ソードアート・オンライン~死神と呼ばれた剣士~   作:畜生ペンギン

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今回で今年ラストの投稿となります!

今年ラストと言うことで、一風変わった話をお送りしたいと思います!

それではどうぞ!


part91 強さ~降り止まない雨~

哲也「ちくしょうあのクソッタレ天気予報士め!!!!何が降水確率は0%だふざけやがって!!!!」

 

季節が梅雨の現在、天気予報士が外すってのはほんとに腹立つ、おかげで制服がびしょびしょだ。

 

哲也「お!あんなとこにいい具合の屋根が!ラッキー!!!!」

 

傘も何も無いため手だけで雨を防ぎながら走っていると、少し先のとこにいい具合の屋根になってる所があった、見た感じ店の前だがシャッター閉まってるし雨宿りだし仕方ないよね、うん。

 

哲也「とうちゃ・・・・・・あ。」

 

「あ・・・」

 

到着して屋根のとこに入ろうとしたところ、目の前には俺と同い年か1つ下くらいの歳の女の子がいて、目がバッチリあった。

 

哲也「ど、どうも。」

 

「・・・・・・どうも。」

 

俺はその女の子の隣に入り、制服を脱ぎ一息着いた。

 

ちなみに、今現在は木綿季とは別行動を取っていた、と言うか木綿季は既に家に着いているだろう。

 

と言うのも、俺は今日放課後にやることがあり、木綿季は木綿季で買い物を頼んでいた為、木綿季には先に帰らせて、買い物に行ってもらい、俺は俺でやることをこなし、さぁ帰ろうという時には既に小雨が、まぁその時は良かったが電車に乗って最寄りについ時にはもう大雨、んで現在に至るって訳。

 

俺は今木綿季にここにいるから迎えに来てと送っておいた、ひとまずこれで安心だろう。

 

「貴方も傘が無くてここに来たの?」

 

哲也「ってなると君もか、ひでぇよな天気予報士が外してもらったら困るよ。」

 

「まぁ、天気は読めないって言うし、そこは割り切らなきゃね。」

 

哲也「・・・・・・それもそうか・・・・・・」

 

「貴方は学生なの?」

 

哲也「そっ、今年高1、君は?」

 

「私もよ、奇遇ね。」

 

哲也「そっか、見た感じそんなに濡れてないけど、雨に降られてすぐにここに来た感じ?」

 

「えぇ、酷い雨になると思ってとっさにここに入ったら、案の定。」

 

哲也「なるほどね、ところで君はこの辺に住んでるの?」

 

「いや、私はたまたまこの近くに用があっただけで、学校はもうちょっと遠くにあるの。」

 

哲也「買い物とか?」

 

「・・・・・・まぁ、そんな所ね。」

 

哲也「ふぅーん・・・・・・君、もしかして1人暮らしだったり?」

 

「へ?」

 

哲也「俺もちょっと前までは1人暮らしだったから分かるんだ、今は居候がいるんだけどさ、苦労してる感じ?」

 

「・・・・・・その通りよ、1人暮らししてるわ。」

 

哲也「やっぱりね、だと思ったよ、やっぱ大変だよな~1人だと、色々と苦労して。」

 

「えぇ、わかってくれる人がいて嬉しいわ。」

 

哲也「君はなんで1人暮しを?スポーツ?」

 

「私は・・・・・・」

 

哲也「・・・・・・あまり聞かない方が良さそうだね、辞めとくよ。」

 

「・・・・・・・・・どうして?」

 

哲也「へ?」

 

「どうして、貴方は深く探求しないの?」

 

哲也「どうしてって、うーん・・・・・・強いていうなら、聞いた時の君の表情は自慢できそうな理由じゃ無さそうな感じだったからかな?俺は女の子にそんな無理強いさせたくないんだ。」

 

「・・・・・・優しいのね、貴方って。」

 

哲也「そうかな?」

 

「・・・・・・ねぇ、少し相談に乗ってもらえないかしら?」

 

哲也「へ?」

 

「多分、この質問は貴方みたいに会って間もない人に聞いた方が良い物だと思うの、だから、頼めないかしら。」

 

哲也「・・・・・・良いぜ、俺でよかったら乗ってやる。」

 

「ありがとう、ねぇ、貴方ならもし友達が゙犯罪者゙だったら、どうする?」

 

哲也「へ?犯罪者?うーん・・・・・・まぁ、度合いによるんじゃねぇかな?」

 

「つまり、軽度の犯罪のか、重罪なのかってこと?」

 

哲也「まぁそんな感じかな?」

 

「それなら・・・・・・その友達が人を撃ち殺した殺人者だったら、貴方はどうする?」

 

哲也「・・・・・・・・・殺人者ねぇ・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

哲也「・・・・・・その友達は、明確な意図を持って殺したのか?それとも、無我夢中で、そうするしか無かったのか、どっちだ?」

 

「・・・・・・無我夢中・・・・・・かしら。」

 

哲也「・・・・・・そのどうするってのは、まだ友達として関係を続けていくのかってことか?それとも、その殺したやつを誹謗中傷するってことか?」

 

「私はそれを知りたい、どうするの?そんな人がもし、友達にいたりしたら。」

 

哲也「んなの決まってんだろ?関係を続ける、誹謗中傷なんてとんでもねぇ。」

 

「・・・・・・・・・その友達は貴方以外の全員は、誹謗中傷を続け、何かと理由を付けては何かをされている、そして貴方はそんな友達を庇う変わり者として貴方にまで被害が及ぶ、もしも貴方が友達を見捨てれば、貴方が被害に遭うことはない、それでも?」

 

哲也「たりめぇだ、ダチは守る、それが俺のポリシーだ。」

 

「・・・・・・・・・それじゃあ質問を変えるわ、殺人者のくだりは同じ、でも、相手は貴方の友達ではなく只のクラスメイト、そして、虐められていると言う状況は変わらず、そんな人、貴方はどうする?」

 

哲也「うーん・・・・・・虐めに加担するのはしたくねぇし・・・・・・とりあえず話し合ってみるかな、話して見なきゃ分からんこともあるだろうしな。」

 

「なんで虐めに加担したくはないの?」

 

哲也「なんでって、俺は昔から人にされて嫌なことはするなって親に言われてるから、特に一方的にする虐めだけは許さないってさ。」

 

「・・・・・・じゃあ最後の質問、話し合いが出来たとして、その相手はまだ心は閉ざしたまま、そんな時貴方ならどうする?」

 

哲也「心を閉ざす?それって虐めの影響でそうなっちゃったって意味で良いのかな?」

 

「・・・・・・そうね、そう思って。」

 

哲也「うーん・・・・・・まぁ話し合いが出来たんだろ?なら、そいつの悩みを聞いて、何か解決策を一緒に見つけ出すのがこの場合正解なのかな?」

 

「・・・・・・そう、ありがとうね、質問を聞いてくれて。」

 

哲也「いいってことさ、ところで、それは君の友達に起こった実話なのか?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

哲也「・・・・・・・・・ごめん、余計なこと聞いて。」

 

「良いの、ただ、聞いてみたくてこの話をしただけだから。」

 

哲也「・・・・・・・・・・・・これはまぁ俺の自論なんだけどよ。」

 

「?」

 

哲也「虐めだなんだってのはやる側とやられる側、どっちかに責任があってそうなっちまったもんだと思うんだよ、やる側もただ同調力がねぇだとかキモいだとかさ、同調力が無いはやられる側に非がある場合もあれば無理強いされて協力しないのかもしれない、キモいなんてそんなくだらねぇ理由で虐めをやるやつもいるだろう、かと言って虐めてる側だけを責めるのもナンセンスだ、もしかしたら、やられる側も何か、超えちゃならないラインを超えて何かをしたとかね、だから全部が全部やる側が悪いとは限らん、まぁ大抵の場合やってる側が悪いと思うけどもね、・・・・・・君の話してくれた話しなら、俺はやる側が悪いと思うんだ。」

 

「・・・・・・それはどうして?」

 

哲也「ろくに相手の話も聞かず、人を殺った人殺しと虐める、まぁ殺意満々の人殺しなら俺も援護しねぇが、流石に無我夢中で、その道しか無いってなら、その結果は仕方ないんじゃねぇか?俺は虐められたことも、虐めたこともねぇからその気持ちは分かんねぇ、でもしょっちゅうニュースで報道してるだろ?虐めが原因で自殺したって。」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

哲也「虐めにも色んな形はあると思う、暴力、無視、盗み、濡れ衣を着せる、カツアゲ、男から女への性的暴力、俺が思うに1番ひでぇのは何も知らねぇ奴らが変な情報を掴んだ瞬間に、それを周りに言い放ち、その子を無理やりにでも無視させるとか、暴力に加担させる、んでもってその言い放ったやつはその弱みに漬け込んで、さっき言ったカツアゲとかをやるとか、許せねぇゴミクズ人間のやる事だ。」

 

「・・・・・・貴方なら・・・・・・」

 

哲也「ん?」

 

「貴方なら、助けるの?そんな周りから避けられ、恐喝され、ひとりぼっちの人を。」

 

哲也「当たり前だ・・・・・・手の伸ばせる範囲の人は助けたい、それも俺のポリシーだ。」

 

俺は手を前に伸ばし、拳を握りしめて見せた、拳から雨水が滴り落ちる音だけがその場に響き渡る、今の俺はそんな感覚だった。

 

話を聞いてるだけで、腹が立つ、フェイクだとしても聞き入る、そんな感じで、俺は気づけばその話と、少女の目線に気を取られていた。

 

「・・・・・・・・・・・・貴方が・・・・・・・・・・・・」

 

哲也「ん?」

 

「・・・・・・・・・貴方みたいな完成された人間がいれば、世の中は平和になっていくのにね。」

 

哲也「・・・・・・・・・俺はそんな完成された人間じゃねぇさ、俺だって・・・・・・・・・罪は犯してる。」

 

「へ?貴方が?どんな?」

 

哲也「・・・・・・申し訳ねぇけど、それは勘弁な、ちょっと言いにくいんだ。」

 

・・・・・・言えるわけねぇ、SAO時代、クズとは言え30人近くの人を殺め、ラスボスとは言え、ゲーム開発者である人間、茅場晶彦も俺はこの手で殺した、罪の意識があると言えばそれはノーだが、やはり、こういった話になると嫌でも意識させられる、あの人が死ぬ間際に見せる断末魔、命乞い、そして呆気なく散っていく命、夢にも出てきた、その度に体が震え、恐怖する、俺はその度木綿季に慰めてもらってるが、夢の内容は言えてない、木綿季に軽蔑されたくはないからだ。

 

「分かったわ、そこはお互いノータッチで行きましょう。」

 

哲也「・・・・・・君には友達はいるか?」

 

「えぇ、一応ね。」

 

哲也「・・・・・・友達は大事にしなよ、きっと心の拠り所になるはずだ、加えて家族も・・・・・・」

 

「家族は・・・・・・家族は・・・・・・って・・・・・・あ・・・・・・れ・・・・・・」

 

俺の家族と言う言葉に反応したのか、女の子の身体は急に震えだした。

 

哲也「っ!?どうした!?」

 

「あ・・・あれれ・・・・・・今までこんなこと無かったのに・・・・・・おかしいな・・・・・・」

 

哲也「大丈夫か!?立てるか!?」

 

「・・・・・・ごめん・・・・・・肩貸してもらえないかしら・・・・・・」

 

哲也「分かった!!!!」

 

俺は急いで女の子を肩と腕で抱え、立たせた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

哲也「大丈夫なのか!?」

 

「・・・・・・私・・・・・・ストレス障害持ってるんだ・・・・・・それは親で発症するわけではなかったけども、貴方の話を聞いてたら、いきなり身体の震えが・・・・・・」

 

哲也「ストレス障害!?治るのか!?」

 

「え、えぇ・・・・・・こんなの・・・・・・いつもと比べたら軽度・・・・・・少ししたら治るわ・・・・・・」

 

哲也「そうか、なら良かったよ。」

 

「その間も、肩貸してもらえないかしら。」

 

哲也「あぁ、構わねぇ。」

 

「ありがとうね、やっぱり優しいのね、こんなに他人に優しくしてもらったの、いつぶりかしら。」

 

哲也「・・・・・・」

 

「・・・・・・私の心は、いつ晴れるのかしら、この雨みたいに、止むことは無いのかな。」

 

哲也「・・・・・・それは違うぞ。」

 

「へ?」

 

哲也「雨ってのはいつか必ず止む、どんな時でもだ、そして雨の次は晴れやかな晴天だ、だから、いつか君にも来るさ、晴れやかな晴れがね。」

 

「・・・・・・来るのかな、晴天なんて。」

 

哲也「きっと来るさ、大丈夫。」

 

「・・・・・・最後にもう一つ、質問いいかしら。」

 

哲也「おう、構わねぇぞ。」

 

「貴方が思う強さって、何?」

 

哲也「・・・・・・力、権力、金、それらも力といえば力だ、だけど一番大事な力ってのは、精神的な力だと思うんだ。」

 

「精神的・・・」

 

哲也「いくら強くても、金があっても、権力があろうが、精神的に貧弱だったらなんの意味もない、強さってのは、まずメンタルから始まるんじゃないかな。」

 

「・・・・・・・・・」

 

哲也「・・・・・・俺はもっと手に入れたい、その精神的強さを。」

 

「・・・・・・今日貴方に会えて正解だわ。」

 

哲也「そうか?」

 

「えぇ・・・・・・ねぇ。」

 

哲也「ん?」

 

「良かったら・・・・・・貴方の・・・・・・」

 

「哲也!!迎えに来たよ!!!!」

 

何かを言おうとした女の子の声の前に、迎えに来てくれた木綿季の声が聞こえてきた。

 

哲也「あ、来たな。」

 

木綿季「あれ?その人は?」

 

哲也「あぁ、ここ来たら鉢合わせてさ、ちょっと話してたんだ。」

 

「・・・・・・彼女?」

 

哲也「そんなとこ。」

 

木綿季「そんなとこじゃなくて彼女でしょ!!!!」

 

哲也「あぁもうそんな怒んなよ、傘は?」

 

木綿季「あるよ!はい!」

 

木綿季はそう言ってビニール傘を差し出してきた、俺はその傘を受け取った。

 

哲也「君、もう大丈夫か?」

 

「え、えぇ、ごめんなさいねいきなり肩借りちゃって。」

 

哲也「良いよ、気にしないで、後、これ。」

 

俺は女の子に受け取ったビニール傘を差し出した。

 

「これは?」

 

哲也「これで帰りな、いつまでもここにいる訳にはいかないでしょ?」

 

「でもそしたら・・・」

 

哲也「気にすんな、こいつがもう1本傘持ってるし、それで帰れる、この雨がいつ止むかなんて分かんないでしょ?」

 

「・・・・・・それじゃあ有難く受け取るわね。」

 

哲也「あぁ、受け取ってくれ。」

 

「あ、でもこの傘どう返せば・・・」

 

哲也「あー良いよ、ビニール傘だし、割と最近買ったから綺麗なはずだから錆びても無いし折れてもないから大丈夫だよ、あ、恩着せがましい言い方しちゃったけど、ほんとに返さないでいいからね?」

 

「でも・・・」

 

哲也「今日俺と君があった記念、それでどう?」

 

「・・・・・・貴方って面白いのね。」

 

そう言って女の子は初めて笑って見せた。

 

哲也「へへ♪」

 

「それじゃあ私行くね、じゃあ、またいつか会いましょうね。」

 

哲也「あぁ、また。」

 

俺は女の子が拳を差し出してきたから、俺も女の子の拳に拳を合わせた。

 

「貴方のポリシー、貫いてね。」

 

哲也「あぁ、君も、頑張れよ!!!!」

 

「それじゃあ、さようなら。」

 

女の子は俺の差し出したビニール傘を開き、駅の方へ歩いていった、俺は見えなくなるまでその女の子のことを見送っていた。

 

哲也「さて、俺らも行くか。」

 

木綿季「ところで・・・・・・まさかあの女の子とエッチなことしてないよね?」

 

哲也「するか!!!!馬鹿言ってないで帰るぞ。」

 

俺は木綿季から傘を取って、傘を指した。

 

木綿季「わーい!相逢傘♪」

 

哲也「んじゃ帰るか。」

 

木綿季「うん!!!!」

 

哲也「・・・・・・そういやあの時言いかけてた言葉、何だったのかな?」

 

────この時の俺は知らなかった、近い未来、あんな冒険が待ってるなんて────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんな事で痙攣を起こすなんて、そんな事じゃ駄目。

 

私はもっと、強くならなきゃいけない、もっと強くなって、あのトラウマを克服しなきゃ・・・・・・・・・・・・

 

貴方の言う通りかもしれない、降り止まない雨なんか無い、いつかは晴天になる、私は自分自身に打ち勝って晴れやかな晴れを手にしてみたい、だから今日もまた、歩み続けるんだ。

 

────この゙仮想世界゙で───

 

「リンクスタート!!!!」




突然降り出した雨の中偶然出会った2人。

少女が聞いた質問の意味とは?

そしてこの先展開される未来とは、そしてそこで哲也は何と遭遇するのか。

さて!今回で今年のお話はおしまいです!

来年は自分の事情でなかなか時間が取れない可能性も出てきます、ですが時間が取れればなるべく投稿していきたいと思っていますので来年もどうぞよろしくお願いします!

では!良いお年をお過ごしください!

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