神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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第5話 Chenger

ある程度は回復し、精神的にも落ち着いた頃に俺達は出発した。

廊下を過ぎると広がる本棚の行列。ここは大図書館だ。そして、一番ここから殺気を感じる。

 

浄夜「嫌になるぜ……」

 

アイツが五十嵐京谷か?いや、まだ分からん。殺気が充満しているおかげで感覚が狂ってきている。正確な殺気の発生源が何処か、分からなくなってきた。

 

彼は俺達に気付き、こちらを見る。

 

?「………来たか」

浄夜「お前が………『五十嵐 京谷』か?」

京谷「………如何にも。私が五十嵐京谷だ。君は………樹条浄夜、と言ったかな」

 

俺の名前を知っている?いや、当たり前か……敵の名前を知ってて当然、だよな。

 

京谷「君が………鈴仙・優曇華院・イナバだったか?」

 

彼はうどんげを指差し、名前を当てた。これには少し驚いた。それと、うどんげ自身も。

それより、彼は本当に『五十嵐 京谷』なのか……ハッタリを言うことだって十分にあり得る。いや、ブロウが奴の名を言ったときに限りなく怒ったな。これを考えれば、ハッタリの線もないか?

等と考えていると、目の前にいる奴はスタンドを出した。

それは、シャーベットとの戦いの前にいたスタンドだった。

 

浄夜「ッ!?そのスタンドはッ!?」

京谷「そう、君達が見たスタンド。コイツは私のスタンドなのさ」

 

京谷は腰掛けていた椅子から立ち、手に持っていた本を机に置いた。

そして、俺達に近付く。ゆっくり、ゆっくりと近付く。一歩一歩の動きが、俺達を警戒させた。

すると彼は、何かを囁く。聞こえない程に、小さな声。

 

何を言っている?俺に読唇術の技術は持ち合わせていない。んだよ、勉強しとくべきだったか?

なんて、無用なことを何時ものように考えていた。

今思えば、こんなことをしないで彼女を守るべきだったと、自身に憤怒した。

 

雛がいきなり後方へ飛んでいったのだ。

 

浄夜「何ッ!?」

鈴仙「い、何時の間にッ!?」

 

そう言えば俺が時を止めた時、シャーベットは「貴様『も』時を止めるのか」と言っていた。

つまり、京谷も時を止めた?いや、分からない。実は、相手にも味方にも分からない程度に口角を上げていた。時止めの能力があるかもしれないから、能力防止にな。

しかし、認知が出来なかった。どういうことだろうか………

 

京谷「名前が分からなかったのでな。序でに戦力を潰しておいた」

鈴仙「ッ!!!アンタ!!!」

浄夜「テメェ、随分とイカれてやがるな。俺でも認識出来ない能力を使うなんてなぁ」

京谷「………ふむ。能力と考える辺り、まだ詳細は分からない様だな。まぁ、その方が都合が良い」

 

すると彼は、左腕を『スティッキーフィンガーズ』に変化させた。またしても驚く。俺の『ビートル』と同じ様な能力があるってのか?

京谷は地面にジッパーを取り付け、開く。すると、驚くべき物が出た。

『レッキングボール』だ。

 

浄夜「ッ!?レッキングボール!?何でテメェが!?」

京谷「………回転の技術をくれた者には感謝しなければな」

浄夜「ッ!?一体どういうこ……」

 

先手必勝の如く、奴は投げた。

仕方ねぇ……

 

浄夜「『世界(ザ・ワールド)』ッ!!!時よ止まれ!!!」

 

逃げるは恥だが役に立つゥゥゥゥッ!!俺は鈴仙を抱え、逃げる。

しかし時間も迫る。チッ、ここまでか。

 

浄夜「時は動き出す」

 

さて、ここからが問題だ。レッキングボールの表面上にある小さな球。それが放たれるであろう。

いや、もう放たれている。考えている暇なんて、ねぇなッ!!

 

浄夜「『20th センチュリー・ボーイ』!!」

 

俺はうどんげを抱き締める形で20thセンチュリー・ボーイを纏った。

下っ端のクズでも最強は最強。どの様な攻撃も通さない。

 

鈴仙「ちょ、ちょっと!?どういう……」

浄夜「我慢しろ…」

鈴仙「うぅ……」

 

そんなに嫌かよ。命が大事じゃあないのかってんだ。

さて、そろそろ良いだろう。俺は、スタンドを戻した。何やら俺を感心したような顔で俺を見ている。

 

京谷「見事だ、樹条浄夜。中々の判断力よ」

浄夜「敵に言われても嬉しくないね!!!」

京谷「その判断能力に賛美を称し、私からは1つ秘密を教えようじゃあないか」

 

なんじゃあ、その上から目線。と言うより、秘密?

 

京谷「私のスタンド『変化者(チェンジャー)』と言うのだがな、能力が『変化する』という単純な能力なのだよ。だが、Simple is the bestという様に、コイツは強いぞ。何せ『俺が知っているスタンドであれば何にでも変化出来る』のだからな。例え………」

 

『貴様の知らないスタンドにもな』

 

奴のスタンドが『変化』した。彼の言う通り、見たこともない。

フッ…俺だって、テメェの知らねぇスタンドを操れるさ。パルスィの『ハウンド・ドッグ』とかな。

 

奴は足を『スタープラチナ』に変え、一気に近付いた。

 

浄夜「『マジシャンズレッド』!!!」

 

炎で壁を作る。速度的に、止まることは出来ないだろう。

これで勝ちとは思わないが、大ダメージは与えられるはず。だがッ!!そうはいかなかったッ!!

奴のスタンドが持っているナイフが、炎の壁を切り裂いたのだッ!!いとも容易くッ!!

 

浄夜「何ィッ!?」

 

ナイフが俺を向く。このままじゃあ殺されるッ!!

 

浄夜「『スタープラチナ』!!!」

 

ナイフを避け、スタンドの腕を掴む。

 

京谷「実に素晴らしいな。やはり、君には期待できる」

浄夜「ふざけんな、テメェに期待されても嬉しかねぇよ」

 

ゲームでもやっているつもりか?

 

京谷「では、私の期待に答えられたから、また1つ能力を教えようか」

浄夜「ッ!?どういうことだ?」

京谷「今のスタンドには能力として『殺す能力』が存在するのだよ。この能力は、例え不死の者であろうと現象であろうと全て殺すことが出来るのだよ」

浄夜「ッ!?何だとッ!?」

 

京谷は俺と距離を取る。

 

京谷「折角だ。私の話を少し聞いていくといい良い」

 

何言ってんだ?いきなりおかしくなったか?俺を惑わす罠か?

何を考えている、五十嵐京谷?

 

京谷「そうだな………ある昔話でも聞いていくと良い」

 

そして、彼は語り始めた。

仕方ない。一応辺りに警戒をし、聞くとしよう。奴を倒すヒントが有るかもしれんからな。


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