神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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第4話 Crazy STAND

シャーベットは此方を睨みながら、少しずつ踏み寄る。ソイツから感じ取れる『余裕』の気持ち。只者ではないことは確かであった。

 

鈴仙「シャボンカッター!!」

 

距離を取り、シャボンカッターを放つ。

しかしながら、ここは吸血鬼の館。太陽の光はほとんどないに等しい。シーザーがワムウに食らわせた攻撃は効かない。斬撃で戦う気か。

 

シャ「フンッ!!」

 

しかしッ!!シャーベットは一発で叩き落としたッ!!

 

鈴仙「んなッ!?」

シャ「遅い」

鈴仙「!?」

 

酷く冷たい声で呟いた。だが、そんなのを気にしている隙もないくらい、シャーベットは急接近した。鈴仙は反応が遅れ、ガードが出来ない。そして、そのまま……

 

シャ「ハアッ!!」

鈴仙「ぐほッ!!」

 

鳩尾に拳を入れられた。その威力、最早人間ではない。鈴仙を吹き飛ばし、風圧で瓦礫が出来た。

勇儀を少し思い出した。あの力量は、なんなのだ?スタンド能力か?それとも元々?

いや、それよりうどんげだ。

 

浄夜「うどんげ!!」

 

呼び掛ける。しかし反応はない。

 

雛「act3!!」

 

雛は地面に爪弾を撃つ。シャーベットの後ろから爪弾が発射される。が、予知していたかの如く、爪弾は掴まれた。回転している爪弾を掴むなど不可能なはずなのに、奴はさっきから何度も掴んでいる。

 

雛「こ、これも!?」

浄夜「『世界(ザ・ワールド)』!!時よ止まれ!!」

 

浄夜は『世界(ザ・ワールド)』に変身。片を付けるしかない。そう思っていた……

 

シャ「貴様『も』時を止めるのか」

浄夜「ッ!?何!?」

 

止まった世界を動く奴は一体何者なのだ。さっきからスタンドらしい姿も見てないし、この敗北感はなんだ?まだ、負けて……

 

瞬間ッ!!蹴る為に足を後ろに上げたッ!!

まずいッ!!防がねばッ!!

 

浄夜「くそッ!!無駄ァ!!」

 

振る足を殴り付けた。勿論、手は痛いさ。しかし、奴にも効いているはず。

効いているはずなのだ。

 

シャ「………何かしたか?」

浄夜「!?」

 

シャーベットは改めて蹴った。しかも、一瞬で。だが、威力はやはり並外れてる。

腹部に入った蹴りは、浄夜の口から血を吐かせた。

 

浄夜「ぐほッ!!」

 

三回のバウンド。

やっぱ、痛みには慣れねぇな……ま、当たり前だけど。

等と他の事を考えないと自然に痛みが増すような気がした。いや、それが最早出来なくなって行く。目の前が霞み始めた。

 

雛「浄夜!!」

 

意識が………持ってかれる………

そして、改めて思う。これは人間は持つ力じゃねぇ…と。まるで化け物だと。

 

シャーベットはため息をついた。

そして、雛を見る。

 

雛「!!!」

シャ「次は貴様の番だ。DIO様からは全力で行けと命令されている。………もし、ここで負けるとあらば、DIO様はさぞかし失望することになる。その様なことは有ってはならぬ!!」

 

言っていることがメチャクチャだ。しかし、詳細も言わずまた踏み寄る。

あの光景を見た後だ、雛は恐怖した。このままじゃあ、雛が……ッ!!

手が勝手に動くように、シャーベットに『エンペラー』を向け、放った。

 

雛「浄夜!!」

シャ「ふむ、あれを耐えるか」

 

いいや、耐えれてねえよ。限界を超えた。まだボス前ってのにな。

 

浄夜「おいテメェ。何で『あのお方』とやらに俺達が失望されなきゃならないんだ?」

シャ「………何?」

 

あの矛盾は、やはり気のせいじゃあない。

 

浄夜「俺達は………止める為に来てるんだよ。こんなバカな真似をしてる『五十嵐 京谷』を!!」

 

シャーベットは此方に向かってくる。よし、取り合えず、雛は大丈夫だ。

こっから、どうしようかね。

 

シャ「………あのお方は、DIO様は………あまりにも退屈になされてた」

浄夜「………何?」

シャ「DIO様は度重なる冒険を続けられた。そして、何時しか冒険が生き甲斐となっていたのだ」

 

つまりなんだ?その、冒険の延長線上に俺らは無理矢理立たされている訳か。

下らねぇ……

 

シャ「貴様には分かるまい。DIO様が、どの様にして生まれ、どの様な過酷な運命を歩き、どの様な力や希望を手に入れたのかを……」

 

『希望』……ねぇ?

悪党にしては、よくそんな言葉が出てくる。実は、悪党じゃなかったり。

DIOの名前を借りている辺り、悪に憧れているのは間違いない。察するに、悪に憧れた少年であるはずだ。

悪に希望を持つなど、少年の心を抱き続ける者に違いない。そうだな……高校生ぐらいだろうか。俺も、その気持ちは分かるからな。

……とは言え、ただの推理だ。戦うに越したことはない。

 

浄夜「………俺達は、そんなもの知らない………だが、今分かるのは………紅魔館を乗っ取った、バカでアホらしいことをしている『五十嵐 京谷』を………止める!!」

シャ「ならば止めて見せてみよ!!その覚悟、どの程度の物かハッキリさせてやる!!」

 

シャーベットは浄夜を踏みつけようとする。

 

雛「ッアァ!!」

 

雛が足払いを仕掛ける。が……

 

シャ「私には効かぬわ」

雛「!?」

シャ「フンッ!!」

 

シャーベットは雛を蹴り、吹っ飛ばす。壁にぶつかる。

 

雛「ガハァ!!」

浄夜「雛ッ!!」

 

シャーベットは浄夜の方を向き、足を踏む。

 

浄夜「ガフッ!!」

しゃ「さぁ、貴様の力とやらを見せてみよ!!まだこんな物では無いだろう!!」

浄夜「ッアアアアアアアアアアア!!『クレイジーダイアモンド』!!」

 

地面を抉った。自動追尾弾をしてやろう。そう思った。

しかし、奥に見える、ある人影で作戦を変更した。

取り合えず、俺は抉った石を投げた。当然、その石はシャーベットに効かない。

後ろに転がって行く石。

 

浄夜「ガハッ!!」

シャ「貴様!!この戦いを侮辱する気か!?」

 

どうやら、怒ったらしい。当たり前だ。攻撃に勢いがない。まるで諦めたように。

しかし、その怒った感情が、その感情が『俺達』にとって、隙なのだ!!

 

シャーベットはジャンプし、膝を曲げ、俺を攻撃する気らしい。

今だ。この一瞬だ。

ローブのフードから顔がチラッと見えたこの一瞬こそが、俺達の勝利の風。

 

浄夜「うどんげぇぇぇぇ!!顔面狙って撃てえぇぇぇぇ!!」

シャ「ッ!?何ッ!?」

鈴仙「シャボン………ランチャー!!」

 

彼女から放たれるシャボンは、風を斬ったッ!!

シャーベットも反応出来ない!!顔面に、当たったッ!!

 

シャ「し、しまった!!体勢が!!」

 

シャーベットは滞空し、体も仰け反り、ガードは出来ない。

 

浄夜「『スター………プラチナ』!!」

 

テメェの顔ッ!!この一発でッ!!ぶっ壊してやるッ!!

 

浄夜「オラァ!!

シャ「グ、グファッ!!」

 

殴った勢いで、地面に亀裂が入る。

 

浄夜「ッハァ!!ハァ………ハァ………ハァ………か、勝った………」

 

倒れそうになるが、鈴仙が支えてくれた。

 

鈴仙「平気!?」

浄夜「へ、平気………って言いたい」

 

ヤセ我慢はダメだな。

 

雛「コイツ………結局どんなスタンド能力だったのかしら?」

 

雛が無事であることにホッとした。

 

浄夜「待ってろ………今、二人とも治して………ぐッ!!」

鈴仙「ハイハイ、怪我人は安静にしてなさい。こちらが待っていたとしても気にも止めないでしょうし」

雛「ここは、一旦回復に専念しておきましょう。浄夜」

浄夜「………早くしなきゃな」

二人「ハァ……………」

 

呆れた。と、同時に思った二人であった。


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