神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
浄夜「じゃあ、取り合えず……皆はどんな楽器をやっているんだい?」
わかさぎ「ベースかしら」
影狼「ドラムよ」
赤蛮奇「キーボード」
ふむ、バランスは良い。
逆になぜここまで揃えてギターを入れなかった。
浄夜「んじゃあ、曲はどうするんだ?」
影狼「フッフ~それはねぇ……赤蛮奇ちゃんが作曲しているのだ!!」
赤蛮奇「……ま、まだ未完成よ…」
浄夜「なるほど…見せてくれ。出来るならアドバイスをするよ」
すると赤蛮奇はポケットから紙を取りだし、浄夜に渡した。
紙を広げ、確認する。
浄夜「これ……アコギよりエレキの方がいいな。うむ、曲としては申し分ない」
赤蛮奇「ホントッ!?」
嬉しかったのか、一気に顔を近付ける。
それに戸惑いながらも肯定。
浄夜「お、おう。後は……技術だな。一人一人の演奏を聴かせてくれ。まず、わかさぎ姫」
わかさぎ「ほい!!」
~♪~♪~♪
手が綺麗だなぁ……ハッ!?
いかんいかん、弦を弾く綺麗な手に、つい見てれてしまった。
う~む。何か引っ掛かる。
それは本人も同じ反応だった。
わかさぎ「……どう?」
浄夜「いや、よく練習したと思う。ただ、ベースって言うのは音楽の中の『ベース』なんだ。まるで、血液が刻むビートのように、リズムを創ってくれる」
わかさぎ姫は真剣に聞いている。
浄夜「だから、少しのズレも許されない。君の場合は、そのズレは無いのだが、その代わり抑揚がない」
わかさぎ「べ、ベースに抑揚?」
浄夜「俺はな、『全ての楽器には感情を乗せれる』と思っている。君の場合、ズレを気にしすぎて感情がない。そのベースは、言ってしまえば、ただ音がなっているだけだ」
ストレートな言い方。きっと傷つくだろう。
だが、そんなことを気にしてちゃあ、優勝はない。その事は、きっと三人ともわかっているはず。
浄夜「一緒に頑張ろう。独学なんだろう?それでここまで上達したのなら俺より才能があるよ」
わかさぎ「うん!!頑張る!!」
浄夜「次は影狼」
影狼「ホイヤッサ!!」
~♪~♪~♪
靡く髪が綺麗だなぁ……ハッ!?
いかんいかん、ドラムを叩くたびに靡く髪の毛に、つい見てれてしまった。
楽しそうにドラムを叩いている。
わかさぎ姫とは違って逆にズレを気にしていない。たまに「ん?」ってなるときがある。
影狼「……ど、どうかな?」
浄夜「ズレているな。間の感覚が少し違う。この楽譜を見ると、コンマの単位で遅れてる」
影狼「うー……やっぱり?才能無いのかな…」
浄夜「ただ、楽しそうに叩いてた。それは良い。演奏者が楽しまないと、客は楽しめない」
感情は伝染する。
俺はそう思う。
浄夜「次は、赤蛮奇」
赤蛮奇「う、うん」
~♪~♪~♪
脚が綺麗だな……ハッ!?
いかんいかん、ピアノのペダルを踏む脚に、つい見とれてしまった。
うむ、音の質は問題ない。
ただし、ペダルがあまり踏めてない。
浄夜「……」
赤蛮奇「う……どう、ですか?」
浄夜「ズレもないし、抑揚もバッチリさ。しかしだ、長音がしっかりしていない」
赤蛮奇「……」
食い入るように聞く。
少し緊張しているようにも見える。
浄夜「少し、ペダルを離すのが早い。ただ、綺麗な音だったよ。つい見とれ……聞き入ってたよ」
赤蛮奇「うん、ありがとう」
あっぶね、見とれてたって言うとこだった。
さて、皆の演奏は聞いた。
うむ、一人一人違う課題を持っている。これはこれで面白い。
浄夜「んじゃあ練習だ。そうだ、蛮奇っき」
赤蛮奇「なに?」
浄夜「曲の名前って何?」
聞いていなかったなぁ。良い曲っぽいし。
赤蛮奇「曲名は『柳の下のデュラハン』よ」