神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

51 / 85
クレイジー・ダイアモンド その1

浄夜「つまり……レミリアの妹が言うわけか」

パチュリー「そうよ」

雛「レミリアが頑なに会わせてくれなかったのは何故?」

パチュリー「まぁ、会えば分かるわ」

 

薄暗い階段を降りてゆく。螺旋階段は少し寒く、温かみがない。まるで死んでいるかのよう、雰囲気が死んでいるかのようだった。

階段に並べられた蝋燭はどれも溶けかけ、でもまだそこにあることは確かだ。火も灯っているという点では、誰かが定期的、若しくは最近降りていったのだろう。

そんな思想を読んでいるかのようにパチュリーは答えた。

 

パチュリー「レミリアの妹……『フランドール・スカーレット』に食事を届けるから、定期的にここへ来ているわ」

浄夜「……閉じ籠っているのか?」

パチュリー「……閉じ籠っているし、()()()()()()()()

浄夜「何?」

 

閉じ籠っているし、閉じ籠められている?

訳が分からない。双方が同意しているってことなのか?

 

パチュリー「皆は彼女のことをフランって呼んで育てていたわ。でも、フランにはある能力があるのよ」

浄夜「……?」

 

一瞬、哀しい表情になった気がした。

 

パチュリー「着いたわ。死なないでちょうだいね」

浄夜「あぁ、分かってる。せめて彼女ができるまで死ねない」

雛「私が…」

浄夜「だが断る」

雛「解せぬ」

 

俺は門を開いた。

錆びた扉なため、途中途中で引っ掛かる。なにより、開く音が五月蝿い。

その音に気が付いたのか、中にいる少女はこちらを見詰めている。

彼女がフランなんだろう。

 

フラン「だれ?」

浄夜「おまたせ」

フラン「ご飯はさっき食べたよ」

浄夜「食器を下げに来た」

フラン「人間を喰らうだけだから、お皿は要らないわ」

 

の割りには、口元がお綺麗。血があまりついていない。

つまり、食べ慣れている訳だ。

 

フラン「何者なの?」

浄夜「スタンド使い」

フラン「スタンド……」

雛「貴女、『遺体』を持っているわよね」

フラン「あぁ、そうそう、思い出した。『東方仗助』っていう人の『遺体』」

 

東方仗助。ジョセフ・ジョースターの隠し子であり、ジョセフの遺産についての調査で発覚。ジョセフ自身も仗助の存在を知らなかった。

 

雛「浄夜…仗助の能力は?」

浄夜「物を直す(治す)ことが出来る。自分は治せない」

フラン「え?でも、前に私が怪我したとき、その()()()()()わよ」

浄夜「何ィッ!?」

 

そんなはずはない!!

……待てよ、そう言えば雛も……『遺体』本人に出来なかったことをしていた。

そう考えると……いや、まだ納得はできない。

 

フラン「そろそろ良いかしら?」

雛「なにが?」

フラン「そろそろ帰ってちょうだい、私が貴方達を殺す前に」

浄夜「もしよかったら君の『遺体』をくれないか?」

フラン「嫌よ。これのお陰で、私の精神は落ち着いている。これがなかったら、家中を暴れまわっているわよ」

 

『聖なる遺体』には、精神安定剤と同じ役割があったとは……

意外ダナー。

 

フラン「直ぐ、物が壊れちゃうの。こんな風に」

浄夜「?」

 

フランは手を前に出して、ペルソナ4のペルソナ召喚の時のような動きをした。

つまり握りしめた、空気を。

 

たったそれだけで、たったそれだけで、たったそれだけで……

 

浄夜「ウグアァッ!?ガアアアアアァァァアアッ!!」

雛「浄夜!!」

 

俺の腕が潰れた。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。