神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
浄夜「つまり……レミリアの妹が言うわけか」
パチュリー「そうよ」
雛「レミリアが頑なに会わせてくれなかったのは何故?」
パチュリー「まぁ、会えば分かるわ」
薄暗い階段を降りてゆく。螺旋階段は少し寒く、温かみがない。まるで死んでいるかのよう、雰囲気が死んでいるかのようだった。
階段に並べられた蝋燭はどれも溶けかけ、でもまだそこにあることは確かだ。火も灯っているという点では、誰かが定期的、若しくは最近降りていったのだろう。
そんな思想を読んでいるかのようにパチュリーは答えた。
パチュリー「レミリアの妹……『フランドール・スカーレット』に食事を届けるから、定期的にここへ来ているわ」
浄夜「……閉じ籠っているのか?」
パチュリー「……閉じ籠っているし、
浄夜「何?」
閉じ籠っているし、閉じ籠められている?
訳が分からない。双方が同意しているってことなのか?
パチュリー「皆は彼女のことをフランって呼んで育てていたわ。でも、フランにはある能力があるのよ」
浄夜「……?」
一瞬、哀しい表情になった気がした。
パチュリー「着いたわ。死なないでちょうだいね」
浄夜「あぁ、分かってる。せめて彼女ができるまで死ねない」
雛「私が…」
浄夜「だが断る」
雛「解せぬ」
俺は門を開いた。
錆びた扉なため、途中途中で引っ掛かる。なにより、開く音が五月蝿い。
その音に気が付いたのか、中にいる少女はこちらを見詰めている。
彼女がフランなんだろう。
フラン「だれ?」
浄夜「おまたせ」
フラン「ご飯はさっき食べたよ」
浄夜「食器を下げに来た」
フラン「人間を喰らうだけだから、お皿は要らないわ」
の割りには、口元がお綺麗。血があまりついていない。
つまり、食べ慣れている訳だ。
フラン「何者なの?」
浄夜「スタンド使い」
フラン「スタンド……」
雛「貴女、『遺体』を持っているわよね」
フラン「あぁ、そうそう、思い出した。『東方仗助』っていう人の『遺体』」
東方仗助。ジョセフ・ジョースターの隠し子であり、ジョセフの遺産についての調査で発覚。ジョセフ自身も仗助の存在を知らなかった。
雛「浄夜…仗助の能力は?」
浄夜「物を直す(治す)ことが出来る。自分は治せない」
フラン「え?でも、前に私が怪我したとき、その
浄夜「何ィッ!?」
そんなはずはない!!
……待てよ、そう言えば雛も……『遺体』本人に出来なかったことをしていた。
そう考えると……いや、まだ納得はできない。
フラン「そろそろ良いかしら?」
雛「なにが?」
フラン「そろそろ帰ってちょうだい、私が貴方達を殺す前に」
浄夜「もしよかったら君の『遺体』をくれないか?」
フラン「嫌よ。これのお陰で、私の精神は落ち着いている。これがなかったら、家中を暴れまわっているわよ」
『聖なる遺体』には、精神安定剤と同じ役割があったとは……
意外ダナー。
フラン「直ぐ、物が壊れちゃうの。こんな風に」
浄夜「?」
フランは手を前に出して、ペルソナ4のペルソナ召喚の時のような動きをした。
つまり握りしめた、空気を。
たったそれだけで、たったそれだけで、たったそれだけで……
浄夜「ウグアァッ!?ガアアアアアァァァアアッ!!」
雛「浄夜!!」
俺の腕が潰れた。