ソードアート・オンライン~死神と呼ばれた剣士~ 作:畜生ペンギン
と言ってもこの話は触り程度の回ですがどうかお楽しみ頂けたら幸いです!
それではどうぞ!
Part107 新たな使命~VR内での殺人~
死、一般的にこれは人の最期を意味する言葉だ。
死にも色々と形はある。病死、圧死、焼死、安楽死、服毒死等、挙げればキリがない。
もしこの死と言うワードを類似語も使って、最も邪悪な物に近づけるのならば・・・
それぞれ個人差はあるだろうが・・・・・・《殺人》だろうか。
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俺は、ある時に30人もの人を殺めた。
本来、正当防衛なんて絶対起こらない人数だが俺は罪には一切問われず、寧ろその後簡単な表彰すら受けた。
何故か?答えは簡単。そいつらは国を荒らすテロリストだったからだ。
俺の手は、その30人の血に塗れた。
だが、それ以前にも、俺の手は既に血に塗れていた。
そう・・・・・・そのテロリスト集団の本丸との戦いで。
~哲也自宅~
哲也「うぅーん・・・・・・あー良く寝た・・・・・・」
昨日までの合宿の日程も終わり、今日からはオフ。俺は昨日までの疲れも大分あって普段より遅くまで寝てしまった。
寝ぼけている目を擦り、辺りを見回すと、俺の布団の中はやけに膨らみ、腹部の辺りがゴソゴソと動いていた。
だけど、よーく見てみると、布団の中からアホ毛が1本ちょこんと飛び出ていた。俺はそのアホ毛を見て直ぐに木綿季だと分かった。
哲也「ったく、おはよう。木綿季。」
布団越しに木綿季の頭を撫でると、木綿季は布団からゴソゴソと動き出し、布団から飛び出てきた。
木綿季「ぷはぁ!おはよ!哲也!」
木綿季はそう言って俺の胸元に頬擦りをしてきた。いつも通りの甘えん坊のようだ。
哲也「よしよし♪」
木綿季「えへへ~♪」
木綿季のアホ毛はまるで犬のしっぽのようにぶんぶんと振られている。ご機嫌なようで何よりだ。
さて、今日は何と俺木綿季カップルと和人明日奈カップルのダブルデート!楽しみだな~♪
哲也「んじゃあ木綿季!さっさと支度済ませてデートへと繰り出しますか!」
木綿季「うん!っていうか、哲也が寝てる間にボクは準備完了してるもんね♪」
哲也「やる事やってから甘えてたんだな、偉いぞ~♪」
木綿季「ほら!哲也も支度支度!」
哲也「あぁ!」
そう、今日はSAOサバイバー4人によるデート。これも、あの時、あの一瞬一瞬に全てをかけたからこうして暮らせている訳だ。
・・・・・・無論、SAOでは死んでしまった人だって大勢いる。俺達はそんな人達の為にも生きるんだ。
生きて、皆確かにそこにいたってことを皆に伝え続けることが、俺達サバイバーの仕事というか、義務なんじゃないかな。
哲也「さぁて準備完了!木綿季。前にも言った通り先に出る。用事が終わり次第デートの場所に向かうよ。」
木綿季「うん!気をつけてね?」
木綿季はそう言って抱きついてきた。いつもの事だがこれが愛らしい。
哲也「うん。行ってくるね木綿季。」
木綿季の頬にキスをし、俺は家を出たのだった。
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実は今日のダブルデート、俺と和人の提案だった。俺と和人は今日この日にとある男に銀座まで呼び出されていて、話があるのも1時間かそこらだからせっかくだし木綿季と明日奈も呼んで東京でデートしようとなったのがきっかけだった。
今現在、俺は和人と銀座で合流し、結構高そうなカフェの前にいた。
哲也「ったく、こんな所にわざわざ呼び出しやがって・・・入るぞ。和人。」
和人「あぁ。」
俺と和人は店の中に入り、今日呼び出した張本人の座席を探した、すると一際でかい声で俺達を呼ぶ男の姿があった。
俺と和人はその座席まで移動し、椅子に座った。
「やぁやぁ2人共。ここは僕が受け持つから好きなの物を頼んでくれよ。」
哲也「そういう事なら遠慮なく~♪」
和人「お言葉に甘えます。」
「話しづらそうだし今日はALO内と同じ感じで良いよ。楽に行こうじゃないか。」
和人「それじゃあそうさせてもらうよ。」
哲也「さぁてメニューはっと・・・・・・っ!?た、高い・・・!」
和人「どれどれ・・・・・・ってこんなの学生の背丈にあった値段じゃ・・・・・・」
哲也「ま、まぁ今日は奢りなんだ。気にするこたぁねぇさ。」
「ご注文お伺いします。」
哲也「あ、ええっと・・・・・・か、カプチーノとモンブランを。」
和人「パルフェ オ ショコラと、フランボワズのミルフィーユ、それにヘーゼルナッツカフェ。」
「かしこまりました。」
哲也「お前結構頼むんだな。」
和人「こっちはお前より遠くから来てるんだぞ。その分食べさせてもらうよ。」
「いやぁこの暑い中ご苦労だったね2人共。あれ?哲也君少し日に焼けた?」
哲也「昨日まで炎天下の中で合宿してたからな。そりゃ黒くもなるさ。」
「そうかそうか、健康的で何より。キリト君はここ最近は何を?」
和人「俺は色々と。それとその名前をここで呼ぶのは止めてくれ。」
「連れないなぁ。1年前に病院で目覚めた君の元に真っ先に駆けつけたのは僕じゃないか。」
そう、何を隠そう俺と和人の目の前にいるこの男はSAOクリア後に俺と和人にとって生還後1番最初の訪問者である総務省の総合通信基盤局のSAOを担当にしていたリーダー格のこの人。
菊岡「最も、哲也君の場合は生還当初死んだかのような気の抜けようだったから大変だったけどね。」
俺もこの人と生還してから最初に話したんだが、その時の俺は木綿季の死による絶望と、自分自身が生きてる意味が分からなかったからロクな会話にはならなかったのは良く覚えてる。
哲也「こっちだって色々とあったんだよ。あんたらが大変なように。んでだ、今日はなんでわざわざこんな所に呼んだんだ?」
和人「またSAO関連の話か?それならもう多くの事を話したじゃないか。」
菊岡「ところが、今日は別件でね・・・・・・2人共、これを。」
菊岡さんは俺と和人の前に1つの小型のディスプレイを出してきたので、俺がそれを受け取った。
和人と共に目を通すとそこには良く分からん男の写真が乗っていた。
和人「誰なんだ?この男は。」
哲也「知り合いじゃねぇのは確かだな。」
菊岡「先月の事だ。6月18日と言ったところか。東京都中野区の某アパートで掃除をしていた大家が異臭に気づいた。大家はその部屋の電子ロックを解除。踏み込んでみるとこの写真の男
哲也「アミュスフィアって訳だな。」
菊岡「その通り。変死ということで司法解剖が行われた結果、死因は急性心不全となっている。」
和人「心不全って・・・心臓が止まったって事だろ?なんで止まったんだ?」
菊岡「それが・・・・・・分からない。と言うのが現在の状況だ。」
哲也「分かんねぇってなぁ!なんの為の司法解剖だよ!」
菊岡「て、哲也君!しーっ!一応ここはお昼時のマダムが集まる場所なんだからそう言ったワードは控えるように頼むよ。」
哲也「あ、あぁ。悪い。」
思わず声を荒らげたとこで先程頼んだメニューが運ばれてきた。
菊岡「さぁ哲也君。一度落ち着こう。君の気持ちも分かるが焦っていては話せる話も話せなくなる。」
哲也「わあってるよ。」
俺は運ばれてきたカプチーノを飲み、気持ちを落ち着かせた。
哲也「良し。続けてくれ。」
菊岡「哲也君の言ったことなんだが、死亡後5日過ぎていたこともあり時間が経ちすぎていた。それに犯罪性も薄かったからあまり綿密な解剖は行われなかったんだ。ただ、彼は2日間は何も飲まず食わずでログインしっぱなしだったらしい」
和人「その手の話は少なくはない。このケースとどういう関係が?」
菊岡「インストールされていたのは《ガンゲイル・オンライン》君達は聞き覚えは?」
哲也「いや、全然。」
和人「日本で唯一プロがいるってMMOゲームだろ?」
哲也「良く知ってんなお前は。俺なんてここ最近のMMOなんてALO位しか知らないしやってないのに。」
和人「MMOプレイヤーの癖にお前が知らなさ過ぎるんだよ」
哲也「そ、そういうもんなのか?」
菊岡「さて、話を戻すと彼はガンゲイル・オンライン略称GGOにて4月頃に行われた最強者決定イベントに参加し、優勝していた。キャラクター名はゼクシード。」
哲也「それじゃあまさかとは思うがログインしていたGGOで殺されたのが余りにもショックすぎて心臓が止まったぁ・・・とか?」
菊岡「流石にそれでショック死したら相当メンタル弱い人だと思うよ?後、彼は死の直前はGGOでは無くMMOストリームという番組に出ていたんだ。ゼクシードの再現アバターでね。」
哲也「MMOストリーム内でまさかの事件とか?」
和人「いい加減その線から離れろよ・・・」
哲也「でもよぉ?いきなり死ぬなんてVR内で何か起きたとしか考えようが・・・」
菊岡「哲也君の推測は間違いじゃないよ。寧ろあってるのかな?」
哲也「あ、あってるって・・・」
和人「どういう・・・・・・」
菊岡「未確認ではあるんだが、彼が発作を起こした時刻にGGO内で妙な事があったらしくてね。それをブログに書いてたユーザーがいてね。」
哲也「妙な事って一体?」
菊岡「ある酒場で問題の時刻の時。1人のプレイヤーがおかしな行動をとったらしい。なんでも、テレビ画面のゼクシード氏に向けて裁きを受けろなどと叫び、銃を発射したという。その中に居合わせたプレイヤーの1人が音声を録音。動画サイトにアップしたんだ。ファイルには日本標準時のカウンターも記録されていて、テレビへの銃撃と茂村が番組出演中に消えたのはほぼ同時刻だった。」
和人「偶然だろ?」
哲也「出来すぎだそんな話は。」
菊岡「まぁそう思うのも当たり前ではあるが・・・・・・もう1件、あるんだ。」
哲也「んだと!?」
菊岡「今度のは6月28日 埼玉県さいたま市某所で、やはり二階建てアパートの一室から死体が発見された。新聞の配達員の人が家を覗くと、ベットに横たわりアミュスフィアを付けた人間がいてね、同じ異臭が・・・」
菊岡さんは真剣な表情で事の経緯を話すが、声が大きかったのか近くの年配の方にわざとらしい咳をされてしまい話は途切れてしまった。いや、そりゃ死体だ異臭がだなんて聞いてられないのも分かるけどね。
菊岡「詳しい死体の状況は省こう。さて、死因はこれまた心不全。彼もまたGGOの有力プレイヤーだった。キャラネームは・・・・・・薄塩たらこ?彼はゲームの中らしいね。彼はその時刻にグロッケン市内のスコードロン、ギルドのことらしいね。その集会に出ていたらしい。そこで、乱入したプレイヤーに銃撃された」
哲也「銃撃したのはゼクシードの時と同じか?」
菊岡「恐らく。裁きや力と言ったワードの後に同じキャラクター名を名乗っている。」
和人「プレイヤー名は?」
菊岡「
哲也「デスガン?なんだそりゃ。」
和人「この2人の心不全ってのは確かなことか?」
菊岡「と言うと?」
和人「脳への損傷は?」
哲也「SAOと同じ原理だったら脳へのダメージがあるってことか。」
菊岡「僕もそれが気になってね。司法解剖した医師に話を聞くと脳への異常は見つからなかったらしい。それに、ナーヴギアの時は高出力のマイクロウェーブで脳を焼き切ることが可能だったのだが、アミュスフィアの開発者達はそういった事は不可能だと言っていたよ」
哲也「なるほどな。にしても動きが早い事だ。偶然と噂で出来上がったネタにしてはな。」
菊岡「9割は偶然、ネタだとは思っているさ。そこは仮定の話。2人に聞こう。この偶然とネタと言われてる芸当、実際に可能だとは思うかい?ゲーム内での銃撃により、プレイヤー本人の心臓を止めることがね」
哲也「・・・・・・分からねぇ話だ。でもほぼ無理な話じゃねぇか?もしデスガンってやつが2人を殺したのなら、何らかの細工をしたんだよ。チートか何かで撃ったら相手のアミュスフィアにも影響が出るとかね。」
和人「でもそんな危険なチート存在するのか?」
哲也「物は作りようさ。茅場みたいなやつなら幾らでも作れるさ。最も、あいつは稀代の天才だったがな。」
和人「それじゃあ余計無理な話じゃないか。」
哲也「うぐっ・・・」
和人「て言うかだ。この話はあんたらお偉いさんが全部仮定済みなんじゃないか?だったらなんでこんな一般人にこの話を持ちかけたんだよ。」
菊岡「なぁに。僕は君達と話すのが大好きでね。こうしてやり取りをしているととても面白くてね。」
哲也「はぁ・・・んじゃ結論付けるぞ。この話は不可能だ。ゲーム内のキャラが現実世界に干渉して人を殺すなんてことは無理だ。銃撃と心臓発作は何十万分の一が重なり合った偶然の産物だ。和人はどう思う?」
和人「同意見だ。脳を攻撃するの不可能だ。だったらその万分の一が重なったとしか言い様がない。」
菊岡「2人からその言葉が聞けてホッとしたよ。実は僕も同意見なんだ。この2つの死はゲーム内の銃撃によるものでは無い。と、言うことで改めて頼みたいんだけども・・・2人共。ガンゲイル・オンラインにログインして、このデスガンなる男と接触してもらえないかな?」
哲也「あんた・・・それってストレートに言うと『撃たれてこい』って事だろ?」
菊岡「いやぁ流石はピッチャーやってるだけあるね~カンが冴えてる!」
哲也・和人「「断る!!」」
和人「何かあったらどうすんだよ!」
哲也「それに!こっちだって色々と忙しいんだよ!」
菊岡「頼むよ2人共!それに!和人君に関してはその万が一は無いって結論になっただろう!?哲也君に関してはそうだな・・・よし、それならばこういうのはどうだろう。何か一つ、望む事や物を差し上げよう。例えば、三つ星ホテルを予約するだとかね。」
哲也「み、三つ星ホテル・・・」
三つ星ホテルかぁ・・・・・・木綿季と行けたら幸せだろうな~・・・・・・
哲也「・・・しょ、しょうがねぇなぁ!一肌脱いでやるとするか!」
和人「えぇ!?」
菊岡「ありがとう哲也君・・・それと、デスガン氏はターゲットに厳密なこだわりを持ってるらしいから君達が狙われる確率は低いと見ていい。」
和人「こだわり?」
菊岡「そう、ゼクシードと薄塩たらこはどちらも名の通ったトッププレイヤーだった。つまりは強くなければ撃っては貰えない。あの茅場先生が認めた君達ならば或いは。」
和人「無理だよ!GGOはそんな甘いゲームじゃない!!プロがウヨウヨしてるんだぞ!!」
菊岡「それだ!そのプロって言うのは?」
和人「文字通りだよ。ガンゲイル・オンラインはVRMMOで唯一ゲーム内コイン現実還元システムを持っているんだ。」
哲也「へ~すげぇゲームだなそりゃ。稼いだ金をリアルに持ち込めるってことだろ?」
和人「その通りだ。プロはコンスタントに20万~30万を稼ぐと言われている。だから、GGOのトップ層は他のMMOとは比べ物にならないレベルの時間、情熱を費やしているんだ。俺達がノコノコと出ていって相手になったら世話ないさ。」
哲也「なんだお前?ビビってんのか?」
和人「っ・・・聞き捨てならないな・・・誰がビビってるって?」
哲也「お前の話聞いてたら誰だってそう感じるだろうよ。やる前からビビってちゃぁプロなんざ務まらねぇ!ここはいっちょ騙されたと思って潜ってみようぜ!!」
和人「お前なぁ!話を・・・」
哲也「それとも何かね?天下のキリト君はプロは相手に出来ないビビり君ってことかな~?」
和人「・・・・・・上等だよ・・・・・・お前の挑発に乗ってやる!!ここでビビって何が黒の剣士だ!!」
哲也「良く言った!菊岡さん!この話乗った!」
菊岡「良し!助かったよ2人共・・・と言うか煽ってくれてありがとう哲也君。」
哲也「負けず嫌いなこいつが煽られっぱなしで終わる訳には行かないと思いましてね。」
菊岡「さて、和人君の話でプロだプロだと言っていたね。確かに今回の調査は少し面倒なことになりそうだからさっきの好きな物1つとは別途で、捜査協力費としてこれだけだそう。」
そう言って菊岡さんは親指、人差し指、中指を立てた。
和人「そ、そんなに?」
哲也「ところで、なんでそこまでこの事件に?こんなんよくネットに転がってるオカルトみたいなもんじゃないですか。」
菊岡「まぁ、上層部が気にしてるってことだよ。フルダイブ技術が現実に及ぼす影響は今や各分野で最も注目を受けている。この一件がフルダイブ反対派に良いように利用される前に事実を把握したいんだ。その確信が欲しい。とまぁ、こんな所が理由の一つかな?」
和人「でも、直接運営に聞けば早いんじゃ?」
菊岡「GGOの運営チームはザスカーというアメリカの企業がやってるんだが、住所やメールアドレス、電話番号も非公開という少々厄介な会社でね。ザ・シードの影響で怪しげなバーチャルワールドは増え続ける一方だね。」
哲也「なるほどね~」
菊岡「という訳で、真実を掴みたいならゲーム内で直接接触するしかないんだよ。無論最大限の安全対策は取る。銃撃されろとは言わない。2人が見たことを伝えてくれれば良い。よろしく頼むよ。2人共」
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あの後、俺達は菊岡さんと別れ、木綿季と明日奈が待つ東京駅に着いた。
和人「哲也・・・お前分かってるのか?MMOのプロって本当に凄い人達だらけなんだぞ?」
哲也「俺は見もしない敵から逃げたくないんでな。」
和人「はぁ・・・お前らしいというかなんというか・・・・・・まぁ乗ってしまった船だ。最後まで頑張ろう。」
哲也「もちろん。さぁて、ここら辺にいるはずなんだが・・・・・・」
「てーつーやー!!!!!!」
いきなり後ろから抱きつかれ、思わず俺は体勢を崩してしまった。無論、犯人は木綿季だ。
木綿季「えへへ~♪哲也~♡」
哲也「ったく、いきなりだとびっくりするっての。」
明日奈「和人君。哲也君。こんにちは。」
木綿季「やっほー和人!」
和人「やぁ明日奈。木綿季。」
哲也「さて、このメンバーでこうして出かけるのも久方ぶりだな。」
木綿季「だね!」
和人「こうして居られるのも、哲也のおかげだな。」
明日奈「そうだね♪哲也君には感謝しなきゃ♪」
哲也「や、止めてくれよ・・・恥ずかしい・・・」
木綿季「ボクはこんな彼氏を持てて誇りに思うよ♪」
哲也「全く・・・さて、今日はどこに行くんだ?」
明日奈「それなんだけど、すぐ近くに遊園地があるじゃない?そこに行かない?」
哲也「ゲッ・・・遊園地・・・・・・」
和人「良いね。久しぶりに騒ぎたい気分だ。」
木綿季「わーい!ジェットコースター乗りたい!」
哲也「つ、つかぬ事を聞くんだけども木綿季?」
木綿季「なぁに?」
哲也「じ、ジェットコースターは大好きで?」
木綿季「うん!だーい好き!」
哲也「そ、そっか・・・」
木綿季「じゃあ早速レッツGO!!」
和人「おい哲也。お前まさかジェットコースターとか苦手なんじゃ・・・」
哲也「そのまさかだよ・・・こんな日が来るとは思ったけど・・・」
実を言うとジェットコースターは大の苦手だ。と言うかあのGがかかる感じが大嫌いだ。あれで喜べる人の気が知れない・・・・・って、木綿季がそうだったんだ・・・
木綿季「ちょっとー!早く行こうってば!」
明日奈「そんな所にいると置いてっちゃうよ~?」
哲也「あ、あぁ!行こう!」
和人「そうしよう!」
~東京都内・遊園地~
木綿季「最初はやっぱりジェットコースターでしょ!」
明日奈「そうだね!行こっか皆!」
哲也「あ、あぁ・・・」
和人「よ、よし!行こう!」
~ジェットコースター~
流石に男が彼女の前でジェットコースターに乗りたくないとは言えないので、俺は意を決してジェットコースターに乗り込んだ。
木綿季「うわぁ~!上がってる上がってる!」
哲也「あ、ぁぁ・・・ソダネ・・・」
木綿季「もうすぐ頂上だよ!来るよ~!来るよ来るよ~!!」
哲也「こ、こないでぇ・・・!」
俺の願いも虚しく、ジェットコースターは遂に頂上に達し、勢いよく落下した。
木綿季「きゃー!!!!!!!!」
哲也「たすけてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
俺はこの木綿季の満足いくまでジェットコースターに乗らされ、本気でジェットコースターがトラウマになってしまった。
そう・・・・・・人間誰しも"トラウマ"があるものさ・・・・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~
~???~
荒れ果てた荒野を進む1グループを、可憐な少女がスナイパーライフルで狙っていた。
『位置に着いた。変わりはあるか?』
「こちらの方は変化無し。移動速度、人数共に変更無し。こちらからは1500。」
『遠いな、行けるか?』
「問題は無い。」
『なら狙撃開始だ。頼むぜ、《シノン》』
「了解。」
(私は・・・強くなるんだ・・・あの時出会った"彼"の様に・・・!!)
哲也と和人に与えられた新たなる使命。ガンゲイル・オンラインというVRMMOでデスガンという謎の人物と接触をすること。
それは、これから数日間における2人の悪夢の再来の序章に過ぎなかった・・・・・・
次回はいよいよ彼女の本格登場!お楽しみに!