ソードアート・オンライン~死神と呼ばれた剣士~ 作:畜生ペンギン
では早速本編をどうぞ!
ガンゲイル・オンライン。略称GGO内ではALOで使用される魔法や剣等といったファンタジー感溢れる戦闘方法とは違った近代的な銃撃や手榴弾による攻撃と言った戦闘方法で日夜プレイヤーが弾丸をモンスターや相手プレイヤーに撃ち放っている。
今、モンスターと対峙している少女もまた、そんな弾丸を放つ1人のプレイヤーであった。
~数ヶ月前・GGO内SBCグロッケン 地下ダンジョン~
「・・・・・・」
その少女はたった一人で中ボスレベルのリザード型モンスターと戦闘していた。
所持している武器はスナイパーライフル。スナイパーらしく下手に動くことは無くその場で的確にモンスターの急所を狙い定めていた。
だが、当然モンスターの方もただでは終わらない。反撃行動に出るが場所が悪く攻撃は外れ、その攻撃の隙を突かれ急所を撃ち抜かれた。モンスターは急所を撃ち抜かれた拍子に倒れ、自身の持つ尻尾がダンジョン内の柱を崩してしまい、モンスターはその柱の下敷きに。
モンスターの急所は背にある傷。少女は焦ることなく深呼吸をし、そのまま数発を急所に撃ち込み、モンスターのHPは無くなり、消え去った。
「・・・ミッションコンプリートってとこね・・・」
少女は無闇に戦闘していたのではなく、クエストを受注しており、クエストの内容通りの仕事をこなした。
そして、クエストクリア後の楽しみであるクリア報酬の画面が少女の目の前に現れていた。そこに表示されていたのは、新たなスナイパーライフルの獲得画面だった。
少女はそのライフルをタップし、実際に取り出してみるとずっしりとした重量のスナイパーライフルだった。
「ウルティマラティオ・へカートII・・・」
《へカート》。それはギリシャ神話における女神である《ヘカテー》から名前が取られている。所謂神の名を冠した武器。
ボルトアクション方式のライフルであり、現在でもフランス軍で使われている列記としたスナイパーライフルだ。
そう。この武器はテツヤで言う天鎖斬月。キリトで言うダークリパルサーとエリシュデータの様に、彼女の愛武器となる代物であった。
「私は・・・これでもっと強くなってみせる・・・!」
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時は現在に戻り、GGO内・荒野フィールドに場所を移す。
その場所は砂嵐が吹き荒れるような視界の悪いフィールドだった。
荒野の一角の岩場には、一組のスコードロンが武器の調整や弾薬補充に勤しんでいた。
「なぁダインよぉ?本当に来るんかぁ?ガセ掴まれたんじゃねぇだろうなぁ?」
1人のプレイヤーが口を開く。その名はギンロウ。目にはゴーグルを付け、モヒカンオンリーの髪型が特徴的なプレイヤーだ。ダインと呼ばれた髭を生やし、カウボーイの様にテンガロンハットを被っているプレイヤーがそれに応える。
ダイン「奴らのルートは俺自身がチェックした。間違いはない。 なぁに、時間通りに来ないってのは付き物だ。中々モンスターが来なくて未だに粘ってるとかな?その分、狩った時の分け前は増えるんだ。文句は無しで行こうぜ。」
ギンロウ「でもよぉ?今日の獲物、先週と同じヤツらなんだろ?警戒してルート変えるなんてありえるぞ?」
ダイン「奴らはモンスター狩りに特化したスコードロンだ。襲われようがそれ以上の儲けがあれば構わないって言うのがスタンスだろうよ。俺達対人スコードロンには絶好のカモって訳だ。プライドの欠片もねぇような奴らだよ」
ギンロウ「へっ。ちげぇねぇな。」
ダイン「あいつらが装備しているのはモンスター用の光学銃ばかりだ。防護フィールドさえあれば問題は無い。」
ギンロウ「でもよでもよ?連中がなんか対策してきたらどうすんだ?」
ダイン「対策と言っても、早々直ぐに対人戦用の実弾銃を人数分用意出来るとは思えんがな。出来て支援火器を一丁用意できるのが関の山だろう。それに・・・もしそんなもんがあろうが、そいつは"GGOナンバーワンスナイパー"が潰すさ」
そう言ってダインが目を逸らした先には、自身のスナイパーライフルを近くに置き、静かにその時が来るのを待っているかのような少女のプレイヤーがいた。
ダイン「作戦に抜かりは無しだ。なぁ?そうだろう《シノン》。」
少女の名はシノン。先程ダインが言ったように現状のGGOで1番の腕を持つスナイパーだ。
水色の髪と瞳が特徴的なプレイヤーで、装備はまるで荒野のガンマンとは思えないような太腿や腰の辺りを露出しているセクシーな装備になっている。
ゲーム内1番のスナイパーであると同時に、裏ではGGOナンバーワン美少女として非公式ファンクラブが成り立つ程の可憐な容姿をしている。
シノン「うん。」
シノンはクールにたった一言そう言った。
ギンロウ「まぁ、それもそうだな。シノンの遠距離攻撃がありゃ優位は変わらねぇな。」
ダイン「そういう事だ。」
ギンロウ「なぁ?もし!もし万が一にだがよ?シノっちが外しちゃったとしても、シノっちが移動して、敵の認識情報が変わる60秒間の間はこの俺がバッチリと稼いでみせるぜ~!」
そう言われたシノンだったが、何も言わず、ただギンロウのことを見ていた。
ダイン「お前はなぁ・・・」
ギンロウ「でさ!でさ!シノっち~!今日この後時間ある~?いい品揃えのガンショップ見つけたんだ~ついでに~お茶でも~どうかな~って~でへへ~♪」
シノンにそう話しかけるギンロウはシノンに近づき、シノンの身体をいやらしく見ると、鼻の下を伸ばし始めた。
シノン「ごめんなさいギンロウさん今日はリアルでちょっと用事があるから。」
ギンロウ「あぁ~そういやシノっちはリアルだと学生さんなんだっけ~レポートか何かかな?」
シノン「えぇ、まぁ・・・」
「ギンロウさん?シノンさんが困ってるじゃないっすか。リアルの話はここではご法度!」
「そうそう。向こうだろうがこっちの世界であろうが侘しいソロ生活だからってよぉ?」
ギンロウ「んだとぉ!?お前らだって春が来た試しねぇじゃねぇか!!」
シノンはその会話を耳にし、呆れたように首元に巻いてるスカーフで口元を隠した。
ダイン「ったくお前らいい加減にしねぇか。」
「来たぞ。皆。」
見張りをしていたプレイヤーがそう告げる。待ち伏せしていたスコードロンがいよいよ姿を表したようだ。
シノンはその言葉を聞くと、閉じていた目を開いた。
ダイン「ようやくか。どれどれ・・・」
ダインは見張りから双眼鏡を受け取ると、敵スコードロンの姿を確認した。
ダイン「1、2、3・・・7人?先週より1人多いな。」
シノンは自身のスナイパーライフルであるへカートのスコープを覗き、シノン自身で敵の確認を行った。
ダイン「光学系ブラスターの前衛が4人。大口径レーザーライフル1人。実弾銃持ち1人。Minimiのようだな。良し。狙うならこいつだ。さて、最後の一人は・・・マント被ってて武装が分からん」
ギンロウ「マント?そんな奴がいんのか。」
ダイン「あぁ。」
ギンロウ「あ、あれじゃねぇのか!?噂の゛
ダイン「まさか。そんなの存在してたまるかってんだ。多分あいつはストレングス全振りの運び屋だ。稼いだアイテム、弾薬、エネルギーパックを背負ってるんだ。戦闘では無視だな。」
シノンも自身のスナイパーでマントの男を確認すると、ダインに話しかけた。
シノン「あの男、嫌な感じがする。最初の狙撃はマントの男にしたい」
ダイン「何故だ?大した武装も無いのに。」
シノン「根拠は無いけれど・・・不確定要素だから気に入らないだけ。」
ダイン「いや、それならあのMinimiだろう。あれに手間取ってる間にブラスターに接近されてみろ、面倒なことになるぞ。」
シノン「・・・分かったわ。第一目標はMinimiに。可能だったら次でマントの男を。」
ダイン「分かった。頼んだぞシノン。」
「おい、喋ってる時間はもう無いぞ。距離は2500。」
ダイン「良し、作戦通りに俺達は正面のビルに移動して敵を待つ。シノン。状況の変化があれば即刻連絡を。狙撃タイミングはこちらで指示する」
シノン「了解。」
ダイン「良し。行くぞ!」
ダイン達は作戦の場所に向かい、シノンはその場に残りダインの指示を待つ。
シノンはスコープを覗きながら敵を確認しながら、ダインの通信を待った。
ダイン『位置に着いた。変わりはあるか?』
シノン「こちらの方は変化無し。移動速度、人数共に変更無し。そちらとの距離は400。こちらからは1500。」
ダイン『遠いな、行けるか?』
シノン「問題は無い。」
ダイン『なら狙撃開始だ。頼むぜ、シノン』
「了解。」
シノン(こんなプレッシャー・・・こんな不安・・・こんな恐怖なんて・・・距離1500?そんなの、丸めたゴミをゴミ箱に入れるようなものだわ。そう・・・"あの時"に比べれば・・・・・・)
シノンは一呼吸置き、引き金に指を付けた。
シノン(私は・・・強くなるんだ・・・あの時出会った"彼"の様に・・・!!)
シノンはその想いと共に、最初の引き金を引いた。
シノンの放った弾丸は寸分たがわず第一目標であったMinimiを撃ち抜き無力化した。
シノン「次!」
シノンは直ぐにリロードし、シノンの当初の目標であったマントの男に狙いを定め、二擊目を放った。
その弾丸は敵には当たらず、避けられてしまい弾丸は敵の後ろの岩を貫通しただけだった。
シノン「第一目標クリア。第二目標フェイル」
ダイン『了解。シノンはその場で待機。よし!俺達の出番だ!』
シノンはスコープで味方を確認しつつ、マントの男に目を移すと、マントの男は怪しげな動きをした後、そのマントを脱ぎ捨てた。
シノン「っ!?あ、あれは・・・ミニガン!?」
シノン(あのパーティーがやけに遅かったのは狩りが長引いたとかじゃなく、ミニガンの重量による移動ペナルティーだったのね・・・!)
マント男は背負っていたミニガンを構え、敵を倒すために前進していたシノンのパーティーメンバー数人を着実に倒して行った。
ギンロウもまたその犠牲の内の1人となってしまった。
ダイン「なっ!?」
ミニガンは重さはあるが、1度放てば銃口から毎分約4000発もの弾丸が発射されるというまさに一撃に長けた武器。1度弾丸に当たってしまうと一溜りも無い武器だ。
マントの男は、2、3人を倒した余裕からか、口元を緩めた。
シノン「っ!あの顔・・・・・・!」
シノンはダインの先程の指示を無視し、その場から移動し始めた。
シノン「あの顔は・・・笑っていた・・・あの男は戦場で笑うだけの余裕があって・・・"強さ"があるってこと・・・!!!」
強さへの他の誰にも並ぶこと無き思いを持つシノンにとって、その男の行動は、捨てられるものでは無かった。
シノン「あの男は・・・私が殺す・・・!」
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ただの荷物運びだと思っていたプレイヤーが、ミニガンを所持していたとなり、一気に形勢が不利になったシノン達。
現在、ダインらが必死にミニガン以外のプレイヤーを倒そうとするが、その度にミニガンの邪魔が入り、中々現状を打破する術を見つけられずにいた。
ダイン「畜生!これ以上近づかせるな!」
「お、おう!」
ダイン「これ以上後ろは機械があってもう下がれねぇぞ・・・クソッタレめ・・・!」
勝てると思っていた相手にこうも押され、ダインは若干焦りを抱いていた。
そんなダインの目に、走ってくるスナイパーのシルエットが入った。
そう、正体はシノンだ。
ダイン「し、シノン・・・!!」
シノンは敵から放たれた数発の弾丸を華麗に避け、無傷でダインの傍に到着した。
「し、シノン!」
シノンの合流はこの上ない現在打破のチャンスだった、その好機にメンバーはシノンの傍に集まるが、ダインはシノンが来たことについて別段喜んでいる訳でもなかった。
ダイン「あの野郎共・・・用心棒を雇ってやがった・・・!」
シノン「用心棒?」
ダイン「あのミニガン使いだが・・・あいつは"ベヒモス"っつうマッチョ野郎だ・・・」
シノン「用心棒だろうが、このまま隠れていたら全滅は時間の問題。ミニガンの弾丸もそろそろ底が見えてくるころよ。全員でアタックすれば派手な一斉掃射は躊躇うはず。貴方達2人は左から、私とダインは右から攻め込む。残りはここから援護をお願い」
ダイン「無理だ・・・!ブラスターだって3人残ってる・・・突っ込んだら防護フィールドの効果が・・・!」
シノン「ブラスターの連射は実弾銃程じゃない!半分は避けられる!」
ダイン「無理だ!!!!突っ込んだら最後・・・ミニガンにズタズタにされる・・・・・・!残念だが、ここは諦めよう・・・連中に勝ち誇られる位ならここでログアウトして・・・!」
シノン「ログアウトしたって逃げられるわけじゃない。」
ダイン「何だよ・・・ゲームなんかに本気になるなよ!!!!!!どうせ突っ込んでも無駄死にだ!!!!!!」
シノン「なら死ね!!!!!!!!!」
弱音を吐き続けるダインに向け、シノンはその言葉を叫び、ダインの胸ぐらを掴んだ。
ダイン「なっ!?」
シノン「たかがゲーム・・・・・・?されどゲームよ!!!この世界にいるのならば!!!そしてこのゲームをプレイしてるのならば銃口に向かって死んで見せろ!!!!!!」
シノンのその発言で、残存メンバーは身を引きしめた。
シノン「3秒でいい。ミニガンの注意を引き付けてくれれば私が奴を始末する・・・!」
「わ、分かった!」
シノン「良し。二手に別れて。左右から一斉に出る。」
「お、おう!」
シノン「良い?ダイン。」
ダイン「・・・わぁったよ・・・!」
こうして、パーティーのメンバー全員でのベヒモス戦が始まった。
シノンの合図に作戦は始まり、左右から飛び出すと同時に、敵の弾丸がメンバーを襲う。
シノン「ダイン!援護!」
ダイン「了解!」
シノンは無防備な状態のベヒモスを発見しており、すぐ様へカートで狙いを定め、弾丸を放ったが、寸前のところでベヒモスに気づかれ、弾丸はまたしてもベヒモスには当たらず。
だが、今度の弾丸はベヒモスの付けていたサングラスに命中し、ベヒモスは多少だが驚きの表情を見せた後、すぐ様ミニガンを構えた。
そのミニガンはシノンに向けられ、無防備状態のシノンは狙われ、ベヒモスは引き金を引いたが間一髪のところでダインの援護射撃が肩に命中し、狙いが逸れた。
ベヒモスが怯んだ隙にシノンはその場から移動し隠れたが、ダインは隠れる場所もなく、防護フィールドによって守られているだけだった。
ダイン「クソが・・・・・・たかがゲーム・・・・・・されどゲームってか!!!」
ダインは意を決し、敵のブラスター部隊に突っ込んで行き、ブラスターの攻撃により倒れた。
「へっ。なんだコイツ?ただ突っ込んできただけじゃねぇか。」
そう、一見ダインは犬死したかに見えたが、死ぬ間際に手榴弾を手に持っており、ダインが戦死したことにより手榴弾は敵のいる後ろに放り込まれ、ブラスターの部隊は手榴弾の爆発により壊滅した。
シノン「ナイスガッツ・・・!だけど・・・どうにかしてベヒモスの死角に入らないと・・・この爆発で煙ってる状態なら相手もこっちは分からないはず・・・今だったらあの塔に移動もできるはず・・・!」
シノンは近場にある壊れた塔に目を付け、辺りが爆発による煙で充満している隙に、塔の最上階を目指した。
シノン(あの男には戦場で笑えるだけの強さがある・・・あの男を殺せば・・・また一歩強くなれる・・・!)
崩壊した塔の最上階に到着したシノンはスコープで狙いを定めたが、既にベヒモスがシノンを捉えており、シノンは狙われている状態にあった。
シノン「くっ・・・!!!」
もうどうすることも出来ず、シノンはその場から飛び降りた。ベヒモスもそれを狙い弾丸を放つと、シノンの左足に弾丸は命中しシノンの左足は欠損状態になった。
「くくく・・・・・・はっはっはっはっはっ!!!!!!!!!」
この時、ベヒモスは初めて声に出し笑った。そう、ベヒモスはシノンを倒したと確信していたのだ。
「なっ・・・!?」
だが、ベヒモスの思惑通りには行かず、シノンはまだ生き残っており、空中にいるシノンを撃ち落とす為にベヒモスはミニガンを放つ。
だが、シノンは空中でも自身の身体のバランスを上手く取り、全ての弾丸を避けていた。
シノンとベヒモスの距離は、もうすぐ傍に迫っていた。そうなると、重火器のミニガンではもう何も出来ない。
シノン「THE END・・・!!!」
シノンの放った弾丸はベヒモスの額を撃ち抜き、遂にベヒモスはシノンの前に倒れたのだった。
シノン「・・・・・・これで・・・・・・また一歩・・・・・・強くなれたのかな・・・・・・」
1人生き残ったシノンは、荒野に横たわると、自身の手を出し、強く拳を作った。
そう、シノンが以前見た"彼"の様に。
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「・・・・・・・・・・・・・・・」
あの激闘の後、少女はログアウトをした。
ログアウトした少女が最初に取った行動は自身の手で銃を表すことだった。
「もっと・・・もっと・・・強くならなきゃ・・・!!!!!!」
VRMMOからログアウトしたプレイヤーは、どんな人であろうと現実世界に戻る。
幾らVR世界で強かろうが、現実で弱くては行けない。だからもっと、もっともっと強くならなきゃいけない。現実世界でも強くなれたと実感出来る程に。
そう思いながら、彼女はそっとアミュスフィアを置くのであった。
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再び場所が変わり、ALO内。
現在、リズのいつもの諸々の素材が欲しいとの頼みによりシリカとリナが狩りに付き合っている。
その狩りも一通りは終わったようだ。
リズ「どれどれ・・・うん!上々!」
シリカ「素材は集まりましたか?」
リズ「まぁ大体ね。」
リナ「まだまだ働くよ!いつもリズベット武具店にはお世話になってるしね♪」
リズ「ありがとね♪でも、あらかた狩り尽くしたしモンスターがリポップするまで休憩にしようか。」
リナ「うん。そうしよ。」
シリカ「そうしましょう!あ、そう言えばあの御二方は?」
リズ「て言うか!本当はいつも武具店使うくせに毎度毎度金を払わないあの馬鹿に目一杯働いてもらおうと思ってたのに・・・ユウキとイチャコライチャコラしおってからに・・・!!!!!!」
リナ「ま、まぁまぁ・・・」
リズ「いつもイチャついてんだからたまにはこっちに付き合えっての!」
リナ「が、学校でもあんななの?」
リズ「あんなのよ!」
シリカ「多分キリトさんアスナさんよりイチャついてる頻度は高いですね・・・」
リナ「そ、そうなのね・・・」
そう、本当は今日はこの3人に加えテツヤとユウキを加えた5人のパーティーだったのだが、テツヤとユウキがイチャコラしっぱなしなので実質的に3人パーティーとなってしまっていた。
テツヤ「あぁ~・・・良い気温だな~」
ユキ「そんなに寝転がってばかりいると牛になっちゃうよ~」
ユウキ「まぁまぁ♪お父さんも疲れてるんだってさ。」
ユキ「むぅ~」
テツヤ「・・・・・・」
テツヤ(デスガンか・・・・・・偶然が偶然が重なり合った殺人事件。ゲーム内の弾丸はどういう細工で動き、どういう工程で現実でも2人のプレイヤーが・・・・・・)
テツヤ「・・・・・・なぁ、ユウキ。何も言わずこいつを受け取ってくれないか?」
テツヤはそう言って、アイテムストレージから1本の武器を取り出し、ユウキに手渡した。
ユウキ「え?これって斬月だよね?なんで斬月を?」
テツヤ「いや・・・実は俺コンバートしようと思ってさ。」
ユウキ「はぁ!?コンバート!?」
ユウキのその声はとてつもなく大きな声量となり、近くにいたテツヤとユキは思わず耳を塞いだ。
テツヤ「んなでかい声で言うな!うるさいわ!」
ユキ「耳が壊れるかと思った・・・」
ユウキ「だ、だっていきなりコンバートするなんてビックリするに決まってるじゃん!」
テツヤ「仕方ねぇだろ?俺にも急な用が出来ちまってさ・・・」
ユウキ「って言うことはまさかALO辞めるとか!?」
テツヤ「辞めねぇよ。ほんの数日間のレンタル移籍だ。用件が済んだら再コンバートするよ。」
ユウキ「て言うかコンバートするほどのことなの?その用件って。コンバートしたらアイテムとかリセットされちゃうよ?なんでそこまで?」
テツヤ「お前があんまし好きじゃない総務省のお偉いさんからのお呼び出しだよ。」
ユウキ「えぇ~!?またァ!?どれだけテツヤを使いっ走りにしたら良いのさ!!!」
テツヤはそうでもないが、ユウキ本人はあまり菊岡のことは好きじゃない。どうやらテツヤを好き勝手してるのが許せないらしい。
ユウキ「まぁあの人の頼みなら断れないのはわかるけども!本当に全面的に協力していい人なの?」
テツヤ「まぁまぁ、危なかったらそこで縁を切ればいい話さ。何より・・・・・・今回は"殺し"が噛んでるからな」
ユウキ「っ!?殺し!?」
テツヤ「あぁ、その為の現場調査って訳だ。」
ユウキ「ほ、本当に大丈夫なの!?そんなゲームやって!て言うかテツヤALO以外のMMOほぼやってないのに本当の本当に大丈夫なの!?」
テツヤ「大丈夫だって。心配しなさんな。な?ユキ。」
ユキ「心配するよ!だってお父さん死にそうだもん!」
テツヤ「ありゃりゃ。嫁さんと娘からは信頼されてない訳か。」
ユウキ「良い?無茶は絶対にしないこと!!!危ないと思ったらすぐにその場から離れる!ボクとの約束守れる?」
テツヤ「おう。任せとけって。」
ユウキ「じゃあ指切りげんまん!」
テツヤ「分かったよ。」
ユキ「ユキも!」
テツヤはユウキと小指を結び、ユキはフェアリー姿だったので指にしがみつき、指切りげんまんをした。
テツヤ「んじゃユウキ。俺のいない数日間斬月のことはよろしく頼んだぞ。」
ユウキ「うん!任せといて!」
テツヤ「よし!んじゃユウキ!皆に混じって狩りに参加するか!」
ユウキ「うん!どっちが多く倒せるか勝負だよ!斬月は返さないもんね~♪」
テツヤ「へっ!斬月が無かろうが負けはしねぇよ!皆!次からは俺とユウキも入るぞ!」
テツヤ(待ってろよデスガン・・・・・・俺が死の名を語ってる二番煎じ野郎に負けてたまるかってんだ!!!)
戦場の中に可憐に咲くシノン。彼女の強さへの渇望は一体なぜ?
また、シノンは強さの見本としてる彼と再び会うことは出来るのか?
次回までは恐らく現実世界の話をお送りし、次の次の回からGGOログインになると思います!
それでは次回もお楽しみに!