神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
咲夜「浄夜さん……急所には当たってないですよね?」
浄夜「あ、あぁ…肩とか足とか、急所には当たってない…」
弾幕な為、血は出ていない。
どうやら、殺す気はないらしい。ただ、『遺体』が欲しいだけのよう。
今は、隠れて彼女の様子を見ている。
鈴仙「一体どこに……」
女性「一体何事!?」
永遠亭から出てきた女性。それは『八意永琳』だった。鈴仙・優曇華院・イナバ(以下うどんげ、台詞時鈴仙)の師匠であり、月人である。
鈴仙「え、わ、分かりません…誰かが永遠亭に来たと思ったら、誰もいなくて。でも、激しい戦闘音が響いているので、私が見に行きます」
永琳「気を付けてね。見つけ次第静めてちょうだい。『姫様』が起きたら大変よ」
そう言い残し、永琳は中へ入っていった。
浄夜「なぁ、咲夜さん。さっきの人が言っていた『姫様』って…?」
咲夜「え…う~ん、かぐや姫って分かります?」
浄夜「……まさか」
咲夜「そのまさかです」
それは、驚くのも無理はないです。
なにせ、お伽話かと思ったら、本当にあった話なんですから。
浄夜「フゥーッ……OK、落ち着こう。その…つまり、そいつはかぐや姫だと言いたいわけか?あの、お伽話の」
咲夜「えぇ」
浄夜「………ベネ。幻想郷は忘れられた者の行き着く場所だったな。忘れていたぜ」
意外にも、すんなりと受け入れていました。
普通じゃ考えられないのに。
浄夜「かぐや姫が幻想入りしたから、かぐや姫は幻想に……正確に言や、書物が残っていたからお伽話になったわけか」
咲夜「よく信じましたね?まぁ、そうなんですが…」
浄夜「幻想に概念なんて必要ない。必要なのはッ!!勇気ッ!!とだけ言っておこう」
なにやら、考えさせられる様なことを言いました。
勇気…それは何に対してか。恐怖?失敗?望み?それとも……過去?いや、全部か。
人によって変わるのだろう。浄夜さんの言う幻想は『喜び』にような意味だろう。
だが、ここからは私の単なる思いだが、『喜び』は『不安』を飛び越えてから掴めるモノだと思う。
『不安』…それに立ち向かう『勇気』。
咲夜「……勇気」
それが無くては、道は進めもしない。
ただただ後退りするだけ。
生き物は後退し過ぎると、目を隠して何も見ようとしない。だから……
浄夜「……フッ…さて、久しぶりにジョジョみたいなことを言ったところで、戦うか」
咲夜「え、でも…」
浄夜「まぁ、大丈夫さ」
足を引きずりながら、うどんげの方へと向かう。
あちらも気がついたようだ。
鈴仙「よくその状態で来れたわね」
浄夜「やらなきゃ、何も始まらない」
鈴仙「フフ、終わるわよ。始まりもしない。貴方に……勝算などないわッ!!」
周りにシャボンが飛んでる。
鈴仙「貴方の『遺体』は貰った」
ニヤリと笑いながら、弾幕を撃つ。
だが、笑っていたのは彼女だけじゃあない。浄夜さんもだった。
何故笑っているのか?答えは簡単だった。
パチンッ!!パチンバチンッ!!
シャボンが割れたときに気付いた。彼には…勝算があるッ!!
降ってきたナイフがシャボンを割った。
それは、私のナイフ。
咲夜「いつの間に…ッ!?」
私のナイフをパクったのだ。
浄夜さんは私に向かってウィンクをした。少し腹立たしい。
が、怒る気にはなれなかった。
鈴仙「…なッ!?……フフ、中々やるじゃないの」
浄夜「……」
浄夜さんはキョロキョロと周りを見ている。
誰か、若しくは何かを探している?
鈴仙「だけど、私には元々の能力が有るわ。あなたと違ってね」
咲夜「まさかッ!?」
刹那。彼女の瞳は紅かった。気が歪む。
彼女の『狂気を操る程度の能力』で、その場の気を狂わせたのだ。
浄夜「うッ!?」
思わず、膝を降ろした。
鈴仙「これで、ほとんど身動きはとれないはずよ。抵抗はできない」
咲夜「卑怯……よ…」
鈴仙「あら、そこにいたの?まぁ、いいわ。今は、『遺体』よッ!!貴方が割り損ねたそのシャボンを使ってね」
浄夜さんの周りにはシャボンがあった。
危ない。浄夜さんが危ない。
だが、次の瞬間。その思想はなかった。
鈴仙「終わりよッ!!」
鈴仙が撃った弾幕。
それは、シャボンに当たる……筈だった。
鈴仙「なッ!?どう言うことッ!?」
浄夜「フゥーッ…俺の勝ちだ」
その光景に私とうどんげは驚いたッ!!
それは、シャボンが勝手に空へと飛んでいってる光景だったのだッ!!
鈴仙「指示はしてないッ!!何故勝手にッ!?」
浄夜「いつから、あんたのシャボンと思い込んでんのさ?」
鈴仙「ッ!?」
浄夜「フッフッフ…『ハウンド・ドッグ』ッ!!」
よく見ると、浄夜さんの下から、シャボン玉が出てきている。
察するに、うどんげの狂気で目が眩んだときに、そっとその『ハウンド・ドッグ』というのを発動させたのだろう。
鈴仙「だ、だけど、それがどうしたってのッ!?」
浄夜「こう言うことさ」
浄夜さんが指をならした。
同時に……
ドグオォォン……!!
空へと飛んでいったシャボンが爆発したッ!!
その音は、爆音ッ!!
浄夜「あんた、さっき永琳って人に『姫様』ってのを起こさないように言われていたな」
鈴仙「ッ!!」
ガラガラッ
戸が開く音。
浄夜「どうやら、その姫様がお目覚めになったよ……う…」
鈴仙「ひ、姫様ッ!!こ、これは、その…ッ!!」
そこにいたのは、長い黒髪の美少女だった。
その姿に、浄夜さんは言葉を失っていた。