Scarlet stalker   作:雨が嫌い

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Ep9 『カルテット ③』

 第11区南端の公園で行われている──強襲科(アサルト)1年の女子の中でもトップクラスの実力を持つ二人──火野ライカと高千穂麗の戦いは、意外にも一方的な展開となっていた。

 

「チィ…!」

 

 高千穂とその愛銃、スタームルガー・スーパーレッドホーク。

 .44マグナムという強大な威力、それに加え高千穂麗の精密な射撃技術。

 強い攻撃に正確性という単純な、しかしだからこそ強力な組み合わせを前に、ライカは防戦を余儀なくされていたのだ。

 

(くそっ、ACRがあれば…!)

 

 ライカのメインウェポンの一つであるアサルトライフルは、威力や仕様弾薬の問題から今回使用禁止とされており、中距離での戦闘力が著しく落ちていることを自覚していた。

 なんとか接近戦に持ち込もうとも考えたが、それをさせてくれる高千穂ではない。常に一定の距離を保ち、こちらが近づこうものなら容赦のない弾丸を放ってくる。スーパーレッドホークの射程がそもそも拳銃の中では長いこともあり、詰めなければいけない距離も必然的に長くなるのも、苦戦している原因の一つだ。

 不幸中の幸いは公園内に木を始めとした遮蔽物が多くあったこと。だから、こうやって身を隠したり、射線を切ったりすることが出来たのだが、それもいつまで持つか。

 

「……チィ」

 

 身を隠す木の幹を銃弾が掠めると、ライカの体は嫌でも強張る。先ほどもらった胸への一発を嫌でも思い出させてくるからだ。

 

「いつまで隠れているのかしら? 多少時間稼ぎをしても結果は見えているわよ」

 

(ああ、その通りだぜ、チクショー)

 

 ただ敵を倒せばいいだけの戦いなら、ここはおとなしく引いて体勢を立て直すべきかもしれない。

 ただ、今回の毒の一撃(プワゾン)でそんなことをすれば相手に『目のフラッグ』を探す時間を十分に与えてしまうことになる。

 何より、この状況で引くのは負けるのと変わらない。気持ち的にも。

 

「石花ソラが気にかけているから、どれだけやるのかと思ったのだけど、所詮こんなものなのね」

 

 落胆したような、バカにしたような声は続く。

 

「こんなことなら、石花ソラの底も知れるというものだわ」

「ソラソラソラソラほんとうるせーな。今戦ってるのはアタシだぜ! それとも何か、おまえソラにホレてたりすんのかよ?」

「な!? それはわたくしに対する最大限の侮辱よ!」

 

 ソラはあんな性格だから、結構敵が多い。高千穂はその極端な例なのだろう。事情を知っているだけに同情心が湧かないわけでもない。しかし、それと今回の戦いはまた別だ。

 

(なんとか隙を見つけねーと……)

 

 弾切れまで粘れればそれがベストだ。

 確かに高千穂の使うスーパーレッドホークは強力な銃だが、装弾数の少なさというリボルバー式特有の弱点を持っている。

 そもそも現代において主流なのはオートマチック式の拳銃。武偵界隈には防弾効果が備わっている服が出回っているため、銃は一撃必殺の刺突武器となり得ない場合が多い。その時モノを言うのが装弾数である。

 しかし、そんなことは高千穂だって当然わかっていることだろう。にも拘らず、その銃を使っているのは、自分の腕ならば確実に相手を倒せるという自信の表れか。

 ──いや、あの高千穂御ことだ。見栄えを重視している可能性も否めないが。

 ともかく、そんな高千穂がライカの前で弾切れなど簡単に起こしてくれるだろうか。

 いずれにせよ、銃という強力な飛び道具を持っている相手に対抗するには、こちらも飛び道具を持っていなければ話にならないのは世界の常識。装弾数0の奴が装弾数6を少ないと言うのはバカ以外の何物でも無いし、何より素手で銃に勝てるほどこの世の中甘くはない。

 

(いや、アタシにも飛び道具が一つだけある)

 

 自分の左胸に手を添える。

 制服に付けてあるコウモリを模した飾り、それを手に取ると折りたたまれていた刃を解放する。今にも飛び出しそうな羽を持ったコウモリのシルエット。これが父親から譲り受けた片時も手放さないライカの武器──バットラン。

 

 高千穂は先ほど弾を補充してから一発撃っていた。まだ弾は五発残っていることになる。

 とはいえ、もう無駄に威嚇して弾を消費してくることもないだろう。何もしなければ相手にますます余裕を与えてしまう。

 つまり、動くなら──

 

(今だ!)

 

 勢いよく木の陰から飛び出した。

 二人の距離は10m以上ある。驚いたのも束の間、高千穂は冷静にライカへとその銃口を向ける。

 間に合わない! ──このままではライカは痛烈な一撃を喰らってしまう……かのように思えた。

 

「──なんてな」

「横に切れた!?」

 

 突っ込んでいくように見えた行動はフェイクで、思いっきり横へ切れたライカ。突っ込んでくる動きに合わせていた銃弾は、誰にも当たらず後方の木へと突き刺さることになった。

 

(喰らえ!)

 

 バットランが高千穂の右手目掛けて回転しながら投擲される。その手に握られた銃をはね落とすことが狙いだ。

 再びライカに狙いを定め、撃つよりも、バットランの方が早い。絶妙なタイミング!

 まさか高千穂もこの状況かでライカが飛び道具を隠し持っているなどとは思っていなかったはず。

 

「甘い、わよ!」

 

 完全に意表を突いたはずの攻撃だったが、高千穂の運動神経はそれさえを上回っていた。

 高千穂は体を小さく捻るように最小限の動きで躱わすと、その動きの最中、瞬間的にライカへと照準を合わせてくる。

 

 ピシッ!

 

 太ももの辺りを弾丸が掠り、銃を落とした隙を狙おうと突っ込んでいたライカを怯ませる。

 なんと凄まじい腕だろうか。射撃に関して言えば、ライカよりも確実に格が一つ上であるのは疑いようもない。

 

(高千穂、おまえのこと素直にすごいと思うぜ。でも、勝つのはアタシだ!)

 

 バットランは、ある遊び道具とその構造が酷似していた。その遊び道具とは──ブーメラン! そう、つまり、投げたら(・・・・)戻ってくる(・・・・・)のだ!

 バットランは高千穂を再び襲う。避けたと思っている高千穂にとって完全に死角である。

 

「──それが甘いと言っているのよ!」

「なっ……!」

 

 なんということだろうかっ!

 高千穂は背後から迫っていたバットランを難なく撃ち落としてしまった。それどころか、一瞬にして反対方向にいる──あと一歩という所まで迫っていた──ライカへと照準を戻すという離れ業まで見せてきた!

 迫ってくるライカを見ても一切の慌てる様子も無く、高千穂は余裕綽々に銃を撃つ。

 あの高威力をまた受けたら無事では済まないだろう。今度こそ戦闘不能になってしまうかもしれない。

 

(ああ、これは避けられない。絶対に当たっちまう)

 

 そう、この距離では絶対に避けられない。

 絶対に避けられない、なら──

 

 キィイイインッッ!

 

 響いたのは、肉や骨を打つような鈍い音では無く、金属同士がぶつかり合うような甲高い音。

 

「……おまえなら、絶対胸の中心(ここ)を狙うと思ってたぜ」

「トンファーで、防いだ、ですって!?」

 

 ライカは胸の中心に構えた(・・・・・・・・)トンファーで、銃弾を弾いていた。

 

 そこは相対して最初に銃弾を撃ち込まれた場所。次に撃ち込めば、確実にライカを昏倒させることが出来たであろう場所でもあった。

 なるほど、あの時足を狙えば動きを止め、そのあとに確実にトドメをさせるだろう。が、プライドの高い高千穂なら、一撃でライカを倒せる場所を、体の中心線場を狙ってくると信じていた。そして、構えていた場所に弾は来た。結果的に精密すぎる射撃の腕がアダとなったのだ。

 

(っぶねー!)

 

 正直に言えば、ライカにとっても狙ったものではなく咄嗟のことが偶々うまくいっただけ。ライカの心臓は今にも破裂しそうなほど、バクバクと脈打っている。

 そんな気持ちを一切悟られないように軽快な笑みを浮かべながら、高千穂へ接近する。

 

「そしてここからは、アタシの距離だ!」

 

 ここまでくれば、構えや狙いを必要とする銃よりも、殴る蹴るの方が早い。高千穂が銃口を向けてくるよりも早く、ライカはトンファーを勢いよく振り下ろす。

 

「ぐっ……!」

 

 咄嗟に左手で庇った高千穂だが、その顔は苦痛に歪む。その顔からは余裕の表情は完全隠消え去り、それは両者の状勢が完全にひっくり返ったことを示しているようだった。

 女性にしては長身なライカは、それに比例してか手足もスラリと長い。その長いスパンはトンファーの遠心力を使った攻撃とも相性がよく、ライカの攻撃は一撃一撃が強烈な威力だ。

 

「らァァッ!」

「く、このっ!」

 

 その嵐のような攻めの前に高千穂は怯むことなく立ち向かう。

 プライドだけの問題では無い。ここで怯んだらこの勢いに全て押しつぶされてしまうと本能で悟ったのだろう。

 高千穂はライカよりも上のAランク。1年生で、しかも女子が強襲科(アサルト)でそのランクに上り詰めることがどれほど困難かライカは知っている。銃を撃つのがうまいだけの輩が成れるものでは無い。当然近接戦闘もかなりの強さを誇っているはずなのはわかっていた。

 

(思ったより、粘ってきやがるッ!)

 

 ……わかっていたが、優勢でありながらも倒しきれない高千穂に、ライカは徐々に焦りを生み始めてきていた。

 攻撃に雑さが混ざりはじめる。

 

「あまり、調子に乗らないことね!」

「しまっ……」

 

 我慢比べに敗北したのはライカの方だった。その結果生み出したのは、皮肉にもついさっきまでライカ自身が高千穂から探していた隙そのもの。

 大振りの攻撃は躱され、銃を突きつけられるライカ。その狙いは──頭部!

 

「今度は防げないでしょう? 大丈夫よ、非殺傷弾(ゴムスタン)だもの」

 

 ──死にはしないわ。運が悪くなければだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 所変わって、高千穂班陣地である工事現場。

 中途半端な形で工事が止まっている新棟、その横の空き地──土嚢が少しばかり崩れ散らばった土と砂埃の中、志乃はいた。

 

「ふう……」

 

 脱力したように静かに鞘に刀を収めるその姿は、土で多少汚れてもなお美しいものだった。

 大和撫子と侍。日本の古き二つの心を合わせ持ったかのような鋭くもおしとやかな優雅さ。惜しむべきはその芸術的な美をまともに見ることができた者がいなかったことか。

 背景に倒れ伏すのは同じ顔をした二人の少女──愛沢湯湯と愛沢夜夜。這いつくばる双子の姿が、相対的により志乃の美しさを引き立たせている。

 先ほどの不意打ちと違い、しっかり対峙して行ったこの戦いこそが真の志乃の力であった。強襲科(アサルト)生二人相手に余裕を持った勝利を収めることのできる東京武偵高1年生有数の実力者。

 ──佐々木式巌流、佐々木志乃!

 

「……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「……かたなこわいかたなこわいかたなこわいかたなこわいかたなこわいかたなこわいかたなこわいかたなこわいかたなこわいかたなこわいかたなこわいかたなこわいかたなこわいかたなこわいかたなこわい」

 

 ……どこかやりすぎな感じが否めないが。

 

「…………でででも、試合はあたしたちに勝ち」

「…………あああたしたちを倒したからっていい気に──」

「いい気に、なんですか?」

 

「「ひ──ッ!!」」

 

「いいいいいまのは湯湯が!」

「ず、ずるい、夜夜だって今!」

「んー? わたしにはどちらがどう言っていたのか判断できませんね。あ、平等にお仕置きすればいい問題ないですね!」

「湯湯、ごめんね。最期になったからこそ言っておきたかった」

「ううん、あたしたち来世でも姉妹に生まれたらいいね……」

 

 そして志乃が、お互いに抱き合って震えている双子たちの体に触れた時、いよいよ様子がおかしいことに気が付く。

 

「……気絶してる。さ、さすがにここまでの反応は少し傷つきます。あの、わたし一応武偵なのですけれど」

 

 しかし、愛沢姉妹の最低限の目的である時間稼ぎは叶っていたのもまた事実ではあった。

 

「ライカさんはそう簡単にやられる方ではありません。それにあかりちゃんだっています」

 

 それでも志乃は探す、敵の隠した『目のフラッグ』を。

 

「勝つのはわたしたちです!」

 

 勝利を信じているのは志乃も同じなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 銃に撃たれる、その刹那、ライカの心の中には後悔の念が渦巻いていた。

 勝ち急いでしまったこと自体にではない。自分はどこか心の奥底で、高千穂のことを踏み台程度としか考えてなかったのではないかということに。

 そう、戦いが始まる前、自分はこんなことを考えてなかったか。

 

 ──こいつに勝てないようじゃ、ソラに挑む資格もない。

 

 なんて無様。

 高千穂にあんなことを言っておいて、結局ソラを意識していたのはライカ自身も同じだった。そんな心構えで戦うべき相手じゃなかったのだ。元々ライカよりも一つランクが上の相手だというのに。

 気づくのが遅すぎた。一瞬先にはもう自分はやられてしまうだろう。どんなに早く攻撃や防御をしようにも構える前にことは終わる。

 ゲームオーバーだ……

 

 

 ──いや(・・)まだ一瞬もある(・・・・・・・)

 

 

 

 『疾風』『迅雷』という技がある。

 天才──石花ソラの戦術であり、彼のずば抜けた身体性能を引き立たせるための戦闘方法を突き詰めた結果の産物でもある。

 佐々木式巌流『飛燕返し』を応用した縦横無尽の隙の無い高速歩法──『疾風』。

 下半身の関節を同じベクトルに全くの同時に動かすことで得た強力な爆発力で地面を蹴り、瞬間的に常識離れした速度で移動する──『迅雷』。

 どちらも一瞬で全てを決めてしまう、常人には対応不可の技なのである。

 

 

 

 しかしこのライカ、その一瞬という時間を戦うためにこれまで鍛えてきたのだ。

 

 出し惜しみはもうやめた。今火野ライカが戦っている相手は、石花ソラではない。高千穂麗だ!

 スローモーションのように感じる世界の中、高千穂の指がトリガーを……

 

(これが正真正銘、今のアタシの全力!!)

 

 トリガーがついに引かれた、その瞬間──

 

 

 ドンッッ!!

 

 

「がはッ!」

 

 衝撃音と共に、体を『く』の字にした高千穂が後方へ吹っ飛び、放たれた銃弾はライカの顔の横を僅かに掠り、地面へと突き刺さる。

 

「あ……あぐっ……ぅ!」

「はぁ、はぁ……。さすがに効いたろ。アタシのとっておき(・・・・・)だぜ」

 

 肺からヒューと空気を漏らし、苦しそうに腹を抑え蹲る高千穂のその目は見開かれ、動揺を顕わにしていた。今何が起こったのか完全に理解できていないのだ。ただわかるのは、腹部を強く殴られたかのような激痛が支配しているということだけであろう。

 

(ま、理解されても困るんだけどな)

 

 これがライカのとっておき。

 最速の技を持つ者を捉えるために生み出した、最速を超える技。

 

 ──無拍子突き(ゼロアクション)

 

 この技に構えは必要ない。この技に明らかな溜めは必要ない。

 そんなものがあれば人の限界の速度を超える者など倒せないからだ。

 人が体を動かすときは必ず筋肉で動かしている。だが逆に、筋肉が動いていても、絶対に体が動いているわけではない。背筋と腰をうまく使い、見かけ体を動かさずに力を溜める。さながら筋肉をポンプのようにして。そして放たれた拳は、振りかぶるという過程を完全に排除したものとなる。

 

(まだ、ダメだ。遅い。本当はトリガーを引くより早くしなきゃダメなのに)

 

 銃弾が掠った時に傷ついたのだろう──頬を流れる血を手で乱雑に拭いながら、ライカは今の技の出来をそう評する。

 そう、まだ自分が目指している高みには至っていないと。

 

「……ふぅ。とりあえず、フラッグは折らせてもらうぜ」

 

 ライカ自身も今の技を使ったことで限界が近い。特に技を放った右手は筋肉が悲鳴を上げているのか、満足に動かせない始末。まだまだ簡単に扱えるような技では無いということを知らせていた。

 だから、とりあえず、まだ動けるうちに、高千穂からクモのフラッグを奪って折ろうとするが。

 

「ところがぎっちょんだぞ!」

 

 両者の間の地面を跳ねた弾丸がそれを遮断する。

 

「竹中!?」

 

 それは最悪のタイミングで現れた新手、竹中だった。

 いつも強襲科(アサルト)での訓練で倒しているとはいえ、それは万全の状態だからであって、このダメージの溜まった体では勝てる可能性はかなり低い。

 それに加え、竹中がここにいるということ自体の不安もあった。あかりや志乃がやられてしまったのではないかという心配だ。その考えはライカにして、肉体的にはもちろん精神的にも来るものがある。

 

「満身創痍のようで心苦しいけど、情け容赦はおれに期待しないでほしいぞ!」

 

 こちらの疲れを知った事ではないかのように元気いっぱい宣言してくる竹中。

 

「ちょっと待ったー!」

 

 ここに来て更に静止を呼びかける声。今度はライカの援軍だった。

 

(あかり、よかった。やられちまったわけじゃないみたいだな)

 

 少しだけ体が軽くなったように感じる。感じたのだが。

 

「むむむ、間宮めいい加減しつこいのだ!」

「あたしが来たからには──ぷぎゃ」

 

 なんか言い切る前にあかりは転んでいた。

 

「いったーい!」

 

 額を抑え、涙目でその場をピョンピョンしている頼りない援軍を見て、

 

(あ、こりゃもうだめかも)

 

 ライカはもういろいろあきらめておうちにかえりたくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こらー! 竹中待てー!」

「追いかけてくるなだぞ!」

 

 間宮班の陣地へと向かう弥白を追いかける間宮。どうやら湯湯と夜夜は足止めに半分失敗したらしい。

 そしてそのまま間宮を連れてきてしまった形で間宮班の陣地──公園に入った弥白が最初に見たものは、火野に殴り飛ばされて吹っ飛ぶ高千穂の姿だった。

 

(まさか高千野の奴を倒すなんて、さすが火野だぞ。だけど)

 

 倒れている高千穂、肩で息をして重そうに体を動かす火野、何故か来て早々転んだ間宮。

 そんな状況の中、弥白が真っ先に選んだ行動は火野への功撃だった。

 

「させない!」

「ちっ!」

 

 疲労してようが、この場で一番の障害は火野に間違いない。だから万全でないうちに倒しておこうと考えた弥白だったが、その行動は(勝手に)転んでいた状態から復活した間宮によって止められる。

 

「寝ていろなのだ!」

 

 ただそれでも弥白と間宮の実力差は明らか。それに加え、間宮はいくらか先ほどのダメージが残っている、はず。とにかくそんなこんなで、間宮が沈めるのに時間はかからなかった。

 今度こそ火野へ迫ろうとした時、草むらから一人の少女が飛び出してきた。

 

「麒麟、なんで出てきたんだ!」

 

 そして少女──麒麟は、銃を向けられている火野の前へと勢いそのまま躍り出る。

 

「かはっ……お姉様は、麒麟が守る、ですの」

 

 火野に向かって放たれた銃弾を庇った島は一発でもうフラフラだった。それもそのはず、島は弥白たちとは違い戦闘職ではないのだから。仕方なかったとはいえ、こういうタイプを撃つことにあまりいい気はしない。

 そんな弥白はともかく、いい気はしないで済まない人物もここにはいた。そう、彼女は再び燃え上がる──

 

「麒麟に、手ェ出してんじゃねーッ!」

 

 島の後ろから飛び出るようにして放たれた回し蹴り。

 

(ぐぬぬ…! これがさっきまで苦しそうに肩で息してた奴の力であるというのかっ!)

 

 ガードした弥白の腕がビリビリと痺れ、その上、島のいる場所から離されてしまう。

 

「もー! よくもやったなー!」

 

 それに加え、今さっき倒した間宮もまた起き上がって来て、火野との間に挟まれる形になってしまった。

 しかも間宮は二度も打倒したというのに、まるで堪えているよう見えない。相変わらず頑丈さだけはある奴だと弥白は密かに舌打ちする。

 

(一転してピンチなのだ。しかもおれが悪者みたいになってるぞ)

 

「麒麟の仇、取らしてもらうぜ!」

「いや生きてるぞ、そいつ!」

「うぅ……。今の麒麟を起こすには王子様のキスが必要ですの……がくっ」

「おまえ実は結構余裕あるのだろう! 絶対狸寝入りなのだ!」 

 

 倒れながらもチラチラと火野を見ている島。

 見かけの寄らずこっちのチビッ子も頑丈なのか、それとも当たり所がよかったのか、そこまでダメージが入っていたわけでは無さそうだ。

 万事休すかと思ったその瞬間、火野の注意が一瞬弥白から離れた。

 

(なんなのだ?)

 

 しかし弥白はその隙を突こうなどとはすぐには考えなかった。

 間宮はまだ自分のことを見張っている上に、あの火野が戦闘中に意識を相手から逸らすなんてことを余程でない限りするわけがないと知っているからだ。

 

「くそ……油断した!」

 

 そう悪態をつく火野。

 火野の視線を追って見てみると、高千穂が一直線にある場所へ向かっていたのだ。やや遠いためはっきりとはわからないが、その先にある地面はどこか周囲と色が変わっているようにも見えた。

 

(そうか! 『目のフラッグ』を埋めてある場所を見つけたのだな!)

 

 どうやら三人が弥白に気を取られている間、強かにもフラッグの在りかを探していたらしい。

 やはり埋めてあったか。まあ島の土に汚れた手を見ればバレバレなのだが。絶妙なタイミングで見つけてくれた。勝利の女神はまだ弥白のことを見離してはいなかったのだ。

 

「あかりまずいぞ、高千穂が『目のフラッグ』の隠し場所に気づきやがった!」

「え? そんなっ!?」

 

 ダメージが抜けきっていないのか動きは少しぎこちないが、高千穂のクモのフラッグは折られていないだめ、火野たちはこのことを無視できない。

 高千穂のクモのフラッグが間宮たちの『目のフラッグ』に触れればこちらの勝ち──即ち間宮たちの敗北なのだから。

 

「やだ、間に合って!」

「諦めんな、まだ完全に掘られてねえし、自分のフラッグを手に取らせる隙を与えなければまだ間に合う!」

 

 火野と間宮は弥白のことなど無視するような勢いで高千穂の方へ向かおうとする。

 ならば弥白がすべきことそれは、足止めをしてこちらへまた意識を向けてもらうことだ。

 

「おれも高千穂を援護する……ぞ?」

 

 火野と間宮が焦って高千穂を止めようとする中、弥白はどこか違和感を覚えていた。

 

(……ちょっと待つのだ。なんであいつ火野を庇った時のごとく動かないのだ?)

 

 弥白が火野を狙った時には、戦えもしないのに必死に出てきた島。それほどの行動力を持っていながら、島は今、高千穂を止めようとしているようには見えなかった。寧ろ逃げようとさえしていた。

 火野が無事なら勝利なんてどうでもいい?

 そんなわけがない。そんな奴ならもっと前から、高千穂と火野が戦っていた時から何かしら動いていたはず。

 だというのに、今は一切フラッグのある場所へ動こうとしない。

 少しだけ、それでも疑念を持っていたから気づいた。気づくことが出来た。島の口元が小さく笑みの形を捉えたことに!

 

「違うぞ! そこの中等部(インターン)の方だぞ!」

「!?」

「は?」

 

 島が今度こそ本当に驚愕した顔で弥白を見る。

 それで確信した。埋めてあるのはブラフだと。

 

「高千穂! 『目のフラッグ』はそいつが持ってるぞ! 多分!」

「……ふん、そういうことね!」

 

 その短いやり取りで高千穂は、弥白の考えを理解してくれた。

 そして、今まさに逃走を測ろうとしている島を追う。高千穂は今万全ではないが、それでも島よりは速い。

 

「麒麟!」

「火野、おまえは行かせねーぞ」

「ぐっ!」

 

 一目散に島を守りに行こうとした火野。

 しかし、『敵を欺くにはまず味方から』を行っていた島のミスがここに出てしまったのか、火野が事態を飲み込むまでの一瞬の隙があった。その隙に弥白が間に立ち塞がる。

 いくら火野が強いからといって、この状態で弥白を短時間で退けるのは困難であろう。あの高千穂に無傷で勝てたはずがないからだ。

 

「行くのだ、高千穂!」

「竹中弥白、おまえ……」

「勝つのだぞ!」

「ッ! 当り前よ!」

 

 弥白は自分たちの勝利を高千穂へ託す。

 高千穂は高圧的ながらも、真正面から受け止めた。ここに来て初めてチームメイトとして心が通い合った──そんな気がした。

 

「と、通さない!」

 

 最後の砦である間宮も、高千穂にとっては歯牙にもかけられない存在。

 高千穂の方が多くのダメージを受けているように見えてもなお、圧倒的な戦闘能力の差があった。

 

「邪魔よ!」

 

 高千穂の勢いは止まらない。

 そしてついには──

 

「も、申し訳ないですのお姉様」

 

 高千穂は島を捕え、間宮班の『目のフラッグ』を奪い取った。

 

「ほほほ! これでわたくしたちの勝ちよ!」

「やったのだ!」

「う、麒麟のせいですの……」

「違う! アタシがもっとしっかりしてれば」

 

 今度こそダミーでは無い。本物の『目のフラッグ』。今回のカルテットの最重要アイテムにしてターゲット。

 相手チームのそれを手にすることが勝利を手にするための必須条件。だがそれさえできれば勝ったも同然!

 

「……!?」

 

 そう、勝ったはず(・・・・・)、だった。

 『目のフラッグ』を奪い、あとはクモのフラッグを接触させるだけで勝利したはずだった、のに──

 

「どうしたのだ高千穂、早く」

 

 フラッグ同士を接触させるのだ、と言おうとした弥白だったが、どうも様子がおかしい。

 

「無い!? クモのフラッグが無いのよ!?」

 

 肝心のクモのフラッグを高千穂は持っていなかった。

 ──否。

 

「高千穂さんはほんとに強い人だと思うよ。……でもね、あたしたちだって負けられないんだ!」

「それは──クモのフラッグですって!?」

 

 ──間宮にスリ取られていたのだ。

 

(いつの間に取ったというのだ…!?)

 

 いや、タイミングは一つしかない。高千穂と間宮が接触したのはあの最後の交差の時だけ。

 しかし、そんな、あれだけの接触で盗み取るだなんて!

 誰が予想できようか。

 Aランクの高千穂を倒すほどの力を持った火野でも、『目のフラッグ』を埋めた振りをして自分で隠し持ち、こちらの裏をかこうとしてきた島でもなく、最後の最後に立ちはだかったのは、この場では誰よりも弱者であったはずのEランク武偵──間宮あかりだった。

 

「これで、高千穂さんたちは勝てない」

「振出しに戻しただけで偉そうにしないでちょうだい!」

 

 そうだ、現状有利なのは弥白たちだ。

 高千穂がクモのフラッグを持っていないのなら、弥白の物を使えばいい。少しだけ勝ちが遅れただけ──

 

 

 ピーッ!!

 

 

「え、今のは……」

「試験終了のホイッスルだぞ…?」

 

 おかしい。弥白たちの勝ち確定な状況とはいえ、まだ厳密には『目のフラッグ』をクモのフラッグで潰してはいないのに。

 まさか、制限時間を過ぎてしまったのだろうかとも思ったがすぐにそれが違うとわかる。

 

「どうやら佐々木様がやり遂げてくださったみたいですわ」

 

 だが、島はどこか訳知り顔だった。

 

「どういうこと!?」

 

 高千穂の愕然としたその顔は、徐々に弥白を睨み付ける顔に変わっていく。

 

「佐々木志乃が持っていたハチのフラッグを折ったといったのは嘘なの!?」

「ちゃんと破棄したぞ! 佐々木はハチのフラッグを持ってないはずなのだ!」

 

 確かにこの目で愛沢姉妹が佐々木のハチのフラッグを折っていたのを見たはずだ。

 間宮のフラッグは弥白自身が折った。だから、間宮から譲渡されたわけではない。

 

(二本持たされてたのか? ……いや、違うぞ。そういう可能性も含めて双子だってしっかり調べたはずだぞ)

 

 それに、火野はハチのフラッグを持っていたし、恐らく埋めてあるのは島のハチのフラッグ。これで数は合っている。どうやっても負けるはずがない。

 なら、どうしてこんなことになったというのだ。意味がわからない。

 

「竹中様、勝利条件を覚えていますの?」

 

 混乱する弥白に声を掛けたのは、島だった。

 

「様…? 覚えてるに決まってるぞ。おまえらはハチで俺らはクモで、敵の『目のフラッグ』に接触することなのだ」

「違いますわ。“『毒虫フラッグ』を相手チームの『目のフラッグ』に接触させること”ですの」

「むむ? だからそれは同じ……って、まさかだぞ!?」

「気づきましたのね」

 

 弥白が思い返してみれば、確かルールには『毒虫フラッグ』を『目のフラッグ』に接触させることとなっていた気がしなくもない。単純にハチクモと繰り返すのを省略していただけと思っていた。実際大多数はそう考えても仕方がない……が、自分たちの持っていた『毒虫フラッグ』じゃなくてもいいというのか。そう、相手チームの(・・・・・・)毒虫フラッグ(・・・・・・)でも(・・)

 

「詭弁よ! そんなの認められるわけがないわ!」

「ルールにはこうもありますの。“敵チームからのフラッグの奪取、破棄等全て可能” そして“折られた『毒虫フラッグ』は破棄とみなす”と。では相手に奪われながらも折られていない『毒虫フラッグ』は?」

 

 敵チームから『毒虫フラッグ』を奪えば破棄するのが当然だと思うだろう。

 だがこのルール、態々奪取、破棄の項目と分けられている。考えようによっては敵のものをそのまま使えるとも言えなくないのではないか。

 

「はい、今そこにいる中等部生(インターン)の麒麟さんが言った通りですね。敵の物でも武器は武器ということです」

 

 終了を公式に告げに来た小夜鳴先生はあっさりとそう言った。

 

「確かに敵の持っていた物を現実問題信用して使えるかどうかはわかりませんが、このルールの製作者側曰く、臨機応変な行動力を見るためにルールに今のものを始めとした穴を作っているそうです。何より、この勝ち方前例がないわけでもないのですよ」

「そんな……」

「そ、そうだったのだな」

「成績に関わることを理由に結果はともかくその内容を公開していませんから、自分で気づくしかないんですけどね。だからみなさんも言いふらしてはダメですよ? ま、それでも知っちゃう人は知っちゃうんですけどねー」

 

 試験官である小夜鳴先生に、そう言われてしまえば完全に認めるしかない。

 中等部(インターン)、一つ年下であるはずのこの少女はここまでのことを考えていたのか。

 最後、両チームのフラッグの状況は似通っていた。あとはそれをどう押すかどうかだったんだ。決定打になったのは間違いなくそのこと。

 弥白は自分のことを頭がいい人間だとは思っていない。それでも、うまくいくと思ったのだ。勝てると思っていたのだ。

 

(おれは負けたのかぁ)

 

 疲れてその場に座り込み、弥白は大きく息を吐いた。

 

(……悔しい、悔しいぞ……)

 

 竹中弥白。

 また彼の人生に一つ、敗北が刻まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

(このわたくしが、負けた…?)

 

 恵まれた才に優れた教育。

 順調にエリートの道を突き進んで来た麗にとって、ここまでの強い敗北感などを簡単には認められるはずも無かった。

 アリア先輩に戦姉妹(アミカ)の申請を断られた時もこんなものは感じなかった。あれはまだ納得させることが出来た。あの人は自分に合わなかったのだと。

 

 ──いや、一度だけ。前にも一度だけ感じたことがあった。

 

 思い出したくもない、あの男と初めて会った日。

 Sランク昇進の話を蹴り、諜報科(レザド)に逃げたという臆病者の顔を拝みに行ったあの日。

 絶対的な才能。天才とはまさにこういう存在のことを言うのだと思い知らされた。

 

(でも、それを認めたら……)

 

 どうして思い出したくなかったのか。どうして考えたくなかったのか。

 それを認めたら、今まで自分が積み重ねてきたものが、才能が、崩れ去ってしまうような気がして。

 だから認めることなんてできなかったのだ。

 

 ──ああ、そうか。わたくしは大したことがない人間なんだ……と。

 

 それはとても怖くて、恐ろしくて、そんな事を考えていること自体許せることじゃなくて。

 だけど、勝てなかった。一人、攻撃手をすることになったというのに勝ちを決められなかった。

 わかってた。詭弁を言っていたのは自分だ。自分が火野ライカを倒していれば、間宮あかりにクモのフラッグを易々奪われるなんてことがなければ、問題なく勝っていたのだから。

 ……完敗。戦犯は高千穂麗。

 

(わたくしにはもう何も無い……)

 

 そんな麗を、間宮あかりは見つめていた。ついさっきまで敵だったというのに、どうしてかとても心配そうに。

 

「何よその顔。笑えばいいじゃない。傲慢な態度取っていた割に弱くて、チームリーダーとしても失格な女だって」

「そんなこと思ってない!」

 

 間宮あかりは否定する。麗の言葉を。

 

「高千穂さん強かった! リーダー失格なんてことない!」

 

 間宮あかりは肯定する。麗自身のことを。

 

「そんな言葉聞いても余計惨めになるだけよ。大体、チームメイトなんて最初から足止め要因程度にしか考えてなかったわ」

 

 最初から一人だ。自分一人の力しか信じてなかった。それでも勝てなかった。

 あの男なら難なくこなしていただろうことは簡単に想像できてしまうことが、自分にはできなかった。人を引きいることもできなければ、一人で勝てる強さも無い。

 つまり、自分の力は所詮その程度しかなかったということ。

 

「一人でできちゃう人って確かにすごいよね。……抱え込んでいる気持ちすら無くてなんでもできちゃう人は、すごいよ」

「間宮あかり、おまえは何を言って」

「でも、あたしたちもそんな人みたいに──ううん、強くなりたいって思ったから、武偵高(ここ)で毎日頑張っているんじゃないのかな」

「それは……」

 

 その言葉で蘇る思い。

 あの時感じたのは、あの男と対峙するたび感じたのは、そんな後ろ向きな気持ちだけだったのか。

 いつか(・・・)蹴落としてやる。それは本当に汚いだけの感情だったろうか?

 

「それに、チームメイトのこと足止めにしか思ってなかったなんて嘘だよ」

 

 間宮あかりはなお、真っ直ぐと麗のことを見つめてくる。

 

「ねえ、高千穂さん。あの時、高千穂さんは『わたくしたち(・・)の勝ち』って言ってたよね。それってチームの皆と一丸になってたからだと思う」

 

 「言葉の綾よ」そう言いたかったのに、出来なかった。

 

「あたしは高千穂さんが強くて、仲間想いで、すっごく頑張り屋さんな女の子だって伝わったよ」

 

 曇りないその笑顔。間宮あかりは本心からそんなことを自分に言ってくれているのだ。こんな自分のことを本気ですごいと思ってくれているのだ。

 

(……な、何故かしら? 胸がドキドキして顔がとても熱いわ)

 

「高千穂さん?」

「ふ、ふん! 調子に乗らないことね、次はわたくしたちが絶対勝つんだから!」

「うん! あたしたちだって負けないよ!」

 

 にぱーと子供のように笑いながら、間宮あかりは手を差し出す。

 麗は自分でも驚くほど、その手をすんなりと握り返すことが出来ていた。試験の前の自分ならば想像もできなかったであろう変化だった。

 

「それと、おまえを認めてあげてもいいわ……その、わたくしと、とも、ともだっ……」

 

 この子なら、自分とも友人になれるのではないか。麗は初めて自分からそう歩み寄ろうとしたその時──

 

「あかりちゃーん!! わたしやり遂げましたよー!」

「志乃ちゃん!」

 

 佐々木志乃が間宮あかりに勢いよく抱き付いて来たことで、繋いでいた手が離れてしまう。

 目の前には佐々木志乃に抱き付かれながらも、それを悪く思っていない間宮あかり。

 何故か高千穂のプライドは再び燃え上がった。──イライライライライライライライライラと。

 

「ごめんね高千穂さん、それで、えっと」

「お、おまえなんて嫌いだっちゃ!」

「ええっ!?」

 

 幾多の感情が混ざり合い、生まれたこの気持ち。胸の中を埋めるは、この想い。

 ──気に入らない。間宮あかりが気に入らない!

 

 




 ルールから勝利の仕方、ライカの技等完全に独自というかとんでもないものですみません。
 状況が変わっても高千穂を落とすあかり。つまりあかりが最強。
 ソラ? ああ、設定だけ最強(笑)な奴ね。



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