神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
私は何者か?疾うの昔に考えるのは飽きた。
私は生きてるか?そんなの閻魔にしか分かる筈がない。
私は存在するのか?胡蝶の夢でも見ているつもりか。
私は正体不明の存在、誰にも分からない……そう、例え……
浄夜「なんで、居るんだ?」
小傘「え?良いでしょ?」
浄夜「よかねーよ」
何を思って良いと感じたか、理解不能だ。
さて、何故このような状況になったか、説明しよう。まず、ナズーリンに案内され、行き着いたのは、THE・封印された扉。それを解放し、とりあえず中に入る。その際、外から監視出来る霊力の塊も中に入れる。
さぁ、もう一度封印だと扉を閉めかけた瞬間、コイツが入ってきた。
浄夜「邪魔するなよ」
小傘「むぅ~‼邪魔じゃない~‼」
連れるべきではなかったな。癒されはするが、流石に守れるかが不安だ。
と言いつつ、小傘が膨らました頬をつつく。
案の定、怒った。
小傘「うがー‼」
もう、絶対かわいいを狙ってやってるよこの娘、超かわいいもん。
そんな、端から見れば微笑ましい光景に、ある声が遮る。
?「こんなところに用?私のエサかしら?」
浄夜「え?マジ?俺らエサなん?騙された~」
?「一体、どう騙されたの?」
浄夜「少女を救ってほしい、だってよ」
少しの間、なにもなかった。音も動く光りも、なにも。
そして、やっと彼女が口を開いた。
ぬえ「私の名前は『封獣ぬえ』。まあ、これがいつから私の名前になったのか、分からないけどね」
浄夜「あっそう。んで?君の『ピンク・レディー』はどんな能力なんだい?」
ぬえ「知らないわ」
浄夜「は?」
彼女が言っている、その意味が分からなかった。
自身の能力は知っているのが普通であるはずなのだ。考えられるのは……まだ、スタンドを持って日が浅いということ。
ぬえ「それより、貴方は『遺体』を持っているの?星のアザがあるけど」
浄夜「いいや、持ってないね。これはただの生まれつきさ」
ぬえ「じゃあ、貴方が樹条浄夜ね?巷で噂の」
俺の名前を聞いてスタンドを出す当たり、彼女は戦う気満々だな。
名前の通り、色はピンクで人型。特徴としては全身に網目の模様が付いている。
っと、いきなり彼女は向かってきた。
しかし、他の幻想郷のスタンド使い、嵐や京谷に比べればどうってことのない速さ……いや、今回は楽に倒せそうだ。パルスィの方が苦戦した。
楽にいこう。無駄な力を抜いて。
何故、こんなことを思ったか?『ゾーン』の如く時がゆっくり進んでいるように見えるからだ。
これは『勝てる』
……え?
浄夜は気付いた。この体の異変に。
震えが止まらないのだ。何だ?この感覚は。『ゾーン』に入っている割りには、その震え…否、振動が細かいのだ。
脳が揺れる、こう言うことなのだろうか。瞬間、ブラックアウトした。そして、また視界は元に戻る。
浄夜「う……ぐあ……」
ぬえ「ホント、分からないわ。『ピンク・レディー』の能力」
訳がわからない。俺は壁に背を預け、床に座っている。視界がグラグラ揺れていて、その上吐き気がする。
顎を殴られたのか?しかし、殴られた記憶はない。しかし、感覚はそれだ。
ぬえ「このスタンドを発動すると、みんな可笑しくなるわよね~。アンタみたいに殴りに行っても避けようとしなかったりね」
浄夜「………」
どうやら、殴られたらしい。自分が見ている景色と実際に起こっていることが違う。
幻覚?彼女のスタンドは幻覚を見せるものなのか?
浄夜「……ッ!!」
不意に何かに腕を掴まれた。自分の腕を見ると、地面から半身を出している我がスタンド『ビートル』が腕を掴んでいた。
そして、引っ張られる。ダイバーダウンの如く、地面に潜っていった。
ぬえ「……?確かに顎は殴ったけど…気絶するほどの威力じゃあないんだよ?」
浄夜は踞って、何も言葉も発せず、喋らない。
ぬえ「ま、いいか。きっと弱点だったんだね」
ぬえは浄夜にトドメをさそうと、スタンドを出す。そして、殴る……
小傘「待てッ!!」
と、思っていたが、小傘に標的を変更したらしい。
弄ぶ、それが一番楽しい。愉快だ。彼女を玩具として扱う。そう決めた。
一方小傘は、目の前の妖怪が恐ろしくて仕方がない。狂気に満ち、こちらに歩み寄る。
正直迷っている。何に?逃げるか、助けるか。今は、自己防衛の構えだ、決して浄夜を守るための構えではなかった。
しかし、彼女は『待てッ!!』と言った。この矛盾が、迷いだ。
小傘「………」
ぬえ「そんなに怯えて、どうしたの?」
あんなに強いと称された浄夜が簡単に負けたのだ。怯えないわけがない。
ぬえ「可哀想に…今、その感情を消してあげましょう!!」
小傘「うぅ…」
唐傘でなんとかスタンドをガードする。このピンクのスタンドをガードするために、唐傘でガードした。
その行動にぬえは驚いた。
ぬえ「貴女も、スタンド使いなのね?」
小傘「え?」
ぬえ「惚けんのも止しなさい。貴女、私のスタンドが見えているでしょう?」
スタンドと言うのは見えるものじゃあないのか?意味がわからない。
浄夜のスタンドははっきり見える。じゃあ、彼女のスタンドも………
え?不意にそんな声がした気がした。
いや、気のせいじゃない!?迷っている?
逃げるか、助けるか?それを言っているのか?いやまず、この声は誰だ?
『たっぷり』……ね。でも、そんな時間は要らない。だって、もう迷っていないから。この、輝くような力。
そして、視界が切り替わった。
神様「なら、君にこの『遺体』をあげるよ。『東方定助』の『ソフト&ウェット』。浄夜君を助けなさい。まだ、彼は必要だから」
また視界は切り替わり、ぬえが目の前に居るのを確認した。
この、一瞬にて様々な現象が起きた。多分、殆どの人が状況を理解できないはず。が、何故か、すべてが理解できた。
小傘「迷ったら『やめろ』……………だ!」
ぬえ「……?」
小傘「だがもう『迷い』はない」
ぬえ「何を言って……ッ!?」
ぬえはその場に転んだ。躓いても、足を挫いたわけでもない。しかし、転んだのだ。
今度はぬえが理解を出来ない。
小傘「『
ぬえ「ッ!?」
突然の、そして思いがけない攻撃に酷く困惑した。殴れないどころか立てない。ただただ、寝そべるしかないのだ。
小傘「浄夜に一体何したの~?答えて」
ぬえ「クッ……」
小傘は奇妙なものを見た。摩擦がない筈のぬえが立ったのだ。そして逃げる姿を。
しかし、彼女は追おうとしなかった。どうして?答えは簡単。『自信』があるから。自分のスタンドに。
ソフト&ウェット『
ずっと、そう呟いている。意味はわからない。でも、きっと何かの暗号だ。
水が滴る音……そうだ。
これは、幻覚だ。耳に入ってくる雫の落ちる音と視界の情報が一致しない。つまり……
小傘は先程ぬえが居た場所を蹴った。
ぬえ「うぐッ!?」
蹴った勢いでそのまま滑っていき、壁に衝突する。そして摩擦がないことにより跳ね返っても、滑るスピードは一定。そんな等速直線運動のよう動きをしているはず。視界の情報は便りにならない。すると、突然ブラックアウト。
そして視界は戻り、予想通りに滑っている。
小傘「madidum……ね。意味は分からないけど、どうでもいいね。『迷い』がなくなったら、そんなの気にしない」
小傘が指を鳴らすと、ぬえの動きが止まった。
摩擦が生じたのだ。
小傘は手を前に出し、クイッと挑発するように曲げた。
小傘「かかってきな」