翌日のSHRは少し、驚きの声が上がっていた。
「では、一年一組代表は織斑くんに決定です。あ、一繋がりでいい感じですね!」
クラスはザワザワと騒ぎ始めた。当たり前といえば当たり前かも知れない。何故なら私と一夏は戦っていないのだから。
「先生、質問です」
「はい、織斑くん」
「俺は昨日の試合負けた上に、岸波とは戦ってすらいないんですが、なんでクラス代表になっているんでしょうか?」
「それは…」
「それはわたくしが辞退したからですわ!」
「そして、私も辞退したから」
「まあ、勝負はあなたの負けでしたが、しかしそれは考えてみれば当然のこと。なにせわたくしセシリア・オルコットが相手だったのですから。それは仕方の無いことですわ」
うん、呆気なかったよね。あの勝負。私がやってた試合がバカみたいじゃん。せっかくワンオフアビリティまで出したのに。
「それで、まあ、わたくしも大人げなく怒ったことを反省しまして。″一夏″さんにクラス代表を譲ることにしましたわ。やはりIS操縦には実戦が何よりの糧。クラス代表ともなれば戦いには事欠きませんもの」
「じゃあ岸波は?」
「私はセシリアのものの言い方に腹立ててかかっていったからね。そんな私がクラス代表になるのは相応しく無いと思ったの」
あ、こいつ今ありがた迷惑とか思ってるな?なんてわかりやすい表情をするんだ。
「いやあ、二人ともわかってるね!」
「そうだよねー。せっかく世界で唯一の男子がいるんだから、同じクラスになった以上持ち上げ無いとねー」
「私たちは貴重な経験を積める。他のクラスの子に情報が売れる。一粒で二度おいしいね、織斑くんは」
情報を売る!?なんて恐ろしい事を考えるんだこの人達は!?私は知ってる。情報のひとつひとつの重要さを。
マテリアルが無ければ私は負けていたかも知れない。
「そ、それでですわね。わたくしのように優秀かつエレガント、華麗にしてパーフェクトな人間がIS操縦を教えて差し上げれば、それはもうみるみるうちに成長を遂げ…」
優柔かつエレファント?加齢にしてパーフェクト?なに言ってるんだ?優柔な象で、年取っててカンペキ?意味わかんないよ。
バン!
うわ!なに?篠ノ之さん?
「あいにくだが、一夏の教官は足りている。私が、直接頼まれたからな」
わあ、すごい。あそこまで『私が』を強調するなんて
(俺は同じ初心者で強い岸波の方が気が楽で…)
ボソッと一夏が呟いたのを私は決して聞き逃さない。篠ノ之さんとセシリアは聞いてなかった見たいだけど。空気読めよ。
「あら、あなたはISランクCの篠ノ之さん。Aの私に何かご用かしら?」
「ら、ランクは関係無い!頼まれたのは私だ。い、一夏がどうしてもと懇願するからだ」
へえ、ランクCだったんだ〜。少し意外かも。因みに私はCだ。Cの上くらいらしい。
「え、箒ってランクCなのか…?」
「だ、だからランクは関係ないと言っている!」
「そうだよ〜。ランクは気にしない方が良いよ〜。だいたい、セシリアもCランクの人に負けてるからね〜」
「はあ!?わたくしがCに負ける!?そんなのありえませんわ!」
「私、ランクCなんだけど」
「え?ランクC?あなたが?」
「うん、そうだよ。だからISは実戦の立ち回り方の理解、様々な武装と技の応用さえしてれば勝率は安定するって事だよ。さらに機体が強ければほぼ勝ち確定って言っても良い」
ガラガラ!
あ、この二人ヤバいな。人間ドラムルート直行だ。
バシンバシン!
やっぱりね。
「座れ馬鹿ども」
毎度思うけどなんか生徒に対する接し方が厳し過ぎない?
バシン!
「その得意げな顔はなんだ。やめろ」
一夏がまたいつものシャレを考えていたらしい。顔に出やすいんだからやめとけば良いのに。
「お前たちのランクなどゴミだ。私からしたらどれも平等にひよっこだ。まだ殻も破れていない段階で優劣をつけようとするな」
さすがに貴方達は次元が違い過ぎるとおもうんですよ。なんですか?Sって?バカにしてるの?
「代表候補生でも一から勉強してもらうと前に言っただろう。くだらん揉め事は十代の特権だが、あいにく今は私の管轄時間だ。自重しろ」
すると、織斑先生はまた一夏の方へ向き直りバシン!とまたひと叩きした。
「……お前、今何か無礼なことを考えていただろう」
「そんなことはまったくありません」
「ほう」
バシン!バシン!
馬鹿だなぁ。叩かれるってのわかってるのに言うなんて。
「すみませんでした」
「わかればいい」
なんて暴力的なんだ?そしてなぜ一夏もバレてるのに気づかないのかな?
「クラス代表は織斑一夏。異存は無いな」
クラスからはーいという返事が揃ってかえっていた。とても団結出来ているいいクラスだと私は思う。
ありゃ?文字数が多いぞ?なんでだろ?まあいいや、次はセカンド幼なじみに続く話だね。よろしくお願いします!