神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
浄夜「ハァ…ハァ…ハァ……」
フラン「言ったでしょう?私は危険よ。早く帰りなさい」
浄夜「ハァ…ハァ…そ、その『遺体』は、神様から貰ったのか?」
フラン「まだ言うの?」
フランはこちらをジッと睨んでいる。
彼女の中の狂気が、その瞳の中を渦巻いているのを感じた。ただ、その狂気はどこか冷静で、逆に不気味であった。
浄夜「答えろ…」
フラン「……フフ、気に入った。そこまで執着するってことは何かあるのね?」
浄夜「あんたの『遺体』は東方仗助、それをくれた人物は……神様か?」
フラン「えぇ、そうよ。身長は私より少し小さくて、じっとしてればまぁまぁ可愛い奴」
浄夜「そいつだ」
やはり、『遺体』を配っているのは、あの神様らしい。
こんな大事件を一人でか……神ってのは忙しいのか、面倒臭がりなのか……
フラン「さぁ、さっさと帰りなさい」
浄夜「あぁ、そうするさ」
俺は、つま先の目線を180度変え、出口へと向かった。
雛も小走りで俺に付いて行く。
フラン「いや……ちょっと待って」
浄夜「……何だ?」
フラン「私と戦いなさい」
浄夜「何?」
戦え?何故?
フラン「そうねぇ……スタンド使いって言うのに耐性を付けておくって言う理由を言っておく」
浄夜「……生憎だが、腕が無いもんでな。あんたとは戦えん」
フラン「これから腕なし人生よ?慣れておかないと……ね?」
彼女が「ね?」と言ったと同時に、彼女は歩み始めた。
雛「止まりなさいッ!!」
フラン「フフフ……」
雛は指先を彼女に向け、戦闘体制に入った。
雛「そこで止まりなさいッ!!」
浄夜「いや、いい…」
雛「!?」
俺は雛の指先に手のひらを被せた。
フランの歩みは止まらない。そして…目の前まで到達した。
浄夜「……射程距離内、か…」
フラン「実はさっきの戦い見てたんだけど…貴方、変身することができるのよねぇ」
浄夜「……」
妙な威圧感。その威圧に汗をかいてしまう。
恐怖ッ!!それが部屋に広がるッ!!
フラン「フフフ……見れば貴方、相当弱っているわねぇ。『クレイジー・ダイアモンド』」
彼女のスタンドが、ようやく出てきた。
やはり、今は彼女のスタンドで有るためか、また恐怖。
フラン「ドラァッ!!」
浄夜「『
パンチを、残っている腕でガードをする。
フラン「フフフ……ハァッ!!」
浄夜「グッ!?」
フラン「これで、足も不自由ね」
足を踏まれている。これで、彼女には……
フラン「もう攻撃ができない…わね?」
浄夜「ハァ…ハァ…ハァ……」
息が詰まるこの緊張感、恐怖が込み上げてくる。
ダメだ。彼女の笑みが悪魔にしか見えなくなる。彼女の目が恐怖を作り上げている。
そして、俺は目を閉じた。
フラン「なに?死の覚悟でも決めたの?」
浄夜「…………」
違う。そうじゃあない。
腕の痛みをまた、感じるために目を閉じた。
フラン「負ける試合は諦める。別に悪い選択じゃあないわ。気にしない事ね」
俺は諦めたことは一度もない。過去も、今も。
そして、未来もッ!!
フラン「じゃあ、喰らいなさい」
彼女のスタンドの…『クレイジー・ダイアモンド』の拳がアッパーで来るのを感じる。
一瞬のことのはず。なのにゆっくりに感じる。比喩じゃあなく、意識的に。これは……『ゾーン』ってやつだ。あぁ、そうに違いない。決して死に際に起こる現象じゃあない。
これは……この事象は……俺のためにあるんだッ!!
そうして、血を吐いた。
浄夜「………」
フラン「…………うっ」
彼女が。
フラン「どう言うことなの?貴方は……もう腕がない筈…なのに…どうしてスタンドになれるの!?」
俺の
一つは、スタンドのパンチをガードするため。もう一つは、カウンターのため。
浄夜「どうやら、本体に腕がなくても俺のスタンドは活動するらしい。吉良吉影とは違うようだ。やれやれだぜ」
フラン「ハァ…ハァ…ハァ……」
「やれやれだぜ」を少し強調していった。それは、威圧と感じ取れるだろう。
フランは今、俺に恐怖している。
浄夜「フン…『ゴールド・エクスペリエンス』」
俺は床をえぐり取り、命を吹き込んだ。
それは軈て腕の形になり、そして完璧に腕になった。それを俺の肩にくっつけ、動くかどうかを確認。
動いた。
浄夜「じゃあな。『遺体』を狙う輩が居るから気を付けろ。そして、居たら俺に声をかけろ」
フラン「………」
浄夜「あんたは、普段スタンドを使ったらダメだ。使っていいのはその輩が出現したらだ」
そうして、ドアを開いた。
雛「まだ痛まない?」
浄夜「大丈夫さ。有り難う」
雛「フフ、良かったわ」
そうして俺は無くなっていた方の手を握り締めた。