神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
一輪と雲山のコンビを倒し、今は船長を捜している。これはどこに進んでいるのか?それを聞き出す。
小傘「にしてもさ貴方、噂のスタンド使いなんでしょう?よく『文々。新聞』に載る」
浄夜「『文々。新聞』?あぁ、アイツのか。すまん、新聞は読まねぇんだ」
小傘「う~ん、読まない方が良いかもね」
浄夜「なんでだ?」
小傘「あの人の新聞、デマがほとんどって噂よ。今のところ、貴方の良いことしか書いてないけど、実は貴方に不利な情報かもしれない」
文がデマを?アイツに限ってそんなことないと思うんだが……
小傘「今やあの新聞は火を焚く道具に化しているわね」
浄夜「……あんまりだな」
友人として見過ごすことはできない。何かがあるはずだ。
しかし、今はこの異変に専念する。事はその後だ。
浄夜「ここが、船長室かな」
船長室らしき扉を開ける。……誰も居ない?
浄夜「おかしいな?」
小傘「隣の部屋は?」
小傘が指差した部屋。そこには『休憩室』のプレートが掛かれた扉。
成る程。俺はその扉のノブに手を掛けた…
??「寝過ごしたァァァァァァァッ!!!」
浄夜「あべし!?」
扉が突然開き、鼻に直撃。涙が出てきた。
小傘「うわぁ…」
??「へ?う、うわああゴメン!!許して!!大丈夫!?」
浄夜「だ、大丈夫だ。あ、鼻血が……」
??「ギャアアア大丈夫じゃないィィィィッ!!!」
村紗「ゴメンね?」
浄夜「気にするな。ただの鼻血だ」
村紗「気にするよ!!もし血が固まって鼻で息が吸えなくなったら大変だよ!?」
浄夜「それはねーよ」
彼女は船長の『村紗水蜜』だそうだ。仮眠していたら本格的に寝てしまったらしい。だが、それでも二時間。いつもあまり寝れてないらしい。
そうだ。
浄夜「なぁ、水飲むか」
村紗「え?あぁ、確かに寝起きだし、飲みたいかも」
小傘「私はいらないわ」
浄夜は何処からかペットボトルを取りだし、そこにあったコップに水を注いだ。
浄夜「あ、そうそう。ちょいと手の平を見してくれ」
村紗「え?良いけど……」
浄夜は村紗の手を見た。いや、診た。
成る程。彼女は目の疲れがある。立ちながら舵をとっているからか、脹ら脛が浮腫んでいるし、全体的に筋肉が硬直している。
浄夜「ついでにお前も」
小傘「え、うん…」
フムフム。人を脅かすときにしゃがんで隠れているからか、足に痛みが響いている。
他に目立ったものはない。
浄夜「よし。調理室、借りるぜ」
村紗「え?あ、うん」
村紗は不思議そうな表情をしながら水を飲んだ。
すると、彼女は驚愕した。
村紗「ウ、ウマイ!?」
小傘「え、水でそんなに驚くの?」
村紗「こんなに美味しい水…初めて飲んだ……」
村紗はその美味しさに感動した。感動し、涙を流す。
小傘「え!?なんで泣くのよ!?」
村紗「お、おいしくて……かんどうして……うぅ…」
小傘「………」
村紗「涙が止まらないの……!!」
小傘「ちょ……!?」
その涙の量はどんどん増してゆき、不気味に思えてくる。しかも、目が萎んできてもいる。
これは浄夜の攻撃か!?そう思いこんだ小傘は浄夜の所へ駆け込む。
小傘「浄夜!!」
浄夜「ん?どうした?」
浄夜はすんなりした顔で料理をしている。
小傘「別に彼女は悪いことなんてしてないでしょ!?なんで攻撃なんか……」
浄夜「あぁ、気にするな。攻撃じゃあない。寧ろ逆だな」
小傘「逆?」
浄夜「まぁ、戻って村紗を見てみろよ」
腑に落ちないが言われるまま、戻った。
そして、小傘は舌を巻いた。
村紗「すごーい!!目の疲れがとれた!!」
そこには、目に輝きを持つ村紗の姿がいた。
どう言うことなんだろう?まさか、浄夜の能力?
浄夜「どうだ?あの水は」
村紗「貴方に会えて良かったと思ったわ!!怪我を負わせちゃったのに…ゴメンね」
浄夜「気にするなって。さぁ、寝起きだし、お腹が空いているだろう?召し上がれ」
机の上に出されたそれは、サラダとミートソースのパスタ。私の目の前にはペペロンチーノ。
そして、それぞれにフォーク。
村紗「良いの!?ありがとう!!」
浄夜「あーっと、すまない。先にサラダを食べてくれ」
村紗「え、あぁうん。分かった!!」
村紗は迷いもなくサラダを食べた。
村紗「ンまああ~~い!!」
小傘「サラダで大袈裟な……」
村紗「ううん!!大袈裟なんかじゃあないわよ!!美味しすぎて…力が抜けるぅ~……」
そう言った瞬間。彼女は目を瞑った。
……?なにかおかしい。私は恐る恐る、彼女の口元に手を当てた。
小傘「ッ!?」
息をしていない!?
小傘「浄夜……彼女……息をしていないわよ!?どう言うことなの!?」
浄夜「待て待て、落ち着けよ」
小傘「落ち着けるわけ…「ンーーーー!!あぁ、良い!!体の緊張が解けたァァァ」え?」
そこには揚々と声を上げる村紗がいた。
小傘「え?え!?」
浄夜「安心しろよ。さ、お前も食え食え」
小傘はゆっくりとペペロンチーノを口に運んだ。それに続き村紗もパスタを食べた。
そして……
二人「「ンッまあぁぁぁぁいッ!!!」」
二人同時に声を上げた。
小傘「ペペロンチーノはオリーブオイルの香りがよくて、更に唐辛子のピリッと辛いこの味!!」
村紗「ミートソースパスタは限りなく旨味があるのに何処かトマトの甘味がある!!」
二人「「美味しいィィィィィイイイッ!!」」
しかし、ここで足の裏に違和感を感じた。熱い液状の何か。
そして見た。見てしまった。床に広がる自分の血が……
小傘「う、うわぁぁぁ!?」
村紗「脹ら脛から血が…!?」
村紗は脹ら脛から血が溢れだしている。
私は浄夜を見た。ニコニコと笑っている。まさか……まさかこれはッ!!
小傘「足の裏の痛みがとれたぁぁぁ!!」
村紗「脹ら脛の浮腫みがとれたぁぁぁ!!」
浄夜「やったぜ」
そして、満足した村紗は船の操縦に快調に専念することが出来たとさ、めでたしめでたし(いやいや、続くよ?)