やはり俺のゾンビによる学園ラブコメなどやりたくなかった。   作:雄也

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1.平凡という有り難みを俺たちは今更知らされた。

1.

世界は、崩壊した。

「比企谷くん、右から数…約30!」

「由比ヶ浜、グレネードランチャー、撃てぇ!」

「発射!」

 

突如発生したパンデミック。

すべての生物は人間ではなく、いわゆるゾンビでもない。

人の形は変わっていないし、会話もしてるが、純粋な人間の肉を食う。彼らは身体は人間だが、その判別の仕方は1つだけある。

眼が赤くなるのだ。

白目も黒目も赤く染まる。

それも純粋な赤ではなく闇に近いダーククリムゾン。

彼らは自分たちの仲間か、純粋な人間かを匂いで判別するらしい。

おかげでここ、奉仕部部室にも沢山の〈敵〉が向かってきつつある。

彼らには知能はない。ついでに筋力もないので、扉は開けられない。

しかし、生徒会室の時には〈敵〉の圧力で扉が破壊された時には焦った。

その時は材木座と俺がソードスキルで全て蹴散らしたのだが。

材木座が教室に武器を持っていて助かった。何やってるんだ。

「ヒッキー、やったよ!」

「良くやったな、由比ヶ浜」

と言って頭を撫でる。

「えへへ、頑張ってよかった」

「雪ノ下もありがとうな」

「私は特に何もしてな……比企谷君!後ろから走ってく」

「………消えろ」

雪ノ下が言い終わるより早く、手持ち武器、SCAR-Lの5.56×45弾を発射。しかし奴らは亜種なのか、天井を走って来たので、多少驚いたが、撃ち落とした。

「ふぅ…」

「ごめんなさい、武器が握れなくてまかせっきりで……」

「いいんだ、お前は戦略担当なんだから」

「ふっ、そう言ってもらえると助かるわ」

「八幡!」

 

何か聞こえた気がする。耳鼻科行こうかな、いや、脳外科?まぁそれは置いておき

「由比ヶ浜、擲弾筒を撃つときは後方確認忘れずにな」

「あ、そうだった!」

「はーちまん!」

 

何も聞こえない。何も聞こえない。

「今度から気をつけろよ」

「うん!」

「はあぁぁちまあぁぁぁぁん!!」

 

はぁ、仕方がない。

「あ、材木座。お前大丈夫だったか?」

「一階部分にいた50体はすべてソードスキルで切り刻んだ」

「お、すげぇな」

「ふん、そりゃそうだ!我のスターバースト・ストリー」

「それで、これからどうする?」

「取り敢えず平塚先生と戸塚くんを待ちましょう」

「と、戸塚ぁ…大丈夫かなぁ…」

「ヒッキー、平塚先生は?」

「あの人は大丈夫だろ」

「扱い方がアレな気がするけど、否定できないわね。」

「ヒッキー!前から12、来たよ!」

「またかよ!由比ヶ浜、M16用意!

材木座、【ライトニング・ピアス】!」

「ふはははっ!このゴミどもが!剣豪将軍、材木座義輝が相手だ!

【猛き雷帝よ・極光の閃槍以て・刺し穿て】ーっ!」

材木座が魔術を発動し、敵を蹴散らす。串刺しになる敵ども。

てか、剣豪なんだから魔術頼るな。

「よし、由比ヶ浜撃て!」

タタタタタタタタタタッ

掃討完了。

「よし!良くやった、由比ヶ浜」

「えへへ〜」

「あれ、我は?ねぇ、ちょっと?」

由比ヶ浜を褒め、後ろで休んでる一色のところへ駆け寄る。

「一色、大丈夫か。」

「……だ、大丈、夫、です………。」

生徒会室の一件から一色はこんな調子に顔を青ざめさせ震えている。

無理もない。

こいつ以外が立ち直るのが早いのだ。さすがといえばそれまでなのだが。

それにこいつは生徒会長だ。

仲間同然である生徒を斬るのは多少の抵抗があるのだろう。

しかし、彼女の他にここには生徒会役員もいる。副会長や会計の男子はとても頼りになっている。

 

ここは、なんでもありの世界だ。

 

最早憲法や法律など存在していない。

そして、ゲームの世界の様にソードスキル、魔法、火器類、超能力など使える。

もちろん条件もある。

この状況に陥る前に、それらの事を知っていること。

俺と材木座はラノベや漫画をよく読むので大体のことは知ってる。

何故か由比ヶ浜が火器類の扱いを知っている理由は気にしない。

平塚先生は実戦じゃない実際に読みまくっているのだろう。

恐らく、この中では最強だろう。

戸塚も少し読んでいるのだそうだ。

雪ノ下は戦略担当。武器が持てないのではなく、そういう戦略や計略や罠などよく知っている。さすが知能派……。一体何読んでいるんだよ。

もしここが、VRMMOなら、話は簡単だ。しかし、俺らはそれは無いと断言できる。

 

なぜなら、俺らは部活をしているときに初の感染者を見つけたからだ。

俺の望むこの平凡な毎日は、もう既に失われてしまったのだ。

 

 

続く。

 


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