ソードアート・オンライン~死神と呼ばれた剣士~   作:畜生ペンギン

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祝!!2周年アニバーサリーということで!!!!今回も特別ストーリーを用意してました!!!!

今回は題名通りのIF、すなわちもしもの話となっています!!

一応今回はside式の話となってますのでご了承の程よろしくお願いします。

前置きが長くなるのもアレなので早速本編にまいりましょう!!!!ではどうぞお楽しみください!!!!


2周年記念作品 sideA IFストーリー~甘く切ない恋の唄~

恋、それは人を変え、成長させる物。

 

そして、時には人を破滅にも導く一種の麻薬的存在、それが恋。

 

これは、少年は『死神』と呼ばれる事はなく、少女もまた、『絶剣』と呼ばれることもない、デスゲームなんて物は存在しない、平凡だけども、秘めた思いは誰にも負けない、そんな生き方をしている2人の幼馴染のもしものお話。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『ねぇねぇ!てつやくん!』

 

『なぁに?ゆうきちゃん。』

 

『ぼくたち、ずーっといっしょだよね!!』

 

『うん!!ずーっといっしょだよ!!』

 

『えへへ♪』

 

『ふふふ♪』

 

「・・・・・・Zzz・・・・・・」

 

「哲也ー朝ご飯出来たってさ、起きなさーい。」

 

「うーん・・・後5分・・・」

 

「いつもそれで遅刻んだからさっさと起きろ!!」

 

「のわぁ!?」

 

それはいつもの光景だった、寝ぼけてる俺が、姉ちゃんに布団を引っペがされ無理やり起こされると言う実にあるあるな展開だ。

 

おっと、自己紹介がまだだったな、俺の名前は荒波哲也、プロ野球選手を目指し日々部活に明け暮れる高校2年生、ポジションは投手。

 

そして姉の名前は渚、姉ちゃんは高校3年で俺らは一歳違いの姉弟だ。

 

渚「ったく、さっさと朝ご飯食べちゃってってさ。」

 

哲也「はいはい・・・ふぁ~・・・」

 

俺は眠い目を擦りながら、部屋から出て階段を降りて歯磨きと口をゆすぎ、顔を洗ってから母さんが作ってくれた朝食を食べ始めた。

 

母さんの名前は美咲と言う、ちなみに親父の名前は一輝 親父は朝早いか俺が起きる頃にはもういない。

 

俺はこの4人家族の2人目の子供としてここにいる。

 

美咲「渚、大学は決まりそう?」

 

渚「んー、まぁ引く手数多って感じ?どこ行こうかな~」

 

季節は9月、姉ちゃんはソフトボールの優秀選手として聞いた通りいくつかの大学から誘いが来てるらしい。

 

そして、高校野球児である俺には受験では無いが秋大会が待っている、俺はその秋大会に向けて日々練習をこなしている。

 

美咲「それにしても母さんも少し楽だわ~、2人共スポーツ優秀だから大学から誘いがあるし、哲也ももう大学から声かけられてるんでしょ?」

 

哲也「まぁ一応ね。」

 

そう、何を隠そう俺も実は既に大学から声をかけられていたりする、今年の夏大会予選の準決勝までコマを進めた俺はエースでは無いが試合の度に登板し、無失点かつ系5試合で35奪三振と、控え投手としては文句無しの成績を出し、準決勝で残念ながら負けたが、次の代のエースとして期待されてる俺の元に、夏休み中に一度割と強いところから誘いが来た。

 

渚「ふーん、良かったじゃない、アンタ馬鹿なんだからこのままじゃ大学行けないもんね。」

 

哲也「うるせぇわ。」

 

言われた通り馬鹿な俺だから、大学からの誘いは正直助かった、高校でプロ指名されなくても一応進学は出来るからね。

 

美咲「とにかく、2人は自分で決めた道を信じなさい?それで絶対に途中で止めないこと!!渚はソフトボール、哲也は野球で頑張るって決めてるんだから、途中で投げ出さいこと!!分かった?」

 

哲也・渚「はーい。」

 

朝は大概こんな感じで3人揃って朝食を取っている、まぁ部活の朝練が無い日に限ってだけどもね。

 

哲也・渚「行ってきまーす!」

 

美咲「行ってらっしゃーい!」

 

姉ちゃんが引退をしてからは2人で登校することが多くなった、喧嘩ばかりの俺らだが、基本は仲が良いのでまぁ問題は無い。

 

渚「ねぇねぇ、アンタこの前まーた告白されたんでしょ?どうしたの?返答は。」

 

哲也「あーあれ?断ったよ、タイプじゃねぇし。」

 

渚「ありゃりゃ、これで何人目よ、アンタに告白して降られたの。」

 

哲也「知るかんなの。」

 

俺の浮いた話と言えば大体この話が話題に上がる、1年の頃も何度か告白はされたが、最近は露骨に増えてる気がする。

 

噂によると、大概プロに近い奴に告白して成功すれば儲けもの、こう考えるのが何人かいると言われてるが、後から断ったこのクラスを見ると泣いてる子も少なくなかったのでまぁそれはほんの少数派だろう。

 

来年には受験がある、その前に早く想いを告げようとする子が多いのだろう。

 

渚「まぁ、アンタには゛可愛い幼馴染゛がいるもんね~」

 

哲也「あのなー!アイツとは別に何も・・・」

 

「おっはよー哲也!!」

 

哲也「うわっ!?」

 

俺は突如目の前に現れた少女に驚きつつも、少し呆れながら溜め息を吐いた。

 

哲也「またかよお前は・・・飽きねぇな・・・」

 

「だってこうした方が楽しいじゃん♪」

 

紹介しとこう、コイツの名前は紺野木綿季、俺の昔からの幼馴染だ。

 

ガキの頃から家族ぐるみの付き合いで、横を向けば大概コイツがいることが多いくらいだ。

 

渚「おはよ、木綿季ちゃん、元気?」

 

木綿季「あ、こんにちは!大学はどうですか?」

 

渚「まぁ、心配ご無用って感じかな。」

 

木綿季「哲也も、渚さんみたいに決まるといいね!」

 

哲也「るせぇ。」

 

俺はそう言って木綿季の額をツンっとした。

 

木綿季「いてっ。」

 

哲也「ほら、ボーッとしてると置いてくぞ。」

 

木綿季「あ!待ってよ~!」

 

渚「何で私まで置いてくのよ!」

 

浮いた話と言ってさっき姉ちゃんに軽くいじられたが、俺にだって恋心と言う物はあるさ。

 

隠しててもしょうがないから言っとく、俺はこの木綿季の事が昔から大好きだ。

 

と言っても、俺のこの気持ちに気づけたのは中二の頃で、昔からと言うのは同じ気持ちは持ってたがこれが好きだとは思わなかったと言う感じだ。

 

それからと言うもの、やけに意識しちゃってこんな感じの対応をしてるが、本当はもっと2人きりで話したりしたいものだ。

 

だけど、木綿季の前だと素直になれないのが悩みだ、告白しようと決めても、結局言えずじまいが多い。

 

木綿季「ねぇねぇ、いつ頃大会なの?」

 

哲也「んー、まぁ後ちょいかな。」

 

木綿季「じゃあボクが応援行ったげる!哲也の有志を見ててあげるよ!」

 

哲也「そっか、んじゃあ頼むな。」

 

渚「それじゃあ哲也、木綿季ちゃん、またね。」

 

哲也「おう。」

 

木綿季「さよなら!」

 

学校に着いたとこで俺らは姉ちゃんと別れ、クラスのメンバーと合流する。

 

ちなみに木綿季とは運良く二年連続同じクラス、正直家で何度もガッツポーズしたのは皆には内緒。

 

クラスには色んな友達がいる、名前だけあげると、翔、和人、明日奈、琴音、里香、珪子、詩乃、鈴奈、飛鳥と、メインメンバーを初め沢山の友人に支えられている。

 

ちなみに幼少期からの付き合いなのは木綿季と翔、小学校から一緒なのは和人、明日奈、中学が琴音、里香、珪子、んで高校で初めて顔を合わせたのが詩乃と鈴奈、飛鳥だ。

 

木綿季「おっはよー!」

 

哲也「うーっす。」

 

翔「お、やっぱし2人で来たか。」

 

明日奈「あちゃー今日位は違うと思ったのに。」

 

里香「何言ってんのよ、コイツらが別々になる事なんて無いでしょ?」

 

哲也「何の話だ?」

 

飛鳥「今賭けてたんだよ、お前と木綿季 一緒に来るか別々に来るかってね。」

 

哲也「人を儲けの話にするな!!!!」

 

木綿季「そーだそーだ!」

 

琴音「でも、結局今日も一緒に来たよね。」

 

鈴奈「これで夏休み明けから哲也の朝練がある日を除けば皆勤賞だな。」

 

詩乃「流石ね、タラシの哲也君。」

 

哲也「あん!?」

 

詩乃「くすっ、冗談よ♪」

 

哲也「ったく・・・・・・」

 

見てくれただけで分かると思うが、とても個性豊かなメンバーが揃っている、飽きない毎日だ。

 

珪子「もういっそ、付き合っちゃえばいいじゃないですか!」

 

哲也・木綿季「なっ!?/////」

 

里香「おうおう、顔真っ赤にしよって。」

 

飛鳥「丸分かりだな。」

 

明日奈「うんうん♪」

 

琴音「ひゅーひゅー!」

 

哲也「お前らなぁ!!!!からかうんじゃねぇ!!!!」

 

木綿季「そ、そーだそーだ!」

 

哲也「お前それしか言ってねぇじゃねぇかよ。」

 

俺は軽くチョップした。

 

木綿季「あぅ・・・」

 

翔「目の前でイチャつくな、周りの目が痛いぞ?」

 

哲也「お前までなぁ!?」

 

そうは言っても、翔にはもう俺の気持ちは気づかれている。

 

コイツとはガキの頃から野球で投手と捕手の間柄で隠し事を使用としても2人ですぐバレる、だから俺の恋心もすぐバレたが、何とか言わないで内緒にしてもらっている。

 

木綿季「翔の馬鹿!!」

 

翔「ふふ、2人はからかいやすくてな。」

 

哲也「ったく・・・」

 

鈴奈「時に哲也、君の所にまた大学の人が来るという噂を小耳に挟んだぞ。」

 

哲也「えっ!?マジ!?」

 

鈴奈「マジだ。」

 

哲也「今度はどこ何かな~この前は地元から離れる場所だったから出来れば地元の大学が来て欲しいな~」

 

木綿季「地方の大学でも強ければいっちゃうの?」

 

哲也「ん?あー・・・かもね。」

 

木綿季「そっか・・・」

 

飛鳥「悲しんでるね~木綿季。」

 

里香「恋する乙女は大変ですな~♪」

 

木綿季「違うから!!!!」

 

哲也「・・・・・・大学かぁ・・・・・・」

 

翔「ん?どうした?そんな遠い目をして。」

 

哲也「へ?いや、何でもないさ、そろそろホームルームだ、座ろうぜ。」

 

もしこのまま想いが告げれず、別の地域の大学に行って久々に帰ったと思ったら木綿季に恋人が・・・・・・なんてことにはなんねぇよな・・・・・・

 

てかその前に俺が告白すれば・・・・・・でもどうやって告白すればいいんだろうか・・・・・・

 

そんな悩みをしてると、担任の凛先生が入ってきた。

 

凛「それじゃあホームルームを始めます!今日は特に伝えることないけど、風邪が流行ってるらしいから皆気をつけてね!!それじゃあ号令!!」

 

哲也「あ、俺か きりーつ 礼 ちゃくせーき。」

 

凛「あ、哲也君、ちょっとおいで。」

 

哲也「はーい。」

 

さっき聞いた大学のことかな?

 

凛「ええっと、聞いてるかもしれないけどまた来たわよ、大学の人。」

 

哲也「鈴奈から聞きました、どこのですか?」

 

凛「今回は北海道からね。」

 

哲也「あちゃー、また地方からか・・・」

 

凛「哲也君はどこに行きたいの?」

 

哲也「いや、地方からでも嬉しいんですけど、地元からも誘いが来て欲しいなと思って、放課後話聞いてみますね。」

 

凛「大丈夫よ、このまま活躍を続ければきっと誘いは来るわ!それじゃあ放課後話してみてね!」

 

哲也「はーい。」

 

地方からでも大学の誘いは嬉しい、どんなとこなのかな。

 

教室に戻った俺の目が見たのは、楽しそうに男と話す木綿季の姿だった。

 

木綿季「えへへ~♪」

 

哲也「むっ・・・」

 

ここ最近と言うか、2年に上がってからアイツは須郷と言う奴と楽しそうにしてることが多い、もしかして木綿季ってアイツの事が・・・

 

一応説明を入れると、フルネームは須郷裕之、父親が大手企業の社長とかなんとかでめちゃくちゃ金持ち、オマケにスポーツも出来て、成績優秀、顔も整ってると来たもんだ、木綿季を取られかねん。

 

翔「なーに怖い顔して見てんだよ。」

 

哲也「え?そんな目してた?」

 

翔「それはもう。」

 

哲也「・・・・・・そうか・・・・・・」

 

翔「・・・・・・そろそろアタックしてみろよ、大丈夫だって、行けるさ。」

 

哲也「でも・・・・・・」

 

翔「はぁ・・・野球では強気の癖に、恋になると点で駄目だなお前・・・」

 

哲也「うっ・・・」

 

翔「まぁ、頑張れよ、応援してっからよ。」

 

そう言って翔は俺の肩を叩いた。

 

哲也「あぁ、頑張るさ。」

 

告白しなきゃまずいなんて事は分かってる、木綿季なんて超人気でアイツに告白して玉砕したやつを何度も見てきている。

 

しかも、断り方は『好きな人がいるから。』だとか。

 

木綿季の好きな人なんて聞いたこともない、一体誰だ?俺なら嬉しいが、もしもそれが全く別のやつだったり須郷だったりしたら・・・・・・そう考えると益々告白に手を伸ばせない。

 

一体、どうすりゃいいんだろうな、俺は、教えてくれよ、神様。

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

「という訳で!是非我が校も進学の視野に入れてもらいたい訳です!」

 

哲也「分かりました、色々なこともあるのでまだ返事は出せませんが、前向きに検討させてもらいます。」

 

「はい!分かりました!では私は監督さんとお話があるのでここで失礼させて貰います!」

 

哲也「ふぅ、緊張した、でも北海道か~・・・一応日ハムの元本拠地だしな・・・・・・野球の熱は確かだ、でも・・・・・・北海道ってなると木綿季が・・・・・・って・・・・・・付き合ってもない木綿季の事考えてどうすんだっての・・・・・・」

 

俺は1人で呟きながら頭を軽くかきながら、部の皆が待つグラウンドへ向かった。

 

翔「お、来たな、どうだった?」

 

哲也「あぁ、なかなか良さそうな所だったが、如何せん場所がね。」

 

「そう文句言うなよ~声かかっただけすげぇ事だろ?」

 

哲也「まぁな。」

 

我が野球部は先輩が引退してもなお、30人程度部員がいて、俺達の代だけでも16人はいる。

 

その中でも中心的なのが、俺と翔を初め、新井や東山など、多くのメンバーがいる。

 

新井「俺もかからねぇかな~声、そうすりゃ大学も少しは楽なのに・・・」

 

哲也「まぁ、それなら頑張ることだな。」

 

東山「なぁなぁ、お前どこ行きたいの?やっぱ赤学?」

 

哲也「うーん、赤学もいいけど、応慶大も良いよな~ その辺から声がかかりゃもう貰ったもんだよな。」

 

翔「かからなかったら?」

 

哲也「うーん、やっぱし地方に行くことになんのかな?」

 

新井「そうなると寂しいから何としてでも地元から誘い受けやがれ!!」

 

東山「そうだ!俺らがつまんなくなる!」

 

哲也「簡単に言ってくれんな、まぁ頑張るさ。」

 

我が野球部率いるのは新庄監督、少し抜けたとこはあるが練習もぬるいわけでもなく、キツすぎる訳でもない、中間を取れる非常に優れた顧問だと俺は思ってる。

 

新庄「いいかー秋大もそろそろだ、レギュラー選考も始まってんだから、気を抜いたら仲間に背番号持ってかれるぞ、それは哲也、お前でも変わらねぇからな、誘いが来たからって気を抜くなよ。」

 

哲也「ういっす!」

 

新庄「んじゃあ練習開始、今日はなるべく早く終わらせるぞ~」

 

翔「それは何故?」

 

新庄「最近練習長引いてんだろ?校長から少し叱られてよ、『長いのは良いが、ちゃんと部員に休みは与えなさい。』って感じで、だから今日は軽くやって6時には終わるぞ。」

 

一同「うぃーす。」

 

とまぁ、ぬるい日はとことんぬるいこともあるが、それも新庄琉野球術だ、俺は反対してない、むしろこの日はラッキーだ。

 

何故かって?そりゃあ皆部活が早く終わった方が嬉しいだろ?幾ら好きな野球でも長々とやるのは辛いからな。

 

哲也「投手陣とキャッチャー達は投げ込みか、翔ー」

 

翔「分かってるよ、行くぞ。」

 

俺達はブルペンに向かい投げ込み前のキャッチボールを始めた。

 

哲也「このまま行けば秋大会のキャッチャーはお前だな、翔。」

 

翔「何言ってんだ、周りにはライバルだらけなんだ、そう気は抜いてられないさ。」

 

哲也「その意義・・・・・・だ・・・・・・」

 

翔「?哲也?」

 

この施設は外部の人達から丸見えなのだが、それは俺らも同じで学校内を歩いてる生徒のことを見ることが出来るのだが、俺はそこで、木綿季と須郷が2人並んで笑顔で歩いてるところを見てしまった。

 

哲也「・・・・・・・・・」

 

翔「おーい、哲也ー?」

 

哲也「・・・・・・あ?あ!悪い悪い!!んじゃあある程度暖まったし座っていいぞー!!」

 

翔「変な哲也だな・・・」

 

ちくしょう・・・・・・何なんだあの野郎・・・・・・木綿季に気安く近づきやがって・・・・・・!!!!おまけにお前もなんだその笑顔は!!!!

 

哲也「んなろぉ!!!!!」

 

翔「おっ、ナイスボール。」

 

哲也「はぁ・・・」

 

俺がいないのをいいことに使いやがってあんにゃろぉ・・・・・・!!!!

 

哲也「クソがァ!!!!」

 

翔「うおっ、2球連続、流石大学も注目の男。」

 

結局、この日の投げ込みは軽くやるつもりが、さっきの光景を見たおかげで終始ずっと加減することなく投げてしまった。

 

哲也「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」

 

翔「大丈夫か?終わるか?」

 

哲也「・・・あぁ・・・そうしよう・・・」

 

・・・・・・今すぐにでも知りたい・・・・・・アイツは・・・・・・アイツらが付き合ってるのかどうか・・・・・・

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

新井「んでよ~そこで中原がよ~?」

 

東山「本気で!?馬鹿でーアイツ!!」

 

哲也「はぁ・・・・・・」

 

現在帰りの途中なのだが、俺はずーっと溜め息をつきっぱなし、意図せず出ちゃうから止めようもない。

 

翔「大丈夫なのか?」

 

哲也「知らね・・・・・・」

 

新井「あーあー、元気ねぇなー!よし!んじゃあ今日はラーメンでも・・・」

 

哲也「いらね、先帰る・・・」

 

新井「あ、そう・・・」

 

東山「残念・・・」

 

翔「おい、待てよ哲也。」

 

先行け俺の元に翔がつい来てきてくれた。

 

翔「なんだ?まさかお前今朝の木綿季と須郷が話してたのまだ引きずってんのか?」

 

哲也「いいや・・・その後2人で仲良く歩いてるとこを見てな・・・・・・それで気になってさ・・・・・・木綿季が好きなのは須郷かってことが・・・・・・」

 

翔「・・・・・・俺は違うと思うがな。」

 

哲也「翔・・・」

 

翔「木綿季は昔からずっとお前といるんだ、大丈夫さ、きっと木綿季が好きなのはお前だよ。」

 

哲也「そうかな・・・・・・」

 

翔「あぁもうクヨクヨすんなって!なんなら聞いてやるか?」

 

哲也「っ!?それは止めろ!!」

 

翔「そうか?まぁ、早めに問題は解決しろよ、んじゃあな。」

 

哲也「あ、もう家だったのか・・・」

 

歩き続け気づけば俺の家、一体どれだけ俺は考え続けて歩いたのか。

 

哲也「ただいまー」

 

美咲「おかえりなさい!お客さん来てるわよ?」

 

哲也「誰?」

 

美咲「いつもの♪」

 

哲也「はぁ・・・またか・・・」

 

俺は今日何度目になるか分からない溜め息をついて、階段を登り部屋に向かった、すると部屋の中から笑い声が聞こえてきた。

 

哲也「ったく・・・・・・ゴラァ!!またベッドの上で菓子食ってんじゃねぇだろうなぁ!?」

 

木綿季「食べてまーす♪あはは!!」

 

そう言いながら足パタパタさせ、お笑い番組を見ながら木綿季は可愛げに笑う、ったく、可愛いんだから・・・・・・ではなくだ!!

 

哲也「だから寝る時に菓子の食いかけがチクチクして痛いって言ってんだろうが!!」

 

俺は木綿季を無理やりベッドから落とした。

 

木綿季「ふにゃあ!?」

 

哲也「ったく、ってお前!?これ俺が楽しみにしてたポテチじゃねぇか!!」

 

木綿季「哲也に付く無駄な脂肪をボクが回収してあげたの!感謝してね♪」

 

哲也「いつもいつも勝手に食べやがって・・・・・・!!」

 

俺は木綿季に近づき、頬を親指と中指で無理やりくっつける感じにした。

 

木綿季「いふぁいいふぁい!!!!」

 

哲也「ったく、反省しろ!!」

 

木綿季「あぅ・・・痛い・・・」

 

哲也「・・・・・・はぁ・・・・・・疲れた・・・・・・」

 

俺は頬を抑え半べそになってる木綿季を見て少しきゅんとしながら、ベッドに倒れ込んだ。

 

木綿季「こら!ボクの場所なんだぞ!!」

 

哲也「あっそ。」

 

木綿季「むきー!何よその態度!!」

 

哲也「いつもいつも勝手に人の部屋に入り込んではベッドで寝転がってるだけだろうが、だから付く所に付く脂肪が付かないんだよ。」

 

木綿季「どこ見てんのさエッチ!!!!」

 

哲也「へいへいエッチで結構ですよーだ。」

 

木綿季「むぅ~!!」

 

・・・・・・聞きたい、須郷とどんな関係なのかを、ただの友達?好きな人?もしかしてもう彼氏?いずれにせよ、好きな人だったり彼氏だったりしたら多分立ち直れないから俺からはとてもじゃないが聞き出せない・・・

 

哲也「はぁ・・・」

 

木綿季「?どうしたの?」

 

哲也「別に・・・何でもねぇよ・・・」

 

木綿季「そう?あ、食べる?」

 

哲也「食べる・・・」

 

下手したら、こうしているのが1番幸せなのかもな、幼馴染同士がくっつくなんて高望みしないで、こうして友達以上の関係を築いた方が良いのかもな。

 

哲也「・・・・・・おいしい。」

 

木綿季「でしょでしょ~♪」

 

哲也「だからこれは俺が買ったの!!」

 

木綿季「良いじゃんケチ。」

 

哲也「自分が食われたら怒るくせに。」

 

木綿季「ボクだって哲也のだから食べてるんだもーん♪」

 

哲也「どういう意味だこの野郎・・・」

 

木綿季「そのままの意味だよ♪」

 

哲也「ったく・・・まぁいいや、どうせ夕飯食ってくんだろ?」

 

木綿季「うん!」

 

哲也「んじゃあ飯の時間に起こしてよ、一眠りするから。」

 

木綿季「シャワー浴びたの?」

 

哲也「学校で浴びたから良い、おやすみ~」

 

木綿季「あ・・・」

 

哲也「Zzz・・・・・・」

 

木綿季「・・・・・・言わなきゃいけないのに・・・・・・」

 

~数十分後~

 

木綿季「起きて!ご飯だって!」

 

哲也「・・・・・・あいよ・・・・・」

 

木綿季「あぁもう寝ぼけ無いでさっさと起きる!ほら!!!」

 

哲也「わぁってるよ・・・」

 

俺は木綿季に体を揺さぶられながら無理やり体を起こし、2人で母さんと姉ちゃんが待ってるリビングへと向かった。

 

~リビング~

 

渚「ったく遅いわね~ 何してたのよ。」

 

哲也「寝てた・・・ここんとこ疲れちまって・・・」

 

美咲「あらあら、それじゃあお母さんの料理いっぱい食べて元気になってね♪木綿季ちゃんも沢山食べていいからね♪」

 

木綿季「お言葉に甘えます!」

 

哲也「甘えんな。」

 

木綿季「なんでさ!」

 

哲也「お前がいると俺の分まで食うんだもん、回復する大量も回復しないっつーの。」

 

木綿季「だって哲也のお母さんの料理美味しいんだもーん♪」

 

哲也「ったく・・・」

 

美咲「それじゃあいただきます♪」

 

3人「いただきまーす!」

 

木綿季「もぐもぐ・・・んー!やっぱし美味しいな~♪」

 

美咲「あらあら、お世辞が上手いんだから♪それじゃあ後でデザートもサービスしちゃおうかしら♪」

 

木綿季「わーい♪」

 

渚「ほんと、我が家に欲しいわ木綿季ちゃん、可愛いししっかりしてるし。」

 

美咲「哲也と結婚してみたら?」

 

哲也・木綿季「ぶっ!!!!」

 

俺と木綿季は互いに吹いてしまった。

 

渚「吹くタイミングも完璧、相性バッチリね。」

 

哲也「母さん!!!!」

 

木綿季「もぉ!!!!」

 

渚「おうおう顔真っ赤にしおって、照れるな照れるな♪」

 

哲也「だぁってろペチャパイ!!!!」

 

渚「何ですって!?」

 

美咲「ふふふ♪仲がよろしい事で♪」

 

木綿季と結婚か・・・・・・出来りゃそりゃ、下手したら、夢のプロ野球選手になることよりも幸せかもしれんが・・・・・・木綿季は一体どうなんだろうか・・・・・・俺は・・・・・・・・・ただの幼馴染止まりなのだろうか・・・・・・

 

哲也「はぁ・・・・・・」

 

俺のこのジレンマと溜め息はいつ止むことを知るのだろうか、誰でもいいからこの胸のズキズキを止めてくれ。

 

~~~~~~~~~~~~~

 

木綿季「ぷはぁ~デザートも美味しかった~♪」

 

美咲「お粗末さまでした、渚 お皿洗い手伝って。」

 

木綿季「あ!ボクがやります!ご馳走になったから渚さんは哲也とゆっくりしてて下さい!」

 

渚「そう?それじゃあお願い♪」

 

そう言って姉ちゃんはソファーに座る俺の横に座ってきた。

 

渚「ねぇねぇ。」

 

哲也「ん?」

 

渚「本当に木綿季ちゃんのこと、どう思ってるの?」

 

哲也「・・・・・・別に・・・・・・」

 

渚「・・・・・・ほんっとうにあんたって嘘つくのが下手くそね、顔で丸わかりよ。」

 

そう言って姉ちゃんは俺の頬を指でつんつんしてきた。

 

哲也「そんなに顔に出てんの!?」

 

渚「う・そ♡」

 

哲也「んだとぉ!?」

 

渚「でも、やっぱしそうじゃない、まぁ薄々感づいてたけどね、どうなの?告白は?」

 

哲也「・・・・・・最近アイツとやけに仲良くしてる男がいんだ・・・・・・もし木綿季がそいつのことを好きだったらと考えると・・・・・・」

 

渚「ったく意気地の無い男ね~!!!!もっとこういつもみたいにガツンっと言いなさいよ!」

 

哲也「そうしたいのも山々だけどもさ・・・」

 

渚「なんだったら聞いてこようか?」

 

哲也「本当にそれは止めてくれ!もしそれで違ったら・・・・・・」

 

渚「全く、愛する弟の為にお姉ちゃんが一肌脱ごうとしたのに。」

 

哲也「悪い・・・・・・高校卒業までにはこの問題も片付けるから、待っててくれ・・・・・・」

 

渚「卒業?そんな時間ないんじゃないの?」

 

哲也「え?」

 

渚「だって・・・」

 

そう言いかけた所で、木綿季が俺の頭に腕を乗せてきた。

 

木綿季「なになに?なんの話?」

 

哲也「お前は皿洗いしとけ!」

 

木綿季「ちっちっち!最近では全自動の皿洗いの機械があるのだ!」

 

哲也「それじゃあ手伝うことなんか無いじゃんかよ。」

 

木綿季「でも洗剤つけたりがめんどくさいの!」

 

哲也「へいへい、さいですか。」

 

木綿季「ねぇ!部屋でゲームやろ!」

 

哲也「えー?お前勝つまでやろうとするじゃんか、やだ。」

 

木綿季「やだ!やる!」

 

哲也「俺もやだ!」

 

木綿季「やるったらやる!」

 

哲也「やらん!」

 

木綿季「やる!」

 

哲也「やらん!」

 

木綿季「やr・・・・・・やらない!」

 

哲也「やる!」

 

木綿季「やらない!」

 

哲也「やるったらやるんだよ!ほら!上行くぞ!」

 

木綿季「わーい!」

 

哲也「・・・・・・あっ。」

 

渚「・・・・・・馬鹿の世界チャンピオンね・・・・・・」

 

哲也「誰がミスターサタンじゃ!」

 

木綿季「早く行こ!」

 

哲也「はいはい・・・」

 

渚「・・・・・・お似合いだと思うけどな~・・・・・・」

 

~哲也の部屋~

 

木綿季「ていっ!」

 

哲也「よっと!」

 

木綿季「そりゃ!」

 

哲也「甘い!」

 

木綿季「あっ!?」

 

哲也「はい俺の勝ちーこれで10連勝~」

 

木綿季「むぅ!もっかい!」

 

哲也「やだよもう、俺は疲れたの。」

 

木綿季「じゃあ・・・・・・次から負けたら服1枚1枚脱いでくから!」

 

哲也「何・・・・・・だと・・・・・・?」

 

服を脱いでく?待てよ、今の季節はまだ残暑の残る秋、木綿季は薄着、ってなると俺は五連勝でもすりゃあ木綿季は・・・・・・全裸!!!!

 

だ、だがどうする・・・・・・もしやるって言ってみろ・・・・・・『こんな変態ボク嫌い!』なんて言われたら・・・・・・どうする・・・・・・全裸を取るか評価を取るか・・・・・・!!!!

 

俺は頭を抱えながら悩んでると、ドア越しに姉ちゃんの声が聞こえてきた。

 

「木綿季ちゃん?そろそろ帰って来いって電話が来たよ?」

 

木綿季「あれ?もうそんな時間?じゃあ帰るね哲也、送ってって!」

 

哲也「お、おう!」

 

正直、良かったと思う反面、残念と思う気持ちの方が強かった俺だった。

 

そして、俺は木綿季を送るために一緒に夜の街を軽く散歩。

 

と言っても木綿季の家は俺ん家から徒歩5分未満の距離だからそんなには歩かないが、俺からしたら木綿季と2人でいられる時だからこの時間は大切にしている。

 

木綿季「・・・・・・ねぇ・・・・・・哲也・・・・・・」

 

哲也「ん?どした?」

 

木綿季「あのね・・・・・・ボク・・・・・・実は・・・・・・」

 

哲也「ん?」

 

木綿季「ボク・・・・・・ボク・・・・・・」

 

あれ?この流れまさか・・・・・・告白!?

 

木綿季「ボク・・・・・・」

 

頼む!そうであってくれ!頼むから!!!!!!!!

 

木綿季「・・・・・・椎茸が嫌いなんだよね~!!!!あはは♪」

 

哲也「がくっ!!!」

 

俺はまさにそんな感じで膝から崩れ落ちた、んだよ、そんなことかよ・・・

 

哲也「知るか!んなこと!!」

 

木綿季「だからこんど椎茸克服手伝ってね!それじゃあここら辺で!!ばいばーい!!!!」

 

そう言って木綿季は手を振って去っていった。

 

哲也「・・・・・・まぁ・・・・・・そんな都合よく行かねぇか・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

木綿季「・・・・・・どうしよう・・・・・・そろそろなのに・・・・・・」

 

~~~~~~~~~~~~~

 

翌日、俺は朝練があった為に朝早くか学校に来ていた。

 

新井「哲也、バッピ頼んでいいかな?」

 

哲也「良いよ、俺も内角のボールを試してみたかったんだ。」

 

新井「当てんなよな~」

 

哲也「分かってるよ。」

 

今日の練習はほぼ自主練、翔は自分に足りない腕の筋力を上げるため筋トレをおこなってる。

 

哲也「んじゃあ行くぞ!」

 

新井「おう!」

 

俺と新井は見ての通り、他はチーム内でノックを打ったりベースランニングしたりで様々。

 

黙々とボールを投げ込み、それを打つ新井、時折柵越を打ったりして今年の代は長打力面も平気そうだ。

 

哲也「よし!まだまだ行く・・・・・・?」

 

新井「ん?どした?」

 

今まさに俺の目に入ったの走って校内に入ってった木綿季だった、どうしたんだ?ま、まさかとは思うがまた須郷と・・・・・・・・・

 

って・・・・・・考えすぎだよな、幾ら何でも・・・・・・

 

哲也「何でもねぇ!行くぞ新井!!!!」

 

新井「お、おう!!!!」

 

気にしすぎなんだ、良いんだ、俺は秋大会に集中すれば、告白は別に焦る必要も無い、じっくり焦らずに・・・・・・

 

~朝練後・教室~

 

朝練が終わると室内設備でもあるシャワーを浴び、新井と翔と共に教室に、ちなみに新井も同じクラスだ。

 

新井「ふぃ~疲れた~」

 

哲也「だな。」

 

翔「朝練早く上がりすぎたかな、誰もいないな。」

 

哲也「・・・・・・おかしいな・・・・・・」

 

新井「ん?何がだ?」

 

哲也「ん?いや、何でもないさ。」

 

新井「哲也、お前最近なんかおかしくないか?」

 

哲也「へ?んなこたぁねぇよ!」

 

新井「怪しいな~・・・まさか、お前大学どころかプロから声がかかってたり!?」

 

哲也「なわけあるか、とにかく俺は普通だ、心配すんな。」

 

新井「そうか・・・ならいいけど。」

 

朝練を終えて1時間もすればもう皆が教室にいる、そう、朝早く来ていたはずの木綿季もだ。

 

木綿季「おっはよーてーつや♪」

 

哲也「おっす。」

 

飛鳥「んだよつれねぇ男だなお前は『おはよう木綿季、今日のお前は一段と綺麗だぜ♪』とかなんとか言えねぇのかよ!」

 

哲也「言えるか!!」

 

木綿季「あ、あはは~・・・」

 

哲也「ったく・・・」

 

毎度飛鳥の言う言葉には呆れさせられる、俺は毎度の様に溜め息を吐くと、あんまし聞きたくはない声が聞こえてきた。

 

「やぁ木綿季さん、飛鳥さん、それに哲也君。」

 

木綿季「あ、須郷君!おはよ!」

 

飛鳥「うーっす。」

 

哲也「うっす。」

 

そう、声の主は木綿季の言った通り須郷、今一番面を見たくない奴だ。

 

だって下手したら木綿季の好きな人だって可能性もある、そんな奴と器用に話す力量は俺には備わってはいない。

 

須郷「荒波君、少しお話良いかな?」

 

哲也「ん?何のようだ?」

 

須郷「少し席を外そう。」

 

哲也「まぁ構わねぇが・・・」

 

俺は須郷の後に続き廊下の人目があまり無い所に出た。

 

哲也「一体何だ?」

 

須郷「さて、君は僕のクラスの役職が何か知っているかい?」

 

哲也「んなの、明日奈と一緒に学級委員だろ?」

 

こいつはクラスからの信頼が厚く(俺は余りそうとは思わんが)二学期のクラス委員に推薦され、学級委員を同じく推薦があった明日奈と共にやっている。

 

須郷「まぁ知らないといったら僕も困るのだがね、ところで、その学級委員何だが・・・・・・変わってもらえないかい?」

 

哲也「はぁ?なんでだよ?」

 

須郷「僕が学級委員に選ばれた理由は知ってるだろう?」

 

哲也「まぁな。」

 

須郷「さて、学級委員になったはいいが相手が予想違いだった、僕はてっきり木綿季さんが来ると思ったのだがね。」

 

哲也「・・・・・・どういう事だ?」

 

須郷「単刀直入に言おう、僕は相手の学級委員には木綿季さんが来ると思い推薦を受け入れた、だが相手が明日奈さんでは僕のモチベーションも上がらない、それに木綿季さんと会うような時間も裂けないしね、その為、僕よりもクラスの人望が厚い君に頼みたいんだ、どうだい?」

 

哲也「・・・・・・ふざけるな、受け持った以上てめぇの立場くらい貫き通しやがれ、俺は却下する。」

 

須郷「・・・・・・金かい?」

 

哲也「は?」

 

須郷「そうだね!やはり金で解決といこう!いくらだい?1万?5万?なんなら10万叩いても僕はこの地位を譲りたいもんだね。」

 

哲也「ちっ・・・金で釣れる相手が違ったな、他所を当たれ。」

 

須郷「何故だい?高校生にしては10万とは大金だぞ!?それさえあれば大抵なものは・・・・・・あ!なんだ、10万じゃ足りないと!ならどうだい?20?30?いっそ50と・・・」

 

哲也「金額の問題じゃねぇんだよ!!!!」

 

俺は顔を近づけてくる須郷を突き飛ばしそう言った。

 

須郷「っ!?」

 

哲也「俺が言いてぇのはてめぇのその甘ったれた性格を治すために今の地位にいろってんだよ!!!!木綿季じゃなくて明日奈だからだ!?舐めてんのかお前は!!!!」

 

須郷「き、貴様!!!!僕に歯向かうとどうなるか分かって!!!!」

 

哲也「知るか!!!!偉いのはお前の親父であっててめぇは単なる御曹司だろうがよ!!!!お前の将来はどうなるかなんか知らねぇが今は俺と同じ高校生だろうが!!!!」

 

須郷「くっ・・・・・・君のような奴に頼もうとした僕が悪かったようだね、良いだろう、この話は無しだ!」

 

哲也「たりめぇだ馬鹿野郎!!!!おとといきやがれ!!!!」

 

にしてもこいつ・・・木綿季が~としか言ってなかった気が・・・・・・やはり須郷は木綿季を・・・・・・?

 

哲也「待て!」

 

須郷「ん?乗る気になったかい?」

 

哲也「さっきから木綿季が木綿季がって言ってるが、お前は木綿季とどうしたいんだ?」

 

須郷「決まってるだろう?僕は彼女に恋してるんだ、彼女は僕の物にしたい!」

 

哲也「っ!!!!」

 

やっぱりか・・・!!!!

 

哲也「そ、そうかよ、まぁせいぜい頑張るこったな。」

 

須郷「ふっ、是非応援してくれたまえ。」

 

・・・・・・参ったな・・・・・・もし木綿季までも須郷を好いていたら・・・・・・ちくしょう・・・・・・思ったより時間はねぇのかもな・・・・・・

 

俺は須郷が去った廊下の中を、険しい顔をしながら1人立ち塞がっていた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

木綿季「ただいまー!」

 

哲也「おじゃしまーす。」

 

あれから数日後、午前中練習のみだった休日にたまたま帰り道に木綿季と会った俺は木綿季の誘いもあり木綿季の家にお邪魔することに。

 

俺と木綿季を出迎えてくれたのは、木綿季のお姉さんの藍子さんだった。

 

藍子「あら、哲也君、いらっしゃい、いつも木綿季がお世話になってごめんね?」

 

藍子さんは俺の姉ちゃんと同い歳、でも藍子さんの方が学力優秀で俺の姉ちゃんとは全く別のタイプ。

 

木綿季「ボクが哲也のお世話をしてるんだもん!!」

 

哲也「お前は俺の菓子食ってるだけだろうが!!」

 

軽く木綿季にゲンコツをいれると、木綿季は頭を抑えながら半べそになりながら俺に怒ってきた。

 

木綿季「痛いじゃんか!!手加減してよ!!」

 

哲也「自業自得だ!!殴られたくなかったら今後は俺の菓子を勝手に食うのは辞めるこったな!!!!」

 

木綿季「ぶぅーぶぅー!!!!」

 

藍子「ふふふ♪相変わらず仲が良いのね♪今日はお母さん達がいないからゆっくりしていってね。」

 

哲也「あ、でも俺この後自主練誘われてるんで・・・・・・今2時なんで2時間後位にはもう出るかと。」

 

藍子「あら、練習熱心ね、木綿季なんて食べることしか興味無いのに。」

 

木綿季「ちょっと!!失礼だな!!」

 

藍子「冗談よ♪」

 

哲也「あながち間違いじゃない気がするがな。」

 

木綿季「ボクはそんな女の子じゃないもん!!!!」

 

哲也「はいはい、早く部屋に行かせてくれ、疲れて立ってるのも億劫だ。」

 

木綿季「じゃあ行こ!」

 

藍子「疲れを癒していってね♪」

 

何度目の木綿季の家かつ、木綿季の部屋に来たのだろうか、俺が、勝手に木綿季の部屋に上がる事がないから木綿季程の頻度ではないがそれでも多分俺が一番木綿季の部屋にトータルで行ってる気がする。

 

哲也「あー疲れた。」

 

木綿季「哲也!この前のリベンジマッチ!!ほら!!」

 

そう言って木綿季はゲームのリモコンを渡してきた、うーん、疲れてるんだがな~・・・

 

哲也「えぇ~!却下!!」

 

木綿季「むぅ・・・・・・ならば・・・・・・」

 

そう言う木綿季は俺の目の前でいきなり靴下を脱ぎ出した。

 

哲也「?」

 

木綿季「この前と同じルール!!僕はこの前十連敗したから・・・・・・」

 

そう言って洋服に手を付けた木綿季、俺は焦りながら木綿季の手を止めた。

 

哲也「待て待て待て待て待て!!!!!!!!なにしてんのあんた!?」

 

木綿季「何って、野球挙みたいに服を脱ごうかと・・・」

 

哲也「はぁ・・・・・・分かったよ、やってやるから服は着てろ。」

 

木綿季「わーい!いざ勝負!!」

 

こいつは時折いきなりな行動を取ることが良くある、俺が目を離した時には既に遅かったなんてことも、まぁ可愛いから許しちゃうんだけどね。

 

木綿季「てい!やぁ!!」

 

哲也「おっ!今日は!強いな!木綿季!!」

 

木綿季「特訓したもんねー!!!!それぇ!!!!」

 

哲也「ぬおっ!?だが負けてたまるか!!!!」

 

2人並んでゲームをする、小さい時からも変わらない光景だ。

 

そして、大概は俺が勝ちまくり、気づいた時には連敗続きの木綿季が半べそになると言うのもいつもの光景だったのだが、この日はそんないつもの光景が壊され、俺が木綿季に負けた。

 

木綿季「わーい!哲也に勝った!!!!」

 

哲也「あっちゃー!手加減してなかったのにな、初めて負けた気がするよ。」

 

木綿季「それって、今まで負けた時は手加減してたってこと?」

 

哲也「ザッツライト。」

 

木綿季「にゃにぃ!?」

 

哲也「だってそうでもしないと泣くんだもんお前・・・泣き止ますの大変だし・・・・・・」

 

木綿季「ボクはそんなに泣かないもん!!!!」

 

哲也「どこがだ、小さい時はピーピー泣いては『哲也の馬鹿馬鹿馬鹿!!!!』なんつって何度も殴ってくるのがお前だろうが。」

 

木綿季「そんなことしないもーん!!!!」

 

哲也「おめでたい脳みそしやがってお前は・・・・・・」

 

『えっへん!』とでも言いたげな木綿季を目の前にし、少しは木綿季の成長を実感していると、お菓子とジュースを持った藍子さんが部屋に入ってきた。

 

藍子「懐かしいわね~木綿季は良く泣いてたね、その度に哲也君に泣き止ましてもらってたもんね♪」

 

木綿季「そ、そんなことないもん!!!!」

 

藍子「あら?でも確か写真に収めてあるのには・・・」

 

木綿季「えぇ!?写真なんてあるの!?」

 

哲也「ほぉら言った。」

 

木綿季「あぅ・・・だってだって恥ずかしいじゃん!泣いてるのを哲也に慰めてもらってたなんて!!」

 

藍子「昔から哲也君には懐いてたもんね~同じく幼馴染の翔君とは段違いに。」

 

木綿季「べ、別に翔は関係無いでしょ!!!!ていうかお姉ちゃんもお邪魔!」

 

藍子「はいはい、ごめんね~こんな娘で、もし良かったらお嫁さんに貰ってもいいんだよ♪」

 

哲也「は、ははは・・・」

 

木綿季「分かったからバイバイ!」

 

藍子「ばいばーい♪」

 

そう言って藍子さんは手を振りながら去っていった。

 

木綿季「全く・・・ジュース飲む?」

 

哲也「んじゃあ貰うよ、頂きます。」

 

木綿季「はーい♪」

 

木綿季はコップにジュースを注いでくれて、俺はそれを一口飲んだ。

 

哲也「ふぅ、練習終わりの甘い飲み物はいいね~」

 

木綿季「そうなの?それじゃあボクも哲也のランニング真似してからおやつにしようかな。」

 

哲也「その方が太らないしな。」

 

木綿季「余計なお世話だ馬鹿!!!!」

 

哲也「事実だもーん!」

 

木綿季「むぅ~!」

 

そう言って頬を膨らます木綿季、やっぱ、可愛いな~抱きしめてあげたい、でもそんなことしたら俺は豚箱行き・・・・・・大学への道も閉ざされる・・・・・・あぁ・・・・・・木綿季が彼女ならば・・・・・・

 

木綿季「・・・・・・ねぇ・・・・・・哲也・・・・・・・・・」

 

哲也「ん?」

 

木綿季「・・・・・・ボクね・・・・・・言わなきゃいけない事があるんだ・・・・・・」

 

哲也「え?」

 

木綿季「あのね!ボク!!!!ボク!!!!」

 

・・・・・・今度こそ来たろ!!!!告白!!!!この勢いはそうだ!!!!

 

木綿季「ボク!!!!!!!!」

 

さぁ来い木綿季!!!!お前の愛!!!!俺がしかと受け止めてやる!!!!

 

木綿季「・・・・・・あれから椎茸食べられるようになったんだ~!!!!凄いでしょ~!!!!」

 

哲也「だぁ!?」

 

俺は座りながらずっこけた、あんなすごい剣幕で話の内容はこれだもん。

 

哲也「だーかーらー!!!!」

 

木綿季「わぁ叩いちゃや!!!!もう一個話はあるから!!!!」

 

哲也「じゃあその一個によっちゃ殴るのは止めてやる、何だ?」

 

木綿季「・・・・・・これは本当に真剣な話・・・・・・哲也って・・・・・・゛好きな人゛って・・・・・・いる・・・・・・?」

 

哲也「っ!?」

 

す、好きな人!?ま、まさか木綿季からこの話を持ちかけられるとは・・・・・・

 

でも・・・・・・これこそ、千載一遇のチャンスじゃねぇか!?今ここで俺が好きだって言って、『ボクも哲也のこと好き!!』なんてことになったら一気に俺らは両想いのカップルに!!!!

 

木綿季「・・・・・・どう・・・・・・なの・・・・・・?」

 

哲也「お、俺はだな!!!!」

 

木綿季「うん・・・」

 

哲也「俺は・・・!」

 

言え!今ここで言わないとどこで言う!!!!

 

哲也「俺は!!」

 

あと一押し!!!!頑張れ俺!!!!

 

哲也「・・・・・・・・・好きな人なんかいねぇよ!!」

 

木綿季「そ・・・そうなんだ・・・」

 

あ、アレェェェェェェェェ!?何で!?俺今まさに告白しようと・・・・・・

 

っ!!まさか、俺の中の心の迷いが告白させなくしたのか!?あぁもう俺のアホ!!!!意気地無し!!!!ボケナス!!!!死ね!!!!

 

木綿季「・・・・・・ボクはね・・・・・・だーい好きな人がいるんだ・・・・・・」

 

哲也「っ!?」

 

す、好きを通り越してだーい好きだと!?えぇい誰だ!!!!そんな羨ましいこと言われてるやつは!!!!俺か!?頼む!!!!!俺であってくれ神様!!!!!!!!

 

哲也「そ、そうなのか!それってどんな奴なんだ?」

 

木綿季「その人はね・・・運動も出来て、顔も良くて、優しくて・・・・・・」

 

・・・・・・・・・ん?運動出来て、顔良くて、優しい?

 

・・・・・・確かあん時・・・・・・

 

~数日前~

 

鈴奈『それにしても君はいつまでも女の子をはぐらかしてるんだい?』

 

哲也『はぐらかしてるんじゃねぇの、告白されても振ってるだけ。』

 

明日奈『哲也君゛顔カッコイイ゛もんね~』

 

里香『おまけに妙に゛優しい゛。』

 

琴音『それでいて゛運動センス抜群゛!!!!』

 

珪子『これじゃあモテるのも無理ないですね。』

 

飛鳥『まぁ、女経験無い哲也だから、付き合ったら案外DVとか酷かったりしてな。』

 

哲也『るせぇ。』

 

みたいな事を全員女性側の目線で聞けたよな・・・・・・顔がカッコイイとかは感受性によるが、もしも木綿季がそう思ってくれてるなら・・・俺にも勝機がある!!!!

 

哲也「そ、それで、他にどんな特徴があるんだ!?」

 

木綿季「他に特徴?うーん・・・・・・・・・特徴じゃないんだけどもね・・・・・・」

 

哲也「おう!なんだ!」

 

何を言う!?何でもいい!!!!頼む!野球やってるとかその上でピッチャーなんだとか言え!!!!お願いだ木綿季!!!!!!!!

 

木綿季「・・・・・・その人とは・・・・・・・・・・・・・・・最近になってようやく会えた気がする・・・・・・・・・運命の人なんだ・・・・・・♪」

 

哲也「っ!?」

 

え・・・・・・・・・・・・?今・・・・・・・・・・・・なん・・・・・・・・・・・・て?

 

哲也「ゆ、木綿季・・・?悪い、聞こえなかったからもう一度・・・・・・」

 

木綿季「へ?だから、゛最近ようやく会えた運命の人゛なんだ・・・って。」

 

哲也「っ・・・・・・・・・」

 

最近出会えた運命の人・・・・・・・・・・・・ってことは・・・・・・・・・・・・昔から一緒にいる俺は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・そう・・・・・・・・・・・・・・・か・・・・・・・・・・・・・・・・・・木綿季の中ではもう俺なんか遠く彼方に消え去っちまってたのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

木綿季「ね、ねぇ、哲也ってどんな人がタイ・・・」

 

哲也「あ!悪い!電話みたいだ!悪いな!」

 

俺はそう言って携帯を握りしめながら木綿季の部屋を出た、無論、携帯には何の連絡も無い 電話と言うのはハッタリだ。

 

哲也「・・・・・・・・・・・・くそっ・・・・・・・・・・・・・・・」

 

奥歯を力強く噛み合わせ、その上で右手を思い切り握りしめる、自分の爪で血が出そうなくらい強く。

 

悔しい、何で?何で俺じゃないんだ?ずっとずっと一緒にいてやったのに・・・・・・・・・・・・何でだよ・・・・・・・・・・・・何でなんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!

 

哲也「いやぁ悪いな木綿季!!!!翔から早めに練習しようって言われちまったからさ!!!!もう行くわ!!!!んじゃあね!!!!」

 

木綿季「えっ!?ちょっとまっ・・・」

 

俺は荷物を手に取るとと同時に素早く木綿季の部屋から飛び出し、木綿季の声を待つことなくドアを閉めた。

 

悪いな木綿季、全部嘘だ、電話も翔からの練習時間早めることの伝達も。

 

哲也「すいません藍子さん、お邪魔しました。」

 

藍子「あれ?まだこんな時間・・・」

 

哲也「自主練時間が早まっちゃって!ジュースご馳走様でした!!!!」

 

俺は駆け足に木綿季の家を飛び出した。

 

俺はただただその場から消えたい一心で全速力でいつもの練習場所である河川敷まで向かった。

 

荷物もあるし、何の準備運動もしてないから凄く苦しい、喉から血が出てきそうなくらい辛い。

 

でも、そんな辛さはさっきのインパクトよりかは断然楽だった。

 

唐突だった、唐突に俺は呆気なく振られたんだ。

 

『最近出会えた運命の人』そう言った時の木綿季の笑顔がとてつもなく幸せそうだったのを俺の目はまだ焼き付けている。

 

・・・・・・・・・俺が苦悩した日々は何だったんだ?結局幼馴染同士が付き合うなんて夢物語に踊らされた俺一人の身勝手なダンスに木綿季がレクイエムを聞かせただけじゃねぇかよ。

 

哲也「はぁ・・・!!はぁ・・・!!!!」

 

木綿季の家からランニングすれば10分はかかる道を俺はその半分の5分で着いて見せた。

 

哲也「はぁ・・・はぁ・・・・・・ちっ!!!!くそ!!!!」

 

俺は近場にあった石を川に向かって投げつけた、石は数秒宙を舞うと水に『ポチャン』と小さな音を立てて落ちた、俺の耳にはその音がただ虚しく響いていた。

 

・・・・・・・・・でも良かったじゃねぇ俺、玉砕する前に振られたんだ、お前のプライドは守れたんだぞ?

 

そうだ・・・・・・・・・・・・俺のプライドは守れたが・・・・・・・・・俺はそれよりも大きな心の拠り所を失った・・・・・・・・・・・・

 

翔や新井達とも違う、それよりも大きな心の住処を俺は無くした。

 

とてつもない怒り、深い悲しみ、この両方が俺を襲い俺は一体自分が何をどうしたいのかすら、分からない状態だった。

 

そして、俺はそんな状態のまま2時間を過ごし、新井と翔が来るのを待ち続けた。

 

新井「お、哲也じゃん、来るの早いな。」

 

翔「よ、2人共、んじゃあ練習する・・・・・・・・・ん?哲也?」

 

新井「おろ?哲也?ど、どうした!?おい!!!!」

 

哲也「・・・・・・・・・何でもねぇよ・・・・・・」

 

新井「ねぇ分けねぇだろうが!!!!どうしたんだよ!!!!んな死んだ魚の目をしやがって!!!!何があった!?言ってみろ!!!!」

 

翔「・・・・・・・・・木綿季か?」

 

新井「っ!?なんだ!?木綿季ちゃんとトラブルか!?」

 

哲也「・・・・・・・・・とにかく今は練習をさせろ・・・・・・・・・説明は後からで構わねぇだろ・・・・・・・・・」

 

新井「お、おう・・・・・・・・・」

 

翔「そう言うなら・・・・・・・・・」

 

深い悲しみに囚われたまま、俺は練習を開始した。

 

と言っても、練習とは名ばかりでほぼほぼキャッチボールと投げ込みだけだ、この狭い河川敷じゃそれが限界だし。

 

新井「・・・・・・何があったかは知らねぇが元気出せよ、いつもの哲也見たくバシッとここにストレート投げ込んでこいよ!!!!」

 

そう言って新井は翔が如くミットを構え、俺にストレートを要求した、だが、今の俺にそんな物投げる力は無い。

 

哲也「・・・・・・悪い・・・・・・無理だ・・・・・・」

 

新井「て、哲也・・・・・・・・・」

 

翔「・・・・・・・・止めだ、今日の練習終わり。」

 

哲也「はぁ!?ふざけんな!!!!練習のれの字もやってねぇだろうが!!!!」

 

翔「今のまま練習して身に入るのか?」

 

哲也「それは・・・・・・・・・・・・」

 

翔「今は何も聞かないでおくが・・・・・・・・・明日はガッツリとした朝練だからな、その気持ち引きずるなよ、なんなら俺らを呼んで毒を吐け、心配すんな、俺らはお前の親友だ。」

 

新井「そうそう!東山も皆も読んで、2年全員に愚痴れ!!!!イライラを俺らにぶつけろ!!!!」

 

哲也「2人共・・・・・・・・・ごめん・・・・・・・・・」

 

俺は2人のありがたみを感じると、自然と涙が零れていた、失恋した時には出なかったのに、今ではボロボロと零れてくる。

 

新井「あーあー男が泣くなって!」

 

翔「哲也、お前の心の拠り所は俺らだ、だからいつでも頼れよ。」

 

・・・・・・・・・・・・なんだ、俺の一番の心の拠り所って、木綿季じゃなくて、お前らだったのか。

 

んだよ、なら心配もねぇや、また明日から元気にやれるよ、2人共。

 

哲也「ありがとう、2人共 今日は早く帰って寝るよ、寝て明日に備える!背番号もそろそら発表だしな!」

 

新井「そうだ!その意気だ!!!!」

 

翔「んじゃあな哲也、なんでもいいから辛かったら連絡よこせ、お前は馬鹿なんだから1人で抱え込むなよ。」

 

哲也「るせぇ!」

 

その時の俺は比較的に心が安定していた、だからきっと大丈だろうと思っていたが、家に着くなりどんどん気分が悪くなり、夕飯前にはもう気持ちが悪すぎて吐きそうなレベルだった。

 

いや、吐きそうなレベルとかではない、とにかく胸が苦しくて、服越しに胸を握りしめていないと狂ってしまいそうな程のレベルだった。

 

哲也「ぐぅ・・・・・・あぅっ・・・・・・」

 

渚「どうしたのよ哲也?悪ものでも食べた?」

 

哲也「ち・・・・・・がぁっ・・・・・・!!!!」

 

今、俺の精神を操作しているのは半分が俺で、半分は過去の記憶と言ったとこだろうか、その位の頻度で過去の記憶が蘇ってくる。

 

蘇らせたくもない記憶、それがまるでマシンガンの弾のように止まることなく蘇ってくるんだ、振られたアイツとの確かに幸せだった日々が。

 

木綿季『海だー!!』

 

哲也『こぉら、そんなはしゃぐな 迷子になっても知らねぇぞ。』

 

木綿季『お姉ちゃんも渚さんもいるから大丈夫!』

 

哲也『ったく・・・・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

木綿季『ハロウィン!という訳でお菓子を・・・』

 

哲也『いつも食ってんだろうが!金返せ!!!!』

 

木綿季『ぶぅぶぅ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

木綿季『あと少しで新年も開けるね!』

 

哲也『だな~』

 

木綿季『来年はどんな年にしたい?』

 

哲也『そうだな・・・・・・目標達成はしたいかな・・・・・・』

 

木綿季『ほんと?ボクもなんだ!今年こそ叶えたい夢があるんだ!』

 

哲也『そうなのか一緒に頑張ろうな。』

 

木綿季『あ!年が開けた!!あけましておめでとう!!!!今年もよろしくね♪』

 

哲也『おう、こちらこそよろしく。』

 

 

 

 

 

 

振られた、たったこの四文字だけで俺はもうこの木綿季と過ごしてきた幸せを噛み締めることが出来なくなるのか・・・・・・・・・・・・

 

あーあ・・・・・・・・・世の中って卑怯だな・・・・・・・・・全く・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

哲也「はぁ・・・はぁ・・・ごめん・・・もう大丈夫・・・・・・飯食わせてくれ・・・・・・」

 

渚「本当に大丈夫なの~?」

 

哲也「あぁ・・・多分・・・・・・な・・・・・・」

 

大丈夫な訳ない、大好きだった木綿季に振られて平気な訳がねぇ。

 

ただ無理してでもこう言わなきゃ多分立ち直れないから、こうして無理を言うしかないんだ。

 

・・・・・・・・・ちくしょう・・・・・・・・・木綿季・・・・・・・・・木綿季・・・・・・・・・・・・・・・木綿季・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

新庄「んじゃあ今日は投手陣のピッチングと野手陣のバッティングを同時に行う、一緒に高め合いながら練習してくれ、んじゃあ哲也、最初はお前が投げてくれ。」

 

哲也「うぃっす!!!!」

 

あれから翌日の朝、早くから学校に来てガッツリ朝練。

 

今日は投手陣が投げたボールを野手陣が打つと言う実戦形式の練習、打たない奴らは守備に入り守備の練習も行う効率の良い練習。

 

最初は聞いた通り俺が投げることに、あんなふうに返事はしたが、内心はまだまだズタボロだ。

 

今日は夢の中で何度もあの場面が蘇り、俺の精神を蝕んできた。

 

木綿季のあの幸せそうな笑顔を向けられてるのは俺ではない、別の奴、多分木綿季の言い分的に相手は須郷だろう。

 

つまりは両想いという事になる、そんな中俺が介入したところで、結局ダサい奴になるだけだ、もう、俺が出来ることは何も無いんだ。

 

そう・・・・・・もう俺は木綿季の為に何もしてやれないんだ・・・・・・・・・

 

翔「哲也、大丈夫なのか?」

 

哲也「お、おう!へーきへーき!今日もバンバン変化球投げ込むぞ!!!!」

 

翔「そうか、無茶すんなよ?」

 

哲也「さぁ!最初は誰だ!?」

 

東山「俺だァ!!!!」

 

哲也「よぉし、かるーく料理してやる!」

 

翔「いや、打たせてもやれよ・・・」

 

俺は5人を相手に投げることになった、1人2人3人と難なくピッチングを続ける。

 

哲也「さぁ4人目だ、次は誰だ?」

 

新井「俺だ!さぁ!お前のイライラを俺のピッチングにぶつけてこいや!!俺がかっとばしてスカーっとさせてやる!」

 

哲也「ふっ、それじゃあ頼むぜ?」

 

新井、その声を待ってたぜ、だったら注文通り、俺の今のイライラを全部お前へのボールにぶつけてやる!!!!

 

哲也「さぁ行くぜ!!!!」

 

俺が投じたのは外角高めのストレート、今日一番の球威のストレートだと俺でも分かった。

 

新井もそのストレートに食らいつき、上手くバットにボールを当てた。

 

だが、その打球が悪すぎた。

 

哲也「っ!!!!」

 

そう、打球は俺の顔一直線に目掛け飛んできた、俺はグラブを出そうとしたが手が思うように動かず、ボールは俺の頭に直撃した。

 

その時、俺の中で一瞬世界が止まり、ただボールの当たった鈍い音だけが響き渡っていた。

 

新井「っ!?」

 

翔「っ!!!!哲也!!!!」

 

硬式ボールという物はもはや鋼鉄ボールと言っても過言ではない程硬く、当たってその影響で選手生命を絶たれる人も多いい。

 

俺はボールが当たった瞬間にその場で倒れ込んだ。

 

新庄「っ!?哲也!!」

 

痛い、ただただ頭が痛い、昨日の胸の痛みは精神的な痛みだったが、これはまた違う直接的な痛み、目を開けようとすると左目の視界が赤一色に染まっていた、恐らく当たった場所から血出ているのだろう。

 

翔「哲也!!!!哲也!!!!!!!!」

 

新庄「哲也!?分かるか!大丈夫か!?」

 

分かるけども声が出せない、こんな痛み体験したことがない。

 

次第に薄目を開けて確認出来ていた皆の姿も薄れてきた、俺の気も遠くなってきた。

 

今はただ、眠りたい・・・・・・・・・そんな気分なんだ・・・・・・・・・・・・

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

哲也「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

目が覚めると、目線上には天井が広がっていた。

 

そうか、俺 病院に搬送されたのか・・・

 

そして、頭がまだ少しばかし痛い、ボールが当たった場所に手を伸ばすと何やら布のよう感触が感じ取れた、どうやら包帯か何かをしてるっぽいなこれは。

 

にしても今何時だ?俺はどのくらい気絶していたのか?

 

そう思っていると、病室中にノックの音が響き渡った。

 

「哲也ー?渚だけどー」

 

哲也「どうぞー」

 

俺がそう言う病室のドアが開いた、そしてそこには、翔や新井に明日奈や和人、見たところ木綿季除く皆来てくれたみたいだ。

 

詩乃「お見舞いに来てあげたわよ。」

 

琴音「大丈夫なの?様態は?」

 

哲也「いや、それが今起きたばっかしで何も知らなくてよ・・・」

 

新井「えっ!?そんなにやばかったの!?ごめん哲也!!!!」

 

哲也「いや、仕方ねぇよあれは、んで、今何時だ?」

 

翔「今は午後4時、俺らは部活のメンバーとしてお前の様態を見に来たんだ、それ以外はプライベートで来てくれたんだ。」

 

哲也「えぇ!4時!?そんなに寝てたんか俺は・・・・・・」

 

飛鳥「仕方ねぇだろ、硬式のボールなんだろ?死ななかっただけマシと思え。」

 

鈴奈「まぁ、もしかすると今以上に馬鹿になってたりしてね。」

 

里香「ありえる。」

 

渚「うんうん。」

 

哲也「お前らちょっとは怪我人をっ・・・・・・」

 

俺は頭に血が上りいつもみたい声をあげようとしたが、その瞬間に頭激痛が走り、俺は頭を抱えた。

 

珪子「だ、大丈夫ですか!?」

 

明日奈「誰か呼ぶ!?」

 

哲也「い、いや、それは平気・・・」

 

翔「あんま騒ぐな、縫ってはいないが出血が酷かったからな、また傷口が開いたりすると大会に間に合わなくなるぞ?」

 

哲也「そ、そうなのか・・・いてて・・・」

 

飛鳥「ったく、まぁいいや、これさ、私達で買ってきたバナナとリンゴ、いつ退院するか分かんないから両方2つずつ買っといたからさ、病院の食事が食えないってなったらこっち食っとけよ?」

 

和人「ついでに、果物ナイフも置いとくぞ、自分で食いたくなったらリンゴをこれで剥いてくれ、退院したら返してくれよ?」

 

哲也「サンキュー、助かるよ、所で母さんとか見てない?姉ちゃん。」

 

渚「母さんなら、午前中はずっといたらしいんだけど、予定があるとか出かけてるらしいわよ?何?まさかあんたお母さんが恋しいのぉ?」

 

哲也「な訳あるか、アホ。」

 

鈴奈「まぁ、君にはお似合いの人がいるからね。」

 

明日奈「ごめんね哲也君、お目当てがいなくて、なんか木綿季も用事があるとかで・・・・・・」

 

哲也「っ・・・」

 

新井「あっ・・・」

 

翔「・・・・・・」

 

琴音「?何かまずいこと言っちゃった?」

 

哲也「・・・・・・別に・・・・・・」

 

里香「ははーん、何か訳ありだな?よぉーし!この里香様が胸を貸してやるわ!何でも話してみなさい!!」

 

哲也「・・・・・・何でもねぇよ・・・・・・馬鹿・・・・・・」

 

明日奈「・・・・・・深く関わらない方が良さそうだね・・・・・・」

 

鈴奈「す、すまなかった・・・君の事だからてっきり・・・」

 

哲也「良いんだよ・・・気にすんな・・・・・・」

 

新井「哲也、なんかあったら俺のこと呼べよ!何でも買ってきてやるからな!」

 

翔「じゃあ哲也、とりあえず先生も後で来ると思う、退院出来るのも割とすぐだと思うが、今は安静にしとけよ?」

 

哲也「おう、分かった。」

 

新井「んじゃあ俺らは練習行くな!じゃあな!」

 

哲也「おう、頑張れよ。」

 

和人「何か他に欲しいものとかあるか?買ってくるけども・・・」

 

哲也「いや、良いよ サンキューな。」

 

琴音「それにしても驚いたんだよ?哲也が練習でたおれたなんて新井君が凄い心配してんだから。」

 

哲也「まぁ練習中の事故だしな、仕方ねぇさ 悪かったな心配かけて。」

 

渚「まぁこの穴埋めは当然、私達レディー達に何か奢ってくれるんでしょうね?」

 

哲也「んな金あるか馬鹿。」

 

鈴奈「出世払いでも構わないぞ?僕は。」

 

哲也「お前なぁ・・・」

 

詩乃「あ、そうだ、今日の分のノートはかるーくだけと取ってあるから後で確認してみて、後この本も貸してあげる、いつも練習ばっかしなんだからたまにはゆっくり腰を落ち着かせて本でも読んでなさい。」

 

哲也「分かった、助かるよ詩乃。」

 

とまぁ、こんな感じで今日1日の学校の様子等を話してもらい、楽しく過ごせた。

 

哲也「んじゃあね皆 また退院できたら。」

 

琴音「ばいばい!」

 

渚「なんかあったら連絡よこしなさいよ~」

 

俺は手を振りながら皆を病室から出るのを見送った。

 

哲也「ふぅ、それにしてもまだ痛むや・・・硬式って怖いな~やっぱし・・・・・・」

 

俺は頭を触りながらしみじみそう思っていると、再びドアがノックされる音がした。

 

哲也「はい?」

 

「哲也!ボク!木綿季だよ!」

 

哲也「っ!?」

 

ゆ、木綿季・・・・・・!?こんな時に来やがって・・・・・・!!!!

 

哲也「・・・・・・・・・どうぞ・・・・・・・・・」

 

木綿季「大丈夫なの!?具合は!?」

 

哲也「・・・・・・まぁまぁかな・・・・・・」

 

木綿季「そっか・・・良かった・・・致命傷じゃなくて・・・・・・」

 

そう言って木綿季は病室内の椅子を俺のいるベッド横に置き、そこに座った。

 

木綿季「ボクずっと心配してたんだよ?大丈夫かな大丈夫かなって。」

 

哲也「・・・・・・そうか・・・・・・」

 

木綿季「?哲也?反応薄くない?」

 

哲也「・・・・・・こんなもんだろ・・・・・・いつも・・・・・・」

 

木綿季「そんなはずないけど・・・・・・」

 

・・・・・・話していて嬉しくもなんともないのは始めてだ、心のドキドキ感もない、頭が活性化されない、何も起こらない、寧ろ顔も見たくない、いままで何人もの人間と会話をして来たが、まさか木綿季相手にこんな現象が起こるなんて思っても見なかった。

 

木綿季「あ、そうだ、ねぇねぇ!今度部活がオフの時、どこか遊びに行こ!ボク映画見たいな!」

 

哲也「・・・・・・1人でいけば・・・・・・大体大会前にオフなんかねぇよ・・・・・・」

 

木綿季「・・・・・・どうしたの?熱でもある?」

 

哲也「・・・・・何でもねぇよ馬鹿野郎・・・・・・」

 

俺はそう言って木綿季のいない方向に顔をやった。

 

話していて辛い、振られてそれを木綿季のせいにするって訳では無いが、大好きな木綿季に振られてすぐに切り替えられる程俺は完璧な人間ではない。

 

木綿季「あ、そうだ、哲也 お腹すいてない?ボク丁度リンゴ持ってきてあげたんだ!」

 

哲也「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

木綿季「じゃあ今剥いてあげる!!!!見ててね~ボク結構こういうの器用に出来るんだから~♪あ、お皿借りるね~♪」

 

そう言ってリンゴの皮をむき出した木綿季、俺は何の返答もしてないのに何なんだこいつ。

 

・・・・・・・・・・・・なんか・・・・・・・・・無性にイライラしてきた・・・・・・・・・なんでだ・・・・・・・・・・・・なんでこんなに俺に構うんだこいつは・・・・・・・・・俺のことが好きでもなんでもないくせに・・・・・・・・・!!!!!!!!

 

木綿季「~♪」

 

好きでもないなら構うなよ・・・・・・!!!!だから・・・・・・だから俺みたいに一緒にいるだけでぬか喜びするような奴が産まれるんだよ・・・・・・!!!!!!!!

 

木綿季「出来たぁ!!見て見て!兎さんだよ!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・木綿季がそばに居るだけでこんなにイライラするなら・・・・・・・・・・・・・・・もうこうするしかないのかな・・・・・・・・・・・・

 

木綿季「はい!」

 

哲也「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

木綿季「1人じゃ食べにくい?それじゃあ食べさせてあげるね!はい!あーん♪」

 

・・・・・・・・・・・・そうだ・・・・・・・・・両想いの木綿季がこの先確定で幸せになれる未来があるなら・・・・・・・・・俺だってもうイライラしない未来を手にしたっていいじゃねぇか・・・・・・・・・なんだ・・・・・・・・・・・・こんな簡単な事だったのか・・・・・・・・・・・・ククク・・・・・・・・・・・・

 

木綿季「あーん♪」

 

哲也「・・・・・・・・・・・・なんだよ・・・・・・・・・・・・・・・」

 

木綿季「へ?」

 

哲也「余計なお世話なんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

木綿季「っ!?」

 

俺はそう叫んで皿を持つ木綿季の手を弾き飛ばした、リンゴが乗っていた皿は高い音を出し割れた。

 

木綿季「な、何すんのさ!?」

 

哲也「聞こえてないのか!?余計なお世話だっつってんだよこの野郎!!!!!!!!」

 

木綿季「余計なお世話!?だって哲也が食べにくそうにしてたからボクは・・・」

 

哲也「誰がリンゴ食べたいなんて言ったか!?お前の耳は都合のいい幻聴が聞こえるイカれた耳なんだな!!!!!!!!!!!!」

 

木綿季「そんな言い方ないでしょ!?」

 

哲也「何が『ボクが哲也のお世話をしてるんだもん!!』だよ!!!!勝手に世話してなに保護者ぶってんだよてめぇはよ!!!!!!!!」

 

木綿季「だ、だって・・・・・・」

 

哲也「この際だからハッキリ言わせてもらう!!!!!!!!!!!!俺はなぁ・・・・・・・・・・・・・・・・゛お前なんか大っ嫌い゛なんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

木綿季「っ・・・・・・・・・・・・!?」

 

そう、これが俺が出しだ答えだ、こうすれば、木綿季は勝手に俺から離れる、そうすれば、俺は二度とイライラすることが無くなる、胸がキリキリと痛むが、これでいいんだ、これで。

 

哲也「いつもいつも必要以上に付きまといやがって!!!!お前といると虫酸が走るんだよ!!!!!!!!もう顔も声も何も見たくないし聴きたくねぇんだよ!!!!!!!!二度と俺に関わるんじゃねぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

木綿季「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

頭の痛みに耐えながら叫び続けていると、木綿季は勢いよく立ち上がり、走って病室から去っていった。

 

その木綿季の目には、地面に流れ落ちる程の涙を浮かべていた。

 

なんで泣いてんだよ、意味がわかんねぇ、まぁあんだけ罵倒すればメンタルが弱いやつなら泣くよな、普通は。

 

ともかくだ・・・・・・・・・・これで・・・・・・これで俺はもうイライラしないで済むんだ・・・・・・ククク・・・・・・ははは・・・・・・はははははは!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、俺の目から流れ落ちる液体の正体が何かということを、俺は理解しようとはしなかった。




はい、という訳でsideAはモヤモヤしたまま終わらせて頂きました。

振られてしまった哲也は、この先どのように過ごしていくのだろうか。

そして木綿季が何度も呟いていた言わなきゃいけなこととは?

今現在急ピッチでsideBの製作を行っています!!なので次の話を上げるまで本編の方はあげられないことになると思うのですがそこはご了承ください!!

感謝の言葉はsideBの程で述べさて貰おうと思っています!!それでは!!!!

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