神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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ワンオクロック その2

咲夜「浄夜さん……急所には当たってないですよね?」

浄夜「あ、あぁ…肩とか足とか、急所には当たってない…」

 

弾幕な為、血は出ていない。

どうやら、殺す気はないらしい。ただ、『遺体』が欲しいだけのよう。

今は、隠れて彼女の様子を見ている。

 

鈴仙「一体どこに……」

女性「一体何事!?」

 

永遠亭から出てきた女性。それは『八意永琳』だった。鈴仙・優曇華院・イナバ(以下うどんげ、台詞時鈴仙)の師匠であり、月人である。

 

鈴仙「え、わ、分かりません…誰かが永遠亭に来たと思ったら、誰もいなくて。でも、激しい戦闘音が響いているので、私が見に行きます」

永琳「気を付けてね。見つけ次第静めてちょうだい。『姫様』が起きたら大変よ」

 

そう言い残し、永琳は中へ入っていった。

 

浄夜「なぁ、咲夜さん。さっきの人が言っていた『姫様』って…?」

咲夜「え…う~ん、かぐや姫って分かります?」

浄夜「……まさか」

咲夜「そのまさかです」

 

それは、驚くのも無理はないです。

なにせ、お伽話かと思ったら、本当にあった話なんですから。

 

浄夜「フゥーッ……OK、落ち着こう。その…つまり、そいつはかぐや姫だと言いたいわけか?あの、お伽話の」

咲夜「えぇ」

浄夜「………ベネ。幻想郷は忘れられた者の行き着く場所だったな。忘れていたぜ」

 

意外にも、すんなりと受け入れていました。

普通じゃ考えられないのに。

 

浄夜「かぐや姫が幻想入りしたから、かぐや姫は幻想に……正確に言や、書物が残っていたからお伽話になったわけか」

咲夜「よく信じましたね?まぁ、そうなんですが…」

浄夜「幻想に概念なんて必要ない。必要なのはッ!!勇気ッ!!とだけ言っておこう」

 

なにやら、考えさせられる様なことを言いました。

勇気…それは何に対してか。恐怖?失敗?望み?それとも……過去?いや、全部か。

人によって変わるのだろう。浄夜さんの言う幻想は『喜び』にような意味だろう。

だが、ここからは私の単なる思いだが、『喜び』は『不安』を飛び越えてから掴めるモノだと思う。

『不安』…それに立ち向かう『勇気』。

 

咲夜「……勇気」

 

それが無くては、道は進めもしない。

ただただ後退りするだけ。

生き物は後退し過ぎると、目を隠して何も見ようとしない。だから……

 

浄夜「……フッ…さて、久しぶりにジョジョみたいなことを言ったところで、戦うか」

咲夜「え、でも…」

浄夜「まぁ、大丈夫さ」

 

足を引きずりながら、うどんげの方へと向かう。

あちらも気がついたようだ。

 

鈴仙「よくその状態で来れたわね」

浄夜「やらなきゃ、何も始まらない」

鈴仙「フフ、終わるわよ。始まりもしない。貴方に……勝算などないわッ!!」

 

周りにシャボンが飛んでる。

 

鈴仙「貴方の『遺体』は貰った」

 

ニヤリと笑いながら、弾幕を撃つ。

だが、笑っていたのは彼女だけじゃあない。浄夜さんもだった。

何故笑っているのか?答えは簡単だった。

 

パチンッ!!パチンバチンッ!!

 

シャボンが割れたときに気付いた。彼には…勝算があるッ!!

降ってきたナイフがシャボンを割った。

それは、私のナイフ。

 

咲夜「いつの間に…ッ!?」

 

私のナイフをパクったのだ。

浄夜さんは私に向かってウィンクをした。少し腹立たしい。

が、怒る気にはなれなかった。

 

鈴仙「…なッ!?……フフ、中々やるじゃないの」

浄夜「……」

 

浄夜さんはキョロキョロと周りを見ている。

誰か、若しくは何かを探している?

 

鈴仙「だけど、私には元々の能力が有るわ。あなたと違ってね」

咲夜「まさかッ!?」

 

刹那。彼女の瞳は紅かった。気が歪む。

彼女の『狂気を操る程度の能力』で、その場の気を狂わせたのだ。

 

浄夜「うッ!?」

 

思わず、膝を降ろした。

 

鈴仙「これで、ほとんど身動きはとれないはずよ。抵抗はできない」

咲夜「卑怯……よ…」

鈴仙「あら、そこにいたの?まぁ、いいわ。今は、『遺体』よッ!!貴方が割り損ねたそのシャボンを使ってね」

 

浄夜さんの周りにはシャボンがあった。

危ない。浄夜さんが危ない。

だが、次の瞬間。その思想はなかった。

 

鈴仙「終わりよッ!!」

 

鈴仙が撃った弾幕。

それは、シャボンに当たる……筈だった。

 

鈴仙「なッ!?どう言うことッ!?」

浄夜「フゥーッ…俺の勝ちだ」

 

その光景に私とうどんげは驚いたッ!!

それは、シャボンが勝手に空へと飛んでいってる光景だったのだッ!!

 

鈴仙「指示はしてないッ!!何故勝手にッ!?」

浄夜「いつから、あんたのシャボンと思い込んでんのさ?」

鈴仙「ッ!?」

浄夜「フッフッフ…『ハウンド・ドッグ』ッ!!」

 

よく見ると、浄夜さんの下から、シャボン玉が出てきている。

察するに、うどんげの狂気で目が眩んだときに、そっとその『ハウンド・ドッグ』というのを発動させたのだろう。

 

鈴仙「だ、だけど、それがどうしたってのッ!?」

浄夜「こう言うことさ」

 

浄夜さんが指をならした。

同時に……

 

ドグオォォン……!!

 

空へと飛んでいったシャボンが爆発したッ!!

その音は、爆音ッ!!

 

浄夜「あんた、さっき永琳って人に『姫様』ってのを起こさないように言われていたな」

鈴仙「ッ!!」

 

ガラガラッ

 

戸が開く音。

 

浄夜「どうやら、その姫様がお目覚めになったよ……う…」

鈴仙「ひ、姫様ッ!!こ、これは、その…ッ!!」

 

そこにいたのは、長い黒髪の美少女だった。

その姿に、浄夜さんは言葉を失っていた。


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