ソードアート・オンライン~死神と呼ばれた剣士~ 作:畜生ペンギン
テツヤは見事勝つことは出来るのだろうか?
それではどうぞ!
前回、遂に始まった9種族対レネゲイドの戦争。
シグルドが索敵無効化を覚えていたアクシデントもありサクヤ、モーティマー、アイナの3名は拘束され、危機的状況にあったが駆けつけたテツヤ、ユウキ、レイの3名も加わりなんとか首の皮1枚繋がったと言う状況下。
さて、一体この勝負の未来はどうなるのか。
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テツヤ「オラァ!」
シグルド「ちぃ!」
俺の一太刀をシグルドはなんとかと言ったようなモーションで切り払いした。
テツヤ「へっ!防戦気味じゃねぇかよ!そんなんで俺達に勝てるのかよ!」
俺はすぐ様シグルドの肩から腰部分まで斬るように斬月を振り下ろした。
しかし、流石に単調すぎたかその攻撃は避けられてしまった。
テツヤ「こんくらい避けてくんなきゃな!」
シグルド「私にそう簡単に勝てると思ったら大間違いだ!!」
テツヤとシグルドはまだ膠着状態ではあるがテツヤの方に分があると見た方が良いだろう。
一方、シグルドの側近2名と戦ってる4名は・・・・・・
ユージーン「うぉぉぉ!!」
「こんなもの。」
ユージーンの攻撃に慣れてきたのか、鍔迫り合いで凌ぐより避けることに力を入れ出したプレイヤー。
しかし、相手にしてるのはユージーンだけではない。
レイ「貰った!!!」
「っ!」
ユージーンの攻撃を避けたその先にはレイがそこにいて、その攻撃は初のクリーンヒットとなった。
ユージーン「タイミングジャストだったな。」
レイ「えぇ、この調子で行きましょう。」
「ふん、2対1でやっとか、側近もこの程度とはたかが知れるな。」
ユージーン「なんとでも言え。この場は勝てば良い勝負だ。」
レイ「その通り。悪いがこのままやらせてもらう。」
「好きにしろ。」
ユージーン、レイ組は即興ではあるが無難なコンビネーションを組み立て敵を追い詰める作戦。
そして、ユウキ、リナのペアは・・・・・・
ユウキ「それ!」
「甘い。」
ユウキの剣筋を避けるプレイヤー。しかしユウキにはいつもの闘士は感じられない。
リナ「ユウキちゃん!頭下げて!」
ユウキ「了解!」
「っ!」
これも2人の作戦。ユウキが詰め寄り相手が攻撃を避け体制を崩したところにリナの魔法を打ち込む戦法だ。
この作戦は見事に決まりようやく一撃入り、ダメージを与えた。
ユウキ「よぉし!」
リナ「ナイスだよユウキちゃん!」
「次は喰らわない・・・・・・」
ユウキとリナは現実世界でも日頃から顔を合わせてる為色々な作戦をすぐ様立てては直ぐに実行することが可能となる。先程は破れかけてたリナも形勢逆転と言ったところだろうか。
今の所は無難に戦えてはいるが、一体どう転ぶのだろうか・・・・・・
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テツヤ「なぁ、アンタもそれなりの覚悟と自信があっての今回の騒動って考えていいんだな?」
シグルド「そうでなければ9種族に喧嘩を売るようなマネは出来ない。中途半端な力を持ってるだけではただ悪戯に喧嘩をふっかけるだけになる。」
テツヤ「・・・・・・・・・」
いや、普通に考えたらそう返って来ることは分かってたさ。でも、なんなんだ?この強いとも弱いとも言えない絶妙な強さは・・・・・・
卍解して翔龍双牙を打っちまえば簡単に殺れるレベル・・・・・・そんな奴が9種族に喧嘩売るか?索でもあるのか?
テツヤ「何考えてんのかは知らねぇが、遠慮は無しで行かせてもらう!」
俺は距離を取らせず、接近戦に持ち込む戦法を取った。シルフは遠近両方での戦闘が得意な傾向が多い。無論中には両極端なプレイヤーはいるがこいつは元サクヤさんの側近。ならば両方ともかなりのレベルのはず。俺も遠距離攻撃はできるが手数は少ないから近距離の方が遥かに戦いやすい。
シグルド「ぬぅ・・・!」
テツヤ「どうしたどうした!そんなもんかお前の力は!!!!!」
俺の放つ斬撃をシグルドは押されながらも捌いていた。体制を崩しても1発も急所を狙わせないのは流石と言ったところか。
テツヤ「ちっ。しぶとい野郎だ。」
シグルド「あの頃のままの俺だと思うなよ。そう簡単に殺れると思ったら大間違いだ。」
テツヤ「そうかい・・・だったらさっさと終わらせてやるさ!」
俺は斬月を相手に向けるように持ち、左手で斬月を持つ右腕を掴んだ。
テツヤ「卍解!!!!!」
その言葉を発した瞬間、辺りにある暗雲が俺の周りに集まり、集まった暗雲が消え去ると、俺は卍解の状態で姿を現した。
テツヤ「天鎖斬月。確かこの状態はアンタには見せてなかったよな?」
シグルド「噂に聞いてたレジェンダリーウェポンであるアロンダイトか・・・」
テツヤ「その通りだ。悪いがALOをレネゲイド達に明け渡すわけには行かないんでな。速攻で終わらせてもらうぞ。」
シグルド「くくく・・・やれるものならやって」
テツヤ「やるさ!」
俺はシグルドが言葉を言い終わる前に超速力で懐に潜り込み、一撃を食らわせた。
シグルド「なっ!?」
食らわせた直後も超速力でシグルドの周りを飛び周り、錯覚を起こさせようとした。
テツヤ「どうしたよ!アロンダイトの名を知ってるならその特徴くらい知ってるんじゃねぇか!!!」
シグルド「こ、ここまで早いとは・・・・・・!!!!!」
テツヤ「へっ!反応しきれないみたいだな!だったらもうこいつで終わらせてやるさ!!!!!」
俺は月牙天衝の剣圧を天鎖斬月に宿らせ、その状態で首元を切り裂こうとした。
テツヤ「終わりだ!!!!!」
シグルド「っ!!!」
そしてその攻撃は確かに手応えはあった。並大抵のプレイヤーならば、それこそシグルドレベルなら一撃でやれる威力の攻撃だった。
テツヤ「何っ!?」
しかし、再び奴を見た時には平然とした顔で、しかもHPバーは1ミリも減らずにそこに立っていた。
シグルド「危ねぇ危ねぇ・・・・・・油断して危うく殺られる所だった・・・・・・」
テツヤ「ど、どういうことだよ!?なんでノーダメなんだよ!!!!!」
シグルド「言ったろ?゛自信゛があるからここに来たと。」
テツヤ「HPが減らねぇなんて反則だろ・・・!!!」
HPが減らないってのはシグルドのHPがカンストレベルに達していて実は内部では減っていて肉眼では減ってるように見えないようになってるのか?それとも・・・・・・チートの類いか?・・・・・・くそ、あいつがどこまで真面目なプレイヤーなのかが分からねぇ!
俺は前者であることを信じ再び攻撃をしかけた。
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一方、領の前方の陸空を防衛しているそれぞれの領主達は・・・・・・
アリシャ「もー!倒しても倒してもきりがないよー!!!!!」
ハク「はぁ・・・はぁ・・・いい加減疲れてきたよ・・・・・・!」
サラ「弱音吐かないのよハク♪ファイトファイト♪」
陸を防衛する3種族の領主は敵に倒される心配は無いものの、身体的疲労が少しずつ溜まっていた。
ハク「はぁ・・・はぁ・・・シグルドは・・・どうしたのかしら・・・」
アリシャ「分からないよー!」
サラ「あら?カノンから連絡が・・・・・・あらあら。」
ハク「どうしたの!?」
サラ「どうやら、シルフの中心に既に敵将がいるようですね。3人は拘束されてるとか。」
ハク「はぁ!?い、一体どういうことなの!?」
サラ「今テツヤ君、レイちゃん、ユウキちゃんの3人が援護に向かってるらしいわ。」
アリシャ「ま、まんまとハメられたってことぉ~!?」
サラ「道理でこの人数と弱さだよ!レネゲイドの中でも弱い部隊を大量にこちらに送り込んで敵はどうにかして中心に潜り込んだって戦法よ!恐らく空を防衛してる2人も・・・!」
カノンの連絡は陸空防衛部隊の領主全員に送られていた。そして同じ頃に空の防衛組であるゼロがその連絡を読み、自体を把握した。
ゼロ「どうやら俺達はハメられたみたいだな。」
ウルフ「どういうこった!?」
ゼロ「シグルドは既に領の中心に、3人は拘束されたようだ。今カノン除いたインプの3人組が援護に向かってるようだ。」
ウルフ「なにぃ!?拘束って、何してんだよ!早く援護に・・・」
ゼロ「ここを抑えなきなこの大人数がシルフ領になだれ込むことになるんだぞ!少しは考えろ!」
ウルフ「ぐぅぅぅ・・・!!!!!テツヤァ!!!!!お前負けたら承知しねぇからなぁ!!!!!」
どちらも防衛で手一杯の状態。どちらも援護に向かうことは不可能な状況下だった。
そして、奇襲組を待つカノンは・・・・・・
カノン「テツヤ達が行ってから約30分か・・・」
「あ、あの、カノン様?」
カノン「?なんじゃ?」
「ここは私達に任せて、カノン様も援護に・・・」
カノン「馬鹿を言うな。お主たちに任せたいのも山々じゃが、もしも強敵がここに現れ、お主達がやられたら敵の援護でわらわ達は負けるぞ。万が一を考えここに居るのが得策じゃ。」
「そ、そうですか・・・。」
カノン「ここはわらわの優秀な直属の部下3名を信じるとしよう。」
カノン(頼んだぞ。ユウキ、レイ、テツヤ。)
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ユウキ「リナ!」
リナ「了解!」
「・・・・・・しつこい・・・・・・!」
テツヤが卍解をしてからの戦況は、相変わらずテツヤとシグルドは攻撃をしてもHPが減らず、膠着状態にあった。しかし、ユウキ・リナ。ユージーン・レイの相手をするプレイヤーの2人は着実にダメージを与えられる状態にあった。
ユージーン「レイ!」
レイ「はい!!」
「うざったい。」
いつしか2人のプレイヤーはわざと近づき、互いにフォローするように戦いつつあった。
ユウキ「敵もすばしっこいね!」
リナ「そうね!でも勝呂は確実に見えてるわよ!」
ユージーン「ふん。4体2となったぞ?いい加減諦めたら・・・・・・」
レイ「?待ってください・・・・・・様子が・・・・・・」
ユウキ「あ、あれ?゛HPが減ってる゛?」
現在4人が2人を囲う状態で武器を構えてる状態にあり、攻撃はしていない状況だった。
そんな状況で2人のプレイヤーのHPは減っていたのだ。
リナ「誰か毒とか使った?」
ユウキ「ボクはそんなの使わないよ?」
ユージーン「俺もだ。」
レイ「僕も。」
リナ「一体どう言う・・・・・・っ!まさか!」
リナはテツヤの戦う空を見上げた。そこではテツヤが攻撃を与えても与えてもHPが減らないシグルドがそこにはいた。
テツヤ「だァもう!!!!!なんなんだよてめぇは!!!!!チートかこの野郎!!!!!」
シグルド「チート?遠慮はよしてくれ。」
テツヤ「じゃあなんでてめぇの体力が減らねぇんだよ!!!!!」
モーティマー「っ!そうか!テツヤ!シグルドのHPは減ってはいないが、着実に配下の2人にダメージは与えて行ってるぞ!」
テツヤ「?どういうことだよ!?」
リナ「やっぱり!あんたら《HP共有》してんのね!!!!!」
HP共有。それはパーティーメンバーに限り使用可能であり、パーティーのリーダーが攻撃を食らっても他のメンバーにダメージが蓄積するものであり、最近のアップデートで実装された物だった。
アイナ「待ってください。HP共有は知ってはいますがそれは゛初心者救済用゛のシステムでは?」
そう、この共有システム自体はログインして間もないプレイヤーがクエストで限り使用可能であり、こういった状況下。そしてシグルドのような熟練プレイヤーが使うのは不可能だった。
シグルド「なぁに、このシステム少し穴があってね。初心者のプレイヤーがイベントでこのシステムを使い、無理やり強制ログアウトをし、HP共有を使用したデバイスで別のアカウントにログインすればそのアカウントでもHP共有は出来ているという判断になっているんだよ。」
テツヤ「はぁ!?汚ねぇ手ぇ使いやがって!」
サクヤ「システムの穴を付いてくるとは・・・・・・」
ユージーン「こんなバグのような欠陥残すとはどうなっているんだ運営は!!」
シグルド「しかも、このシステムにはもう1つ抜け道があるのさ。」
テツヤ「何?」
ユウキ「まさか1人がHPを回復すれば皆回復するとか?」
「そんなものでない。」
「私達は、シグルド様の手となり、足となる。」
レイ「手となり、足となる・・・?」
ユウキ「どういう事?」
リナ「さぁ?」
ユージーン「モーティマー。この手のシステムについて何か分かるか?」
モーティマー「済まないが、最近はレネゲイド対策に追われ初心者対策のシステムについてはノータッチだ。」
テツヤ「手となり足となるって・・・・・・っ!!!分かったぞ!!まさかとは思うが、パーティーのリーダーは2人の力を吸収もしくは合体出来るとかじゃ・・・・・・」
シグルド「ほう。良く分かったな。正解だ。」
ユウキ「が、合体!?」
シグルド「合体では無い。吸収と呼んだ方が正しい。」
アイナ「一体、どういう事なのでしょうか?」
シグルド「簡単なことだ。パーティーのリメインライト化した魂の灯火をリーダーが体内に吸収する。取り組まれたメンバーはその時点で死が確定するが、初心者対策のシステムだ。デスペナルティはノーカウントとなる。」
テツヤ「んな卑怯な・・・!!!!!」
シグルド「くくく・・・・・・奥の手は取っておくものだ!!さぁ2人共!自決し、この俺の力となれ!!!!!」
「「了解。」」
4人に囲まれていた2人のプレイヤーは、その場で腹を斬り自決し、リメインライト化した。
2つの魂の灯火はシグルドに向かっていき、シグルドの体内に入っていった。
シグルド「くくく・・・・・・ははははは!!!!!素晴らしいパワーだ!!!!!流石は俺の側近2人の力だ!!!!!」
テツヤ「んだよこれ!!!!反則だろ!?」
サクヤ「テツヤ君気を付けろ!リナを凌ぐプレイヤー2人分のパワーを吸収したんだ!そう簡単には倒せないぞ!!!」
テツヤ「了解!」
ユージーン「テツヤ!援護はどうする!?」
テツヤ「とりあえず今はいらん!そこで見といてくれ!」
ユウキ「全く、戦闘狂なんだから・・・頑張れー!テツヤー!」
シグルド「さぁ行くぞ!!」
テツヤとシグルドの戦いの第2ラウンドの幕が切って落とされた。
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シグルド「そらそらそらそら!!!!!」
テツヤ「ちっ!くそっ!」
2人の力を吸収したシグルドのスピードは先程よりも遥かに跳ね上がり、一太刀の威力も莫大に上がっていた。おまけに側近の2人に与えてたダメージはシグルドに影響する訳ではなくノーダメージの状態だった。
シグルド「今度はお前が防戦一方だな!はっはっは!!!!!」
テツヤ「んの野郎!!!!!」
俺は攻撃を避け、それと同時に月牙天衝を放った。急な攻撃だった為にシグルドも避けきれなかった。
リナ「直激!」
ユウキ「これなら!」
ユージーン「いや・・・」
テツヤ「はぁ・・・はぁ・・・割と・・・良い攻撃だと思ったんだけどなぁ・・・これでもミリ単位か・・・・・・」
不意打ちの月牙天衝でもダメージは殆ど与えてられない状態にあった。どうやらこの2人のプレイヤーの力を吸収したパワーは計り知れない強化をプレイヤーに与えるみたいだ。
シグルド「どうした?もう疲れたか?まだまだこれからだぞ!!」
テツヤ「ちぃ!」
俺はHP共有の状態を知らなかった時に飛ばし過ぎたのもあり、多少疲労が溜まっていた。
俺はシグルドの攻撃を避けきれず、少しずつではあるが攻撃を喰らい初めてしまった。
ユウキ「テツヤ!!」
リナ「何してんのよ!はっきししなさい!!」
テツヤ「つっても・・・こんなん反則だって・・・・・・」
シグルド「くくく・・・・・・教訓に取っておくんだな・・・・・・奥の手は取っておくものだとなぁ!!!!!これで終わりだ!!!!!」
そう言ってシグルドは少し肩の上がった俺を攻撃してきた。
ユウキ「させない!!」
テツヤ「っ!ユウキ!?」
ユウキは俺の目の前に現れ、シグルドの攻撃を防いでくれた。
シグルド「ぐぅ・・・邪魔だ!!!!!」
シグルドは攻撃を防いだユウキを力任せに吹き飛ばした。
ユウキ「きゃっ!?」
テツヤ「危ねぇ!」
俺は吹き飛ばされたユウキを抱き抱えた。多少ダメージはあるがこれくらいじゃユウキはやられない。
ユウキ「ごめん・・・」
テツヤ「サンキューなユウキ。助けてくれて。」
俺はユウキを軽く撫でて、ユージーン将軍達のいる場所へ向かい、リナにユウキを頼んだ。
テツヤ「頼んだ。リナ。」
ユージーン「おいテツヤ。また向かってもただスタミナを減らすだけだ。俺が援護に・・・」
テツヤ「いや、悪いが俺一人でやる。」
レイ「この期に及んで何を言ってるんだ!僕も加勢する!」
テツヤ「彼女吹っ飛ばされてイライラしないでいるほど俺も出来た人間じゃないんでね・・・・・・良い機会だしな。」
そう言って俺は再びシグルドの元へ飛んだ。
シグルド「また1人か!もう1人では何も出来まい!楽にしてやる!!」
テツヤ「まぁ待てよ。アンタ俺に言ったよな?奥の手は取っておくものだってさ。」
シグルド「あぁそうだ!だからこそお前はスタミナを減らし今に至る!」
テツヤ「だったら見せてやるさ・・・・・・取っておきをな。」
俺は左手を額に当てながら、そう言った。
シグルド「な、なに!?ま、まだそんなものが!?」
テツヤ「卍解は確かに俺に取っての奥の手と言える手だ。だがこれは・・・・・・゛真の奥の手゛だ。」
俺は左手を顎までスライドさせるように下げた。そして、世界樹攻略戦以来となる、もう1人の俺から貰ったあの仮面を装備した。
シグルド「な、なんだ?仮面?はっ!!そんなものが奥の手とはな!ただの仮装じゃないか!」
リナ「あ、あれって・・・確か世界樹攻略戦の時に・・・」
テツヤ「仮装かどうかは・・・その目で確かめやがれ!!」
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世界樹攻略戦。あの時俺達はユウキ、アスナを助ける為に世界樹に向かい、須郷達の策略でショウが敵に回り、姉ちゃんもピンチに陥った。そして囚われていたユウキ、アスナは汚い手に汚されようとしていた。
そんな光景を目の当たりにし、怒りの頂点に達した俺はあの仮面を装備し、その場を打開した。しかし、莫大な力にはリスクが付き物と言うか、仮面を装備した後は多大な疲労が俺を襲い、その後は卍解すらも強制解除してしまった。強大な力ではあるが、あのままでは使いこなせないままであった。
だが、現実世界で多くの日々を過ごし、日課だったランニングも再び取り入れ、テツヤとの会話もごく稀ではあるが行っていた。
そんなある日だった。
テツヤ『おいテメェ、あの時以来俺がテメェにくれてやった力を使ってねぇじゃねぇか。』
哲也『あぁ?あれ使ったらすんげぇ疲れるし卍解も強制解除されるしでいざとなったらやべぇじゃねぇかよ。』
テツヤ『アァ?テメェの体力のなさを俺様のせいにするってのか?』
哲也『んだとこの野郎!?』
テツヤ『まぁそう怒るなよ。オメェランニング初めてしばらく経つよな?』
哲也『そりゃまぁ・・・』
テツヤ『だったらあの時よりかスタミナも付いたろ。それならあの力を使っても平気だろう。』
哲也『ホントかぁ?お前の言うことだしなぁ・・・』
テツヤ『ケッ。疑うなら一生使うな。』
哲也『わぁったよ。今度機会があったら試すよ。ところで、あの仮面を装備した時の状態はなんて呼べばいいんだ?』
テツヤ『アァン?んなの好きに・・・・・・いや待て・・・・・・好きに呼ばせても芸がねぇな・・・・・・・・・』
哲也『んだよ。良い名前でもあんのか?』
テツヤ『・・・・・・そうだな・・・・・・あの状態の名前は──────』
哲也『ふぅん・・・・・・変なの。』
テツヤ『ケッ。俺だってオメェとなんてリンクしたくねぇがな!仕方なく力を貸してやってんだあの時は!礼くらい言いやがれ!』
哲也『お前もしかしなくてもツンデレだろ。』
テツヤ『殺す!!!!!』
とまぁ、こんなやり取りをした時があり。どうやら今の俺ならあの状態になってもそこまで疲労感も襲わず、長い時間使えそうなようだ。
長らく使い時を探してたがなかなか見つからなかったが、2人のプレイヤーと合体したシグルドならば丁度いいと考えた。
テツヤ「さぁて・・・力借りんぞテツヤ!!!」
仮面をただの仮装だと甘く見ていたシグルドを他所に、俺は攻撃を仕掛けた。卍解の時よりもまた更に速く、力強い一太刀はシグルドに綺麗に決まった。
シグルド「な、なに!?」
テツヤ「お前が2人の力を吸収したなら!俺は俺の力を増やすだけだ!!!!!」
俺はそのまま連続でシグルドを切り刻んだ。切り刻むその一太刀一太刀で月牙天衝が放たれ、ただ切り刻んでいるだけでは無いダメージがシグルドに入っていた。
シグルド「なにぃ!?そんな馬鹿な!!!!!」
ユウキ「凄い凄い!圧倒してる!」
ユージーン「な、なんなんだあの力は・・・あの時戦った時よりも遥かに強い・・・」
レイ「禍々しい力ではある・・・でもどこか信頼出来る力に見える。」
リナ「凄い・・・あの時は半分気絶してたから薄目でしか見れなかったけど、とんでもない強さね・・・・・・」
テツヤ「へっ!あんだけ終わりが見えなかったお前のHPももう半分まで来たな!」
俺の連続攻撃によってさっきまでは先が見えない戦いではあったけど、ようやく勝呂が見いだせそうだ。
シグルド「ふ、ふざけるな・・・!!俺は年密な計画を建ててここまで来たんだ・・・・・・!こんな・・・・・・こんな所でぇ・・・・・・!!!!」
テツヤ「良いか、悪は撃たれるのが世の中の筋だ。・・・・・・悪く思うなよ。」
俺はそう言い、シグルドの残り体力を全て削る全力の月牙天衝を放った。
俺の放った月牙天衝はシグルドに当たると大きな音を立て、その場に白煙を立てた。もう流石にリメインライト化しただろう。後はリメインライト化したシグルドを復活させ、それぞれの領主達が処罰を下ろすだろう。
テツヤ「さて、ようやく終わったな。」
シグルド「ところがどっこい・・・・・・まだまだ終わらんよ!!」
テツヤ「っ!?何だ!?」
殺ったと思ったシグルドがまだ生きている?一体どう言う・・・・・・
俺は立ち込める白煙を天鎖斬月で切り払うと、そこには先程吸収していた女と男のプレイヤーがシグルドの前で傷だらけの状態で立ってい・・・嫌、立たされていた。
「シグルド・・・・・・様・・・・・・・・・」
「ご武運を・・・・・・・・・」
2人はそう言い残して、リメインライト化すると、一瞬の内にその場から消えてなくなった。
シグルド「ご苦労。2人共。」
ユウキ「ひ、酷い・・・味方を盾にするなんて・・・!!」
テツヤ「なるほどな。吸収したアイツらをあの場で生き返らせることで、テメェは生き残り、あの2人は犠牲になった訳だな。」
シグルド「ご名答だ。そして、この犠牲は次なる礎の糧となる。」
テツヤ「あん?」
シグルド「こういうことだ!」
シグルドはその場で魔法を唱えると、その魔法は周りを暗くする魔法であり、辺り一面は真っ暗になった。
シグルド「今のままなら私の姿は見えまい!今の内に引かせてもらおう!」
そう言ってシグルドは羽根を出し、すぐさまこの場から離れようとしていた。確かに暗闇を産み目を潰すのは良い手だ。
テツヤ「馬鹿野郎が!!俺の種族を確認してなかったのが運の尽きだな!!」
俺は暗闇の中で逃げるシグルドの前に素早く回り込み、行く手を阻んだ。
シグルド「何っ!?あの魔法は特定の種族でなければ・・・・・・っ!!そうか貴様インプ!!」
テツヤ「ご名答!!!!!味方をテメェの出汁に使うお前は許さねぇ!!!!!」
俺はその場で目一杯の力を込め、その場で黒いオーラが俺を包んだ。
シグルド「ぐっ・・・・・・くそぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
テツヤ「月牙天衝!!!!!!!!!!」
全力の月牙天衝は今度こそシグルドの身体を切り裂き、シグルドはリメインライト化し、遂にこの戦いは終わった。
テツヤ「クズ野郎が!!大人しく反省してろ!!!」
俺はリメインライト化したシグルドを回収し、シグルドが倒されたことにより開放された3人の領主の元にシグルドを届けた。
モーティマー「すまない。貴公がいなければどうなっていたことか・・・」
アイナ「テツヤさん。ありがとうございます。」
サクヤ「本当にありがとう。見事な戦いだった。」
テツヤ「俺は言われたことをやったまでっすよ。後の処罰は俺の仕事じゃない。よろしくお願いしますね。」
その後、シグルドの魂は厳重な檻の中に閉じ込められ、そこでシグルドは復活させられ、様々な処罰を受けたそうだ。まずレネゲイドを率い、9種族全プレイヤーに恐怖心を与えたこと。そして領主3人を無理やり拘束したこと。前述の方が罪は重いが、どちらもやっては行けないことに変わりない。今後シグルドのデータは二度と檻から出れないようになるらしい。新しくデータを作ろうと、シグルドが負けたことにより他のレネゲイド達も意気消沈し、そのほとんどが厳重注意を受け、今後は二度と関わらないことを約束された為まぁ今後こう言ったことは滅多に起こらないだろう。
こうして、今回の小さな戦争は終わりを迎えた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~インプ領~
あの後、それぞれの領主の方達もシルフ領の中心に集まり、情報を共有。一応シグルドを直接倒した俺は皆からの声援を受けることができた。9人の領主達から褒められることは嬉しいことだ。
そしてその後、俺達はカノンと共にインプ領に帰還していた。
カノン「さて、此度の戦い。ご苦労じゃった。」
テツヤ「おう。お疲れさん。」
ユウキ「お疲れ様!勝てて良かったね!」
レイ「お疲れ様でした。」
カノン「さて、テツヤよ。お主先程の戦いで卍解の時に何やら仮面のようなものを付けてたようじゃな?」
テツヤ「ん?あぁ、あれね。」
ユウキ「あ!そうだよ!あれ何!?」
レイ「あれを付けた後の君は正しく鬼神が如く動きをしていたね。一種の強化状態かい?」
テツヤ「あれは・・・・・・そうだな・・・・・・まぁ、俺の力が2倍にも3倍にも再膨れ上がるけど、その代わり使いすぎてたら勝手に卍解が解けちまうっていうデメリット付きだけどね。」
ユウキ「名前はあるの?『卍解2』とか!」
テツヤ「名前?あれの名前は
ユウキ「ほろうか?変な名前。」
そう、あの仮面を装備した時の状態は虚化と言う。虚化のホロウってのは言わば裏の俺。テツヤのことを指す。あの仮面を装備することでテツヤとの同化状態となり、そうすることで俺とテツヤがリンクすることになる。一応あれはテツヤの力が表に出てきているが、俺が主体で使う能力だが、簡単に言えばテツヤが乗っ取った力を俺が無理やり制御してるとも言っていい。だから、あの状態の時は虚化と言う。って言うのをテツヤには教えられた。
テツヤ「まぁ、とにかく俺のパワーアップアイテムだと思ってくれ。」
カノン「ふむ、またわらわ達に強大な力が産まれた訳じゃな。その力。間違った方向に使うなよ。テツヤ。」
テツヤ「任せとけ!」
そんなこんなで今回の任務は無事完了。俺も疲れたからログアウトしようとしたが、俺は何故かカノンにログアウトすることを止められた。
ユウキ「テツヤ。ボク疲れたから先にログアウトしてお風呂入って寝ちゃうね~おやすみ~」
テツヤ「うん、おやすみなさい。」
レイ「カノン様。お疲れ様でした。テツヤ。無礼なことをするなよ。」
テツヤ「わあってるわい。」
俺とカノンはログアウトする2人を見送った。
カノン「さてと。テツヤよ。本日はご苦労じゃったな。」
テツヤ「どうってことないさ。カノンこそお疲れ様。」
カノン「さて、シグルドを直接叩いたのもお主じゃったな?」
テツヤ「まぁ一応な。」
カノン「そうか、ならばテツヤよ。わらわが直接褒美をやろう。」
カノンはそう言って俺を後ろから抱きしめてきた。
テツヤ「え?」
カノン「まぁなに。固くなるな。わらわに任せておけば・・・きもちよぉくなれるんじゃが・・・どうじゃ?」
そう言ってカノンは俺の腹部を指でなぞりはじめた。
テツヤ「あ、あの。カノン・・・様?」
カノン「なんじゃ。固くなるなと言っておろう。楽にすれば良い・・・」
俺は何が何だか分からない状態で、カノンに気持ちよくしてもらうことにした。
テツヤ「うぁ・・・カノ・・・そ・・・こ・・・」
カノン「そんな声を出すな。いつものお主らしくないぞ?」
テツヤ「だって・・・こんな・・・ぅぁ・・・そ・・・こ・・・」
カノン「ふふ、ここじゃな?」
テツヤ「あ・・・そこ・・・良い・・・俺・・・もう・・・」
カノン「どうじゃ?わらわお手製の゛マッサージ゛は。」
テツヤ「さ、最高・・・」
そう、日頃の労を労ってやると言われ、俺はカノンにマッサージをしてもらうことに。この前ユウキにもしてもらったけど、これがもう気持ちよくて・・・
カノン「テツヤよ。わらわは主を直属の部下に置けて嬉しくおもうぞ。」
テツヤ「そりゃ・・・どうも・・・」
カノン「これからも、よろしく頼むぞ。テツヤ。」
テツヤ「任せとけい・・・あっ、そこ・・・もっと・・・」
こうして、俺はこの後もカノンのマッサージを受け続けたのだった。
ただ、その後ユウキに何をしていたのかたっぷり問いただされたのは言うまでもない。
テツヤの更なる力 虚化を会得し、また1つ進化を遂げたテツヤ。
今後もテツヤはどう進化していくのか!乞うご期待!
さて、恐らく残り5話未満でGGO編に突入出来るかと思います。残り数話も楽しんで頂けたら幸いです!
次回もお楽しみに!