神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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前回の続きも予定でしたが予定変更しました。
勝手なことをして申し訳ありません。

それではどうぞ!!


九つの頭のプライド

赤蛮奇「………」

 

私は…子供の人間達を屋根の上から見ている。

ふんッ、愚かしいわね。あんな幼稚な遊びでなにが楽しいのかしら?

全く、この私を見なさいよ。静かに、粋に、美しくこの幻想郷に生きて…

 

浄夜「こんなところでなにやってんの?」

赤蛮奇「ギニャアアアアアッ!?」

 

ガッシャァァァン……

 

盛大に転んでしまった。

 

浄夜「お、おいおい大丈夫か!?頭とれてるぞ!?」

赤蛮奇「ちょ、声デカイ!!妖怪ってばれる!!」

浄夜「あ、ごめん。なんだ轆轤首か…」

 

な、なによこいつ。全然怖がらないじゃない!!

頭とれてるぞ!?って、どういう反応よ!?「殺してしまったァァァ!!」とかじゃあないわけ!?

 

浄夜「殺してしまったァァァ!!」

赤蛮奇「おせぇよ!!てか、心を読むな!!」

浄夜「いやぁ、照れるなぁ」

赤蛮奇「誉めてねぇよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤蛮奇「貴方が、最近有名な悪霊使いね」

浄夜「スタンドな。樹条浄夜だ。宜しく」

赤蛮奇「赤蛮奇よ。見ての通り轆轤首よ」

浄夜「へぇ…でさ、あんな民家の屋根の上でなにやってたのさ?」

赤蛮奇「あそこの子供の人間達を見ていたわ。幼稚臭い遊びをしてなにが楽しいのか…」

浄夜「ふ~ん……」

赤蛮奇「な、なによ…文句ある?」

浄夜「いや、アイツとは違う種類の『ぼっち』だな~って思っただけ」

赤蛮奇「べ、別に友達なんて作りたくはないわよ!」

浄夜「へ~」

 

な、なんなのよ…ムカつくわね。

私は一人で十分だし…九つの頭も持ってるから話し相手入るもん………もん…

わ、私のプライドが許さないもの!!

 

浄夜「俺さ、さっきからこの『隠者の紫(ハーミットパープル)』で、君の心を見てるんだけどさ……」

赤蛮奇「へあっ!?」

 

浄夜は私に顔を近づけて…

 

浄夜「お前本当は友達欲しいだろ」

 

スゴくアホ臭いことを言った。

 

赤蛮奇「え~っと……うん…」

 

心を読まれてちゃ仕様がない。

素直に話そう。

 

浄夜「生きてた頃からそんな性格してたのか?」

赤蛮奇「えぇ…地位の高い身分だったから…親に愚民なんかと接するなって言われててさ」

浄夜「それはそれは…辛いな」

赤蛮奇「そんな環境だから、こんな変なプライドが出てきたのよ」

浄夜「ふむふむ……俺がそのプライドを治してあげよう」

赤蛮奇「ほ…本当に!?」

浄夜「ああ、ちょちょいのちょいでね」

赤蛮奇「嘘じゃあ無いわね?」

浄夜「そう怖い顔すんなって。俺を信じろよ」

 

信じろって言ったって…初対面の人を信じても意味がないわよ……

 

浄夜「じゃあいくぜ~」

赤蛮奇「え!?ちょまっ……」

浄夜「『ヘブンズ・ドアー』ッ!!」

 

ペラペラペラペラッ!!

 

浄夜「ふむふむ……早速、そのプライドが書いてあるページを破って……ン?これは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浄夜「さあ、早くあの子供達と遊ぼう」

赤蛮奇「で、でも……」

浄夜「お前の変なプライドはないんだ」

赤蛮奇「………うん……!」

 

 

私達は子供達の方へと歩み寄り…

 

赤蛮奇「ね、ねぇ。なにやってるの?良かったら私達も入れてくれないかしら?」

浄夜「ほら!!一緒に遊ぼう!!」

子供達「「「「いーーーーよーーーーー!!!!!」」」」

赤蛮奇「!!」

 

この瞬間に、私は思わず泣きそうになった…

でも、それを消し去る程の笑みが溢れてしまう。

嬉しい……

 

浄夜「良かったな」

赤蛮奇「うん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤蛮奇「ありがとうね…色々と」

浄夜「ン?なにがだ?」

赤蛮奇「惚けないでよ。プライドを治してくれて」

浄夜「え?俺、治してないよ」

 

…………………え?

 

赤蛮奇「ハァ!?治してないって……えぇ!?」

浄夜「最初は直そうと思ったよ。けど理由があるんだ」

赤蛮奇「り、理由?」

 

なによ理由って……

 

浄夜「お前の人生の記録から変なプライドについて書かれていたページを破ろうと思っていたんだが……そのページに唯一親に内緒で皆と遊んだことについて書かれていたページがあったんだよ。かくれんぼとか、お手玉とか、おはじきとか……」

赤蛮奇「……」

浄夜「そんな宝のような記憶……忘れたくないだろう?」

赤蛮奇「でも……貴方は嘘をついたわ。プライドを治すって言ったのに……」

浄夜「それについては、謝る。ゴメン。」

 

だから……人間は嫌なのよ……

 

浄夜「だが…」

赤蛮奇「え?」

浄夜「自分で治したじゃあないか。プライドを」

赤蛮奇「ッ!!」

浄夜「自分で、子供達に話したじゃあないか」

 

ああ、そうか……この人は、私の背中を押してくれた。

直接的じゃあないが、結局はプライドを治してくれた。

やばい…また涙が……

 

浄夜「はい、ハンカチ。泣くなよ。悪かったって、嘘をついてごめんよ」

赤蛮奇「違う…違うの……ありがとう……本当に…ありがとう!!」

浄夜「……ずっと辛かったんだな。自分を隠して生きてきたから……」

赤蛮奇「ううっ……」

浄夜「でももう独りじゃあない」

赤蛮奇「うん……」

浄夜「それじゃあな。俺はもう帰るぜ。今度また、どっかに遊びに行こうぜ」

赤蛮奇「うん!!待ってる」

 

そう言って浄夜はその場から去っていった。

……人間も嫌じゃあないなって思った。

また、会いたいな。


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