ソードアート・オンライン~死神と呼ばれた剣士~   作:畜生ペンギン

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大変長らくお待たせいたしました!遂に二周年記念作品sidebでございます!

かなり書きたいことを書いた結果、合計文字数が5万5千を超えるということになってしまい、ここまで時間をかけさせてしまいました、申し訳ありません!

あと本当に長いので一気読みではなく、所々で休憩を入れるのを推奨します。

ではどうぞ!


2周年記念作品 sideb 告げられる思い~The Permanent Oath and Love~

『うぇーん!!』

 

『やーい!男女ー!!!!』

 

『女のくせにボクとか使いやがって!このオカマ!!』

 

『ボクは女だもん!!!!』

 

『だったら服脱いでみろよー!』

 

『こらぁ!!!!何やってんだお前らぁ!!!!』

 

『うわっ!?哲也だ!逃げろ!!!!』

 

『殺されるぅ!!!!』

 

『ぐすんっ・・・・・・えぐっ・・・・・・』

 

『大丈夫?木綿季ちゃん?』

 

『哲也君・・・・・・ボク・・・・・・ボク・・・・・・!!!!』

 

『泣かないで木綿季ちゃん!俺、泣いてる木綿季ちゃんなんか嫌いだよ!俺さ!木綿季ちゃんをいじめる奴は全員ぶっ飛ばす!!!!だから、もう木綿季ちゃんも泣かないでね?』

 

『・・・・・・うん!約束だよ!』

 

『うん♪約束ね♪』

 

小2くらいかな?この時の俺はただただ親友のその子を守りたい一心だった、ただそれから時が経ち、それは守るから俺のものにしたいに変わったのだったが、俺の想いは儚く散った。

 

散った花は二度と咲かないのと同じで、俺はもう二度と、同じことは思わないだろう、これから先ずっと・・・・・・

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

哲也「っ!!!!」

 

夢の内容に驚いた俺は、良くある身体を勢いよく起こしながら起きた。

 

・・・・・・・・・何が泣かすやつは俺がぶっ飛ばすだ・・・・・・俺がその加害者になっちまってんじゃねぇかよ・・・・・・・・・

 

哲也「・・・・・・・・・そう・・・・・・・・・人は(想い)をいくら植えようと・・・・・・何もわからないやつがそれを吹き飛ばすんだ・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

俺が入院してたのはものの1日で、その次の日には退院できた、まぁ包帯は取れだが運動は昨日入れて5日は禁止とのこと、まぁ大会は2週間後の土曜だ、まぁ間に合うだろう。

 

俺はいつも通り、母さんと姉ちゃんと朝飯を取っていた。

 

哲也「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

渚「怪我の具合はどうなの?」

 

哲也「怪我は大丈夫だよ、少しの間運動禁止だけどね。」

 

美咲「スポーツやってる上で怪我は避けられないからね、気をつけるんだよ?渚もよ?」

 

哲也・渚「はーい。」

 

美咲「そう言えば哲也、木綿季ちゃんとはどう?」

 

哲也「・・・・・・どうもこうも、あんな奴どうでもいいよ。」

 

渚「へ?」

 

哲也「元々、俺はアイツのこと大嫌いだし。」

 

俺はあの日以降、心の中のアイツが好きという気持ちを封印するため、あいつの事はとことん嫌うことを決めた、そうすれば自然と俺はアイツのことが嫌いになり、好きなんて気持ちも無くなり、イライラもしなくなる、そうすれば良いんだ、それで。

 

渚「っ!?あ、あんたどうしたの!?」

 

美咲「あら、喧嘩したの?仲直りしなくちゃね、゛むこう数年間は会えない゛んだから。」

 

哲也「へ?なんかあんのアイツ?」

 

渚「それも聞いてないの!?木綿季ちゃん2週間後には゛留学でイギリスに行くのよ゛!?」

 

哲也「っ!?」

 

い、イギリス!?しかも2週間後!?聞いてな・・・・・・・・・・・・いや、俺には関係ねぇんだ、俺は木綿季の事が大嫌いなんだから。

 

哲也「へー、そうなんだ。」

 

美咲「本当に何も聞いてないのね、どうしたのかしら、早く言わきゃって言ってたのに、言う前に喧嘩してたんじゃ仕方ないか、哲也?早く謝んなさいよ?」

 

哲也「・・・・・・・・・・・・仲直りなんかいらねぇよ・・・・・・・・・大嫌いなんだから・・・・・・・・・」

 

渚「哲也・・・・・・・・・」

 

まぁ生成するよ、2週間後には消えて、しかも留学ってことはしばらくいなくなるのは確定だ、運は俺を味方してるみたいだな。

 

哲也「さぁて、食べ終わったし学校の準備してくるわ。」

 

俺は食器を台所に置き、自分の部屋に置いた。

 

美咲「哲也ったらどうしたのかしら、お年頃の男の子は難しいわね~」

 

渚「そ、そうだね!全く哲也も素直になれないんだからね~!私も準備しちゃうね!」

 

俺が食事を終え十数分後、いつも通り学校に向かう。

 

渚「ねぇ、あんたどうしたのよ?この前は好きだって言ってたのに、もう心変わり?」

 

哲也「・・・・・・知らね・・・・・・」

 

渚「ちょっ!?あんたねぇ!!!!」

 

俺は少し早足に歩いた、そして少し行くといつもいつもアイツと会っちまう曲がり道に着いた。

 

渚「あ、もうこの際だからここで謝っちゃいなよ!そろそろ来る頃でしょ!!!!木綿季ちゃん!!!!」

 

哲也「知るかよんなの、勝手にしてくれ。」

 

そう言いながら歩いてると、曲がり道から姉ちゃんの言った通りアイツが出てきた。

 

渚「あ!ほら!ねぇね!木綿季ちゃん!!!!」

 

哲也「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

木綿季「っ・・・・・・・・・・・・」

 

俺が木綿季を人睨みすると、怯えた顔をして木綿季は走ってどこかへ行った、へっ、いつもなら飛びついてくるアイツも今ではこんなもんか、あーもう気が晴れた、朝でもアイツの相手しないで済むのは嬉しいもんだ。

 

渚「そ、そんなに酷い喧嘩したわけ?」

 

哲也「喧嘩じゃねぇ、ただ俺が一方的にキレただけだ。」

 

渚「なら尚更謝る必要あるじゃない!!」

 

哲也「いらねぇよんなもん、このままさっさとイタリアにでもアメリカにでも行ってもらいたいもんだね。」

 

渚「あんたね~!!!!」

 

哲也「ほら行くぞ姉ちゃん、置いてくぞ。」

 

渚「あ!?こら待ちなさい!!」

 

そうだ、さっさとどこへでも行ってくれ、今すぐ俺の目の前から消えろ、2度と現れないでくれよ、あ、そうだ、また別に好きな人探してみるか!ていうかもういっそ次告られて可愛かったらOKしちゃうか!!!!はっはっはっ!!!!人気者は辛いな~♪

 

まぁ、待ってりゃ告白くらい来るだろ、まぁとりあえず2週間後だな、そっから俺の第2の人生がスタートするんだ!!

 

渚「じゃあね哲也、悔いの無いようにすんのよ?」

 

哲也「はいはい。」

 

俺は学校に着き、姉ちゃんと別れ、クラスに入った、どうやら教室にはアイツはいないみたいだ。

 

哲也「うーす。」

 

琴音「あ!主役が来た!!!!」

 

哲也「?俺誕生日だっけ?」

 

飛鳥「ちげぇよ馬鹿。」

 

鈴奈「君も聞いてるだろ?木綿季の話。」

 

明日奈「私達も最近知ったんだ・・・・・・・」

 

珪子「悲しいです・・・・・・」

 

詩乃「やっぱり木綿季がいなくなるのは寂しいわね・・・」

 

里香「とう言う訳で、今度クラスで木綿季のお別れ会やるんだけども、そこで木綿季にサプライズとして何か送ろうと思ってるのよ、だから、クラス全員から500円を集めてるんだけども、哲也からもカンパしてもらえない?あ、あんたは木綿季と1番仲良いから1000円貰おうと思ってるんだ!!」

 

・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・どいつもこいつも勝手に決めやがって・・・・・・・・・

 

哲也「あっそ、勝手にやってれば。」

 

明日奈「へっ!?哲也君!?」

 

鈴奈「そんなに酷い喧嘩してるのかい!?」

 

哲也「ちげぇよ、つうか勝手に金を集めようとしてるんじゃねぇよ。」

 

里香「あ、あんたねぇ!?喧嘩してるとしても留学するのよ!?留学!!!!しばらく帰ってこないんだから仲直りして謝っときなさいよ!!」

 

哲也「うるせぇな!!!!何も分かんねぇ奴が口出して来てんじゃねぇよ!!!!」

 

里香「あ、あんたねぇ!!!!!!!!」

 

鈴奈「喧嘩は止めろ2人共!!哲也!!!!僕達が勝手に君から倍のお金を集めようとしたのは謝るが、そんな言い方は無いだろ!?」

 

哲也「そんだけ金が欲しいならだったら出してやるよ!!!!ほら!!!!」

 

俺は財布を取り出し、その中から100円玉を取り出し机に叩きつけた。

 

飛鳥「・・・・・・お前・・・・・・」

 

珪子「哲也さん・・・」

 

哲也「もうこれ以上あいつの事で話しかけてみろ!!!!2度と口聞かねぇからな!!!!」

 

琴音「哲也・・・・・・」

 

明日奈「哲也君・・・・・・」

 

ったく朝からイライラさせやがって・・・・・・勝手に人から倍の金むしり取ろうとしてんじゃねぇよ・・・・・・バイトも出来ねぇ俺がそんな大金簡単に出せると思ってんじゃねぇよ・・・・・・

 

でも助かったよ、俺の座席は1番後ろの窓側、隣は詩乃で近くにアイツはいない、だから俺には何の害もない。

 

哲也「ちっ・・・・・・・・・・・・」

 

詩乃「哲也・・・ごめんなさいね・・・貴方の気持ちも知らないで・・・・・・」

 

哲也「・・・・・・気にすんな・・・・・・俺だって悪かったな・・・・・・朝から喧嘩しちまって・・・・・・」

 

その後、朝のホームルーム。

 

凛「皆、知ってる人も多いと思うんだけど2週間後、木綿季さんがイタリアへ留学の為、この学校及び、クラスを去ることになりました・・・・・・もうずっと前から決まってたことで、どうしてもその分野の勉強をしたくて、ずっと前から勉強を続け、遂にその日が近づいてきました・・・・・・木綿季さん、皆へ一応話があればどうぞ。」

 

木綿季「はい。」

 

ちっ、どうでもいい、そんなんです時間使うなよ。

 

木綿季「えっと、ボクはこの度イタリアに留学することになりました、留学は1年生の頃からずっと考えていてこの時期に留学することになりました、この学校から去るのは悲しいし寂しいけど、それ以上にどうしても勉強したいことがあって、ボクはこの事を決めました、残り2週間ちょっとしかここにいられなくて多分そんな時間あっという間だけど、そのあっという間の時間にボクともっと話しかけてもらえれば嬉しいです、最後に大きな思い出を作ってあっちに行きたいので、残り少ないですがよろしくお願いします。」

 

哲也「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

詩乃「ねぇ、哲也。」

 

哲也「ん?」

 

詩乃「・・・・・・いや、止めとくわ、また怒らせたら悪いし・・・」

 

哲也「そうか。」

 

凛「はい、私はずっと前からこのことは知っていたのですがやっぱりこうしていなくなるって考えるのは寂しいよね・・・・・・だから!!残りの時間は木綿季さんにいっぱい思い出作ってあげようね!!ね!哲也君!!!!」

 

詩乃「あ・・・・・・」

 

哲也「ちっ・・・・・・・・・」

 

凛「ふふふ、やっぱり悲しいよね、それじゃあ皆!寂しくならないよう!!!!悔いの残らない生活を送ってね!!!!号令!!!!」

 

イタリアでもどうでもいいがさっさと2週間後になんねぇかな、土曜だったら俺の大会と被って親に無理やり見送りさせられなくて良いし。

 

朝のホームルームを終えた俺達は廊下で翔と新井と話していた。

 

新井「いやぁビックリだな!!留学だってよ!!!!」

 

哲也「・・・・・・・・・・・・」

 

翔「・・・・・・さっきの話悪いが廊下から聞かせてもらってた、喧嘩でもしたのか?」

 

哲也「・・・・・・喧嘩でもなんでもねぇ・・・・・・ただアイツに大嫌いって言っただけだ。」

 

新井「っ!?」

 

翔「お、お前!?本気か!?」

 

哲也「いやぁ嬉しいよ!!2週間後にはアイツはいなくなってんだ!!!!最高の気分だ!!!!」

 

翔「お前本当にそれでいいのか!?何があったかは知らんがそんな現実逃避みたいな言動・・・」

 

哲也「何言ってんだよ!!元々だ元々!!!!はっはっは!!!!」

 

新井「どうなっちまったんだこいつ・・・・・・?」

 

哲也「さぁ1時間目だ!行くぞー!!!!」

 

そう、2週間の辛抱だ、この2週間耐えれば俺の目の前からも地域からもアイツは消える、そうすりゃイライラしないで済む、そんでアイツは須郷と付き合えばアイツはアイツで幸せになれる、もうどうでもいいいいが俺は何て良い奴なんだろうな、他人の幸せも考え、自分の幸せも呼べるなんてなんて知恵者なんだ。

 

「ここの解き方は・・・」

 

哲也「詩乃、どう解くのか教えてくれよ。」

 

詩乃「えぇ、良いわよ、ここはね・・・・・・」

 

哲也「ふむふむ、なるほどね、流石詩乃だな、わかりやすい、ところでよ。」

 

詩乃「何?」

 

哲也「・・・・・・怒んないから言ってくれ、さっきお前か言おうとしたこと。」

 

詩乃「・・・・・・・・・何があったの?あんなに仲の良かった2人が今日1日も目も合わさないし、木綿季は木綿季で私達の方を見ようとしないし、喧嘩したの?」

 

哲也「・・・・・・・・・ただ俺は思ったことを言っただけど、そしたらアイツが勝手に俺から遠ざかってくれたんだよ。」

 

詩乃「なんて言ったの?」

 

哲也「大っ嫌いって。」

 

詩乃「っ!?」

 

哲也「んで、2度と俺に近づくなとも言った、声も聞きたくない顔も見たくないってな。」

 

詩乃「あ、貴方ねぇ!!」

 

「こら!!そこ!!騒がしいぞ!!!」

 

詩乃「あ、すいません・・・」

 

哲也「とにかくそんな訳だよ、把握よろしく。」

 

詩乃「じゃあもう仲直りなんて・・・」

 

哲也「するつもりナッシング♪」

 

詩乃「・・・・・・そう・・・・・・私から言えるのは・・・・・・後悔しないでよね?私が知ってる哲也はただ真っ直ぐに目の前を突き進む猪突猛進を絵にしたような男なんだから、2週間後にやっぱりこうしておけばなんて悔やむ貴方なんか見たくないからね。」

 

哲也「忠告ありがとよ、まぁ後悔なんかしないから大丈夫さ。」

 

詩乃「なら良いんだけどね・・・・・・」

 

後悔なんかしない、むしろ喜ぶさ、俺の幸せが来るんだから。

 

哲也「そう・・・・・・幸せがな・・・・・・」

 

詩乃「哲也?」

 

哲也「何でもないよ、じゃあ次ここ教えて~」

 

詩乃「え、えぇ、ここはね?」

 

そんな感じでいつも通り詩乃に勉強を教えて貰いながら授業をこなした。

 

時刻は昼、俺は屋上でいつもの3人+和人で昼飯を食べていた。

 

和人「哲也、聞いたんだが・・・・・・お前本当にそれで良いのか?」

 

哲也「え?何が?」

 

和人「何がって・・・」

 

哲也「まぁ2週間後にはしばらく目の前にアイツが現れることはねぇんだ、どんだけ行くの?」

 

翔「聞いた話、5年間はあっちにいるらしい、なんでもこっちでも勉強はしてるがあっちの方が分野が進んでるからそれら全てを頭に入れるのにそれ位はかかるプランらしい。」

 

哲也「5年!?やったね!!!!そんな長い時間顔合わさなくて良いんだな!!!!」

 

新井「・・・・・・・・・お前無茶してないか?」

 

哲也「あ?何がだよ?」

 

新井「なんか顔が強ばってるぞ?野球で言うならピンチの場面のお前っつうか・・・・・・分かるよな翔、言いたい事。」

 

翔「・・・・・・・・・俺からは何も言わない、コイツが選んだならそうすれば良いんだよ、俺が哲也に口出しするのは頭の悪さとリードの時だ。」

 

新井「翔・・・・・・・・・」

 

哲也「あんがとよ翔、助かるよ。」

 

和人「哲也・・・後悔するなよな・・・・・・」

 

哲也「詩乃にも言われたが、後悔なんざしねぇよ、だって、嬉しいからな!!!!はっはっは!?げほっごほっ!!!!」

 

俺は笑ったと同時にとてつもない胸の痛みに襲われた、思わず胸を抑え咳き込んでしまった。

 

翔「どした?怪我の次は風邪か?気をつけろよ~エース候補なんだからよ。」

 

哲也「はぁ・・・あ、あぁ、任せとけよ、怪我が治り次第すぐ復帰するからよ!!」

 

新井「期待してるぜエース!!お前がいればそれなりまでは行けんだろ!!」

 

和人「大会はいつなんだ?」

 

哲也「2週間後の土曜だよ。」

 

和人「ありゃ、それじゃあ見に行くの遅れるな、木綿季のフライトと被ってる。」

 

哲也「そうなん?まぁ無理に来ないでもいいからな?アイツ見送って帰ってもいいし。」

 

和人「まぁ時間を見て決めるよ、頑張れよ。」

 

哲也「おう!!!!」

 

それにしてもさっきの胸の痛みは何だったんだ・・・・・・?まるで俺の声を拒否るするみたいな感じだったが・・・・・・

 

いや、そんな胸の痛みある訳ねぇか、聴いたこともねぇよそんな痛みの仕方。

 

・・・・・・・・・深読みしすぎか、多分むせたかなんかだよな。

 

よぉし!目指すは甲子園!!!!俺らが行ってやるぜ!!

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

あれから5日経った日曜日、俺は練習に復帰することになり、早速投げ込みに。

 

翔「んじゃまずストレート、カーブ、フォークと色々と試すぞ。」

 

哲也「おう。」

 

充分にキャッチボールをこなし、肩を暖めていざピッチング。

 

翔「んじゃまずストレート。」

 

哲也「あいよ。」

 

あの胸の痛みが起きた日から数日経つがあれっきり胸の痛みは起きない、むしろ絶好調だ。

 

哲也「よいしょぉ!!」

 

翔「おっ、ナイスボール、数日のブランクも諸共しないんだな。」

 

哲也「たりめぇよ!!!!」

 

怪我開けとは思えぬ好調に俺も少し驚くレベルに調子が良い、一体あの時の胸の痛みは何だったんだろうか。

 

まぁ、偶にある変な反応だろうな、皆もあるだろ?よく分からないところが痛む感じ、多分それだ。

 

今日は週末、後一週間もすれば俺のイライラも晴れることになる、しかも今日はいよいよスタメン発表の日だ、にしても大会とアイツのフライトが被って良かったよ、俺も見送りに行かないで住むからな。

 

哲也「んじゃあフォーク!」

 

翔「おう。」

 

そう、恋愛なんかするもんじゃねぇ、俺には野球があればいいんだ、野球があればそれで。

 

俺はこの日最高のキレのフォークを投げながらそう思った。

 

~数時間後~

 

新庄「練習お疲れさん、さてと、いよいよ来週は大会だ、てなわけでだ、スタメンを発表するぞ。」

 

監督のその発言に周りはワクワクした声と懇願する声が聞こえてくる、まぁ、俺は言わずもがな・・・

 

新庄「まず一番は哲也だ。」

 

哲也「はい!!!!」

 

新庄「頼むぞ、怪我開けで辛いかもしれないが踏ん張れよ。」

 

哲也「おまかせあれ!!!!」

 

新庄「・・・・・・ところでなんだがな?お前、土曜って言えば紺野のフライトの日だろ?初戦の相手はお前抜きでも余裕で勝てる相手だし、フライト見送りに行くか?」

 

哲也「はぁ!?何いってんすか!?あんな奴のことなんかどうだっていい!!!!俺はエースなんですよ!?エースが試合に望まないでどうするんすか!!!!」

 

新庄「そ、そうか?なら頼んだぞ。」

 

何を言うのかと思えば笑っちゃうぜ、エースが試合欠場してアレの見送り?野球の神様に天罰もらっちまうよ。

 

新庄「二番は翔。」

 

翔「はい。」

 

そして、次々と番号が読み上げられ、スタメンとベンチ入りメンバーが決まった。

 

新庄「よし、今回はこの布陣で戦ってくぞ、すまないがこれから大会終わるまではスタメン陣中心の練習にする、周りも練習してもらうがサポート多めになるかもしれん、そこは申し訳ない。」

 

新井「監督?聞いたんすけど土曜台風近づく予定なんすよね?どうなるんすか?」

 

哲也「えぇ!?台風!?」

 

新庄「あ、そうだ、新井の言う通り土曜は台風が直撃する恐れがある、そうなったら試合は無しになって順延することになる、そこは覚えておけよ。」

 

哲也「ちぇー、台風来ないでほしいな~」

 

翔「まぁ良いじゃねぇか、そしたらまた1日じっくりと作戦考えられるんだからさ。」

 

哲也「それもそうか・・・」

 

新庄「良し、それじゃあ頑張っていくぞ、皆、んじゃ今日は終わりだ。」

 

まぁ台風ならしゃあないか・・・そしたらそれで翔の言った通り作戦を錬れるしな。

 

哲也「お疲れー」

 

翔「お疲れさん。」

 

新井「んじゃな~」

 

俺はいつもの3人で帰路に付いていた。

 

新井「・・・・・・台風になったら行くのか?」

 

哲也「どこに?」

 

新井「・・・・・・フライトの見送りに。」

 

哲也「けっ、なんでわざわざ行かなきゃなんねぇんだよ、家で翔と通話しながら作戦練るわ。」

 

新井「お前本当にそれでいいのかよ!?あんだけ仲良かったのにどうしたんだよ!?」

 

哲也「あー!?んなの演技だえ!ん!ぎ!!!!騙されてだっさいなぁお前も!!!!」

 

新井「お前なぁ!!!!」

 

翔「・・・・・・まぁ、お前の人生なんだからお前が選べよ、どうするかは。」

 

哲也「まぁそん時は頼むな翔!」

 

翔「おう。」

 

新井「あぁもう知るか!!!!勝手にしやがれ!!!!」

 

哲也「勝手にしまーす、試合の時は援護頼むぜ~新井。」

 

新井「打ってやるよ!!打ってやるからお前は・・・・・・・・・いや、止めとくよ。」

 

哲也「?なにが?」

 

新井「何でもない、んじゃな哲也、翔。」

 

哲也「おう、またな。」

 

翔「また。」

 

俺と翔は新井と別れた後に、それぞれ家に帰った。

 

哲也「ただい・・・」

 

「good evening 哲・・・」

 

哲也「やかましい!!!!」

 

俺は突っ込んでくる物体に向かって蹴りを入れた、蹴りを入れた物体・・・・・・基親父は顔面を蹴られ半泣きだ。

 

一輝「ぐっ、流石哲也だな、こんばんはジャンピングハグを蹴って交わすとは・・・」

 

哲也「いい歳してんだから止めやがれ!!姉ちゃんにもやんのか!?」

 

一輝「前渚にやったら殺されかけたからもうやらない・・・」

 

哲也「はぁ・・・これが親父とは情けない・・・」

 

俺は荷物を部屋に置き、リビングへ向かった。

 

渚「あ、来た。」

 

哲也「おまたー」

 

美咲「哲也?お父さん泣いてるわよ?渚の次は哲也が反抗期なのかって。」

 

一輝「美咲・・・お父さん悲しいよ・・・!!!!」

 

美咲「よしよし。」

 

哲也「いい歳こいた夫婦が子供の前でイチャつくな!!!!」

 

一輝「まだ30代だもーん!!!!」

 

哲也「ムカつく・・・!!!!」

 

美咲「さて、哲也も来たしご飯にしましょ、はい、いただきます。」

 

3人「いただきまーす。」

 

哲也「はむ・・・やっぱし練習の後の飯は美味いな~!!」

 

美咲「いっぱい食べて体を大きくしてね、プロに行くのが夢なら今よりふた周りくらい大きくならなきゃね!」

 

渚「まぁ、姉の私から言わせてもらえば今のままじゃまだまだプロなんて遠い世界ね、せいぜい頑張んなさい。」

 

哲也「るせぇ、姉ちゃんも良く食ってる癖に胸は小さいんだな。」

 

渚「るさいわね!!」

 

一輝「まぁ、母さんもちょっと小さいしな、はっはっは!!!!」

 

美咲「あなた?後でじっくりとお話しましょうね~♪」

 

一輝「はい・・・・・・」

 

哲也「お熱いようで・・・」

 

・・・・・・少し前まではこの光景を夢見たことが何度もあった、でも今ではまさに夢のまた夢と化した、もうこんな光景を見たところで、羨ましくも思わないだろうしね。

 

渚「あ!そうだ!ねぇお父さん!哲也ったら木綿季ちゃんと喧嘩して今口聞いてないのよ!!どうにか言ってやって!!!!」

 

哲也「あ!馬鹿!!!!余計なこと言うんじゃねぇよ!!!!」

 

一輝「なんだ?どうせ些細な痴話喧嘩だろ?」

 

哲也「んなんじゃねぇよ!!ったく、ほっといてくれよ!!!!もう思い出したくもない!!!!あんな奴のこと!!!!」

 

一輝「おー今回はいつにもまして怒ってるな。」

 

美咲「木綿季ちゃん悲しんでるんじゃない?誤ったら?」

 

哲也「だから!!!!俺は悪くねえっつの!!!!」

 

一輝「分かった分かった、そう怒るな哲也、父さんから助言出来んのは、もうこの先木綿季ちゃんには暫く会えねぇんだから、仲直りするなら今しかねぇぞ?後一週間しかないぞ?チャンスは。」

 

哲也「・・・・・・別にどうもしねぇよ、むしろラッキーだね、消えてくれて。」

 

渚「哲也!!!!」

 

哲也「・・・・・・悪い・・・・・・この件はほっておいてくれ・・・・・・」

 

俺はその後、無口のまま食事を続け、食べ終えたら食器を洗面台に持っていきすぐさま部屋に行きベッドに倒れ込んだ。

 

哲也「・・・・・・・・・・・・ちっ・・・・・・・・・・・・」

 

はぁ・・・・・・なんで何だろうな・・・・・・何で叶わぬ恋なんかしちまったんかなぁ・・・・・・俺は・・・・・・

 

・・・・・・悩んでても仕方ねぇか、少し自主練でもしに行くか・・・・・・

 

そう思い部屋を出ると、目の前には親父が立っていた。

 

一輝「おっ、ベストタイミング。」

 

哲也「?」

 

一輝「いや何、ちょっとお父さんのアドバイスをと、思ってね。」

 

哲也「・・・・・・要らねぇよ、んなもん。」

 

一輝「まぁまぁ、これは渚からも頼まれてんだ。」

 

哲也「姉ちゃんに?」

 

一輝「そっ、哲也が後悔しないようにしてくれってな。」

 

哲也「ちっ、余計なことを・・・・・・」

 

一輝「そう怒るなって、ほら、少し庭にでも行って話そうぜ。」

 

哲也「わぁったよ、付き合えばいいんでしょ付き合えば。」

 

俺は仕方なく親父の話に付き合うことにし、一緒に庭まで向かった。

 

一輝「・・・・・・んでだ、今してる喧嘩はそんな酷いのか?」

 

哲也「別に、喧嘩じゃねぇし。」

 

一輝「じゃあどうしてそんなに怒ってんだよ?」

 

哲也「それも別に変わりはない。」

 

一輝「んじゃあ聞くが、お前今朝木綿季ちゃんのこと嫌いって言ったらしいな、それは本心なのか?」

 

哲也「・・・・・・あぁ、本心だよ、あんな野郎・・・・・・」

 

一輝「まぁならお前がどう思おうが構わねぇがな・・・・・・まさかお前、木綿季ちゃんに好きな人がいて、それがお前じゃないからって嫌い、なんて舐めたこと言ってんじゃねぇだろうな?」

 

哲也「っ・・・・・・・・・んなわけねぇだろうが、んなめめっちぃ真似しねぇよ。」

 

一輝「・・・・・・俺の目をよぉく見て話してみろ。」

 

哲也「だから違うって言ってんじゃねぇかよ!!!!めんどくせぇな!!!!俺はもう高校2年だぞ!?なんで人間関係を親に心配されなきゃなんねぇんだよ!!!!!!!!」

 

一輝「ならお前の額にかいてる汗はなんだ?」

 

哲也「っ・・・・・・」

 

一輝「・・・・・・まぁ、お前が違うって言い張るなら、俺は何ももう言わねぇよ、だがな、失ったからって勝手に諦めんのは俺の息子としてはやって欲しくねぇな、もし本当に思ってるなら、奪い返すくらいの気でいてくれないとな。」

 

哲也「黙ってろ!!!!もう俺には関係の無い話なんだよ!!!!!!!!どこへでも勝手に消え去っちまえってんだよ!!!!!!!!」

 

一輝「・・・・・・・・・終わった後で泣いても知らねぇぞ。」

 

親父はそう言って家の中に入っていった。

 

哲也「クソッタレ!!!!!!!!」

 

俺は目の前の壁を思いきり殴った、痛みは感じはしなかった、けどそれ以上にあの親父の説教が腹が立った。

 

・・・・・・奪い返す?んな簡単な事言ってんじゃねぇよ・・・・・・運命の人だぞ?アイツにとっての、そんなやつかは奪い取れるほどの力量俺には無い、だから・・・・・・だから俺はこの道を選んだんだ・・・・・・俺も幸せになれて、木綿季も幸せになれる・・・・・・その道に後悔なんか・・・・・・後悔なんか・・・・・・

 

哲也「・・・・・・・・・・・・後悔・・・・・・・・・なんか・・・・・・・・・」

 

俺はこの時、ほんの少しだけあの時の胸の痛みの様なものが起こっていた。

 

~~~~~~~~~~~~~

 

現在、数日後の水曜日、アイツの留学まで着々と日は経っている、俺はあの時からも特に代わり映えしない毎日を送っている。

 

まぁ変わったとしたらクラスの雰囲気が少し変わったと言うとこだろうか、もうすっかりお別れ気分と言った感じだ。

 

俺は朝練を終えて屋上で1人寝転がっていた。

 

哲也「・・・・・・・・・」

 

『まさかお前、木綿季ちゃんに好きな人がいて、それがお前じゃないからって嫌い、なんて舐めたこと言ってんじゃねぇだろうな?』

 

哲也「ちっ・・・・・・」

 

あぁその通りだよ、俺じゃないからだよ、だから嫌いって言ったんだよ、そうすれば俺のイライラが解消されると思ったからな、それの何が悪い?どうしようが俺の勝手だろうがよ。

 

哲也「さっさと土曜日になんねぇかな・・・・・・」

 

「まだそんなこと言ってるのか君は!!!!」

 

いきなり聞こえた荒らげた声、俺はその声の方を向くとそこには息を切らしながら立っている鈴奈が立っていた。

 

哲也「?なんだ鈴奈か、どした?」

 

鈴奈「なんだとはなんだ!!!!君は一体いつまで喧嘩を引きずってるんだ!!!!もう木綿季との別れはすぐそこまでに迫ってるんだぞ!?」

 

哲也「・・・・・・はぁ・・・・・・お前もか・・・・・・」

 

鈴奈「その言い草を聞く限り他の人からも説教されたみたいだね・・・心を変える気は無いのかい!?」

 

哲也「オフコース。」

 

鈴奈「っ・・・・・・哲也!!!!」

 

寝転がっていた俺の上に鈴奈は跨り俺のことを殴ろうとしたのか拳を握りしめた。

 

鈴奈「いい加減にしろ!!!!かれこれもう一週間以上経つが木綿季は変わり果ててたような暗さなんだぞ!?皆の前では明るく振る舞っているが一人の時なんか溜め息つきっぱなしなんだぞ!?原因なんか分かりきってる!!!!君だ!!!!!!!!」

 

哲也「俺がなんだ?アイツをレイプでもしたってか?」

 

鈴奈「っ!?ふざけるな!!!!」

 

哲也「・・・・・・なぁ・・・・・・もうほっといてくれよ・・・・・・俺のことなんか・・・・・・」

 

鈴奈「ほっとけるか!!!!木綿季を元に戻してくれ!!!!」

 

哲也「木綿季を助けるってんなら俺は適任者じゃないよ、もっと良い奴がいる、紹介しようか?」

 

鈴奈「じゃあ誰なんだ!?君以外に木綿季を助けられる人とは!!!!!」

 

哲也「クラスの運動もできて顔も良い優しくて勉強もできてお金持ちの坊っちゃんだよ。」

 

鈴奈「・・・・・・須郷とでも言うのか?」

 

哲也「だいせーかい。」

 

鈴奈「舐めてるのか!?確かに成績も良く運動もできて顔も良いとは思うが・・・・・・」

 

哲也「とにかく離れてくれ、さもないと、鈴奈に襲われたって後でクラスにいいばら撒くぞ?」

 

鈴奈「っ・・・・・・いいばら撒かれても構わない!!!!とにかく君以外にはありえないんだ!!!!」

 

哲也「だから・・・・・・俺じゃ・・・・・・」

 

何度も何度も否定する俺から食い下がろうとしない鈴奈、再び否定しようとすると、鈴奈は泣き出してしまった。

 

鈴奈「・・・・・・頼む・・・・・・頼むよ・・・・・・君以外じゃ・・・・・・君以外じゃ木綿季は助けられないんだよ・・・・・・!!!!だから・・・・・・!!!!」

 

哲也「鈴奈・・・・・・・・・乙女の涙には弱いんだが、今回ばかしは俺は力になれん、済まないな。」

 

ゆっくりと鈴奈をどかし、立ち上がった。

 

鈴奈「哲也・・・・・・頼むから・・・・・・木綿季を・・・・・・」

 

哲也「・・・・・・ごめんな・・・・・・鈴奈・・・・・・」

 

俺は鈴奈の頭に手を置いた後に、その場を後にした。

 

悪いな、鈴奈、俺の言った通りにすりゃどうにかなると思うぜ?

 

俺はもう、アイツとは関係ないからな・・・・・・

 

哲也「・・・・・・心が痛むな・・・・・・こりゃ・・・・・・」

 

鈴奈の涙の訴えを無視した俺は、少しザワザワしてる教室に入った、するとそこにはアイツと鈴奈とを除くいつもの女性陣の中に、仁王立ちした飛鳥が俺を待ち構えていたかのように立っていた。

 

飛鳥「哲也ァ!!!!!」

 

飛鳥はそう叫ぶと俺の首を閉めてきた、しかも手加減抜きに。

 

哲也「っ!?」

 

飛鳥「お前・・・・・・いい加減にしろよ!!!謝ったらどうなんだ!?木綿季に!!!!」

 

哲也「ぐっ・・・・・・ば・・・・・・か・・・・・・シヌ・・・・・・」

 

琴音「飛鳥!?ほんとに死んじゃうから離してあげてよ!!」

 

明日奈「それじゃあ謝るものも謝れなくなっちゃうよ!!!!」

 

飛鳥「・・・・・・・・・悪い・・・・・・・・・」

 

飛鳥は手の力を緩めてくれたから、ようやく息を吸うことが出来た。

 

哲也「げほっ!!!!ごほっ!!!!」

 

飛鳥「さぁ!!!!早速謝ってもらうぜ!!!!」

 

里香「悪いけど、これも木綿季の為よ、我慢して謝りなさい。」

 

珪子「きっと哲也さんとの仲直りが木綿季さんへの最高の贈り物ですよ!!!!だから!!!!」

 

哲也「・・・・・・はぁ・・・・・・もう勘弁してくれよ・・・・・・皆・・・・・・」

 

詩乃「鈴奈はどうしたの?1人で屋上にいったはずよ。」

 

哲也「鈴奈も俺に言ってきたよ、木綿季に謝れってな、でももう俺には何も出来っこないんだ、だからもう俺に頼むは御門違いってやつだよ、だからアイツの慰めなら別のヤツに頼みな。」

 

飛鳥「じゃあお前以外の誰が慰めるってんだよ!!!!翔か!?新井か!?」

 

哲也「鈴奈にそれは言ってあるから鈴奈に聞いてくれよ、もうほっといてくれ、俺は疲れてんだから。」

 

飛鳥「なら木綿季はもっと疲れてんだぞ!!!!皆の前では明るく振る舞ってんのに一人の時の落ち込みようなんか見てられないレベルなんだぞ!?それをお前は・・・・・・!!!!!!!!」

 

哲也「・・・・・・せいぜい頑張ってくれよ。」

 

詩乃「哲也!!!!!!!!」

 

俺はその場から立ち去ろうと後ろを向いたが、詩乃に力強く肩を掴まれた。

 

詩乃「貴方の勝手で旅立つ木綿季があんな調子なんて私達からして見れば許しては置けないのよ!!!!一番仲のいい貴方との喧嘩のせいであんな木綿季を見なくちゃいけないなんて・・・・・・こっちも気分が参っちゃうのよ!!!!」

 

琴音「そうだよ!!!!木綿季の為だと思ってここは一肌脱いでよ!!!!」

 

明日奈「お願い!!!!哲也君!!!!」

 

哲也「・・・・・・・・・もう俺なんか必要ないよアイツに、だから俺のせいにするのは止めてくれよ、皆。」

 

飛鳥「お前じゃなかったら誰があぁさせたんだよ!!!!」

 

哲也「さぁな?聞いてみろよ。」

 

詩乃「その事を聞くと一言も口聞かなくなるのよ!!!!それにやっぱり哲也が木綿季を大っ嫌いなんて言うなんて信じられない!!!!絶対に裏があるはずよ!!!!」

 

哲也「裏も何もない、なーんもね。」

 

琴音「本当にそれでいいの!?」

 

哲也「・・・・・・もう俺には関係無い話なんだ、これ以上巻き込まないでくれよ。」

 

飛鳥「てめぇ・・・・・・もういい!!!!!!!!勝手にしやがれ、!!!!!!!!」

 

そう言って飛鳥は教室を出ていった。

 

詩乃「飛鳥・・・」

 

哲也「もうこの事で首は突っ込まないでくれ、頼むから。」

 

俺がそう言うと皆は何も言えなくなったのか俯いてしまい、俺はそれを勝手に承諾したと判断し、席に座った。

 

どうせ俺なんかいなくたって良いんだろ?俺なんか関係無い、ただ学校を去るのが嫌なだけだろ?それを俺のせいなんかにしないでくれよ、本当に。

 

哲也「・・・・・・・・・・・・」

 

~~~~~~~~~~~~~

 

哲也「オラァ!!!!」

 

新井「ぬおっ!?」

 

翔「ナイスボール!!」

 

あれから時は経ち昼休み、俺らは飯を食い終えると自主練として一打席勝負形式で練習を行っていた。

 

新井「いきなりんな飛ばすかよ~!!」

 

哲也「るせえ!!!!今日のイライラ全部お前にぶつけてやる!!!!」

 

新井「んな馬鹿な~!?」

 

翔「それを受けるのは俺なんだがな・・・・・・」

 

あぁ、至福の時だ、やっぱり今この瞬間、翔達と野球をするのが一番心が安らぐ、もう野球無しの生活なんか考えられない。

 

哲也「さぁ次行くぞ!!」

 

新井「えぇいかっ飛ばしてやる!!!!」

 

その頃、教室では・・・・・・

 

「もうお別れなんか早いよ~!!!!」

 

「留学なんかしないでよ~!!!!」

 

木綿季「ボクだって悲しいよ~!もっと皆でいたいよ~!」

 

「じゃあ俺と結婚すればここに・・・・・・」

 

木綿季「ごめんなさい♪」

 

「ガーン!!!!」

 

「振られてやんの~!!!!」

 

木綿季「あはは♪気持ちは受け取るね♪」

 

「しゅん・・・・・・」

 

「じゃあ俺は!?」

 

木綿季「ごめん!!!!」

 

「あぉぅ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴奈「・・・・・・やっぱり無理してるな・・・・・・顔が強ばってる・・・・・・」

 

飛鳥「だぁもうあの野郎!!!!謝れば済むものを・・・・・・!!!!」

 

和人「だけど哲也の口から聞いたんだろ?木綿季が大嫌っいって言ったって。」

 

詩乃「えぇ・・・・・・この耳でハッキリね・・・・・・」

 

琴音「木綿季が可哀想・・・・・・」

 

明日奈「でも哲也君があんなに言うんだもん・・・・・・絶対裏があるはず・・・・・・」

 

珪子「でもそれが分からなきゃ・・・・・・」

 

里香「・・・・・・さっき渚さんに会った時に聞いてみたけど、何の情報も得られなかったわ・・・・・・」

 

明日奈「木綿季・・・・・・哲也君・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木綿季「あ、ごめんちょっと先生に用があるから行くね!!」

 

「うん、行ってらっしゃい!!!!」

 

「うぅ・・・・・・やはり駄目だったか・・・・・・」

 

「やっぱ振られるよね~・・・・・・」

 

「この数日間で何人の男子が振られてんのやら・・・・・・」

 

「下手すりゃ100人切り行けるんじゃない?」

 

「かもね!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室を出た木綿季は、手のひらサイズの何かを手にし、1人黄昏ていた。

 

木綿季「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

『お前なんか大っ嫌いなんだよ!!!!!!!!!!!!』

 

木綿季は何度もその言葉がリピートされる脳内の中、その何かを握りしめながら胸に手を当てまだまだ残暑の残る秋空を眺めていたのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

~部活終わり・哲也の家~

 

哲也「97・・・98・・・99・・・・・・・・・100!!!!」

 

100回の腕立ての3セット、計300回を終え、休憩に入る。

 

哲也「ふぃ~終わった~今日のメニュー終わり~次はシャドーピッチングだな。」

 

手元にあるスポーツドリンクを飲み干し、俺はその場で横になった。

 

後2日か・・・・・・それでもうアイツは居なくなるのか・・・・・・まぁ、せいせいするよ、せいぜい勉強でも何でも頑張るこったな。

 

哲也「さて!シャドーでもやるか!!!!」

 

たそう思立ち上がろうとすると、携帯の着信音が鳴った。

 

哲也「?誰だ?もしもし?」

 

『あ、哲也君?』

 

哲也「なんだ明日奈か、どした?」

 

明日奈『あのね、今から近場の公園来れる?』

 

哲也「別にこれるけども?」

 

明日奈『時間は取らせないから、ちょっと会えないかな?』

 

哲也「構わねぇぞ、今から?」

 

明日奈『うん。』

 

哲也「分かった、すぐ行くよ。」

 

明日奈『それじゃあ私も待ってるね。』

 

にしても明日奈がこんな時間から呼び出すとは珍しいな・・・・・・アイツんち門限とか厳しいのに・・・・・・

 

あとにかく俺明日奈に言われた通り、近場の公園に急いで向かった、着いた時にはもう明日奈がベンチに座っていた。

 

哲也「よっ。」

 

明日奈「あ、哲也君、もう来てくれたんだね。」

 

哲也「まぁ、ちょっと急いで来たからね、こんな時間にお前が呼び出すなんてよっぽどの事だと思ってな。」

 

明日奈「これだけは言っておきたくて・・・・・・お母さんにも無理言って出てきたんだ・・・・・・」

 

哲也「・・・・・・・・・木綿季のことか?」

 

明日奈「・・・・・・うん・・・・・・哲也君だってもう言われ続けてうんざりしてると思ってるけど・・・・・・やっぱり、私から見ればこんな光景、おかしくて・・・・・・別に哲也君と木綿季の気持ちになってなくても、胸が痛くなって・・・・・・」

 

哲也「・・・・・・なんでなんだろうな・・・・・・たった一言の言葉で俺らの関係はぶち壊しさ・・・・・・」

 

明日奈「哲也君が嫌いって言ったこと?それとも、何か木綿季に言われたの?」

 

哲也「まぁ・・・・・・そんな所だよ。」

 

明日奈「・・・・・・もう、仲直りする気なんて毛頭ないって感じなの?」

 

哲也「・・・・・・もう、良いんだ、俺達の関係は全部終わったんだよ、何もかもが。」

 

明日奈「哲也君は本当にそれでいいの!?私は思うの!!!!絶対に哲也君は無理してあんな態度取ってるんだって!!!!だから・・・・・・もっと自分に素直になって良いんだよ!?小学校の頃から汚れ役は決まって哲也君だったじゃない!!!!何で・・・・・・何でそんなに正義感が強いのよ!!!!」

 

哲也「素直にか・・・・・・確かに、俺はガキの頃から良くダチの尻拭いは多くしてきたさ、確か、明日奈が昔ガラスを何かの拍子に割った時も、俺がボールをぶつけて割ったって嘘言ったっけかな。」

 

明日奈「どんな時だって哲也君は馬鹿みたいに優しくていい人で・・・・・・でも、私はほとんど貴方が素直になった所を見たことは無い、今回の一件もそうなんでしょ?自分に素直になれないからあんな言葉言って・・・・・・良いの?もう水曜日の夜、もう余裕があるのはたった2日で、3日後にはもう旅立ってるんだよ?」

 

哲也「・・・・・・良いんだよ・・・・・・これで・・・・・・何もかもね・・・・・・俺が素直になった所で・・・・・・運命は変わりゃあしない・・・・・・あーあ、笑っちゃうぜ、十何年の想いが全部パーさ。」

 

明日奈「っ!?それって・・・・・・!?」

 

哲也「言わないでくれよな・・・・・・これ以上アイツの話はしたくない・・・・・・」

 

明日奈「哲也君・・・・・・」

 

哲也「ふっ、もう少し器用に生きれれば、俺も変われたのかな?」

 

明日奈「分からないよ・・・・・・どうしてそんなに気負いするのよ・・・・・・!!!!仮にでもプロを目指してる貴方が何でそんなに欲薄なのよ!!!!」

 

哲也「・・・・・・欲が無いからこそ、大学から声がかかるレベルになれたんじゃねぇかな・・・・・・」

 

明日奈「じゃあそれ以外の夢は掴めなくていいの!?いいじゃない!!!!ちょっとくらい欲望が多くたって!!!!木綿季には色んな夢があるのよ!?留学先で頑張って勉強してその分野の専門家になって、こっちに戻ってきて色んなことをして!!それでいて幸せな家庭を持って、その為に゛大好きな人゛のお嫁さんになることが木綿季の夢なのよ!!!!そんな3つの夢・・・・・・いや、欲望を持ってる木綿季が今まさにその欲望の為に飛び立とうとしてるのよ!?だったら哲也君がプロになるのを目指すのと一緒に、言えば良いじゃない!!!!その胸に秘めた気持ちを!!!!」

 

明日奈は今までに見た事のないような剣幕で俺に迫ってくる、確かに説得力はあるかもしれない・・・・・・しれないけども・・・・・・

 

哲也「プロ野球選手を目指してるのは全国に五万といる、その中でドラフトや入団テストで合格出来るのはほんの一握りなんだ、俺はそんな狭いもんに挑戦状を叩き込もうとしてるんだ、なら、それ以外の夢なんて叶わなくても良いだろって程度の物なんだよ、そう、幼馴染同士が付き合うなんてことは、プロになるのと同じくらい難易度の高い想いなんだ、俺に他に夢を見る価値なんてねぇんだよ・・・・・・」

 

明日奈「ある!!!!あるに決まってる!!!!夢を見るのは誰にだって平等に与えられてるんだよ!?もっと欲を持ってよ!!!!プロになってからどうしたいの!?最多勝とったり新人王取ったりしたいって言ってたじゃない!!!!それはプロ野球選手になるって夢と並ぶ夢なんじゃないの!?」

 

哲也「・・・・・・じゃあ、俺の夢はそれで終わりさ、プロになれたら新人王取って、最多勝取って、沢村賞も取ってさ、球界一のエースになる、それが俺の夢の全部だ。」

 

明日奈「なんで・・・・・・なんでなの・・・・・・?なんでそんなに哲也君は持ってる野望を諦めようとするの?」

 

哲也「野望?いやぁ違う、これが俺の運命なんだよ、不様に振られた俺にはもう何の欲もねぇんだよ、俺に出来るのは、応援だけさ。」

 

明日奈「っ!?ふ、振られた・・・・・・!?」

 

哲也「・・・・・・もういいだろ?明日奈、帰らせてくれよ・・・・・・」

 

明日奈「・・・・・・ごめんね・・・・・・哲也君・・・・・・」

 

俺と明日奈はその場で背中を向き合い、最後には何も言わず立ち去ったのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

~同時刻・木綿季の家~

 

side 木綿季

 

木綿季「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

もうたった2日でお別れなのか・・・・・・寂しいようで少しワクワクするなぁ・・・・・・・・・

 

それにしても、ボクはこの2週間近くで何人の男の子に告白されたのかな・・・・・・もううんざりしちゃうレベルで来てる気がするよ・・・・・・

 

・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・ほんと・・・・・・・・・うんざりするよ・・・・・・

 

1人色々なことを考えていると、部屋にノックの音が響いた。

 

「木綿季?ご飯だって。」

 

声の主はお姉ちゃんだ。

 

木綿季「・・・・・・・・・いらない・・・・・・・・・」

 

「あら、どうしたの?食欲ないの?」

 

木綿季「・・・・・・違う・・・・・・」

 

「・・・・・・入っていい?」

 

木綿季「・・・・・・良いよ・・・・・・」

 

ボクがそう言うとお姉ちゃんはゆっくりとドアを開け部屋に入ってきた。

 

藍子「あら、布団にくるまってどうしたの?」

 

木綿季「・・・・・・ねぇ・・・・・・ボクはどこで道を踏み外したのかな・・・・・・」

 

藍子「へ?」

 

木綿季「・・・・・・言われちゃったの・・・・・・大切な人に・・・・・・一番言われたくない言葉を・・・・・・」

 

藍子「・・・・・・そっか、最近やたらと溜め息ばかりついてると思ったらそういう事だったのね。」

 

木綿季「・・・・・・・・・ボクは・・・・・・ボクはどうすれば良かったの!?色々なことをし尽くしてきて!!!!絶対にボク以外には目が行かせないくらいその人の為を思っていたのに・・・・・・!!!!なんで・・・・・・なんでこうなるんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

ボクは被っていた布団から飛び出し、目に浮かぶ涙を拭かずにお姉ちゃん訴えかけた。

 

藍子「・・・・・・人生、上手く行くことだらけじゃないの、分かるでしょ?」

 

木綿季「でも・・・・・・でも!!!!!!!!」

 

藍子「・・・・・・木綿季。」

 

お姉ちゃんはボクの名前を呼んだ後に抱きしめてきた。

 

木綿季「お姉ちゃん・・・・・・?」

 

藍子「よしよし、悔しいね、悲しいね、寂しいね、それじゃあお姉ちゃんにいっぱいその想いぶつけてごらん?少しは楽になるよ?」

 

木綿季「お姉ちゃん・・・・・・・・・ぐすっ・・・・・・うっ・・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

ボクは近所迷惑なんじゃないかと思うくらいの大声で泣き出した。

 

木綿季「なんで・・・・・・なんでこうなるの・・・・・・!?ボクは・・・・・・ただ・・・・・・想いを告げたかっただけなのに!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

藍子「よしよし・・・・・・」

 

ボクは暫く泣いた、泣いて泣いてこれでもかと言うくらい泣いた。

 

でも、いくら泣いてもこの悲しみは消えない、ねぇ、どうすれば良いの?教えてよ、誰でもいいから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃哲也は・・・・・・・・・

 

哲也「・・・・・・・・・・・・」

 

渚「哲也?庭でなにしてんの・・・・・・って何燃やしてんの!?火事!?」

 

哲也「違うよ、今日は風も強くないし、よく紙が燃えると思ってさ。」

 

渚「なんだ、いらない紙を処分してるわけね・・・・・・まぁ何かあったように私が一緒にいてあげるから早く済ましちゃいなさい。」

 

哲也「おう。」

 

俺はダンボール箱いっぱいに入った紙・・・・・・ではなく写真をその燃え盛る火の中に放り込んだ。

 

それは、小さい頃からの木綿季との想い出の詰まった写真だった。

 

最後に火の中に放り込まれたのは、中学位の時の俺と木綿季の幸せそうなツーショットの写真だった、写真はみるみる火に焼かれ、もう数秒後にはその面影すらなくなり、全ては煤に変わっていた。

 

哲也「さよなら、もう二度と来ない俺の青春・・・・・・・・・・・・」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

哲也・渚「いただきまーす。」

 

あの日から2日後の金曜日、いよいよ今日はアイツの学校生活ラストの日、そして大会前日だ。

 

渚「・・・・・・ねぇ・・・・・・良いの?」

 

哲也「・・・・・・何がだよ。」

 

渚「何って・・・・・・木綿季ちゃんのことよ。」

 

哲也「・・・・・・別に。」

 

明日奈に説得されたあの日の翌日も俺はいつも通りの日を過ごし、何も起こらない日を過ごした。

 

渚「・・・・・・本当にいいの?後で泣いてきても知らないからね。」

 

哲也「泣かないから良いよ、もう、さっさと飯食って学校行こうぜ、朝練あるし。」

 

渚「私はまだ行かないわよ、何?やっぱり私と一緒に行きたいの?」

 

哲也「別に。」

 

渚「可愛げのないやつ。」

 

哲也「まぁね、ごっそさん、んじゃ姉ちゃん、母さんに言っといて、今日も遅れるって。」

 

渚「はーい。」

 

俺はあらかじめ制服に着替えていた為食事を終えるとすぐに荷物を持って学校に向かった。

 

学校に着いた俺はグラウンドに直行し、部室に向かい着替えて朝練に望んだ。

 

哲也「新井、翔、ランニング行こうぜ。」

 

翔「おう。」

 

新井「良いぜ~」

 

哲也「いよいよ明日だな~大会。」

 

翔「あぁ、あっという間だな。」

 

新井「あ、でも明日本気で台風直撃ルートかもよ?テレビで言ってた。」

 

哲也「えぇ~!?本気~!?」

 

翔「まぁ仕方ないか、じっくり休んで移行日に備えよう。」

 

哲也「まぁしゃあないか・・・」

 

新井「ついでに、あれも明日だな。」

 

哲也「・・・・・・・・・・・・」

 

翔「・・・・・・悲しくなるな。」

 

新井「だな。」

 

哲也「・・・・・・・・・」

 

新井「・・・・・・なぁ、やっぱお前・・・・・・」

 

哲也「さぁランニング終了だ!!!んじゃあ今日は俺も打つぞ~!!!!」

 

新井「あっ!?おい!?」

 

翔「・・・・・・まぁ、もう哲也に任せるしかないよ、俺ら出来ることなんかない。」

 

新井「だけどもよぉ!!!!」

 

東山「おいおい、大会前日に喧嘩は止めてくれよな~」

 

新井「あ!お前からも言ってくれよ!!!!哲也の野郎がよォ!!!!」

 

東山「あー、聞いてるよ、でもさ、哲也は頑なに謝ろうとしないんだろ?ならもう俺らに出来ることなんか無いんじゃないか?」

 

新井「お前まで・・・・・・」

 

翔「・・・・・・どうすんだ・・・・・・哲也・・・・・・」

 

哲也「さぁこい!!!!」

 

軽い練習をこなしながら朝練を終え、教室に入る俺達、特に飾り付けなどはせずとも普通教室になっていた。

 

哲也「おはよ、詩乃。」

 

詩乃「おはよう、哲也、いよいよ今日ね。」

 

哲也「だね。」

 

詩乃「・・・・・・変わりは無いみたいね。」

 

哲也「うん。」

 

詩乃「・・・・・・放課後木綿季の送別会をやるんだけど、来る?」

 

哲也「さぁね、まぁいられたらいるよ。」

 

詩乃「そう、翔と新井君はいるみたいよ。」

 

哲也「そうか。」

 

詩乃「哲也。」

 

哲也「ん?」

 

詩乃「再三だけど、後悔は?」

 

哲也「しないよ。」

 

詩乃「ならいいわ、今日も頑張りましょう。」

 

哲也「あぁ、勉強よろしく頼むね。」

 

詩乃「いい加減覚えられるとこは覚えなさいよね・・・」

 

哲也「てへ♪」

 

後悔か・・・・・・んなもん嫌いって言ったあの時に置いてきた言葉だよ、ついでに今までの写真も思い出も全部消した、後悔なんか微塵もしたいね。

 

後悔なんか・・・・・・後悔なんて・・・・・・

 

その時、俺は三度目の胸の痛みに襲われていたが、特に表情にも出さず我慢してやり過ごした。

 

今日の学校は何の変化もないという訳では無い、来る担当の先生が口それぞれにアイツに別れの言葉話して授業終わっている、まぁなんとなく想像は出来てた自体だ。

 

そして昼休みのし時間はこの教室は人という人溢れかえっていた。

 

新井「にしてもすげぇ量人間だな。」

 

翔「全員木綿季目当てって言うのが凄い。」

 

そう、翔の言う通り全員アイツへの別れ目当てここに来ていた、まぁ随分と人気だこと。

 

「あっちに行っても連絡するからね!」

 

「事故とか変な男に気をつけろよ!」

 

「絶対クスリにハマったら駄目だからね!」

 

木綿季「大丈夫!ボクはそんなことに引っかかるような女じゃないよ!」

 

飛鳥「飯にすぐ釣られそうな気はするけどな。」

 

木綿季「えぇ!?」

 

飛鳥「冗談冗談♪」

 

木綿季「もぉ!飛鳥の馬鹿!」

 

「「「ははははは!!!!」」」

 

そう、授業前の空き時間に何人かはは来たが、まさか昼休みでこんだけ人が来るとは思わなかった。

 

哲也「喧しくて仕方ねぇ、さっさと帰れよ。」

 

新井「まぁ、確かにそれはあるな。」

 

翔「まぁまぁ、良いじゃねぇか、もうお前には関係無い事だし。」

 

哲也「・・・・・・・・・・・・まぁな。」

 

そうだ、関係無いんじゃそんな無関係なやつにピリピリしてても仕方ないか。

 

哲也「さてと!食い終わったし軽く動こうぜ!」

 

新井「そうすっか!」

 

翔「だな。」

 

俺達は動く為、外へ出ようとした、その時俺の前に珪子と里香と琴音が何か話有り気な顔をして立っていた。

 

哲也「・・・・・・先言っててくれ、ちょっと話してくる。」

 

新井「おう。」

 

翔「分かった。」

 

哲也「屋上に行こう、ここだと人目がつく。」

 

俺は3人と共に屋上向かった。

 

哲也「んで?なんの話だ?」

 

里香「あんた、本当にこのままでいいの?」

 

琴音「まだ時間はあるよ?今からでも充分チャンスはあるよ!」

 

珪子「そうです!今からでも遅くないですよ!」

 

哲也「・・・・・・・・・もう手遅れなんだよ、俺は充分過ぎる時間を持ってたのに、このザマさ、もう遅いんだ、何もかもが。」

 

里香「どうしてそうやって決めつけんのよ!!!!このまま木綿季とサヨナラなんかで良いの!?良くないでしょ!?あれだけ仲良かったんだからまだあんたの胸の中には罪悪感があるはずよ!!!!」

 

哲也「罪悪感か、寧ろ逆だ、心が晴れ晴れしてるよ、もう会わなくて良いってね。」

 

琴音「哲也!!!!」

 

琴音は一歩前に出て声を荒らげた。

 

琴音「私、鈴奈と明日奈から話聞いてるよ!!説得しても駄目だったって!!!!哲也と仲のいい2人が説得して駄目なんだからもう内心厳しいって思ってはいるけど・・・・・・でも!!!!後々になって哲也がそれ引きずる姿を見るなんて絶対嫌なの!!!!表向きでは平然としてるけど、心のどこかでは迷いがあるはずだよ!?お願い!!!!哲也のその迷いの心を全面に出してよ!!!!」

 

哲也「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

琴音「なんで・・・・・・なんで何も言わないの!?本当に哲也の気持ちってそんなに軽いものだったの!?」

 

哲也「・・・・・・ごめんな琴音・・・・・・お前の願い、どうしても聞くことなんかできねぇよ・・・・・・だって・・・・・・迷いなんてもうねぇんだから・・・・・・」

 

琴音「嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!!!!!」

 

哲也「琴音?お前どうしたんだよ、そんなに興奮して・・・」

 

琴音「何でそうやって嘘つくの!!たまには正直になろうよ!?ねっ!?」

 

里香「哲也、琴音の言う通りよ、いい加減自分に素直になりなさい。」

 

珪子「私だって足枷を付けられた哲也さんなんか見たくないです!!だから!!!!」

 

哲也「・・・・・・そろそろ諦めてくれ、もう俺に説得は無駄・・・」

 

琴音「馬鹿!!!!!!!!」

 

「なんだよ」と言おうとしたところで俺は琴音にビンタされた。

 

琴音「もうそんな哲也なんか知らない!!!!大嫌い!!!!」

 

涙ながらにそう言いながら、琴音は素早く屋上のドアを開去っていった。

 

哲也「・・・・・・そんな哲也か・・・・・・」

 

里香「あんたって最低ね・・・・・・!!!!琴音がどんな思いで説得しに来たかも知らないで・・・・・・!!!!」

 

珪子「酷いです!!!!なんでそうなっちゃうんですか!?」

 

哲也「ど、どういうことだよ・・・」

 

里香「琴音はね!!中学の頃からあんたの事が゛好き゛だったのよ!!!!」

 

哲也「っ!?」

 

珪子「でも!!琴音さんは哲也さんの木綿季さんへの想いに気づいていたから、何も言わなかったんですよ!!!!ずっと影ながら哲也さんを応援してたんです!!!!それなのにあんな扱いなんて酷すぎます!!!!謝ってきてください!!!!」

 

哲也「っ・・・・・・琴音には悪いことした、それについては謝る、でも木綿季の件は諦めるこった。」

 

俺は逃げ出すように屋上から去ろうとしたが、里香の一声で呼び止められた。

 

里香「あんた・・・今ここで逃げたら一生負け犬って呼んでやるからね・・・・・・!!!!」

 

哲也「・・・・・・そうしてくれ。」

 

俺は背を向けたままそう話し、屋上から抜け出した。

 

ふっ、負け犬か、俺にピッタリの称号かもしれねぇな。

 

良いんだよ・・・・・・負け犬でな・・・・・・

 

~~~~~~~~~~~~

 

昼休みの終わった後は、5、6時間目と授業を受け、いよいよ放課後。

 

凛「それじゃあ、今日の司会は私じゃなくて、里香さんに頼むね!!それじゃあよろしく!!」

 

今から行われるのは、アイツのお別送別会、いよいよこの時が来たんだ。

 

里香「それじゃあ!今から、木綿季への感謝とこれからの奮闘を願う送別会を始めようと思います!!」

 

里香がそう言うと、アイツは何も知らぬ顔で『え?』とでも言いたそうな顔になった、まぁ本人が知ってたらそりゃつまらんか。

 

里香「木綿季!ほら来てよ!」

 

里香がそう言うと琴音や明日奈達がアイツを皆の前に連れていった。

 

木綿季「え、ええっと・・・ごめん、ちょっと今困惑してて・・・・・・」

 

飛鳥「さぁ木綿季、皆が皆お前への為に考え送別会なんだ、楽しんでくれよな!!」

 

鈴奈「僕らクラスメイトが木綿季を楽しませようと色々なことを考えてきたんだ、時間いっぱいになるまで、目一杯楽しんでいってくれ。」

 

木綿季「皆・・・・・・うん!!!!ありがとう!!!!」

 

里香「それじゃあまずは、木綿季と皆が触れ合えるような遊びをしたいと思うんだ!!!!名付けて────」

 

哲也「・・・・・・ちっ。」

 

この会に関係無い俺は教室から出ようとしたが、新井が俺を引き止めてきた。

 

新井「まぁまぁ、これくらい出てやれよ最後なんだからさ、な?」

 

哲也「・・・・・・いるだけだからな。」

 

新井「おうそれで良いんだよ!」

 

俺は教室のドア付近によっかかり、腕を組んでこの会に参加・・・・・・とは言わないが、教室にいるようにした。

 

木綿季「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

琴音「どうしたの?」

 

木綿季「へっ!?い、いや!なんでもないよ!?ボク早く皆と遊びたいな!!」

 

珪子「早くしましょ里香さん!」

 

里香「そうね!それじゃあ始めましょ!!」

 

こうして、送別会は始まった。

 

俺を除く皆が送別会を楽しみ、また別れを惜しんだ、その中には翔と新井の姿もあった。

 

木綿季「うぅ~・・・・・・これだけ楽しいともうどこにも行きたくない気持ちも出てきちゃうよ~・・・・・・」

 

里香「駄目駄目、あんたは夢追っかけなさい!」

 

明日奈「もっと立派な木綿季になって戻ってきてね♪」

 

木綿季「うん!もちろん!!」

 

翔「食いすぎるなよ、まぁお前はスポーツも好きだから太る心配は無いと思うがな。」

 

木綿季「あ!ひっどーい!!」

 

新井「太った木綿季ちゃんか~」

 

詩乃「考えられないわね、やっぱりこのままがザ・木綿季って気がするわね。」

 

木綿季「そ、そうかな?」

 

飛鳥「胸だけは変わらない気はするな。」

 

木綿季「むぅ~!!なら飛鳥の胸頂戴!」

 

飛鳥「やなこった、自分で大きくするんだな!」

 

木綿季「ケチ!」

 

飛鳥「ケチで結構だよ~だ!」

 

鈴奈「まぁ、ともかく頑張ってくれよ、木綿季。」

 

木綿季「うん!」

 

琴音「私も行っちゃおうかな~イギリス・・・」

 

木綿季「琴音も行く?」

 

琴音「やっぱり良いよ~私はこのままで充分だよ。」

 

木綿季「そっか、たまには遊びに来ても良いんだよ!」

 

琴音「行けるかは分からないけど、行けたら行くね!!」

 

木綿季「うん!」

 

凛「さぁ!ある程度進んだわね、それじゃあ皆、私はちょっと用意するものがあるから待っててね!」

 

木綿季「はーい!」

 

そう言って凛先生は教室から出て行った、出て行った瞬間、皆が皆木綿季を囲い始めた。

 

「ねぇねぇ!写真とか送ってよね!」

 

「あっちで彼氏作るの!?」

 

「というか彼氏いんの!?」

 

「気になる!!!!」

 

木綿季「わぁ!?そんな一片に話聞けないから待ってよぉ!!」

 

哲也「・・・・・・うるせぇ奴らだな・・・・・・」

 

翔「哲也。」

 

哲也「ん?」

 

翔「良いのかよ、本当に。」

 

新井「文句ねぇよな?」

 

哲也「ねぇよ、もうしつこい。」

 

俺が2人にそう言うと、教室はざわめき出した。

 

哲也「?」

 

翔「なんだ?」

 

「翔君!木綿季が、須郷君と良い感じなの!」

 

新井「えっ!?」

 

・・・・・・やっぱか、俺のカンは当たったって訳だ。

 

須郷「やはり、君が居なくなるのは悲しくなるね、僕はもう少し君と一緒にいたかった気分だよ。」

 

木綿季「ボクも残念だよ、須郷君と離れることになって、ずっと一緒だったのに。」

 

哲也「・・・・・・ちっ。」

 

俺は何を思ったのか、ずっとその場にいるはずが、教室のドアを開けていた。

 

新井「お、おい!?」

 

哲也「トイレだ!!!!」

 

新井「そ、そうか・・・・・・・・・」

 

翔「・・・・・・新井、近くに行くぞ。」

 

新井「へ?」

 

新井は翔に腕を引っ張られ、皆の前で雰囲気良さげに話す木綿季と須郷の近くに向かった。

 

須郷「さて、それで・・・・・・ちょっと話があるんだけどいいかい?」

 

木綿季「へ?なになに?」

 

須郷がそう話すと、教室は一気にざわめき出した、仲良く話す2人に話があると言った須郷。

 

須郷「まぁ、あれだ、こんな出発ギリギリで言うのもアレだが・・・・・・木綿季さん、是非この僕と付き合ってもらえないかい?」

 

木綿季「っ!?」

 

新井「っ!?嘘だろ!?」

 

翔「・・・・・・・・・」

 

須郷のその発言と共に、新井と同じことを言う生徒が多数発生した。

 

須郷「君が荒波君と仲が良いのは知ってるが、最近険悪なムードなんだろ?この送別会にもいるだけで録に参加しない、幼馴染をそんなふうに扱うなんて、君もクズな幼馴染を持ったものだね。」

 

木綿季「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

須郷「だが、僕は違う、君を真正面から見通し、愛し通す!そう誓ったんだ!!だから、是非、この僕と付き合ってもらえないかい?真剣な付き合いは帰ってきてからでいい、今は、返事が聞きたいんだ、無論結婚を前提として見ても構わない、そうすれば、金持ちの僕との結婚なんだ、不自由なんてさせないよ?」

 

木綿季「・・・・・・・・・えっと・・・・・・その・・・・・・」

 

須郷「・・・・・・・・・・・・」

 

木綿季「・・・・・・・・・よろしくお願いします・・・・・・・・・」

 

須郷「っ!?本当かい!?」

 

翔「っ!?」

 

新井「えぇ!?本気で!?」

 

「おぉ!?」

 

「すげぇ!遂に連敗記録ストップさせた奴が出てきたぞ!!!!」

 

「きゃー!!須郷君と木綿季が!!!!」

 

「すごぉーい!良かったね木綿季!」

 

「つうか告る須郷もすげぇ!恥ずかしくないのかよ!!」

 

須郷「それじゃあ、是非この夜、簡単にデートでもどうかい?」

 

木綿季「・・・・・・はい・・・・・・/////」

 

須郷「ふふ、照れてるんだね、可愛いよ、木綿季さん、いや、木綿季。」

 

翔「・・・・・・どういう・・・・・・事なんだ・・・・・・?」

 

新井「え?いや、ただ告られた木綿季ちゃんがそれをOKして・・・」

 

翔そういう事じゃねぇんだよ!!!!!!!!!」

 

新井「えっ!?あ、ごめん・・・・・・」

 

須郷「楽しみにしてるよ、木綿季。」

 

木綿季「うん・・・・・・」

 

翔「・・・・・・どうなってんだよ・・・・・・哲也・・・・・・!!!!!!!!」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

木綿季が須郷の告白を返事された後は、再びアクティビティーを行い、いよいよ会の最後。

 

里香「はい!そういう訳でもう楽しい会も終となります!会の最後に!木綿季にプレゼントがあります!」

 

木綿季「へ!?なになに!?」

 

里香「それは~・・・・・・・・・じゃじゃーん!!!!」

 

そう言って里香が出したのは、大きな花束だった、そこにはクラスの人数分の花が添えられていた。

 

木綿季「うわぁ~!綺麗~!!こんなの貰っていいの!?」

 

琴音「クラスの人数分から、500円づつカンパしてもらって買えたんだ!!」

 

飛鳥「まぁ1人だけ・・・」

 

鈴奈「飛鳥!!」

 

飛鳥「あ、ごめん・・・」

 

木綿季「?何かあったの?」

 

飛鳥「い!いや!なんでもない!!!」

 

里香「それじゃあ、折角だし彼氏になった須郷に渡してもらおうかな、よろしく。」

 

須郷「了解した。」

 

詩乃「・・・・・・・・・・・・」

 

珪子「詩乃さん?どうしたんですか?」

 

詩乃「・・・・・・・・・おかしいと思ってね・・・・・・・・・」

 

珪子「へ?」

 

須郷「木綿季 あっちに行っても頑張ってね。」

 

木綿季「うん!!!!ありがとね!!!!皆!!!!」

 

詩乃「絶対におかしい・・・・・・!!!!」

 

翔「それは俺も同感だな。」

 

詩乃「翔!」

 

翔「終わったら付いてきてくれ、良いな?」

 

詩乃「えぇ。」

 

新井「俺も?」

 

翔「たりめぇだ。」

 

新井「へーい。」

 

翔「・・・・・・あっちゃいけねぇんだよ・・・・・・哲也の前以外であんな顔する木綿季は・・・・・・!!!!!!!!」

 

木綿季「えへへ♪」

 

こうして、送別会は終わり、いよいよ最後となる木綿季とのお別れを惜しむ者は木綿季の周りを囲み出したが、翔、詩乃、新井の3人は翔に連れられた場所へ向かった。

 

新井「なぁ?どこ行くんだよ。」

 

翔「哲也の場所。」

 

新井「ってことは便所!?詩乃ちゃんと一緒に!?」

 

翔「ちげぇよ・・・・・・黙ってついてこい。」

 

新井「?」

 

行き場所に疑問を残す新井だったが、詩乃は大方の予想はついていた。

 

向かった先は屋上だ。

 

翔「哲也、いんだろ?」

 

そう言いながら屋上の扉を開けると、そこには屋上の柵に腕を置き、もの哀しげに空を見上げる哲也がいた。

 

哲也「・・・・・・・・・」

 

翔「おい・・・・・・どういう事なんだよ!!!!なんで木綿季が須郷付き合い始めてんだよ!!!!!」

 

哲也「・・・・・・やっぱ・・・・・・そうなったか・・・・・・予想通りだな・・・・・・」

 

詩乃「予想通り!?どういう事なの!?」

 

哲也「・・・・・・木綿季はこんなことを言ったんだよ・・・・・・『ボクの好きな人は最近出会えた運命の人なんだ』ってな。」

 

新井「は!?はぁ!?」

 

翔「どういうことだよそれは!!!!おい!!!!」

 

哲也「・・・・・・ようは、俺は負けたんだよ、須郷にな、須郷に負けた負け犬さ。」

 

詩乃「じゃあ・・・・・・木綿季の好きな人って・・・・・・哲也じゃ・・・・・・」

 

哲也「無いんだよ、俺は・・・・・・俺は・・・・・・!!!!!!!!」

 

俺はそう言いながら、込み上げる何かを抑えるために歯を食いしばり、手を握りしめた。

 

哲也「・・・・・・新井、ちょっと外出て扉前に立っていてくれ、誰も来ないようにな。」

 

新井「え?あ、あぁ。」

 

翔「な、なにすんだよ?」

 

詩乃「哲也・・・・・・?」

 

哲也「・・・・・・・・・」

 

俺はその辺に転がっていたボールを手に持ち、投球モーションに入った。

 

哲也「クソッタレがァ!!!!!!!!!!!!」

 

俺はそう叫びながら、ドアに向かって思いきしボールを投げた。

 

ドアは激しい衝突音を上げ、ボールは虚しくコロコロと転がった。

 

翔「哲也・・・・・・」

 

詩乃「・・・・・・ごめんなさい・・・・・私なんて言えば・・・・・・」

 

哲也「・・・・・・もう部活に行く・・・・・・じゃあな詩乃・・・・・・行くぞ翔・・・・・・」

 

翔「・・・・・・あぁ・・・・・・」

 

俺は扉を開け、目の前に立ってる新井を部活に行くよう誘った。

 

新井「な!なぁ!?さっきの音何だったの!?」

 

哲也「・・・・・・気にすんな・・・・・・」

 

3人で階段を降りてる中、俺達は先程カップルになったばかりの2人を見つけた。

 

新井「おい、アレ・・・」

 

哲也「・・・・・・」

 

そこには、頬を抑え驚いてる須郷と、輝かしい笑顔を放ってるアイツがそこにはいた。

 

翔「・・・・・・頬にキスされて驚いた須郷と、愛を誓った木綿季ってとこか・・・・・・」

 

哲也「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

俺は再び込み上げる何かを抑えるため、今度は防火用扉のようなものを一発ぶん殴ってから再び階段を降りた。

 

もう・・・・・・頭が働かないよ・・・・・・

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

翔「じゃあな・・・・・・哲也・・・・・・」

 

哲也「おう・・・・・・」

 

あの後大会前日の部活を終えた俺は何も寄り道せずに、一言も翔と会話せずに家に帰った。

 

哲也「ただいま・・・・・・」

 

渚「あ、お帰りなさい、ご飯は?」

 

哲也「・・・・・・いらねぇ・・・・・・」

 

俺はそれだけ言ってそれ以外は何も言わず自分の部屋に向かった。

 

渚「・・・・・・はぁ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

哲也「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

何なんだ?あの込み上げてくる何かは、分からない。

 

一体どうしたってんだよ、分かりきってたことなのに、なんで今更になって・・・・・・

 

「哲也ー?」

 

・・・・・・なんだ、姉ちゃんか、ちっ、めんどくせぇ・・・・・・

 

哲也「んだよ・・・」

 

「入っていい?」

 

哲也「・・・・・・勝手にしろ・・・・・・」

 

渚「じゃあ勝手にしまーす。」

 

そう言って姉ちゃんは部屋の中に入ってきた。

 

渚「やーっぱし、あんなふうに振舞ってはいたけど、結局木綿季ちゃんが自分の元を離れるのが嫌だったんでしょ。」

 

哲也「んなんじゃねぇよ!!!!俺はアイツが嫌いなんだよ!!!!」

 

渚「・・・・・・素直になっていいのよ?私は姉なんだから、友達には言いにくくても、私になら言いやすいでしょ?」

 

哲也「だから!!!!何も無いんだよ!!!!だから素直になるも何も・・・・・・・・・何も!!!!!!!!」

 

俺は何も無いと言いたくても、それを込み上げてくる物と胸の痛みに邪魔をされて言えない、そして、俺はようやくこの込み上げる何かの正体が分かった。

 

それは、悔しさと涙だ。

 

渚「・・・・・・普段泣かないあんたがポロポロ涙こぼして何言ってんのよ。」

 

哲也「俺は泣いてなんか無い!!!」

 

渚「・・・・・・ったく・・・・・・」

 

そう言いながら姉ちゃんはベッドに座る俺の横に座ってきた。

 

渚「・・・・・・無理しないでいいのよ?そうやって心に毒を溜めて明日勝てるの?」

 

哲也「っ・・・・・・」

 

渚「・・・・・・今なら私の胸かしてあげる、無いかもしれないけど、我慢してよね。」

 

哲也「姉ちゃん・・・・・・姉ちゃん・・・・・・姉ちゃん!!!!!!!!」

 

俺は涙袋のダムの決壊と共に、姉ちゃんに抱きつき、今で溜めていた本音を爆発させた。

 

哲也「・・・・・・何でなんだよ・・・・・・なんでお前の彼氏が俺じゃねぇんだよ!!!!!!!!!!!!」

 

渚「哲也・・・・・・」

 

哲也「今までどれだけお前の相手をしてきたと思ってんだよ!!!!!!!!それを・・・・・・それをなにが運命の人がだこの野郎!!!!!!!!」

 

哲也「嫌いな訳・・・・・・んな訳ねぇ・・・・・・!!!!今でもお前のことを愛してる・・・・・・心の底から・・・・・・お前が付き合ったと聞いて心が張り裂けそうなくらい愛してるのに・・・・・・・・・なのになんでお前は俺じゃなくてあんな野郎を選んだんだよぉ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

渚「・・・・・・そっか・・・・・・振られちゃったのね・・・・・・」

 

哲也「何でだよ・・・・・・お前は・・・・・・俺の・・・・・・俺の・・・・・・!!!!俺の!!!!!!!!!!!!」

 

俺はそう言いながら顔を上げ姉ちゃんに訴えかけた、その姉ちゃんの顔は今でにないくらい優しそうな顔をしていた。

 

渚「よしよし・・・・・・いっぱい毒吐いちゃえ・・・・・・」

 

哲也「何が運命だ・・・・・・何が大好きだ・・・・・・運命なんざクソ喰らえだ・・・・・・!!!!恋愛なんて・・・・・・!!!!!!!!恋なんか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

渚「うんうん・・・・・・辛かったね・・・・・・ごめんね・・・・・・哲也の気持ち理解出来なくて・・・・・・」

 

哲也「木綿季・・・・・・木綿季・・・・・・!!!!」

 

溢れ出る涙を抑えきれずに、限界とも言えるくらいの大きな声で叫んだ。

 

哲也「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

なんで・・・・・・なんで俺の物にならなかったんだ・・・・・・俺の・・・・・・俺の彼女にならなかったんだよ・・・・・・幼馴染なのに・・・・・・あんだけ仲良かったのに・・・・・・ちくしょう・・・・・・諦めたくねぇよ・・・・・・なのに・・・なんでお前はあんな野郎と・・・・・・!!!!!!!!

 

哲也「姉ちゃん!!!!俺の・・・・俺の何が悪かったんだよ!?性格か!?顔か!?何なんだよ・・・・・・何が悪かったんだよ!!!!!!!!!!!!」

 

渚「哲也は何も悪くないよ・・・・・・悪いのはこの理不尽な世の中よ・・・・・・」

 

哲也「うっ・・・姉ちゃん・・・・・・俺・・・・・俺・・・・・・!!!!」

 

渚「・・・・・・哲也・・・・・・」

 

俺は姉ちゃんにイライラをぶつけ過ぎたのか、日頃の疲れが溜まったのか、将又、頭に血が登り過ぎたのかは定かではないが、気づいたら姉ちゃんに抱きしめられたまま寝てしまい、起きたのは9時、1時間以上寝てたみたいだ。

 

哲也「あれ・・・・・・俺は・・・・・・」

 

渚「どう?思う存分泣けた?」

 

哲也「・・・・・・うん・・・・・・ありがと・・・・・・」

 

渚「どういたしまして、それじゃあご飯食べる?」

 

哲也「うん・・・・・・あのさ」

 

渚「ん?」

 

哲也「ありがとね、姉ちゃん。」

 

渚「良いのよ、さ!ご飯にしましょ!!」

 

哲也「おう!」

 

・・・・・・・・・はっ、なんかバカバカしくなってきた、恋なんかもうどうでもいいや。

 

どうせ、大人になったら結婚出来んだろ、もう、それでいいや。

 

・・・・・・・・・でも・・・・・・付き合ったらどうなって・・・・・・

 

『哲也♪』

 

・・・・・・考えたら考えただけ虚しくなるだけだ、もうやめよう。

 

もう野球に全力を注ごう、寄り道してる暇なんか無かったんだ、俺には。

 

哲也「・・・・・・姉ちゃん。」

 

渚「?」

 

哲也「ほんとにありがとね、おかげで明日は良いピッチングできそうだよ。」

 

渚「そっか、明日雨で潰れないと良いね、大会。」

 

哲也「だね。」

 

どうか、雨さえ降らないようお願いします、神様 俺のエースとしての初舞台はベストコンディションで・・・・・・

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

俺が姉ちゃんに気持ちを爆発させ、吹っ切れたその翌日、神様への祈りは通じなく、かなりの大雨と風が吹いていた。

 

哲也「行ってきます!!!!」

 

現在朝の5時30分、少し明るくなってきた程度の空だ。

 

渚「うーん・・・この雨でやるのかしらね・・・・・・」

 

哲也「とにかく最寄り駅までは行くよ!じゃあね!」

 

まだ先生からの連絡はない、正直俺もないとは思うが、もしかしたらがある、俺はそのもしかしたらに賭け、最寄り駅に向かった。

 

~最寄り駅~

 

最寄り駅で翔と新井と合流し、先生からの連絡を待つが・・・・・・

 

哲也「げっ!?電車が30分以上遅延だってよ!!!!」

 

新井「これじゃあ会場行けねぇじゃん!!!!」

 

翔「連絡は?」

 

哲也「ちとまて・・・・・・あ、来てる。」

 

新井「なんて?」

 

哲也「『今日はこの雨の影響で試合中止になった、部活も中止にするから今日はゆっくり休め』だと。」

 

新井「あちゃー、やっぱりか。」

 

翔「まぁ仕方ないか。」

 

哲也「しゃあねぇ、んじゃ風邪ひく前に帰ると・・・・・・」

 

翔「待て。」

 

哲也「ん?」

 

翔「哲也、お前は木綿季の家に行け。」

 

哲也「は?」

 

翔「今なら間に合う、言って後悔のないように想いだけでも伝えてこい。」

 

哲也「いや、良いよ、やる必要無いし。」

 

翔「・・・・・・昨日帰った後、お前の家の前を通ったんだが、聞こえてきたぞ、お前の苦しい思いが。」

 

哲也「っ・・・!」

 

翔「・・・・・・行け、哲也、会うだけなら出来るはずだ、今なら間に合う。」

 

哲也「い、いや、もう諦めたからさ!行く必要が・・・」

 

翔「ふざけんな!!!!」

 

俺は何故か翔に殴られていた、殴られた俺は唐突の事だったから受け身も取れず倒れた。

 

翔「良いか!5年だぞ!?5年の間お前はその想い引きずってんのか!?例え付き合われても良い!!行ってこい!!!!顔合わさないでもいいから伝えてこいお前の気持ち!!!!気持ち悪いと思われてもいいじゃねぇかよ!!!!会わなけりゃいいんだから!!!!だから早く行ってこい!!!!」

 

哲也「し、翔・・・・・・」

 

新井「俺も同感だな、そのせいでヘナチョコピッチングされたら困るからな。」

 

哲也「新井・・・・・・・・・・・・」

 

翔「哲也、後悔しないなんて言っても内心お前は後悔で満タンだ、このままじゃ5年の間お前は後悔を背負ってくんだぞ?良いのか?それで、嫌だろ?なら、嫌でも行ってこい、インターフォン越しでも良い、言ってこい、お前の抱えた気持ち。」

 

哲也「・・・・・・・・・あぁ、分かったよ、言ってきてやるよ!!本当に後悔を無くしてくる!!!!」

 

翔「よし!じゃあ行ってこい!!!!」

 

哲也「あぁ!・・・・・・・・・ってぇ、ここから木綿季の家って大体15分はあるぞ!?今は6時10分、もうあいつ空港に向かってんじゃねぇか!?」

 

翔「そんなこともあろうかと、タクシーを用意しといた!」

 

哲也「え?」

 

「やっと俺の出番か、翔。」

 

俺はその声の方のする方を向いた、そこにはヘルメットを持ち、雨に濡れた和人が立っていた。

 

新井「か、和人?」

 

哲也「なんでお前が!?」

 

和人「超特急タクシーだ!!俺がバイクで飛ばして木綿季の家まで飛ばしてやる!!!!」

 

哲也「おぉ!助かる!!!!」

 

翔「バッグは俺がお前の家に届けておく!!!!お前は行け!!!!」

 

哲也「おう!和人!」

 

和人「行こう!ちゃんとヘルメット被れよ!」

 

哲也「分かってる!」

 

俺は和人の乗るバイクの後ろに乗り、ヘルメットを被った。

 

和人「よし!いいか!?」

 

哲也「あぁ!限界まで飛ばしてくれ!!!!」

 

和人「了解!行くぞ!」

 

新井「行ってこい!哲也!」

 

翔「次会う時には晴れ晴れとした心で来いよ!!!!」

 

哲也「さぁ頼むぜ和人!!!!」

 

和人「任せとけ!!!!それにしても翔から昨日連絡来た時は驚いたよ、哲也が木綿季に想いを告げるからって来てさ。」

 

哲也「昨日?昨日からこのことを翔は考えてたのか・・・・・・」

 

和人「まぁ、付き合われても想いだけは告げても損は無いさ、んじゃあ飛ばすぞ!しっかり掴まっとけよ!!」

 

哲也「おう!!!!」

 

俺は和人の操るバイクに乗り、木綿季の家に向かった。

 

例え付き合われても良い、俺の物じゃなくてもいいんだ、インターフォン越しでも構わない、想いを伝えて、それで終わりだ。

 

・・・・・・多分゙金輪際会わない゙と思うしな・・・・・・

 

哲也「・・・・・・・・・」

 

和人「おい!哲也!?聞いてんのか!?」

 

哲也「えっ!?あ、ごめん・・・」

 

和人「・・・・・・ちゃんと全部伝えるんだぞ、お前が何をどう想ってたのかな、そしたら、木綿季を忘れて、また新しい恋でも探せばいいんだ。」

 

哲也「・・・・・・へっ、バイクのエンジンと雨の音で何言ってるか聞こえねぇよ。」

 

和人「そうか、俺もだよ。」

 

悪いな、返答が不器用で、今はただどうやって木綿季に想いを伝えるのかで、頭が一杯でさ。

 

和人「後5分位だ!もう考えてるんだろうな!?」

 

哲也「まぁちょっとはな!」

 

和人「そうか!ならいいさ!」

 

・・・・・・居てくれれば良いがな・・・・・・

 

和人に送ってもらえた俺は、和人のおかけで15分と言わず、1分で木綿季の家の前に付くことが出来た。

 

哲也「サンキュー和人!!!!」

 

和人「良いか!俺はお前が想いを告げるためにここまで連れてきたんだ!それで何も言えませんでしたとかだったら縁切るからな!!!!」

 

哲也「わかってるよ、サンキュー和人、今度なんか奢らせてくれ。」

 

和人「100円しか出せないやつ何言ってんだよ!!早く行ってこい!」

 

哲也「・・・・・・それもそうだな、じゃあな和人。」

 

和人「あぁ!またな!」

 

俺は和人とガッチリ握手を交わして、別れた。

 

にしても、和人に飛ばしてもらったは良いが雨のせいで制服がビショビショだ、まぁもういいか、インターフォン越しでも。

 

俺は木綿季の家のインターフォン前に立ち、一呼吸置き、インターフォンを押した、その時確かにインターフォンの鳴る音が聞こえてきたが一向に誰も出てこない。

 

哲也「くそ!頼む出てくれ!!!!」

 

俺はそのまま2度3度4度と押し続けたが、木綿季は愚か、藍子さん両親すらて出ずに、ただインターフォンの音が虚しく響き渡るだけだった。

 

哲也「・・・・・・遅かったか・・・・・・」

 

出ないとなるともう多分皆空港にいるのだろう、もう、既に遅かったんだ。

 

折角言う気になったのに、これじゃあ馬鹿みたいだ、本当に風邪引いちまう、さっさと帰ろう。

 

・・・・・・・・・ったく、もう少し自分に素直になれたらな・・・・・・・・・

 

俺はそう思いながら前を向くと、そこには傘をさした木綿季が立っていた。

 

木綿季「・・・・・・哲也・・・・・・?」

 

哲也「・・・・・・木綿季・・・・・・」

 

俺は目の前の光景に自分の目を疑っていた、だって、なんでこいつがここにいるかが皆目見当もつかないからだ。

 

木綿季「・・・・・・なんでここにいるの・・・・・・?」

 

哲也「・・・・・・なんでだろうな・・・・・・今更遅いよな・・・・・・」

 

木綿季「・・・・・・そのままじゃ風邪ひいちゃうよ、ボクの部屋に入ってて。」

 

そう言って木綿季は家に入っていった。

 

・・・・・・あーあ、ほんとに何やってんだろうな俺は、なんで大っ嫌いって言った木綿季の所に来てんだか。

 

ともかく、俺は言われた通り家にお邪魔し、木綿季の部屋に向かった。

 

いつぶりだろうか、いや、そんな久しぶりって訳でもないが、それでも本当に久しぶりの気がする。

 

哲也「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

俺は無言のまま部屋の中に立っていると、木綿季がタオルを持って入ってきた。

 

木綿季「はい、これで身体拭きなよ。」

 

哲也「・・・・・・ありがとよ。」

 

俺は差し出されたタオルを受け取り、自分の頭を拭いた。

 

木綿季「・・・・・・なんでここにいるの?」

 

哲也「・・・・・・知るかよ・・・・・・」

 

木綿季「なら・・・・・・」

 

哲也「ただ・・・・・・たった一つ言いたいことがあってな、その為にここに来た。」

 

俺は頭を拭きながら、木綿季には目もくれずそう話した。

 

木綿季「言いたいこと・・・?」

 

哲也「・・・・・・お前は何も返事も頷きもしなくて良い 黙って話を聞いててくれ。」

 

木綿季「・・・・・・分かった・・・・・・」

 

・・・・・・嫌だよなお前も、大嫌いなんて言った俺が目の前にいることが、でも、少しだけ時間をくれ、フライトには間に合わせる。

 

俺は頭拭くのを止め、タオルを手に持ち、深呼吸してから口を開いた。

 

哲也「まぁなんだ、お前にあんな酷い事言っておいて、お前を深く傷つけたとは思うが、あの発言は俺が生きてる内に一度言えるかどうかってレベルのデカい嘘なんだ。」

 

そう、嘘だ、嘘なんだよ、ごめんな、俺のせいで傷つけて。

 

哲也「・・・・・・俺さ、あの前にお前から好きな人がどうこうって言われたろ?その時お前、ボクの好きな人は最近会えた運命の人って言ってたよな、俺、その発言聞いて頭がこんがらがっちまったんだよ、頭の中でずーっと、疑問と怒り、悲しみの連続だ。」

 

哲也「・・・・・・んでさ、俺がこんなことを思ってるから、この疑問達は続いてるんだって思ってよ、俺はお前に嫌いなんて言ったんだよ・・・・・・それが俺が付ける世紀の大嘘だ。」

 

哲也「・・・・・・まぁ、こんなこと言ってもお前は訳わかんねぇと思うから、もう言うよ、俺は・・・・・・・・・・・・本当は・・・・・・・・・」

 

俺は口に出そうとしてもなかなか出せずにいたため、目を閉じ、一度落ち着いてから、本当の想いを木綿季に告げる。

 

哲也「本当は、お前のことが大好きなんだ、俺。」

 

木綿季「っ・・・・・・・・・・・・!?」

 

言えた、ようやく言えた、もうこの後は、流れに任せて胸に溜めた想いを言えば良い。

 

哲也「好きで好きで、どうしようも無く大好きで、餓鬼の頃から一緒にいる俺がてっきりお前の彼氏になるっつうか、なれるもんだと思ってたが、やっぱ現実はそう上手くいかねぇもんで、お前は須郷に取られちまったよ、聞いたよ、翔から、須郷と付き合い始めたんだろ?良かったじゃねぇか、お前の運命の人想い人と付き合えて、顔が良くて、スポーツ万能で、最近出会えた運命の人、おまけに俺と違って頭も良くて金もあるときた、もう、付け入る隙がねぇよ、奪い取れる気もしない。」

 

哲也「・・・・・・俺が嫌いって言ったのは、さっき俺が言った負の感情を消すためもあるけど、もう一つは、もう二度と俺に近づかせないようにさせたんだ、多分あぁでも言わなきゃお節介なお前は俺のとこに来続ける、そんなことしたら、折角付き合えた彼氏とデートも行けねぇだろ?まぁ、俺なりの不器用なお前への思いやりだよ。」

 

哲也「・・・・・・もうお前は須郷と付き合い始めたんだ、俺はすっぱりお前を諦める、その為に俺はお前との思い出は全部燃やした、ありとあらゆる写真をな、二度とお前への想いが再発しないように。」

 

哲也「・・・・・・んでだ、俺がここにいれば5年後帰ってきた時嫌でもすれ違う、だから、俺はもうここにはいないようにする、今北海道の大学から誘いを受けててよ、そこに行こうと考えてんだよ、んでプロになれなくても北海道で働いて、プロになったらなったで、多分地元に帰る暇なんかあんまねぇし、遠征続きで俺はお前に会わないで済む、あ、だから結婚式には呼ばないでいい、お前の花嫁姿なんか見たら、発狂しかねないからな、最も、大嫌いなんて言われた相手なんざ呼びたくねぇよな。」

 

さっき言った、金輪際会わないってのはこのことを言っていた、まぁこうすりゃ、二度と木綿季に会わないで済むからな、野球やってて良かったよ。

 

哲也「もうこの恋は諦めるさ、まぁプロに行って、可愛いアナウンサーの人とか、女優の人と付き合っちゃおうかな、へへへ。」

 

哲也「・・・・・・でも・・・・・・最後にもう一度だけ言わせてくれ、大好きだ、木綿季。」

 

大好きだよ、木綿季、お前の顔を見たい、抱きしめたい、でも、多分こんなこと言っても信じてもらえねぇだろうな、目に浮かぶよ、怒りに震えるお前の顔がさ。

 

・・・・・・最後に見たかったな・・・・・・笑顔のお前・・・・・・

 

哲也「・・・・・・俺の発言は信じてもらわなくて良い、同窓会の席とかでこんな気持ち悪いこと言われたとでもネタにしてくれ。」

 

哲也「・・・・・・・・・んじゃあ俺もう行くよ、悪いな邪魔して、もう二度と会わないことを俺は願ってるよ・・・・・・・・・・・・じゃあな木綿季、留学先でも、これから先も、達者で暮らせよ・・・・・・・・・サヨナラ!!!!」

 

俺は最後まで平常心でいるはずが、気づけば涙が出てきていて、それが頬に伝うと、俺はサヨナラといい、ドアノブに手をかけた。

 

木綿季「っ!!!!!待って!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

ドアノブに手をかけた時、俺の足は木綿季の手にガッチリと握りしめられていて、動けなかった。

 

哲也「っな・・・・・・」

 

木綿季「待ってよ・・・・・・・・・・・・今の話、ほんと・・・・・・・・・なの?」

 

哲也「・・・・・・あぁ、嘘でもなんでもねぇよ、真実だよ。」

 

木綿季「っ・・・・・・・・・ほんとにほんと・・・・・・・・・?」

 

哲也「・・・・・・そうだよ・・・・・・何度も言わせんな・・・・・・いい加減足離せ、でねぇと・・・・・・」

 

木綿季「嫌!!!!!!!!!!!!!!!!絶対離さい!!!!!!!!!!!!」

 

木綿季がそう言うと俺の足は更に強い力で握りしめられた。

 

・・・・・・もう勘弁してくれよ、さっさと帰らせてくれ・・・・・・

 

哲也「・・・・・・離せ、帰る。」

 

木綿季「絶対やだ!!!!やだやだやだやだ!!!!!!!!!!!!」

 

哲也「てめぇ!!!!!!!!いい加減に!!!!!!!!!!!!」

 

俺はそう言いながら後ろを向くと、そこには涙をボロボロと流した木綿季がそこにはいた。

 

哲也「お前だって気持ち悪がって泣いてんじゃねぇかよ!!!!いい加減にしねぇと蹴り飛ばすぞ!!!!!!!!!!!!」

 

木綿季「気持ち悪がってなんか無い!!!!!!!!だって・・・・・・だっで嬉しい゙んだもん!!!!!!!!!!!!」

 

哲也「は?どうせお前のそれも変な優しさだろ、良いよもう、帰らせろ。」

 

木綿季「違う!!!!違うの!!!!!!!!だって・・・・・・・・・だって・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!」

 

・・・・・・・・・長い沈黙が俺達を襲う、沈黙の間は木綿季の啜り泣く声がすずっと続いていたが、唐突にその沈黙は破られた・・・・・・・・・俺の思いもしなかった言葉で。

 

木綿季「ボクだって哲也が゙大好ぎだもん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

哲也「なっ!?」

 

俺は今の発言が理解出来なかった、だってコイツは須郷と付き合い出して・・・・・・そうなるとコイツは浮気になるんだぞ?

 

哲也「はぁ・・・・・・お情しすぎだ、浮気だそれは、分かったら今の発言取り消せ。」

 

木綿季「浮気も何も無い!!!!!!!!!確かにボクは須郷君と付き合ったよ!!!!!!!!でも・・・・・・・・・たった30分たらずの付き合いを恋なんて言いたくない!!!!!!!!」

 

哲也「っ!?」

 

30分たらず?さっきから何言ってんだコイツは、頭でもやられたか。

 

哲也「どういう事なんだよ・・・・・・それは・・・・・・」

 

木綿季「・・・・・・ボクにも一から説明させてよ・・・・・・」

 

哲也「・・・・・・・・・早く話せ。」

 

木綿季「・・・・・・・・・確かに翔の言った通り、ボクは須郷君の告白はOKしたの、でも、それは恋愛目的なんかじゃない、お情でOKしてあげたの。」

 

・・・・・・・・・聞きたいことはあるが、さっき俺だって一方通行だったんだ、聞くのは野暮か・・・・・・

 

木綿季「確かに須郷君とは仲良くしてたよ・・・・・・でも、そこに恋愛感情なんて一切産まれなかった、ただあの時OKしたのは、ずっと仲良くしてもらった須郷君があの場で振られると、恥をかかせることになるなから、仕方なくOKしてあげたの。」

 

哲也「っ!?ちょっと待てよ!!!!仕方なくOKだ!?じゃあお前あの時2人でいたのは何だったんだよ!?」

 

木綿季「・・・・・・あの時防火扉が殴られたと思ったけど、哲也だったんだね、それも説明する、そもそも、須郷君は告白の時、哲也の悪口を言ったの、ボクの送別会にも参加しない屑だって。」

 

木綿季「・・・・・・ボク許せなかったの、大好きな哲也が侮辱されたのが、だからあの時須郷君を呼び出して、ビンタして、ちゃんと別れを切り出したの。」

 

~~~回想~~~

 

須郷「どうしたんだい?木綿季、今日のデートに関してかい?」

 

木綿季「っ!!!!!!!!」

 

木綿季は須郷の頬を全力でビンタした。

 

須郷「っ!?」

 

木綿季「・・・・・・確かに哲也は送別会に参加してない、だから他の皆から見れば屑だって思うかもしれない、でもそうさせたのはボクだし、何より哲也を屑呼ばわりする人なんて許せない・・・・・・!!!!!!!!」

 

須郷「ちょ、ちょっと待ってくれよ!?どういうことだい!?」

 

木綿季「・・・・・・ボクは哲也に大嫌いって言われた、だからもうこの恋は潔く諦めようとした・・・・・・・・・けど、ボクは決めたの、例え嫌いって言われてもいい、この恋が実らなくてもいい、一生哲也を追い続けるって、だから・・・・・・ボクの好きな人を屑なんて言った君は許せない・・・・・・!!!!!!!!」

 

須郷「はっ!?はぁ!?じゃあ何で僕の告白を!?」

 

木綿季「お情って言葉知ってる?今まで仲良くしてもらってたから恥をかかせないためにOKしたけど、哲也を屑呼ばわりするなんて許せない・・・・・・!!!!!!!!」

 

須郷「じゃ、じゃあ僕とは・・・・・・」

 

木綿季「・・・・・・今まで告白してきた人には全員こう言ってきたから、君にも言ったげる・・・・・・でも君には仲良くしてもらってたからせめて、笑顔で言ってあげるよ・・・・・・・・・ごめんなさい、君とは付き合えません♪」

 

~~~回想終了~~~

 

哲也「・・・・・・それが・・・・・・あのとき2人でいた理由だってのか・・・・・・?頬にキスしたとかでは・・・・・・」

 

木綿季「・・・・・・そうだよ・・・・・・頬にキスなんてとんでもない、好きでもなんでもない人になんでそんなことをしなくちゃ行けないのさ・・・・・・」

 

哲也「・・・・・・でも俺は騙されねぇぞ!!!!!!!お前言ったよな!!!!!!!!!ボクの好きな人は最近会っ運命の人だって!!!!なら俺が好きだなんてからっきしの嘘じゃねぇかよ!!!!出発前だからって嘘ついてんじゃねぇぞ!!!!」

 

木綿季「・・・・・・そっか・・・・・・それで勘違いされちゃったんだね・・・・・・ボクの言ったあの言葉はね?ちょっと略してあるの。」

 

哲也「は!?じゃあ何か!?最近出会えた幼馴染とでも言うのか!?頭いかれたんじゃねぇのか!?」

 

木綿季「・・・・・・・・・あの時の本当の言葉の意味は、『最近゙恋人゙としてようやく出会えた運命の人』って事なの。」

 

哲也「なっ!?」

 

・・・・・・恋人として?嫌待てよ、そもそも恋人も何も付き合ってねぇじゃねぇかよ、危ねぇ、また騙されるところだった。

 

哲也「また嘘か!なぁにが恋人だ!付き合ってもなんともねぇやつを恋人って呼ぶかよ!!!!」

 

木綿季「・・・・・・・・・ボクね、ずーっと哲也に対して持ってた想いと気持ちがあったの、小学生の頃も、中学生の頃も、ずーっと、同じ気持ちを抱いてたの、その気持ちが高校生になってようやく、゙恋心゙だってことが分かったの。」

 

哲也「っ・・・・・・・・・」

 

木綿季「・・・・・・恋人って言葉を省いたのは、まだ付き合えてないからだったけど・・・・・・ボクの頭の中では、もう哲也はボクの物になってたの、それが、あんなややこしいことを言ったばっかしに、変な勘違いを産んで・・・・・・」

 

哲也「・・・・・・じゃあ・・・・・・本当にお前は・・・・・・」

 

木綿季「・・・・・・・・・哲也、こんなボクで良かったら・・・・・・゙付き合って貰えませんが?」

 

哲也「っ!!!!!!!!!」

 

・・・・・・・・・聞き間違いじゃねぇよな?俺、今間違いなく木綿季の告白されて・・・・・・・・・

 

哲也「・・・・・・・・・木綿季!!!!!!!!!!!!」

 

俺はずっと背を向けて話してた木綿季の前を向き、有無を言わさずに無理やり抱きしめた。

 

木綿季「っ・・・・・・」

 

哲也「この馬鹿野郎!!!!!!!!アホ!!!!!!!!間抜け!!!!!!!!ふざけんなよ・・・・・・お前が馬鹿なばっかしにずっと悩みっぱなしだったんだぞ俺は!!!!!!!!!!!!」

 

木綿季「ごめん・・・・・・ごめんね哲也・・・・・・!!!!」

 

そう言うと、木綿季の腕も俺の背を包み込んでくれた、小さくとも、確かに暖かい木綿季の腕が。

 

哲也「日本語もろくに出来ない癖に何が海外留学だ!!!!!!!!何がイギリスだ!!!!!!!!!!!!ずっと日本語でも勉強してろ!!!!!!!!!」

 

木綿季「哲也・・・・・・!!!!哲也・・・・・・!!!!」

 

・・・・・・一体、どれ位待ち望んだんだろうか、木綿季を抱きしめることを、分からない、でも、ようやく叶った、絶対に叶わないと思ってた夢が、二度と咲かないと思ってた芽のまま散った花が、今ようやく咲いた。

 

哲也「ぜって離せねぇからな・・・・・・誰にもくれてやるか!!!!!!!!お前は・・・・・・・・・お前は俺の物だ!!!!!!!!!!!!」

 

木綿季「うん!!!!うん!!!!大好きだよ!!!!哲也!!!!」

 

哲也「・・・・・・この馬鹿野郎・・・・・・!!!!」

 

俺は一度抱きしめていた木綿季を離し、顔を見合わせた、数週間ぶりに見たその顔は、涙でぐちゃぐちゃだっけど、確かに可愛くて可憐な木綿季がそこにはいたんだ。

 

哲也「・・・・・・ぷっ、きったねぇ顔。」

 

木綿季「そう言う哲也こそ。」

 

俺と木綿季は互いに相手の涙を拭くと、キスをした。

 

初めてのキスは、すこし涙のしょっぱい味がした。

 

哲也「木綿季・・・・・・喜んで、付き合わせてもらうよ。」

 

木綿季「哲也・・・・・・ごめんね・・・・・・変な勘違いさせて・・・・・・」

 

哲也「・・・・・・俺こそごめん・・・・・・大嫌いなんて言ってお前を傷つけて・・・・・・」

 

木綿季「・・・・・・もう、お互い様で良しとしよ?」

 

哲也「・・・・・・・・・だな。」

 

俺と木綿季は、そう言って少し笑った。

 

長かった、ようやく、ようやくこの瞬間が訪れたんだ。

 

哲也「あーあ、なんか馬鹿みてぇ、だったら早く告っときゃ良かったな。」

 

木綿季「て、哲也はいつから好きだったの!?」

 

哲也「中学からずっと。」

 

木綿季「ガーン!負けた・・・・・・」

 

哲也「恋に勝ち負けもあるかよ、でも、俺だってお前と一緒で、ずっと同じ気持ちを餓鬼の頃から持ってたんだが、それに気づくのは俺が先ってだけだ。」

 

木綿季「・・・・・・なーんだ、なら互いにずっと片想いだったんだね。」

 

哲也「そうだな。」

 

木綿季「・・・・・・でも、さっき哲也可愛いアナウンサーとどうこうって言ってたでしょ!!!!」

 

哲也「はぁ!?それはたとえ話であってだな!大体お前だって須郷との告白OKしてんじゃねぇかよ!!!!」

 

木綿季「だからあれは!!!!」

 

哲也・木綿季「・・・・・・・・・ぷっ!」

 

俺と木綿季は互いに額を付けて、再び笑った。

 

嘘みたいだ、さっきまでもう二度と会わないとか言ってたのに、今では今更すぎる恋人生活のスタートを切ってる。

 

哲也「・・・・・・ほんとに、馬鹿みたいだな。」

 

木綿季「だね・・・・・・ねぇ、哲也。」

 

哲也「ん?」

 

木綿季「ボク、浮気には厳しいつもりだよ?もしボク以外の娘と仲良くしてたら・・・・・・どうなるか分かってる?」

 

哲也「お、おう。」

 

木綿季「なーんか信用ならないなぁ・・・・・・そうだ!!」

 

そう言うと木綿季は、いきなりベッドに座って着ていた服を抜き出して、下着姿になった。

 

哲也「なぁ!?おまっ!?なにして!?」

 

木綿季「・・・・・・どうせずっと前から互いに好きだっんだもん、もう今更早すぎも糞も無いよね・・・・・・ねぇ、ボク達の愛、もっと深めよ?」

 

そう言った木綿季は両方の下着を少しらずしセクシーポーズををしてきた。

 

上は片方の胸が、下は木綿季の秘部が見えるか見えないか、際どいラインまで下げられている。

 

哲也「・・・・・お前・・・・・・」

 

木綿季「後、これはボクなりの罪滅ぼし・・・・・・哲也にあんな辛い思いさせたんだから、それ相応の代価が必要でしょ?」

 

哲也「だ、だからって自分の身体を・・・・・・」

 

木綿季「それと、これは哲也が浮気しないように、ボクの味を覚えさせとくの、そうすれば、他の娘に手なんか出さないでしょ?」

 

哲也「・・・・・・木綿季・・・・・・」

 

木綿季「・・・・・・・・・嫌?ずっと好きで好きで、大好きだったボクと・・・・・・子作りていうか・・・・・・エッチするのは・・・・・・/////」

 

哲也「っ!!!!!!!!」

 

・・・・・・そこまで言われたらもう引き下がれねぇよな、男としても。

 

哲也「んじゃ俺も罪滅ぼしと行きますか・・・・・・」

 

俺はそう言いながら、制服を脱いだ。

 

哲也「お前を、大嫌いなんて言っちまった罪滅ぼしをね。」

 

俺も下着だけになると、ベッドで横たわる木綿季の顎をくいッと持ち上げた。

 

木綿季「ホントだよ・・・・・・馬鹿哲也・・・・・・!!!!」

 

哲也「お互い様だ、馬鹿木綿季・・・・・・」

 

俺はそう言ってキスをし、木綿季と愛を育んだ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

哲也「・・・・・・・・・ん・・・・・・・・・」

 

俺は雨が屋根にぶつかり続ける音で、目を覚ました。

 

木綿季「あ!起きた!」

 

哲也「おはよ、木綿季。」

 

木綿季「おはよ♪ねぇねぇ!ボクね、今まで感じたことないくらい気持ちよかったんだよ♪」

 

哲也「俺もだよ、特にお前の喘ぎ声のおかげで、興奮がいつもの倍だったよ。」

 

木綿季「あぅ・・・恥ずかしい・・・・・・/////」

 

哲也「で、でもよ、良かったのか?その・・・・・・中出ししちゃったけど・・・・・・」

 

木綿季「だーいじょうぶ♪今日は安全日だよ♪」

 

哲也「それなら良かった・・・・・・」

 

木綿季「えへへ~哲也♪哲也♪」

 

哲也「ずっと甘えっぱなしだな。」

 

木綿季「だって哲也がボクの彼氏って思うと嬉しくて・・・・・・♡」

 

哲也「そっか、・・・・・・そういやなんか忘れて・・・・・・あー!?」

 

木綿季「?どうしたの?」

 

哲也「お前!?フライトは!?」

 

木綿季「あ、フライトはね、この雨と風で、一週間伸びちゃったの、だからもう一週間だけ、日本にいられるんだ。」

 

哲也「え!?そうなの!?」

 

木綿季「そう♪だから、この一週間で沢山イチャイチャしようね♪」

 

そう言って木綿季は抱きついてきた、胸の柔らかな感覚が俺を包み込む。

 

哲也「・・・・・・だな!!!!!」

 

木綿季「あ・・・・・・また硬くなって・・・・・・エッチ・・・/////」

 

哲也「仕方ねぇだろうが!俺だって、お前が彼女になって嬉しくて仕方がねぇんだよ!!!!」

 

木綿季「ふーん・・・・・・じゃあさ!今日はいーっぱいエッチしちゃお!!!!」

 

哲也「はぁ!?お前、藍子さんとかだっているだろ!?」

 

木綿季「それがね、今日ボクを見送った後用事があったらしくて、今日はボクの見送りがなくなったからもう家出ちゃったの、確か帰りが・・・・・・8時とか?」

 

哲也「・・・・・・・・・・・・」

 

木綿季「・・・・・・ねぇ・・・・・・もう一度と言わず、沢山エッチして・・・・・・もーっと哲也の赤ちゃんの素、ボクの子宮に流し込んでほしいな・・・・・・♡」

 

哲也「・・・・・・木綿季・・・・・・ならもう今日は今までの分合わせて体力の限界までとことん愛してやる!!!!!!!!嫌って言っても犯るからな!!!!!!!!」

 

木綿季「いやぁん♪哲也のケダモノ~♡」

 

結局、この日俺は複数回に及び木綿季を犯し続けた、途中飯食ったりもしたけど、もう辺りはすっかり暗くなり、現在午後6時だ。

 

哲也「はぁ・・・はぁ・・・」

 

木綿季「はぁ・・・はぁ・・・/////」

 

今、2人で木綿季のベッドで寝転がっているが、もう互いに体力と言う体力を使い果たした 木綿季は木綿季で俺に犯され続け、俺は俺で性欲という全てを木綿季にぶつけ、部屋は愛という愛で満たされていた。

 

哲也「もう・・・一滴も・・・出せねぇ・・・・・・」

 

木綿季「ボクも・・・・・・もうこれ以イけない・・・・・・/////」

 

哲也「・・・・・・幸せだな・・・・・・木綿季・・・・・・」

 

木綿季「・・・・・・だね・・・・・・♡」

 

そう言って木綿季は俺の胸元に顔を埋め、抱きついてくる、俺は木綿季を軽く撫でた。

 

哲也「・・・・・・俺さ、失恋したって思った時、もう二度と、花は咲かないんだなって思ってたんだ。」

 

木綿季「花?」

 

哲也「そう、俺の恋は蕾までは行ったが、その蕾の状態で枯れた、そんなもんだと思ったが、まさかまたこうして花が咲くとはね。」

 

木綿季「それじゃあ、哲也のその花はきっと桜だったんだね♪」

 

哲也「桜?」

 

木綿季「そっ♪桜は毎年咲いては枯れるを繰り返すでしょ?だからきっと哲也のその花も、桜だったんだよ!」

 

哲也「・・・・・・桜か・・・・・・確かにそうかもな。」

 

木綿季「そして、その桜は二度と枯れない桜だよ♪」

 

哲也「木綿季・・・・・枯らせたら許さないからな。」

 

木綿季「大丈夫♪中出しされたって既成事実があるからね♪」

 

哲也「なっ!お前危険日だって!!!!」

 

木綿季「さぁどっちでしょ~♪」

 

哲也「こいつ~!」

 

俺と木綿季は引き続き、イチャイチャし続けた、今度は性的な意味ではない、ただいつも通りの戯れだ。

 

哲也「へへ♪大好きだぞ、木綿季。」

 

木綿季「えへへ♪」

 

哲也「幸せだな~ってん?木綿季?机にあるあのボール。」

 

木綿季「これ?覚えてない?哲也が小さな頃くれたボール。」

 

哲也「へ?うーん・・・・・・あ!俺の初勝利のボールか!!!!」

 

そうだ、少年野球やりたての俺の初勝利の時のボールを、こいつにあげたんだっけ、欲しがってたから。

 

木綿季「そ!ボクね、哲也と喧嘩してた後悲しくなった時はそのボールを握りしめてたんだ。」

 

哲也「へ~、そんなに大事にしてくれたんだな。」

 

木綿季「うん!」

 

哲也「んじゃまた新しいボールあげなきゃな。」

 

木綿季「それじゃあ楽しみにしてるね!」

 

哲也「おう。」

 

こうして、またイチャイチャイチャイチャし続けた。

 

木綿季「ふぇ~疲れた~あ!ねぇね!お風呂入ろ!」

 

哲也「風呂か、身体がベトベトだしな、特に木綿季は。」

 

木綿季「・・・・・・やっぱり止める!」

 

哲也「え?」

 

木綿季「だって、お風呂入ったらお腹の中の哲也が出ちゃうじゃんか!」

 

哲也「・・・・・・ったく、また出してやるから、藍子さんたちが帰ってくる前に入るぞ。」

 

木綿季「なら入る!またエッチしようね♪」

 

哲也「おう。」

 

こうして、俺達は風呂にった後は、時間も時間なので、帰ることに。

 

哲也「あ、制服かわいてる、良かった。」

 

木綿季「送ってくよ!」

 

哲也「おう、サンキュー。」

 

俺は木綿季と共に、家まで帰ることになった、ちょっと遅れた2人の帰り道、幸せ満点の恋人繋ぎ、隣には木綿季、これが俺が待っていたし瞬間だ。

 

木綿季「えへへ♪」

 

哲也「木綿季、もう過去の写真は消しちまったが、これから沢山、思い出を作っていこう、写真を燃やして後かなんかしてる暇はない、いろんな写真を撮ろう、な、木綿季。」

 

木綿季「うん!あ、でもエッチな写真は・・・・・・/////」

 

流石に駄目か、でもちょっとからかうか。

 

哲也「あ、ごめん、さっきまで木綿季が感じてるところ動画で音声残しちゃった。」

 

木綿季「えぇぇ!?なにしてんの!?」

 

哲也「だって、彼氏からしたら『ボクに赤ちゃん頂戴♡』なんて言われたら取りたくなっちゃうじゃん?」

 

木綿季「・・・・・・じゃあ・・・・・・それをボクがいない間の一人エッチ用に使うならいいよ・・・・・・/////」

 

・・・・・・・・・予想外の返答に俺は顔をキョトンとさせた、ちくしょう、撮っときゃよかった。

 

哲也「じゃあ、また今度それようの動画撮らせてもらうよ。」

 

木綿季「・・・・・・良いよ・・・・・・/////」

 

・・・・・・こんだけ可愛い彼女を何故俺は今まで野放しにしてたんだ?馬鹿だな俺。

 

木綿季「あ、もう家だね。」

 

哲也「そだな、じゃあありがとな木綿季、お礼は・・・・・・」

 

俺はそう言い終えた後に、キスをした。

 

木綿季「っ!?」

 

舌を絡め、濃厚にしっかりと、キスを交わす、終わった後は互いの唾液が下に滴り落ちた。

 

木綿季「も!もう!!!!」

 

哲也「大好きだよ、木綿季。」

 

木綿季「・・・・・・馬鹿・・・・・・/////」

 

哲也「ふふふ♪じゃあね木綿季、また。」

 

木綿季「うん!じゃあね!ボクの彼氏さん!」

 

そう言って木綿季は手を振って去っていった。

 

哲也「・・・・・・くぅ~!!!!!!やったぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!」

 

その俺はでその場で飛び跳ねた、だって、今朝までもう会わないとかい言ってたのに、またねの約束ができた上に、中出しの性行為まで・・・・・・・・・あぁ、本音を言ってよかった、本当。

 

俺は幸せに浸りながら家のドアを開けると、目の前には姉ちゃんが立ってい。

 

渚「おかえり、哲也。」

 

哲也「おう、ただいま。」

 

渚「・・・・・・・・・『大好きだよ、木綿季』。」

 

哲也「っ!?」

 

渚「見てたわよ~!あんた達の激しいキッス!!!!」

 

哲也「なにぃ!?」

 

渚「全く、結局仲直りして、ついでに付き合い始めてるじゃない、昨日私の胸に飛びついたのは私に抱きつきたかっただけなんじゃないの~?」

 

哲也「ちげぇよ!大体、木綿季よりない胸に飛び込むやつがどこにいんだよ!」

 

渚「付き合ったとこは否定しないのね。」

 

哲也「・・・・・・あぁそうだよ!付き合いましたよ!」

 

渚「ふふ♪良かったわね♪」

 

哲也「・・・・・・あんがとよ・・・・・・」

 

渚「お母さん!!今日哲也が木綿季ちゃんと付き合ったんだって!」

 

美咲「あらあら、フライト中止になったって聞いたけど哲也と一緒にいたのね、何だかんだ仲がいいんだから♪」

 

哲也「・・・・・・別にいいじゃんかよ・・・・・・」

 

渚「へ?なになに?」

 

哲也「うるせぇ!!俺は疲れたから寝る!!!!」

 

美咲「ご飯は食べる?」

 

哲也「後でね!」

 

美咲「はーい♪」

 

こうして、俺1人ドッタンバッタンしてた日だけ奇跡中の奇跡が起きて、無事に木綿季と仲直りかつ付き合うことで今日は終わった。

 

今晩は携帯の通知の雨あられ、鳴り止まぬことの無い木綿季からの連絡が来ていた、嬉しくてたまらない。

 

さて、それからは日曜は俺の練がが1日夜遅くまであったので会えなかったが、月曜日は違う。

 

哲也「いってきま・・・」

 

木綿季「哲也ー!!」

 

哲也「のわぁ!?」

 

学校に出ようと家のドアを開けると、待ってましたかのように木綿季が飛びついてきた。

 

木綿季「えへへ~♪一緒に学校行こ♪」

 

哲也「おう、良いぞ。」

 

渚「おうおう、お熱いね~」

 

木綿季「こんにちは、渚さん♪」

 

渚「良かったね♪哲也と付き合えて♪」

 

木綿季「はい!!」

 

俺は木綿季に腕を組まれながら学校に登校した、クラスに入った時はそれはもう驚かれた。

 

木綿季のフライトのことはみんな知ってたみたいだが俺の事は一切知らず、ポカーンとしてる。

 

明日奈「ど、どうしたの!?ゆ、木綿季は須郷君と・・・・・・」

 

飛鳥「ははーん、浮気か。」

 

珪子「いくら仲直りしたからって・・・・・・」

 

木綿季「違うの!もう須郷君とは別れて、正式にだーいすきな哲也と付き合うことになったの!!!!」

 

木綿季がそう言うと、いつもの女メンバーは『キャー!!!!』と言ってそれはもう歓喜(なのか別れたことに関してなのか?)の声。

 

詩乃「良かったわね、2人とも。」

 

鈴奈「結局こうなるんだ、僕の苦労を返して欲しいね。」

 

里香「赤飯だぁ!赤飯持ってこい!!」

 

飛鳥「まぁ、結果オーライだよな、な、木綿季。」

 

珪子「やりましたね!!木綿季さん!」

 

琴音「よ、良かったね木綿季!!」

 

哲也「・・・・・・琴音。」

 

俺は琴音の前まで行き、少し言葉をつまらせながら話しかけた。

 

哲也「えっと、話は聞いた・・・・・・ごめん、琴音の気持ちに答えることは出来ないんだ、だけど、琴音の想いの分も、木綿季を幸せにしてみせるから、それで俺を許してくれ。」

 

琴音「哲也・・・・・・うん!木綿季を不幸にさせたら許さないからね!!!!」

 

哲也「おう、任せとけ。」

 

木綿季「えへへ~♪哲也♪」

 

里香「ったく幸せそうにしてさ~私達の苦労返せっての。」

 

木綿季「とにかく!一週間伸びたから、もう少しみんなと思い出作ってから行くね!!」

 

哲也「そうしろ、木綿季。」

 

俺が木綿季の頭に手を伸ばした時だった。

 

「その娘に触れるなぁ!!!!!!!!」

 

哲也「?」

 

木綿季「っ!?須郷君!?」

 

その声のした方を向くと、確かに須郷がそこに立っていた。

 

須郷「その娘に触れるなぁ・・・木綿季は・・・木綿季は僕のなんだァ!!!!」

 

哲也「な、なんだこいつ!?イカれたか!?」

 

須郷「さっさと離れろこの野郎!!!!」

 

そう言って須郷は俺に殴りかかろうとしてきて、俺は身構えたが、いつもの男メンバーが俺の前に現れた。

 

新井「させるかぁ!!!」

 

和人「俺らの苦労を!!!!!」

 

翔「無駄にすんなアホ!!!!」

 

そう言って3人は須郷を取り押さえた。

 

須郷「離せぇ!!!!離せぇぇぇぇ!!!!」

 

哲也「お前ら・・・」

 

翔「折角元通りになったのをぶち壊す気か!!」

 

新井「アホ!!また関係ぶち壊す気か!!!!」

 

和人「哲也!!こいつを説得して木綿季を諦めさせろ!!」

 

哲也「・・・・・・ったく、仕方ねぇ・・・・・・」

 

俺は3人が取り押さえた須郷の前に立った。

 

哲也「須郷、木綿季がなんでお前を振ったか聞いたか?」

 

須郷「そんなこと知るか!!このビッチめ!!!!」

 

哲也「なら教えてやる、今まで仲良くしてもらったお前を皆の前で恥かかせる訳にはいかなかったんだとよ、だから好きでもなんでもないお前の告白をOKしたんだよ。」

 

須郷「なんだと・・・・・・!?」

 

哲也「・・・・・・須郷、悪いは木綿季は俺が貰う、お前ならもっと良い相手が見つかるさ、その偶に訳わかんなくなる性格を治せばな。」

 

須郷「この・・・・・・!!!!」

 

哲也「・・・・・・お前は金持ちの御曹司なんだろ?ならトップに立つ男がそんなんじゃ誰もついて行かねぇぞ、せいぜい頑張るんだな。」

 

俺がそう言うと、それ以上須郷は何も言わず、3人に離され席に座った。

 

哲也「サンキュー、お前ら。」

 

和人「良いんだよ、雨の中送った俺の苦労が無駄になるところだった。」

 

新井「やっといつものメンバーに戻ったんだ!もうぶち壊させやしねぇぜ!!」

 

翔「まぁ、本音言えて良かったろ?哲也。」

 

哲也「あぁ、翔がいなきゃ俺はまだ木綿季と喧嘩してたとこだよ、サンキューな。」

 

木綿季「ねぇね。」

 

哲也「ん?」

 

木綿季「ぎゅ!」

 

そう言って木綿季は抱きついてきた、付き合う以前も甘えん坊だとは思ってたがまさかここまでだとは思わなかった。

 

哲也「この甘えんぼが。」

 

木綿季「えへへ~♪」

 

里香「ねぇ木綿季。」

 

木綿季「なに?」

 

里香「初体験は痛かった?」

 

木綿季「うーん、痛かったけどもその後すぐに気持ちよく・・・・・・」

 

哲也「っ!?馬鹿!!!!」

 

木綿季「ふぇ?・・・・・・・・・・・・あっ!?/////」

 

鈴奈「えぇ!?付き合って早速かい!?」

 

里香「かまけてみたけどまさか引っかかるとは・・・・・・」

 

明日奈「でもいいこと聞いちゃった~♪」

 

飛鳥「めでたく処女も童貞もおさらばか、お前ららしいな。」

 

詩乃「避妊はしなさいよね。」

 

琴音「そ、そうだよ!妊娠したら大変だよ!?」

 

珪子「哲也さんもイギリス行きですね♪」

 

哲也「お前は何言ってんの!?」

 

木綿季「だ、だって~・・・・・・」

 

哲也「もうしてやらん!!!!」

 

木綿季「ええ~!?やだ!!!!哲也の赤ちゃん欲しい!!!!大体あれだけしておいて今更だよ!あの後腰痛くなったんだからね!!」

 

飛鳥「どんだけしたんだよお前ら・・・・・・」

 

琴音「初日からハードだね・・・・・・」

 

哲也「はぁ・・・・・・もういいよ、してやるから、これ以上口滑らせるなよ。」

 

木綿季「わーい!また生ね♡」

 

詩乃「なっ!?貴方達まさか避妊もせず中に・・・・・・」

 

鈴奈「木綿季が孕んだらどうするんだい!?」

 

哲也「・・・・・・もうしない。」

 

木綿季「えぇ~!?」

 

とまぁ、幸せな会話を楽しみ、俺とは木綿季は留学前最後の一週間を過ごした。

 

この一週間も部活はあれど、家に帰れば部屋に木綿季がいて、色々なことをした。

 

例えばイギリスで使う英語の勉強。

 

哲也「I have a question」

 

木綿季「質問があります。」

 

哲也「what is this?」

 

木綿季「これはなに?」

 

哲也「I Love you」

 

木綿季「・・・・・・ボクも♡」

 

哲也「木綿季♪」

 

木綿季「哲也♡」

 

次に、いつものゲーム、変わったのは本当に脱衣式でやってるとこかな?

 

木綿季「あぁ!?負けた・・・」

 

哲也「やりぃ!」

 

木綿季「むぅ~じゃあ上を・・・」

 

哲也「早く早く~♪」

 

木綿季「もぉ~エッチなんだから~♪」

 

そして、イチャイチャ。

 

哲也「木綿季と別れたくねぇよ~!!!!」

 

木綿季「5年間の辛抱だよ、それまでは我慢♪」

 

哲也「あ、そういや、一人エッチ用の動画、撮らせてくれるんでしょ?」

 

木綿季「ぁ・・・・・・本当に撮るの・・・・・・?/////」

 

哲也「撮る!!!!」

 

俺はそう言って木綿季をキスしながら押し倒し、また愛を深めた。

 

ちなみに、水曜日の段階で月曜日に避妊用に買ったゴムが尽きた、その位の頻度で俺達は互いを求めあった。

 

木綿季「哲也♡哲也♡」

 

哲也「木綿季・・・・・・!!!!」

 

こうして、幸せすぎる一週間はあっという間にすぎていき、現在金曜日の夜。

 

俺は木綿季に連れられ、ある場所に向かっていた。

 

木綿季「早く早く~!」

 

哲也「まだか~?」

 

木綿季「後少し!」

 

哲也「こんな荒れた道進むとは思わなかった・・・・・・」

 

今進んで場所は木綿季に付いてきてと言われそのまま付いてきた場所だが、山道でかなり道が悪い、歩き辛いが木綿季のお願いだからねゃ頑張らなきゃ。

 

そして、数分歩くと、ようやく目的地に着いた。

 

哲也「ここは・・・・・・」

 

木綿季「覚えてるかな?」

 

今、俺が立ってる場所は都会とは思えぬ程綺麗な星空が浮かんでいて、俺の目には手を後ろに回し髪を靡かせた木綿季と綺麗な星空が浮かんでいた。

 

哲也「・・・・・・確かここって餓鬼の頃木綿季と・・・・・・」

 

木綿季「そうだよ、小さな頃、哲也と一緒に来た場所。」

 

そう、ここは小さな頃に木綿季と共に、荒波家と紺野家で来たハイキング場だ。

 

そして、そこで夜見た景色が素晴らしく綺麗だったのも覚えている。

 

木綿季「・・・・・・哲也にまだ言ってないよね、ボクが留学して何を学ぶのか。」

 

哲也「ん?そういや聞いてないな。」

 

木綿季「ボクが留学して学ぶのは、天文学なんだ。」

 

哲也「天文学?」

 

木綿季「そっ、小さな頃、ここで見た星空の感動が忘れられなくて、星について学びたいと思って、留学を決意したの。」

 

哲也「木綿季・・・・・・そうなのか、確かに、小さな頃見たこの満点の星空は最高だったな。」

 

俺がそう言いながら座ると、木綿季も隣に座り、俺の腕に抱きついてきた。

 

哲也「綺麗だな・・・・・・星空も・・・・・・お前も。」

 

木綿季「・・・・・・大好き・・・・・・大大大好きだよ・・・・・・」

 

哲也「俺もだよ、5年後、またここに来よう、その時、言いたいことがあるんだ、天文学者になったお前に向けて。」

 

木綿季「うん!楽しみにしてるね!」

 

哲也「木綿季・・・・・・」

 

木綿季「哲也・・・・・・」

 

俺と木綿季は顔を合わせると、キスを交わした。

 

前と同じ、激しい濃厚なキス、今度はお別れのキスになるのかな。

 

哲也「行ってらっしゃい、木綿季。」

 

木綿季「行ってきます、哲也。」

 

俺達はもう暫くそこに居て、補導時間ギリギリまでその場に残り、その後別れ、遂に土曜、それは木綿季のフライト日だ。

 

木綿季のフライトには俺の家族、木綿季の家族、いつものメンバー、その他大勢の人達が見送りに来ていた。

 

~空港~

 

「またね・・・木綿季・・・」

 

「連絡するね!」

 

「木綿季も連絡ちょうだいね!」

 

渚「行ってらっしゃい、木綿季ちゃん。」

 

美咲「5年後、楽しみにしてるわね♪」

 

一輝「沢山勉強して来るんだよ!」

 

珪子「また会いましょうね!」

 

里香「哲也のことは任せておきなさい!あんたは沢山勉強してきなさい!!!」

 

琴音「私も連絡するからね!木綿季もちょうだいね!」

 

飛鳥「5年後、楽しみに待ってるよ!」

 

詩乃「現地の写真送ってね、楽しみにしてるよ。」

 

鈴奈「体調管理は気をつけて、散財も駄目だぞ?」

 

明日奈「またね!また会う時を楽しみにしてるよ!!」

 

和人「また会おう、木綿季、皆で木綿季を待ってるよ。」

 

新井「木綿季ちゃんがいなくなるのは寂しいけど、また成長した姿、待ってるよ!!」

 

翔「まぁ哲也のことは里香が言ったように俺らが浮気しないよう見張るから、木綿季も現地で浮気すんなよ?」

 

藍子「木綿季、私も会いに行けたら行くから、頑張ってね、あ!食べ過ぎ注意ね!!」

 

木綿季「皆、ありがとね!ボクもまた会うのを楽しみにしてるね!!」

 

哲也「木綿季、俺は多分野球に追われて暇な時がないから本当に5年間会うことは無いと思う、でも5年後にはきっと立派な男になってお前を待つから、お前も頑張れよ。」

 

木綿季「うん!哲也も野球頑張ってね!!」

 

俺達は最後に軽くキスをかわし、木綿季は搭乗前手続きに向かっていった。

 

そして、俺達は飛行機が飛ぶ様子を見れる場所に行き、そこで木綿季の飛行機が見えなくなるまで見送った。

 

翔「さぁ、お前も頑張らなきゃな、立派な男になるために。」

 

一輝「俺が立派な男にしてやるからな!!!!覚悟しとけよ哲也!!!!」

 

哲也「頑張れよ、木綿季!!!!」

 

さぁ、俺らも頑張らなきゃな、次に木綿季に会った時に、恥かかないように。

 

哲也「んじゃあ、行くか翔!!新井!プロになる為に、練習だ!!!!」

 

新井・翔「おう!!!!」

 

木綿季見とけよ、あっちに届くくらいの活躍をプロに行って残してやるからな!!お前も頑張れよ!!

 

~数週間後~

 

木綿季「see you!」

 

「see you!」

 

木綿季「・・・・・・ふぅ、まだ来たばっかしだけど、勉強は大変だな~でも、頑張らなきゃ!」

 

「Hey Yuuki Delivery is coming.」

 

木綿季はルームメイトである人に送りものが届いてることを知らされた。

 

木綿季「?なんだろ。」

 

早速ダンボールを開封すると、中には手紙とケースに入ったボールが入っていた。

 

木綿季「ボール・・・・・・ということはまさか!?」

 

木綿季はボールを取ってみると、そこには『エースとして初勝利、9回無失点12奪三振』と書いてあった。

 

そしてその内容を見た木綿季は確信した、それは最愛の哲也からの贈り物だと。

 

手紙にはこう記されていた。

 

『よぉ木綿季、そっちでの生活はどうだ?俺はお前がいなくて寂しいが、頑張ってるよ、さて、俺がお前っ旅立った次の日が試合でさ緊張したけどもいつものピッチングが出来たから勝てたよ、今回は俺のエースとしての初勝利のボール、送らせてもらう あんな餓鬼の頃あげたボールなんかよりこっちの方がいいだろ?頑張れよ木綿季 愛してる 哲也より』

 

木綿季「哲也・・・・・・」

 

「What was that?」

 

木綿季「It is the best gift from my favorite person!」

 

「OH!That's nice!」

 

ありがとう哲也!!!!ボク一生懸命頑張るからね!!だから哲也も頑張ってね!!!!

 

 

 

 

 

 

 

こうして、早すぎる5年が経った。

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

『空振り三振!ここでも三振を奪いました!!』

 

『圧巻のピッチングですね、彼がいれば数年は安泰ですよ。』

 

木綿季「ふふふ♪」

 

ここは飛行機の中、木綿季はイギリスでの留学を終え、5年ぶりとなる日本へと戻る為飛行機に乗っていた、パソコンに入っているある動画を見ながら。

 

この5年で皆成長していった。

 

木綿季は天文学者として見事名を轟かせ、日本でも活躍が期待されている。

 

和人や明日奈達は大学の4年生として就職活動真っ最中、だがこの日だけは木綿季の出迎えの為開けてあるみたいだ。

 

藍子は大学院に、渚は大学を卒業後女子ソフトボールのプロに、今日はたまたまオフだっため迎えに来れるそうな。

 

1番成長したのは哲也達だろう、哲也、翔、新井の3人は高校3年の時に甲子園に出場、そこでさらに名を売った哲也はなんとドラフト2位で横浜に、翔は続く3位で横浜、新井は広島に翔と同じ3位でドラフト指名を受けプロ3年目の現在はそれぞれ一軍で活躍する期待の若手だ。

 

木綿季が見ているのは愛しの哲也の前回の当番時びピッチング、と言っても前回の登板は昨日で哲也は現在名古屋にいる、その為哲也と翔の木綿季の出迎えは不可能、新井はホームが広島とあってそれも駄目ぶプロの3人は残念ながらお出迎えできないことになった。

 

だが哲也は幸いにも横浜の為、戻り次第会う約束はしてあるみたいだ。

 

『まもなく、着陸でございます、シートベルトを閉めてお待ちください。』

 

木綿季「楽しみだな♪皆に会うの♪」

 

~空港~

 

明日奈「早く木綿季に会いたいよ~!!」

 

和人「あと少しで着くんだから我慢。」

 

里香「早く話したいわね!」

 

珪子「楽しみです!」

 

詩乃「やつれてなければ良いけど。」

 

藍子「大丈夫よ、あの娘は食いしん坊だからね♪」

 

鈴奈「逆に太ってなければいいがね・・・」

 

飛鳥「ナイスバディになってたりしてな♪」

 

渚「哲也も可愛そうね~彼女の見送りもできないなんて。」

 

琴音「・・・・・・ところでなんだけど・・・・・・・・・あの人は・・・・・・誰?」

 

空港にはいつものメンバーが揃っていたが、背丈が大きく、マスクをつけ、サングラスを掛けた男が立っていた。

 

里香「不気味よね・・・」

 

飛鳥「あんなやついたか?」

 

渚「聞いてきてあげるよ、すいません、貴方はその・・・・・・」

 

そう言って渚はその男の元へ近づいた、するとその男は返答をせずに携帯を弄り出した。

 

渚「・・・・・・・・・・・・?」

 

渚が疑問に思ってると、その男は携帯の画面を出してきた、そこには『私も木綿季の友達のものです、怪しげな風靡をしてますが、私は生まれつき目が悪くその事情でサングラスを、マスクは風邪をひいていて声が出せないレベルなんでこの状態になっております、どうかご安心を。』とあった。

 

渚「なんだ、貴方も木綿季ちゃんの出迎えなのね、悪かったわね怪しく思って。」

 

渚がそう言うと男はゆっくりとうなづいた。

 

藍子「なんだって?」

 

渚「あの人も木綿季ちゃんの出迎えなんだって。」

 

和人「なんだ、じゃあ木綿季の知り合いか。」

 

里香「なーんだ、怖がって損した。」

 

琴音「あ!木綿季が来たよ!!!!」

 

琴音の言う通り、スーツケースを転がした木綿季がこちらに向かって手を振っている、皆は走って木綿季の元へ行った。

 

木綿季「ただいまー!!!!」

 

一同「おかえり!!!!!!!!」

 

木綿季がその場で止まると、皆は木綿季の周りを囲むように立った、あの男を除き。

 

藍子「何だか立派になったね~!!!!家でお母さん達が待ってるよ!!!!」

 

木綿季「えへへ♪」

 

和人「おかえり木綿季、待ってたぞお前のこと!!」

 

明日奈「会いたかったよ木綿季~!!」

 

里香「何だか一回りも二回りも成長した気がするわね~」

 

珪子「ちょっぴり身長伸びましたか?」

 

飛鳥「ナイスバディー・・・・・・とは言わねぇが身体も成長できたな!!女としての成功体だ!!!!」

 

鈴奈「久しぶりだね、待ってたよ木綿季のことを。」

 

詩乃「立派になったわね、木綿季。」

 

琴音「天文学者に慣れてよかったね!木綿季!」

 

渚「久しぶり!私も会えるの楽しみにしてたんだ!」

 

木綿季「皆・・・・・・ボクすっごく嬉しいよ!!!!こうして皆・・・・・・ってあれ?あの人は?」

 

そう言って木綿季が指差したのは先程の男だった。

 

藍子「なんでもあの人も木綿季の知り合いらしいよ?でも生まれつき目が悪いらしいのと風邪気味で声出せないから決して不審者ではないの。」

 

木綿季「ふぅ~ん、まぁいいや!それよりご飯食べに行きたい!」

 

琴音「時差ボケは平気なの?」

 

木綿季「あっちではオールがほとんどだったからね!このくらい平気平気♪じゃあお姉ちゃんの奢りでご飯に行こ!」

 

藍子「えぇ~!?だって木綿季食べるじゃん~!!!!」

 

木綿季「良いじゃん♪学者になれたお祝い♪」

 

藍子「もぉ~しょうがないな~」

 

木綿季「それじゃあ行こ~!!!!」

 

藍子「トホホ・・・・・・いくら無くなるのやら・・・・・・」

 

藍子は木綿季を先頭に歩き出す皆について行かず、財布の中身を確認していると、男が近寄りスマホの画面を見せてきた。

 

藍子「あら、どうしたの?」

 

藍子の見た画面の中には『お金は僕に任せてください、こう見えてお金には余裕があるので。』と。

 

藍子「えぇ!?木綿季がどれだけ食べるか知らないでしょ!?」

 

『大丈夫です、そこも考慮してるんで。』

 

藍子「・・・・・・なら頼んじゃっていいかな?」

 

『はい、でも僕が払うことは内密に、遠慮されては困るので。』

 

藍子「じゃあ頼むね!・・・・・・・・・ところで、本当に貴方は木綿季の友達なの?」

 

『・・・・・・・・・まぁ、貴方になら伝えても良いですかね。』

 

藍子「へ?」

 

『───────』

 

藍子「えっ!?ぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

里香「それじゃあ!!木綿季が留学から無事戻ってきたことを記念して!!!!」

 

一同「カンパーイ!!!!」

 

今、皆は割と値段が良さげな店に来ている、この人数入るのには時間がかかったが入るまではずっと木綿季との話でもちきり、気づいたらもう席に案内されていた。

 

ちなみに、もう酒を窘める歳と、時刻も18時を超えてることもあり、頼んだのは全員ビール。

 

木綿季「ぷはぁ!これだ!」

 

琴音「なんだか木綿季がお酒を飲んでる実感が湧かなかったな・・・すぐ飲んでバタンキューしそうだと思った。」

 

木綿季「こう見えて、お酒結構好きなんだ!でも今日は控えめにしなきゃね。」

 

渚「あら、遠慮しないで飲んじゃえばいいのに。」

 

木綿季「でもお母さんに会うしべろべろに酔っ払っちゃったら大変だし・・・・・・」

 

飛鳥「哲也と通話でもしたら酔い覚めるんじゃないか?」

 

木綿季「なんか今日投げ終えたばっかだけど練習あるからって・・・」

 

明日奈「うーんやっぱりプロ野球選手は大変だね。」

 

琴音「まぁ、とにかく今日はいっぱい話聞かせてもらうよ!」

 

木綿季「バッチコイだよ!とその前に・・・・・・ねぇね、君は一体誰なの?」

 

木綿季はまだ自分が分からない男に向けてそう話す、男は再び携帯を取り出し、木綿季に画面を見せた。

 

木綿季「えーっと?『だいぶ小さな時の出会いだけど、せっかくなの出来ました、すみませんなんだか大切な友達ばかりなのに僕だけ・・・』ということは幼稚園とかの時とか?なら気にしないでよ!お出迎えは多い方が嬉しいしね!」

 

男はそう言われると、『ありがとうございます』と示し軽いお辞儀をした。

 

木綿季「いいのいいの!貴方も食べてってね!お姉ちゃん!この人の分はボクが出すね!」

 

藍子「なら助かるわ、金欠で・・・」

 

珪子「木綿季さん!イギリスはどうでしたか!?」

 

鈴奈「イギリスの文化はどうだったんだい?」

 

詩乃「景色とかは?写真で貰ったけどもっと具体的に教えてほしいわ。」

 

木綿季「1つ1つ教えるから待っててね~♪」

 

こうして、木綿季との楽しい食事が始まった。

 

5年分の色々な話題を皆話して行く、料理は尽きても話題は尽きない。

 

木綿季「でねでね~!」

 

渚「あれ?あの人は?」

 

先程まで男が座ってた席には誰もおらず、そこには小さなメモ用紙とお金が置いてあった。

 

そこには『今回は楽しい会に参加させていただきありがとうございます、僕は仕事があるのでこれで、お気持ちとして少額ですがお金を置いていきます、これでこの後もお楽しみください。』とあった。

 

木綿季「ありゃ、仕事だったんだね、なら仕方ないか。」

 

渚「っ!?ちょっ!?見てこれ!!30万円!?」

 

琴音「えぇ!?」

 

里香「そんな金額ぱっと置いていけるなんて・・・・・どっかの社長だったりしてね。」

 

藍子「あら、通知が・・・・・・・・・・・・ふふっ、そういう事ね。」

 

木綿季「どうしたの?」

 

藍子「木綿季、この後・・・・・・・・・・・・」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

木綿季「はぁ・・・!はぁ・・・!」

 

あの後、食事会を終え、木綿季はある場所に向かっていた。

 

その場所は、藍子に向かえと言われた場所で、木綿季の知ってる場所。

 

木綿季「着いた!!!!」

 

そう、そこは五年前、フライト前日に哲也と共に来た場所だった。

 

そして、そこには先程まで共にいて、仕事があると言って消えた男の姿があった。

 

木綿季「・・・・・・ねぇ・・・・・・君は誰なの・・・・・・?」

 

「・・・・・・・・・まぁゃこんな格好じゃ流石に分かんねぇか、お前でも。」

 

木綿季「名前を言って!じゃなきゃ警察に!!」

 

「・・・・・・俺だよ俺、木綿季。」

 

そう言って男はサングラスとマスクを外した、その男の外見は、本来ここにいてはいけない存在のものだったけ。

 

木綿季「っ!?・・・・・・哲也・・・・・・!?」

 

そう、その男はまさに哲也そのものだった。

 

哲也「よっ、木綿季、大きくなったな。」

 

木綿季「な、なんで!?何でここにいるの!?今名古屋に・・・・・・」

 

哲也「あぁ、それは監督の粋な計らいでね、このことを言ったらさ、『哲也、お前は横浜に戻って体作っとけ!!』って言われてね、んで体作るついでに、お前に会いに来たってわけ。」

 

木綿季「・・・・・・じゃあ・・・・・・本物・・・・・・?」

 

哲也「おう、横浜Denaベイスターズ所属、荒波哲也さ。」

 

木綿季「哲也・・・・・・哲也!!!!!!!!」

 

木綿季は目の前の哲也の姿に感極まって泣いてしまった、哲也は泣いている木綿季を優しく包み込んだ。

 

木綿季「哲也・・・!!哲也・・・!!!!」

 

哲也「よしよし、よく頑張ったな木綿季、偉い学者になれて良かったな。」

 

木綿季「ボクずっとずっと哲也に会いたかったよ・・・・・・!!」

 

哲也「俺もさ、この5年耐えに耐え抜いたよ、お前を思ってね。」

 

木綿季「えへへ・・・♪ちょっと早めの再開になっちゃったね♪」

 

哲也「だな♪」

 

木綿季「随分と体が大きくなったね・・・これほとんど筋肉?」

 

哲也「へへ♪まぁね、お前こそ、おっぱいちょっとどころか大分大きくなったんじゃないか?」

 

木綿季「ちょっ!?どこ見てんのさエッチ!!」

 

哲也「お前のおっぱい♪」

 

木綿季「相変わらずエッチなんだから・・・/////」

 

哲也「へへ♪お前も変わらず可愛い♪」

 

木綿季「むぅ・・・/////」

 

哲也「あ、そうだ、大事なもの忘れてたよ、木綿季 これ受け取ってもらえないかな?」

 

そう言って哲也が木綿季に渡したのは手のひらサイズの黒い箱だった。

 

木綿季「?何これ?」

 

哲也「開けてごらん。」

 

木綿季「うん・・・」

 

木綿季が恐る恐る箱を開けてみると、中にはやや大きめの指輪が入っていた。

 

木綿季「へっ・・・・・・?これって・・・・・・・・・?」

 

哲也「まぁなんだ、その・・・・・・・・・木綿季、俺と結婚してもらえないか?」

 

木綿季「っ!?」

 

木綿季はその言葉に驚き、正しく開いた口が塞がらない、そんな状態になっている。

 

哲也「大変だったんだぜ、指輪探すの、お前に似合う奴く探し続けてようやく見つけたんだ。」

 

木綿季「・・・・・・えと・・・・・・今の発言は嘘なんかじゃないよね?」

 

哲也「あぁ、正真正銘、俺の気持ちだ、この為に300万払ったんだ、嘘ついてどうすんだよ。」

 

木綿季「さ!?300万!?」

 

哲也「そっ、まぁお前を嫁に貰えるなら安いと思ってね。」

 

木綿季「・・・・・・全く、それだけ高い金額投資されたら断れないじゃんか。」

 

哲也「・・・・・・んじゃあ・・・・・・答えは?」

 

哲也はそう言いながら木綿季に近寄り、顎をくいッと持ち上げた。

 

木綿季「・・・・・・はい、ふつつか者ですがよろしくお願いします。」

 

木綿季のその発言は、哲也のプロポーズの成功を意味していた、そして2人は木綿季の発言の後に、キスを交わした、時折優しく、時折激しく、結婚前の2人が愛を深めあっていく。

 

哲也「これからよろしくな、俺の妻として。」

 

木綿季「あ、でもボク一応日本でも学者として数年はいるつもりだからね?そこは許してね。」

 

哲也「あぁ、ただ、今までは互いに1人だったけど今度は違う、2人で愛し合って、支えあおう。」

 

木綿季「うん!!ボク哲也の妻として頑張るね!!!!」

 

哲也「おう、俺も夫として頑張るよ、これからはずっと一緒だ、木綿季。」

 

木綿季「うん!!大好き!!!!」

 

哲也「俺もだ、愛してるよ木綿季。」

 

2人は再び、顔を見合わせキスした、今度はカップルとしてではなく、近くなる、夫婦として。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

木綿季「早く早く~!!」

 

哲也「だからぁ!その体で急ぐなって言ってんだろ!?」

 

木綿季「あ・・・そうだった・・・・・・」

 

あのプロポーズの後、オフシーズンに結婚式を挙げ、正式に夫婦となってから約2年が経とうとしていた。

 

今現在、夫婦となった俺達は3月下旬の俺のオフということで出かけることになっていた。

 

哲也「ったく、゛お腹の子゛に悪影響だろ?」

 

木綿季「ごめん・・・」

 

ちなみに今の発言の通り、木綿季は俺の子供を妊娠している。それが発覚したのは結婚して1年目の秋頃、今ではお腹も前より大きくなり、まだまだかかるが、出産も近づいてきている。

 

本来なら外出も控えた方がいいのだが、今回どうしても夫婦、そして産まれてくる赤ちゃんで見たいものがあり、車で近くまで来てできるだけ歩くことはさせないようにさせてある。

 

木綿季「そろそろだから焦っちゃって・・・」

 

哲也「ったく、学習の癖にまだまだガキんちょだな。」

 

木綿季「むぅ~!!そんな言い方しないでもいいじゃんか!」

 

哲也「ごめんごめん、ほら、見えてきたよ!」

 

木綿季「ほんとだ!!」

 

俺達がゆっくり歩いていると、その内、満開の桜が出迎えてくれた。

 

そう、今日はこの桜を見に来たんだ。

 

何故かって?それは、俺が例えた(想い)が桜だったからで、この花は俺達夫婦の証とでも言える代物だ。

 

木綿季「綺麗~!!」

 

哲也「だね、どうだ、綺麗だろ?出てきたらお父さんとお母さんと一緒に来ような。」

 

俺は木綿季のお腹を撫でながらそう話した。

 

木綿季「えへへ♪早く産まれるといいね♪」

 

哲也「だな、楽しみにしてるよ君の産まれる時を。」

 

木綿季「あのね?お父さんはエッチなことが好きだから女の子だったら襲われないようにね?」

 

そう言って木綿季はお腹をさすった。

 

哲也「あのなぁ!?俺が好きなのはお前とするエロいこと!!!!」

 

木綿季「分かってるよ♪」

 

哲也「ったく、困った妻を持ったもんだ。」

 

木綿季「むぅ!ちゃんと家計簿とか付けられてるでしょ!!」

 

哲也「そういう意味じゃないの。」

 

俺は頭を撫でながらそう言った、木綿季も嬉しそうだ。

 

木綿季「えへへ♪」

 

哲也「取り戻そうな、俺らの5年、そんで失った5年よりも濃厚なものにしよう、この子と一緒に。」

 

木綿季「うん!」

 

哲也「さぁて、この子のためにもっと頑張らなきゃね、だから応援頼むぜ?」

 

木綿季「任せてよ!応援団より素敵な応援しちゃうよ!今は夜の応援は出来ないけど出産して落ち着いたらまた・・・・・・/////」

 

哲也「お前も好きだもんな、エッチなこと。」

 

木綿季「うるさい!してあげないよ!」

 

哲也「求めてくるくせに。」

 

木綿季「むぅ~!!」

 

木綿季は頬を膨らませた、可愛いその姿の木綿季を撫でた。

 

哲也「よし、歩こうか、木綿季。」

 

俺はそう言って手を木綿季の前に差し出した、木綿季は手を握って微笑んだ。

 

木綿季「はい♪あなた♡」

 

俺達はゆっくりゆっくりと桜の並ぶ道を歩いた、幸せだ、俺の手には数年前はもう二度と触れられないと思った最愛の木綿季の手を握ってる、あの時想いを告げられて本当に良かった。

 

この作品をいつも読んでくれる皆、絶対に俺のような勘違いはしないでほしい、確かにあれは木綿季の言いが、問題でもあるが、良く確かめなかった俺も悪い、何より一番酷いのは、勝手に恋を諦めたことだ。

 

結局俺はこうして幸せな人生を送ってるが、一歩間違えてれば俺と木綿季は二度と会うことは無かった、想像するだけで怖い。

 

確かに俺の花は勝手にだが散った、だがそのあとようやく咲いた、だが俺の場合は軌跡に近い開花だ、皆には勝手に散らすなんてことはしないで欲しいんだ、出来ることなら開花させてほしい。

 

俺から言えるのは、自分の想いは告ろってことだ、そうしなきゃ手に入れるものも入れられないだろ?幸せは自分で掴み取るものだ。

 

木綿季「えへへ♪」

 

哲也「愛してるよ、木綿季。」

 

木綿季「ボクもー♪」

 

俺のこの人生と言う物語はまだまだ皆と同じで続いていく、だから皆は俺以上の幸せを手にしてくれ、きっと皆なら出来る、何せ、君は英雄が歩んできた道を見ているんだから。

 

もうそろそろでサヨナラだ、最後にもう一度確認だ、幸せは自分の手で掴み取れよ?他力本願なんだ論外だ。

 

哲也「そう、自分の力で掴み取れ!!」

 

木綿季「?何を?」

 

哲也「なんでもないさ、さて、そろそろ戻ろうか、家に。」

 

木綿季「うん!」

 

それじゃあ俺は行くよ、辛かったら一度道を抜けてもいい、その後戻ればいいんだから、間違っても自分で自分を殺めるなよ、約束だ。

 

哲也「さぁ、行こう木綿季。」

 

木綿季「はい、あなた♪」

 

2人は幸せな桜並木を歩んで行った、その後ろ姿は何者の妨害も許さない、確かに幸せな後ろ姿だった。

 

哲也の言った通り、人生はこれからも続いていく、その中で、どれだけの幸せや素敵な運命を見つけるかは全部あなた次第。

 

さぁ、希望と言うドアを開けてみよう、きっとそこには明るい未来が待ってるはずだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねぇ、あなた。』

 

『ん?どした?』

 

『ボク、もーっと哲也と幸せになりたいな!』

 

『ふふ、そっか、それじゃあ、そのために一度あの時のアルバム開いてみようか。』

 

『さーんせー!』

 

『あ!何見るのお母さん!』

 

『私にも見せて!』

 

『んじゃあ皆で見るか!』

 

『わーい!』

 

『早く見よー!』

 

『ふふ♪幸せだね、あなた。』

 

『だな、それじゃあ、開くよ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二周年記念作品 fin




はい!という訳でこれが二周年記念作品となりました!

最後の哲也の語りかけは、下手くそかも知れませんが、私なりの皆様へ言いたかったことなんです、特に自分で自分をの所は、自殺なんてするなと言いたかったんです。

いいじゃないですが、少し道を間違えても、いいじゃないですか、寄り道しても、時間をかけて道に戻ればいいのだから、自殺なんてする必要ないんですよ。

このことを哲也に代弁してもらいました、後は、自分の想いは告げるという所もそうですね。

後は、英雄の道をってところは、記念作品ではなく、この作品、死神と呼ばれた剣士のことを指してます。

さて!長くなりましたが、いつもご愛読ありがとうございます!来年はわたしの諸事情で更新が遅くなることがあると思いますが、これからもどうぞ!この作品のことをよろしくお願いします!

ではまた本編でお会いしましょう!

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