ハクノン紅茶とIS世界で頑張るのん!   作:是・射殺す百頭

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とてもお久しぶりな気がします。今まで散々、「早く投稿するよう心がける」と言ってきて、結局口だけになってしまっていますね。本当に申し訳ないです。戦闘パートは表現が難しく、書いていると新しいアイディアが浮かんでそれを取り入れている間にどんどん時間が過ぎて行ってしまうのです………我ながら恥ずかしい限りです


本当に模擬戦?

「岸波。少し付き合え」

 

「はえ?」

 

授業が終わり、突然思いもよらない人物に声をかけられてまともな返答が出来なかった。

 

そう、先日トーナメントでペアを組むことを決めたドイツの代表候補生であるラウラ・ボーデヴィッヒさんだ。

 

「えーと、何か用事?」

 

そう聞くと、ボーデヴィッヒさんは不機嫌そうな表情を一瞬見せた後、その理由を語った。

 

「貴様の実力を私が直々に測ってやる。本番で情けない戦いをされても困るのでな」

 

「りょ、了解であります………」

 

実力を測るということは私がボーデヴィッヒさんと戦うということだろうか?マジで?

 

「よし、ついてこい。アリーナの準備は済ませている。もし腑抜けだと判断したのなら貴様をまともに使える操縦士に叩き直す。いいな?」

 

ギロリと睨みを効かされて、もはや蛇の前のカエルになってしまった。当然、私に拒否権はないのだろう。

やっぱりこのタイプの人は苦手だ………

 

「イエス、マム…………」

 

 

 

 

 

 

 

射出直前にボーデヴィッヒさんから通信が飛んでくる。

 

「ルールは通常の試合と同じく、シールドエネルギーが0になった方の敗北とする!」

 

「わかりました。それじゃあ、いきます!」

 

カタパルトによって射出された私の機体は宙を舞い、態勢を整える。

眼前には、2人の代表候補生を相手に圧倒してみせた強力な機体を見にまとったボーデヴィッヒさんがいる。そしてーーーー

 

「開始!」

 

彼女の号令で試験がスタートした。

 

スラスターで加速し、展開した干将・莫耶を振りかざす。相手は丸腰、速度もこちらが上だろう。

 

「はあっ!」

 

しかし、その双剣は彼女の腕部から突如として展開された光の刃によって容易く受け止められる。

 

「どうした?この程度か?」

 

そういいながら、刃を収めて私の鳩尾に左の拳を突き出す。

不意の行動に防御が遅れ、構えた両腕の隙間を拳がすり抜ける。

次の瞬間の衝撃に目を瞑るが、その時は訪れなかった。

 

「ふん!」

 

なんと彼女は防御しようとした腕を左腕を外に薙ぐことによって、弾いたのだ。

そして、残る右腕も同じように今度は右腕を使って弾かれる。

そう、これで胴がガラ空きだ。

彼女が狙っていたのは

 

「喰らえ!」

 

「くうっ!?」

 

その空いた胴に対して両腕の刃を展開し、外に薙いだ腕をハサミのように閉じてくる。

このままでは間違いなく直撃だ。

 

「くっ!だけど………!」

 

(アーチャー!脚部スラスターを吹かす瞬間だけPICをマニュアル操作に切り替えて!)

 

(了解した。かましてやれ。マスター)

 

PIC操作をマニュアル操作にするということは、姿勢制御なども全て自分でやることになる。つまりは精密な動作と引き換えに高い操縦技術を求められることになる。

普段はアーチャーに全てを任せていたが、その瞬間だけは自分でやるしかない。

これは、ブレーキがかかってはいけない。スラスターの推進力を100%で活かすための方法なのだ。

 

「うらぁッ!!」

 

一瞬、踵に付いているスラスターを最大出力で吹く。

少し吹かすだけなら、恐らく前にズレた程度で終わりだろう。だが、ほんの一瞬でも他でブレーキをしきれない程の出力で一箇所に集中して吹いたのなら?

答えは簡単だ。

 

「ぐっ!?うあ!」

 

体さえ支えることが出来るのなら

ある一点を軸として回転する。

 

後方に最大出力でスラスターを使用したことにより、脚部のみが高速で移動して上昇する。

その速度は両腕の刀身が私に到達するよりも断然早く、そして相手が防御する暇もなく加速した脚部は彼女の顎先に直撃した。

 

その結果、私は無傷で彼女は脳にかなりの振動が来たはずだ。

 

「ぐう!おお!!」

 

必死に頭を左右に振ることで、なんとか誤魔化そうとしている。だが、それでは隙だらけだ。

 

「せいっ!」

 

そのチャンスを見逃すほどの馬鹿ではない。

素早く弓に赤原猟犬(フルンディング)を展開し、放つ。

 

獲物は隙だらけの少女、狙うは必中の猟犬。

回避は叶わず、彼女は赤原を駆ける狂犬に食いつかれるだろう。

 

そう思った瞬間だった。

 

「ええい!小賢しい真似を!」

 

絶好の獲物だと認識していた少女は強くその手を緋の猟犬に向かい突き出す。

すると、その勢いがまるで嘘のように消え失せて停止する。

 

そして両腕の刃にその身を刻まれて消滅した。

 

「何………今の?」

 

(わからん。だが、恐らく何か結界のようなものを前面に展開したのだろう。君たちの世界における魔術………霊子ハッカーとまではいかないがあれもハッキングの類いかも知れん)

 

(なるほど…………そりゃ厄介だね………)

 

さっきのは前面に張っただけだった。つまりは現状ではどこまで張れるのかが不鮮明だ。

ならば、やることは1つ。だがいつもと同じでは恐らく無理だ。

私は手に携えていた双剣に同調を行う。

そして、そこにエネルギーを注入していく。するとそれに耐えきれなくなった刀身にヒビが入る。

 

「む……………なんだ…………?」

 

干将・莫耶を左右に投げる。

そしてもう1組の干将・莫耶を展開し、突っ込む。

何故、先程投げた物の刀身にヒビを入れたのか?

簡単だ。気を逸らさせる為(・・・・・・・・)

ISのハイパーセンサーによって視覚が強化されているため、恐らく彼女がそれを見逃すわけがないだろう。そして、その認識は多少なりとも油断に繋がるだろう。

 

鶴翼、欠落ヲ不ラズ(しんぎ むけつにしてばんじゃく)

 

「ふん、来るか………!」

 

加速をつけ、相手よりも高い位置に跳ぶ。

 

心技、泰山ニ到リ(ちから やまをぬき)

 

心技、黄河ヲ渡ル(つるぎ みずをわかつ)

唯名、別天ニ納メ(せいめい りきゅうにとどき)

 

両雄、共ニ命ヲ別ツ(われら ともにてんをいだかず)

 

「ッ!?なんだと!?」

 

彼女は気がつく。さっき私が投げた筈の剣が背後から迫っていることに。

そしてその剣の刀身のヒビが完全に消え、完全な状態に戻っていることに。

 

「舐めるな!レールカノンの餌食にしてやる!」

 

彼女は肩に直結したレールカノンを発射する。確かに凄まじい速度だが、なんてことはない。この程度なら簡単に叩き斬れる。

 

「はあっ!」

 

「弾丸を割っただと!?」

 

背後からは一対の双剣。前からは私が斬り込む。これが防御を許さぬ絶技。鶴翼三連だ。

 

両雄、共ニ命ヲ別ツ(われら ともにてんをいだかず)……!鶴翼三連!」

 

確実に捉えた。もう逃すものか!

 

「くっ!しかし、甘い!」

 

彼女がさっきと同じように体の前に腕をつきだした瞬間私の動きが空中で完全に静止したのだ。

 

(やっぱり使ってきた!でも、背後の剣は避けきれないはず!)

 

その確信は簡単に破れ去った。

 

「ワイヤーブレード!」

 

彼女の機体から射出されたワイヤーブレードは背後から迫る干将・莫耶を弾き飛ばした。

どうやらあれは彼女の意思で操れるらしい。

 

「そんな………!」

 

完全に当たったと確信した攻撃が防ぎきられた。今の状態では次の手も打てない。

さっきから空中に剣を展開しようとしてもうまくいかない。

 

(マスター。不味い状況になったな。手に持った干将・莫耶に魔力は籠められるか?)

 

試してみると、干将・莫耶の対魔力の効果の影響からか少しの動作くらいなら問題はない。

 

(出来るけど、なにを?)

 

(恐らくこのままではあの型のレールカノンを無防備な状態で受けかねない。だったら最小の範囲でその剣を爆破して裏に飛べ。そちらの方がまだマシだ)

 

(了解!)

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!!ぐっ!!」

 

「き、貴様!自分ごとッ!?」

 

なんとかあの結界から逃げ出すことが出来た。

そして新たに得たことも。

あの兵装は、武器だけでなく機体までも動きを止められるほどの強力なものだ。

しかし、その性質なのか恐らく展開できるのは一方向だけなのだろう。

物事には必ず綻びが生じる。完全なものなどこの世には存在していないのだ。

 

「へへへ…………ちょっとだけ痛かったけどね………でもその結界みたいなものの性質は掴んだよ!今度こそ逃がさないから!」

 

「なんだと……?停止結界を見破ったというのか?それもこんな短時間で……………いいだろう!面白い!そこまで言うのなら私を討ち果たしてみせろ!」

 

言われなくともそのつもりだ。

彼女のあの結界のような装備はたしかに他の物と比べても群を抜いて厄介だ。

しかし、あれほど強力な装備であれば何か使用にデメリットが発生するはずだ。

そしてそれは恐らく、かなり致命的な物でなくてはならない。

 

彼女は結界の使用中はほとんどその場から動くことはなかった。干将・莫耶が背後から迫った時には避ける動作する眼中に入れず、ワイヤーブレードで切り落とした。その際には、彼女は意識をこちらから外すことはなかった。

この2つから考察できるのは、恐らくあの装備を使用する時にはかなりの集中力を保たなければいけないということだ。

 

それなら集中をこちらでは無く、武器の方へ向けてしまえばいい。そうすれば私の最高の一撃を彼女に叩き込める。

ちょうど、それに相応しい剣(・・・・・)も出せるのだ。

 

「来ないならこちらから行くぞ?貴様の実力を鑑みるにどうやら受け身に徹する必要は無さそうだからな」

 

「ううん。攻めるのは私。貴女にはもう反撃の機会は与えないから!さあ行くよ!」

 

私は空中に私の知りうる中で最も強大な剣を展開した。

 

「な…………んだ………この剣は!?」

 

「この剣はただの空虚(から)創造工程(いみ)もなく、創造理念(なかみ)のないただの張子!だけど、その重みは偽の物であろうとも神代に至っている!

その身は千の山をも切り裂く!斬山剣!

虚・千山切り拓く翠の地平(イガリマ)!」

 

「馬鹿な!これほどのものが!?」

 

「この剣で、私は貴女という立ち塞がる山を切り拓く!」




気づけば時間が過ぎ、1年が過ぎようとしています。
今年の1年も色々なことがあって大変だったような楽しかったような気がします。
今年のfgoの福袋は友人と一緒に引きたいと思い、最低額分の魔法の林檎カードをプレゼントするのを約束したのです。

そういえば、ISのアーキタイプブレイカーがついにiOS版とAndroid版が配信開始されましたね(今更)
僕は新キャラのロランディーネちゃんがストライクでした。
催促するようで申し訳ないのですが、フレンドになっていただける方は次話の後書きに載せますので、そちらでお願いできたらと思います。

本当に1年が過ぎるのは早いですね…………
今年も本当にありがとうございました!こんな作品でよろしければどうか来年もお付き合い頂ければと思います!

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