソンで倒せなかった時の保険に投げたが、無事に倒せて良かった・・・

 

シノンは難しいって言ってたが割とブーメランの扱いも簡単だな。スナップ効かせて身体全体で投げれば思うがままだ。その点はピッチャーに通ずるところがある。難しいって言ってたキャッチもしっかりと注意してれば難なく取れるし、俺にはうってつけの武器だった訳だ。

 

テツヤ「よし!まず一勝!!」

 

俺がそう言って天に拳を掲げると再び光に包まれ、先程の場所に戻された。

 

テツヤ「さぁて、後4勝でBOB本戦だ。頑張るぞ~!」

 

っと、その前に情報収集だ。シノンの戦いを見とこっと。

 

俺はモニターに映されてる戦いの様子に目をやった。全部のモニターを見たがシノンの戦いは表示されてない。シノンの出番はまだなのかな?それとも1戦目はもう勝った?

 

テツヤ「まぁシノンなら勝てるだろうしな。シノンとの対決がぶっつけ本番だろうがやってやるぜぇ!」

 

俺はそう言いながら自分の手のひらに自分の拳をぶつけた。

 

決勝戦は死神対女神って訳だ・・・両極端の神はどっちが勝つかな!待ってろよ女神様!

 

俺が対シノン戦に気合を入れていると、いきなり後ろから話しかけられた。

 

「お前・・・・・・・・・本物・・・・・・・・・・・・か・・・・・・・・・・・・?」

 

テツヤ「ふぇ?」

 

俺は後ろを向いた。すると後ろには図体がエギル並にでかい髑髏のフェイスマスクを付け、マントを羽織った男が立っていた。

 

テツヤ「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

俺は驚きの声を上げた。いや、後ろ向いたら馬鹿でかい髑髏フェイスが立ってるんだよ?そんなの怖がらないでいられるかってんだよ。

 

「・・・・・・怖がる必要は無い・・・・・・」

 

テツヤ「お、驚かせるなこの野郎!!!!せめて肩を叩くとかしやがれ!!!!」

 

「もう一度聞こう・・・・・・お前は本物か・・・・・・?」

 

テツヤ「ほ、本物!?なんの事だよ!?」

 

「その名前・・・・・・あのスピード・・・・・・センス・・・・・・貴様は"死神"・・・・・・だな?」

 

テツヤ「っ!?」

 

な、なんでこいつ俺の異名のことを・・・・・・死神の異名はSAOの時にしか付いてない、ALOでは全然広まってない名だぞ?

 

てなるとこいつ・・・・・・

 

テツヤ「てめぇ・・・・・・SAOサバイバーと見て間違いなさそうだな・・・・・・」

 

俺の異名を知ってるってことは少なくともSAOサバイバーの可能性が非常に高い。SAOサバイバーだったら恐らくだがSAO時代に出会っている可能性は高い。だが、どこでだ?こんなやつといつどこで・・・・・・

 

「・・・・・・何故剣を使わない・・・・・・?」

 

テツヤ「あぁん?この世界は銃で戦うのがコンセプトだろうが。俺はその世界観に合わせた戦い方をしてぇんだよ。」

 

「・・・・・・黒の剣士は剣を使っていた・・・・・・」

 

キリトのことも知ってるのかこいつ・・・・・・てなるとサバイバーってことで間違いなさそうだな・・・・・・

 

テツヤ「アイツは剣主義者だからな、俺とは違うんだよ。んな事より、てめぇ何者だ。」

 

「・・・・・・この名前 偽りでは無いな・・・・・・?」

 

そう言って見せてきたのは俺のBOB登録名。SAOサバイバーなら確かに俺とキリトの名を知ってるのは確かだがそこに本物かどうかを問うのはなんなんだ?

 

テツヤ「おう。今は都合でこんなんになってるが正真正銘の本物だ。んで?何が本物なんだ?」

 

「・・・・・・我々は・・・・・・貴様を許さない・・・・・・」

 

そう言って、男は腕に巻いてた包帯を少しだけ緩めた。

 

すると、そこに見えたのは俺がSAO時代 一番見たくないギルドマークと言っても過言ではないマークがついていた。

 

テツヤ「っ!?それは・・・・・・笑う棺桶(ラフィン・コフィン)・・・・・・!?」

 

そう、棺桶マークの中に不気味な笑う髑髏。SAO時代の悪魔と言われたナンバーワン殺人ギルド"ラフィン・コフィン"のギルドマークだった。

 

SAOの時のラフコフの残党は俺が全員殺した・・・・・・てなるとこいつは残党じゃなくてSAOの時に投獄されてたメンバーってことか・・・!!!!

 

「お前は我々の仲間を殺した・・・・・・殺人者だ・・・・・・」

 

テツヤ「戯言抜かしてんじゃねぇ!!!!俺達の仲間や罪のないプレイヤーを殺し続けたテメェらも同罪だ!!!!寧ろこっちは正当防衛が成り立つレベルだ!!!!それを都合のいい様に偽善者ぶってんじゃねぇ!!!!」

 

「・・・・・・黒の剣士は自分を偽っていたが・・・・・・貴様はどうやら馬鹿正直なようだな・・・・・・その方が話も早い・・・・・・」

 

自分を偽ったって・・・・・・こいつまさか俺より先にキリトと接触を!?

 

テツヤ「御生憎様!俺は小細工は大嫌いなんでな!!!!テメェらみたいにコソコソ逃げ隠れは殺すなんて汚ぇやり方は真っ平御免だ!!!!」

 

「・・・・・・なら話は早い・・・・・・本戦が貴様の最後の舞台だ・・・・・・あの紫髪の小娘に最後の別れを告げておくことだ・・・・・・」

 

紫髪の小娘ってユウキの事か・・・ユウキも知ってるってなるとやはりコイツ・・・

 

テツヤ「上等だ!未だ1人で昔の栄光にすがってるテメェに負ける奴だと思うなよ!!!!天鎖斬月が無かろうが俺はお前を殺す!!!!」

 

「・・・・・・楽しみにしておくがいい・・・・・・我々の恨み・・・・・・その全てを・・・・・・!!!!」

 

そう言って髑髏フェイスの男はどこかへと歩いて行った。

 

テツヤ「クソ・・・・・・ラフィン・コフィンの残存メンバーとは・・・・・・こりゃ本気で一筋縄じゃ行かねぇミッションになったな・・・・・・」

 

ラフィン・コフィン。 HPが尽きたら死ぬSAO時代にプレイヤーキルをなんの躊躇もなく行ってきた犯罪者共で、リーダーの名はPoH。リーダーの顔は誰も見たことは無いがその罪の意識の無い男は多くの死ぬ必要のなかったプレイヤーを殺してきた。

 

その中には アスカも・・・・・・・・・

 

興奮状態だった俺は次の試合で支障が起こらないようクールダウンする為に、どこかで1人になろうと歩いていると、頭を抱え、座っているキリトの姿を見つけた。

 

テツヤ「っ!キリト!!!!」

 

俺はキリトの側まで駆け寄った。キリトは大量の汗を流して、呼吸が荒くなっていた。

 

テツヤ「き、キリト!?どうしたんだ!?」

 

キリト「テツヤ・・・俺は・・・俺は・・・!!」

 

キリトの声はいつもの声ではなく、何かに怯えている声だった。

 

テツヤ「・・・・・・そうか・・・・・・俺も会ったよ・・・・・・本人かって聞かれたよ。」

 

キリト「・・・・・・なんで・・・・・・なんでアイツらが・・・・・・!!」

 

テツヤ「・・・・・・俺達で因縁にケリを付けろってこったろうな・・・・・・」

 

SAOにおける攻略組であった俺達と、ラフィン・コフィンの因縁は深く、幾度となく闘って来た。

 

そう、それは《血の惨劇》と言われたあの日も例外では無かった・・・・・・




シノンに性別がバレてしまい、酷い扱いを受けたキリトと情けを貰ったテツヤ。

シノンと予選決勝で戦う為に気合を入れるテツヤだったが、そこで遭遇したのはなんとSAOの頃の宿敵ラフィン・コフィンの残存メンバーの一人だった。

怯えるキリト。そして、血の惨劇とは一体なんなのか。

次回もお楽しみに!

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