神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
浄夜「さぁて、ここはどこかな~?全くわかんねぇな!!」
絶賛迷い中。どうやら西に進んでいたはずが、妖精達の所為でいつの間にか東に進んでいたらしい。それだけが分かる。
どの妖精かは分からないから霊夢に今度聞いて、ソイツをフルボッコにしたいと思う。
浄夜「ハァ……マジでここどこやねん…ん?」
すると、またまたUFOを見た。こんなに沢山あるとなんだか珍しくないな。う~ん、そうだ。それじゃあ集めよう。
浄夜「UFOゲットだぜ!!」
これ等を魔理沙辺りに売って儲かろう。しかし、一気には売らない。これは滅多にない物なんだと嘘八百を並べ、一個一個を価値のあるものにしよう。
浄夜「これで神社の食費が浮くな」
??「お兄さん」
浄夜「んあ?」
女の子の声がした気がする。俺はその方向に振り向いたが…
浄夜「居ない?……あ、雨が……」
にわかに雨が降り、気のせいだったかと俺はまた正面を向いた。
すると…また声が聞こえる。
??「う~ら~め~し~や~」
浄夜「なんだ……?」
するとッ!!なにかが落ちてくるのを感じ取ったッ!!
急いで浄夜は後ろに退いた……瞬間ッ!!その場所に傘が刺さったッ!!!
浄夜「………」
??「う~ら~め~し~や~」
浄夜「オススメのメニューは?」
??「いや、裏飯屋じゃなくて恨めしやって言ってんの!!そこんとこ分かってよお兄さん!!」
浄夜「いや分かるよ」
??「余計タチ悪いわ!!」
なんじゃこの娘。よく見ると眼がオッドアイで髪の毛が水色、紫色のから傘お化けのような物を持っている。
脅かし屋か?因みに俺の小学生の時のアダ名は『ころばし屋』だった。ドラ○もんの秘密道具だぜ。
浄夜「いやぁにしても助かったよ」
??「え?」
浄夜「にわか雨って本当に面倒臭いよな。ありがとうな、見知らぬ少女よ。去らば」
とは言え、傘を手に入れた。この雨に対抗出来る、UFO探しの続行だ!!
浄夜「………」
??「………」
浄夜「………」
??「………」
え、なんで付いて来てんの?この傘貰っちゃダメなん?
……取り合えず聞いてみよう。
浄夜「あの、なんで付いて来てるんだ?」
??「え?いや、だってそれ私なんだもん……あまり離れられないわ」
浄夜「あぁ、本当に化け傘だったのか。てっきり脅かし屋かと……」
??「脅かし屋って何よ」
じゃあ、ころばし屋って何だよ。転ばすロボットだろ?そう言うことだ。
誰かが十円を入れて俺を脅かしたいのかと思ったんだよ。
浄夜「樹条浄夜だ。君の名前は?」
??「そこは君の名は。って言おうよ」
浄夜「君の縄。」
小傘「多々良よ、『多々良小傘』。ヨロシクね」
宜しくと握手した。
なんか、あんまりお化けっぽくないよね。怖くないっていうか……水を被ったら怖くなんないかな。らん○1/2の男から女になるみたいに。
浄夜「それじゃあ、たらこ」
小傘「多々良よ」
浄夜「雨が止むまで君を借りて良いかい?」
小傘「いやいや、貸さないわ。あげるわよ」
浄夜「自分を安く売るもんじゃあない」
小傘「無料よ」
浄夜「見知らぬ人に付いていっちゃいけません!!」
小傘「さっき見知った」
屁理屈が強い。
結局、付いてきた。
どうしようかな、この娘。あまり強いようには見えないし、もしもの事があったら心配だ。
どうか、なにも起きませんように。
小傘「最近さ、全然つまらないのよね。傘が勝手に動いても一様して驚きやしないし、貴方もね」
浄夜「あんなのでは驚かねぇよ。もっと雰囲気を大事にしな」
小傘「ふーん。昼にやったのが間違いだった?」
浄夜「せやな。尤も、俺は夜にやっても驚かないがな」
唯一驚くのはいきなり出てくる紫だけだ。
小傘「それじゃあ意味がないじゃない」
浄夜「なんで人を驚かせるんだ」
小傘「妖怪にとっての糧だからね。人の感情は」
浄夜「それだけか?」
小傘「……他にもあるわ。恨めしやってのはただただ言っているだけじゃあないわ」
本当に恨めしいから言っているって訳か。
浄夜「良かったら聞くぜ。飽くまで、良かったらだがな」
小傘「………私ね、好かれなかった傘だったの。売れ残った私を、店の男は邪魔だからって道端に放り投げたわ」
悪い奴も居たもんだ。
小傘「道端だから、誰かが拾ってくれるって……思ってた」
浄夜「………」
小傘「誰一人拾わなかったわ。ただただ道の隅に、雨風に吹かれた上に道の砂で薄汚れていっただけだったのよ。誰にも使われてないのに、汚れていった」
浄夜「………」
小傘「非情で非道だ。すれ違って行く人間達全員に対してそう思っていたわ」
憤りに手が震える。
小傘「……そう言うことよ」
浄夜「………」
小傘「あの、さっきから全然喋ってないけど、どうしたの?」
浄夜「取引をしよう」
小傘「え?」
別に同情をする訳じゃあない。飽くまで『取引』だ。
浄夜「なに、簡単な話さ。俺の神社に来い。その代わり、俺の傘になれ」
小傘「い、いやでも、私みたいな傘を持つなんて嫌でしょう?きっと笑われるわ」
浄夜「じゃあ笑い返してやろう。この傘の魅力を分からない凡人に対してな」
小傘「でも…」
浄夜「さっきまで自分を貰えって言ってきたくせに、受け入れたら口ごもるのな」
小傘「う、五月蝿い!!」
少し、子供っぽさを感じる。彼女を神社に引き取ったらアイツ等に何を言われるか、分かったもんじゃあないが………まぁ、ボチボチ考えよう。
俺は紫の傘を灰色の天に向けた。
誤字の御報告を頂きました。誠にありがとうございます。