神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
さとり「にしても、こいしはいつになったら帰ってくるのかしら」
お燐「さぁ?分かりません」
さとり「うん…」
我が妹を待っているのだが、中々帰ってこない。
浄夜さんには、それっぽいのが居たら帰るように言ってくれと頼んだが……
さとり「…ハァ……あれ?」
お燐「どうかしました?」
さとり「なにか………いや、気のせいね」
お燐「?」
お空「う…んん……あれ…ここは……寝室?」
??「あ~あ、お目覚めかい?」
お空「え…?貴方は?」
??「烏天狗、とだけ言っておこうか」
私が寝ているベッドに腰を掛け、黒い髪を弄くっている男が居た。
さとり様が簡単に通すわけがない。きっと友人かなにかなのだろう。
??「しかし、君の寝顔は可愛いねぇ。今、ここで食べてやりたいが、生憎仕事中だからな」
お空「私に何の用……」
??「何の用?君にはないな~。あるのは『君の脊髄』さ」
お空「ッ!?」
どうして…遺体のことを知っている!?
困惑。何故なら、彼の首に『星形のアザ』がないからだ。
??「あ、もしかしてアザを探してる?じゃあ『漆黒の灰』の存在を知らないのかァ」
お空「漆黒の灰…?」
??「安心しな、命を取るつもりはない。盗るのは、『遺体』と君の心かな?なんちゃって」
お空「ふざけ…ないで…」
??「……自分で気付いてる?息苦しくなっているの」
言われてみれば、さっきより息苦しい。
なんだろう。この疲労感。
足になにか……ッ!?
そこにはッ!!烏に徐々に喰われている足があったッ!!
お空「う、うわ…ッ」
??「おいおい、叫ぶんじゃあねぇ。気付かれるだろうがよ」
口を塞がれ、注意するように人差し指を立て、顔を近付けた。
??「遺体をくれるだけでいい。そしたら、これ以上はしねぇ」
お空「んんッ!!」
??「しゃべるんじゃあねぇッ!!顔を縦に動かすか、横に動かすかでいいんだ」
お空「……」
お空は…横に動かした。
??「そうか……ま、いいや」
お空「え…」
アッサリと帰ろうとする烏天狗。
あまりにもアッサリとしていたため、逆に不気味だ。
お空「簡単に諦めるのね」
??「烏の俺が言うのもあれだが、お前鳥頭だなァ?」
お空「なにを……ッ!?」
彼は……彼の手には『ジョセフ・ジョースターの脊髄』があった。
何故、分かるか?無いからだ。私の背中にないのだ。『遺体』が。
お空「返せッ!!うッ…」
起き上がろうとするが、足に痛みが襲う。さっき、やられた足だ。
??「ふむ……やっぱ殺すか」
お空「ッ!?」
??「じゃあ死ぬ前に、俺のスタンドを教えてやるよ。『ライフ・ウィル・チェンジ』」
恐怖。それしかない。
誰か……助けて……ッ!!
??「じゃあな……
死んだ。そう思った。
さとり「なにをしているんですかッ!!」
??「…チッ。命拾いしたな。だが、これは貰っていくぜ」
さとり「待ちなさいッ!!」
??「じゃあな」
男は、なにか『ゲート』の様なものを開き、帰っていった。
さとり「何者なの……ッ!!お空ッ!!」
お空「さとり様ッ!!遺体が……遺体がァ!!」
さとり「それよりあなたの命よ!!無事でよかった……」
お空「うう……」
さとり「通信機で浄夜さんを呼んだわ。浄夜さんには悪いけど、多分すぐ来ると思うわ」
泣きじゃくるお空を抱き締め、そっと撫でる。
あのままでは危なかった。
浄夜「よし、治ったぞ」
お空「ありがとう」
足の治療を終え、本題へと戻る。
浄夜「にしても、『漆黒の灰』か……」
さとり「知っているのね………そう、パルスィさんが」
浄夜「心を読んでくれて助かる。あの時は正直辛かったし」
ッと、思い出に浸っている場合じゃあないな。
浄夜「男の種族は分かるか?」
お空「烏天狗って言ってた」
浄夜「なんだとッ!?烏天狗だァ!?」
まさか…いや、文が関係しているとは思えねぇし、思いたくもねぇ。
烏天狗の中に遺体を狙っている者が居る……もしかしたら烏天狗だけじゃあなく……
…深く考えるのはよそう。あまり深く考えていたら、思い込みが発生してしまう。それは避けなければ。
浄夜「分かった。他に、何か情報は?」
お空「スタンドの名前は『ライフ・ウィル・チェンジ』だったはず。能力や姿は分からない」
浄夜「ふむ……なるほど。分かった。ありがとう」
『遺体』を狙う者か……
浄夜「あれ、そういやこいしは?」
さとり「貴方に抱きついてます。というか、もう会ってたんですね」
浄夜「神社に居た」
さとり「あぁ、そうだったんですか」
心を読んだのか否かは分からないが、何か納得した様子だった。
こいし「浄夜さん。今日はここで寝泊まりしようよ」
浄夜「いや、流石に慣れた家に帰るよ。ありがとうな」
こいし「ムゥー」
と、あどけない顔で口を膨らませ、怒っていると言う意思表示をしてきた。
さとり「こら、こいし。浄夜さんが小さい女の子しか愛せない人だったらどうするの?」
浄夜「お?殺るか?」
さとり「ヤりません」
浄夜「文字変換をするなって何故そのネタを知っている!?」
さとり「悟り妖怪ですから」
浄夜「なるほど」
最早、漫才になりかけているため、万能言葉「なるほど」で会話を終わらせた。
キリがないからな。そろそろ帰らねば。
浄夜「じゃあな。烏天狗のことについては、こっちで調べとく」
さとり「感謝しといてあげます」
浄夜「上からかよ」
ドアを閉め、そのまま地下の出入り口に向かった。
結局、地下を出る頃には朝になっており、神社に帰るや否や俺は寝静まった。
スタンド 『ライフ・ウィル・チェンジ』
能力 ?????
元ネタ…ゲーム、ペルソナ5のBGM『Life Will Change』より。