神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

78 / 85
日常編 No.5
ラッド・ウィンプス その1


鈴仙「なんで森に来てまで薬売んなきゃなんないのよ」

 

魔理沙に『気分が悪いから薬をくれ』と言う手紙が、ポツンと永遠亭の玄関にあったのだ。はて、どうやって手紙を届けたのかは分からないが、字体からして緊急なのは確かだ。その為、師匠には「今ある全ての薬を持ってきなさい」と言われている。

 

鈴仙「だからってなんでこんな大荷物で、こんな森に……」

 

正直嫌だ。こんな胞子が飛び回った妖怪でも気分が悪くなる森を重い荷物背負って歩き回って、まさか魔法の森の空を飛ぶわけにもいかず何とも辛い仕事だ。

 

鈴仙「ええと?西だったわよね?」

 

魔理沙が手紙の付属としてあった地図を見ながら、足を出して歩む。

少し煙たくなってきた気がする。それが何故なのかは分からない。しかし、これを気にはしなかった。そんなことで気にしていたら、まず胞子を気にする。

が、流石にこの異臭は気になった。焦げた臭い、火薬のような臭い……いや、火薬より、魔法の臭いと言った方がいいか?

と言うことは、魔理沙の家が近い。早く家に入って、パッと終わらせて、さっさと帰ろう。

 

鈴仙「もうちょっとで……」

 

しかし、道中に奇妙なものがあった。

草……なのだが、決して緑とは言えない。かと言って、枯れ草な訳でもない。

異色の草。私は、師匠程ではないが、薬を作るためにこう言う草やキノコ等には詳しい方だ。

しかし、こんなものは見たことがない。黄色とオレンジが模様のようにして、痛んでヘナッとしている、トリカブト若しくはヨモギ。形がおかしく、あまり判断がつかない。

それが大量にあるのだ。

 

鈴仙「………」

 

気味が悪い。早く魔理沙の家に着きたい。

いや、奥に建物らしきなにかが見える。もしや、魔理沙の家なのでは?地図はここで終わっている。

異色の草を踏みつけながら、その家に近付く。

 

鈴仙「ここだ。意外と大きいわね」

 

ドアをノックし、自分が鈴仙であることを告げた。

暫時、静かであったが、家の中から微かに「入ってくれ」という声が聞こえた。

その言葉に従い、お邪魔しますと家に入った。

 

魔理沙「やあ、うどんげ。ワザワザ魔法の森まで来てくれてありがとう」

鈴仙「……えぇ、まぁ、これが薬売りの商売だし」

 

奇妙だ、何がと言われれば分からないが、スゴく奇妙だ。

この魔理沙、なんだ?

 

鈴仙「診察をするわ。どこか座りたいんだけど、良い?」

魔理沙「んじゃ、ここだな」

 

魔理沙は床に落ちている大量のマジックアイテムを蹴飛ばし、椅子を置いた。

 

鈴仙「じゃあ、始めるわよ。まず、症状を言って」

魔理沙「頭痛、鼻水、目眩」

鈴仙「ふむ」

 

風邪かもしれないけど、最後の目眩っているのが気掛かりね。

 

鈴仙「口、開けて」

魔理沙「あー」

鈴仙「声を出さないで、喉が震えるから」

魔理沙「あーい」

鈴仙「………」

 

喉は別に赤くない。つまり咳はしていないと言うことか。

そこから更に私は深く診察をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴仙「はい、良いわよ」

魔理沙「なあ、うどんげ」

鈴仙「ん?何かしら?」

魔理沙「頭痛が酷いんだよ。脳の奥底がズキズキしてさァー、すっごく痛いんだ」

鈴仙「………」

魔理沙「頭に穴開けて、中の『灰』を取りたいぜ」

 

ハイ?何を言っている?

ハイ……はい……『灰』?

 

魔理沙「『漆黒の灰』を取り出したいぜッ!!」

鈴仙「ッ!?」

 

瞬間、座っていた椅子が傾いた。不意な現象に、私は床へ倒れ込んだ。

最中、椅子の脚を観ると、細く削られたあとと、中心部は焼けているのがわかった。

 

鈴仙「熱ッ!?」

 

床に触れた部分が、焼けるように熱い。

そこには奇妙に光る液体が満遍なく広がっていた。

塩酸や硫酸なんかじゃあないッ!!これは『魔法』だッ!!魔理沙の『魔法』だッ!!

 

鈴仙「『ワンオクロック』!!シャボンで液体を取り除けッ!!」

 

ワンオクロックは手を広げ、床に広がった液体を掬うようにシャボンを作る。

液体が入っているシャボンは重さで中を舞わない。

 

魔理沙「フフ、触れるだけで結構体力が消耗するだろう?これ、なにかに似てないかァ?」

鈴仙「……『マスタースパーク』でしょ」

 

魔理沙はニヤリと笑い、大きい声を出した。

 

魔理沙「ご名答ッ!!そう、これは『マスタースパーク』。それを液状にする……」

鈴仙「………」

魔理沙「アァ~ンドッ」

鈴仙「?」

 

魔理沙は左手で右手の人差し指を握った。今気づく、彼女は黒い革手袋をしている。

いつ着けた?診察していたときは無かった筈だ。

 

いや、まさか……あれが魔理沙のスタンド?

 

魔理沙は左手を勢い良く引っ張り、右手の人差し指からは、鋭利ななにかが出てきた。

 

魔理沙「固体のマスパも出てくる……」

鈴仙「………」

 

冷や汗が頬を伝わり首筋へと流れるのがわかる。

このスタンドはヤバイ。一発で死ぬ訳じゃあなく、徐々に殺して行くスタンドだ。

 

魔理沙「このスタンド、『ラッド・ウィンプス』は……お前の遺体を欲しているッ!!」

鈴仙「クッ!!」

 

揶揄すようにこちらを見つめ、洗脳されたように虚ろな眼。

 

魔理沙「死んじまえよ。お前とか是非とも」

 

浄夜のような仲間達が、今私の周りには居ない。初だ、一人で敵と戦うのは。

恐怖で歯をギシギシと噛む。

 

この戦いは、勝たねばッ!!




こちらのミスで途中の話を投稿しました。
申し訳ございません。

スタンド 『ラッド・ウィンプス』

能力~マスタースパークを液体又は固体に出来る

元ネタ~2001年に結成したロックバンド『RADWIMPS』

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。