ハクノン紅茶とIS世界で頑張るのん!   作:是・射殺す百頭

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サブタイトルで内容がわかりやすい気がする件について、
まあ、それは置いといて、投稿遅れてすみませんでした!
どうも勉強に集中しちゃって書く気になれなかったのです。私的な事情で投稿が遅れてしまい大変申し訳ございませんでした。


救う為の悪との契約

アリーナの中に入るとそれに気づいた一夏、凰さん、そしてあの乱入者がこちらに目を向けた。

 

「んな!?アンタは!?」

 

「白野!?どうやって入って来たんだ!?」

 

「ちょっとだけ破った!2人だけじゃ不安だから!協力するよ!」

 

やはり、このバリアを破るのは普通じゃ出来ないらしく、とても驚いている。

 

(おい、嬢ちゃん。アンタなら分かっている筈だ。アンタが加わった所でたかが人間3人程度でどうにかできる相手じゃねえってのは)

 

(わかってる。でも誰かが相手をして止めないといけないから。それで例え3人が全滅したとしても、他の人が助かるならそれで良い。それに私は、今は1人じゃないから。今の私は一騎当千の錬鉄の英雄だから)

 

(………そうか。なら俺は見物させて貰うとするよ)

 

どうやら手伝ってはくれない様だ。

まあ仕方ないと言えば仕方ない気もするが。

 

「で?どうするのよ?確かに3人なら倒せるかも知れないけど」

 

「ああ、だがあいつの攻撃は一撃一撃がヤバい。どうすればいいんだ?」

 

「大丈夫だよ。私達がいればなんとか出来る」

 

「ッ!来るぞ!」

 

3人の目の前を高出力ビームが通過する。この威力は確かに絶大だ。

 

「あっぶないわね!いきなり攻撃してくるんじゃないわよ!」

 

「そんなこと言ってもどうにもならないよ!それより、早く攻撃して足止めしないと!」

 

「あ、ああ!白野の言う通りだな!行くぞ鈴!」

 

私は、その敵の姿を近くで見るとその異様さに圧倒される。その2メートルはあるだろう巨体から伸びた、バリアを破る為に使われた高出力ビーム砲の砲口が、肥大化した両腕から左右で合計4つある。

 

その見た目は、普通のISではあり得ない『全身装甲(フル・スキン)』で、

あの聖杯戦争で戦った怪物である、

『ジャバウォック』を連想させる様な体格だった。(腕の大きさのバランスはリップの様だが)

 

「ちょっと!なにボケっとしてんのよ!攻撃して足止めしようって言ったのアンタでしょ!?」

 

「う、うん、ゴメン!」

 

考える事を止め、両手に剣を構える。

あれは恐らく、見た目通りだとするとあまりスピードは速くない筈だ。

 

「なあ白野。お前のさっきのアリーナのバリアを破った時に使った武器なら一撃で倒せるんじゃないか?」

 

「いや、あれは多分通じないよ。あれの威力は恐らく、あの両腕から撃てるビームと同じくらいの威力。だったら、真正面から撃たれたら無効化されちゃう。それにさっきのは、ギリギリまで威力を高めて撃った一撃。

だからーーーー、」

 

そう、そんなに威力を高める隙も無ければあれを何発も投影するSEはこの機体には無い。

 

『織斑くん!凰さん!岸波さん!今すぐアリーナから脱出してください!すぐに先生たちがISで制圧に行きます!』

 

そんな時に、山田先生から通信が入った。今すぐに逃げろとの事だが、先生が来るまで、誰がコイツを食い止める?そんな人は私たち以外にはいない。

 

「ーーーいや、先生たちが来るまで俺たちで食い止めます」

 

「それに、そう簡単に逃がしてくれるとは思えませんから」

 

「白野の言う通りだ。いいな、鈴」

 

「ふん!誰に言ってんのよ。もとよりそうするつもりに決まってんじゃない」

 

「ああ、そうだな」

 

『織斑くん!?だ、ダメですよ!生徒さんにもしもの事があったらーー』

 

次の瞬間、敵ISがこちらに突進して来た。私は逆に真っ向から向かって行き、すれ違いざまに背中に向かって干将・莫耶を投げつける。

 

命中はしたものの、殆どダメージは無かった様で、少しよろけた程度で終わった。だが、不思議なのは食らったらダメージは無くても衝撃は完全に防ぐ事は出来ない筈なのに、敵は呻き声ひとつあげる事は無かった。まるで、よく出来た機械の様に。

 

「ふん、向こうはやる気満々みたいね」

 

「「みたいだな(だね)」」

 

私が敵の背後に、他の2人が敵の正面を取る形の配置になった。

 

「一夏、あたしとあいつで援護するから突っ込みなさいよ。武器、それしかないんでしょ?」

 

「その通りだ。じゃあ、それで行くか」

 

作戦は、私と凰さんで援護し、一夏の攻撃で圧倒させる戦法らしい。

それを理解すると、すぐに黒塗りの弓を展開する。

 

私の手の中に収まっているこの剣は

赤原猟犬(フルンディング)」。

これは矢として放たれた場合は例え弾かれようと射手が健在かつ狙い続ける限り標的を襲い続ける、赤光を纏った魔弾と化す。

 

凰さんの衝撃砲の発射の直前に弦に番え、引き始める。

 

「発射!」

 

衝撃砲はいとも容易く、その巨大な腕に叩き落とされてしまう。しかし、引きつけには充分だ。

 

「赤原を行け…緋の猟犬!」

 

弓から放たれた魔弾と化した猟犬は、

衝撃砲と同じく簡単に弾かれる。しかし、それは無意味だ。弾かれた剣は、猟犬の名に恥じない追尾能力を持っている。弾かれた先で、旋回し方向を変え再び敵に向かって行く。

 

その予想外の軌道に対応仕切れないのか、赤原猟犬(フルンディング)はISの左肘に直撃する。

 

「ちょっと!?全く効いてないじゃない!なんて硬さよ!?」

 

「そんな……!?無傷だなんて!?」

 

「うおおお!喰らえ!!」

 

怯んだ隙に一夏が突っ込んで斬撃を食らわせる。

が、それも自由な状態の右腕に吹き飛ばされてしまう。

 

「うわああ!」

 

「「一夏!」」

 

やはり、かなりの強さを持っている。

3人でかかっても勝てるかわからない。

そう考えると焦りが湧き出てくる。

この状況はマズイ、早く逃げなければと

 

そんな焦りに呼応して私の動きはマイナスな事を考え始め、それに合わせて動きまで鈍ってくる。それを敵は見逃さなかった。

 

ピピッ!

 

気づくのが遅すぎた。敵の放ったビームは目の前に迫っていた。

 

「っ!?躱せない!」

 

干将と莫耶で防ぎはするが恐らく殆ど無意味だろう。この出力を受けきることは出来ない。

 

「くううう!ああっ!」

 

「白野!?」

 

「一夏!あのビームを真正面から受けのよ!あいつは!武器や装甲で防がれて死にはしないかもしれないけど、しばらくは気絶したままよ!」

 

そんな声が聞こえたが、それ以上の言葉が私に聞こえることは無かった。私の意識は、暗闇の中に落ちていった。

 

 

また暗闇だ。あの時の夢と同じ。暗闇の中に、ただ1人私だけが立っている。

 

「これはアヴェンジャーと会った時の……」

 

すると声が聞こえてくる。

 

「力が欲しいか?」

 

「え?」

 

「誰にも負けない程の強力な力が」

 

「力……?」

 

この声には聞き覚えがある。これは多分アヴェンジャーの声だ。

 

「ああ、力だ。何者にも負けない。全てを蹂躙する力」

 

「…………」

 

「どうした?答えよ。望むのならば汝に与えよう。その力を」

 

「私は……そんなの必要ない」

 

「…………ほう?」

 

「私が欲しいのは、誰かを傷つける力じゃないから」

 

「ほう、では汝は何を欲する?」

 

「私が本当に欲しいのは誰かを、いや、誰もを守り通し、幸福にする力。蹂躙する為の力なんていらない」

 

「そうか、では汝にその力を与えよう」

 

上から黒い泥が垂れてきて、それが人の形をとる。そしてちょうど手の様な形になった所を差し出してくる。

 

「その手を取れ。それが誓約の条件だ」

 

「……………」

 

私はその差し出された手を握った。

その力を使い、皆を守る。

その為に。

 

「ククッ!契約はここに完了した。これより、我は汝の剣となり盾となろう」

 

そこまでを言い切ると、その黒い泥で出来た人型が完全な姿を見せる。

 

「それが…あなたの本当の姿?」

 

「ああ、どうだい?ヤツに似てるだろう?」

 

似てるというより、エミヤシロウそのままなんですが……

 

「しかし、守る為の力か……よく言った。それでこそだ。それじゃ、そろそろ行くか。嬢ちゃんは終わるまで待ってな」

 

「うん、お願い。みんなを助けてあげて」

 

 

「クソ!このままじゃ少しギリギリになるかも知れない!」

 

「しょうがないでしょ!2人しかいないんだから!」

 

2人は、謎のISに苦戦していた。

すると気づかないうちに、その足元には真っ黒な泥が広がっていた。

 

「?なんだよ?この黒いの?」

 

「泥……みたいな感じね?一体どこから……ってあいつからじゃない!」

 

以前、倒れたままの白野から黒い泥が溢れ出している。

そして次の瞬間、その泥が白野の全身を包み込んだ。

 

「なっ!?なんだ!?白野を!?」

 

「包み込んだ!?一体何が起こってんのよ!?」

 

その変化が気になるのか、敵のISもそれを観察している様に見つめている。

 

そして、その泥から白野の体が出た。

その体にはISが、しかしアーチャーとは違う機体を身に纏っていた。

 

「なんだよ?あの機体?」

 

「知らないわよ!あんなの見たこと無いし!」

 

その雰囲気は全くの別物で、まるで別人の様だった。

 

「…………ふう、久しぶりだな。表に出てくんのもよ。さて、さっさと終わらせてやろうか」

 

「あいつ…なんか全然雰囲気違うわよ?」

 

「鈴、あいつは多分白野じゃない。あいつはあんなに凄みのあるオーラは出してないし多分出せない」

 

その白野の皮を被ったアヴェンジャーは、その手にしている異形の剣を構えた。

 

「こいよ!デカブツ!バラしてやるぜ!」

 

相対するは『異形』と『異型』。

ぶつかり合うは、互いに強大な力。

未知同士の戦いの火蓋が切って落とされる。

 

謎のISは、その両腕に取り付けられたビーム砲を放つ。

 

「もうその手は喰わないぜ?こいつにはこういう使い方があるんだ」

 

アヴェンジャーは、両手の指と指の間全てに干将と莫耶を交互に投影し、それを一気に敵機に向かい投げつける。するとそれは、ビームの射線上で重なり一つの盾となる。

 

そして、ビームがその盾に当たると次々と剣が砕け散っていく。

しかし、そのビームの威力は目の前で四散し、皆無となった。

 

〔…………………〕

 

「もう終わりか?んじゃ次はこっちから行くぜ?と言ってもやる事は殆ど無いけどな」

 

そういうと、アヴェンジャーは投影した剣でーーーーーーー、

 

 

 

 

 

 

 

 

自らの装甲を、皮膚を切り刻み始めた。

 




久しぶりに書いたら、白野と呼ぶところと岸波と呼ぶところを間違えそうになりました。
そういえば、今回の終盤登場した機体の武装のイラストを描いたのでよろしければどうぞ(アヴェンジャー用の干将莫耶の見た目が悪いのはすみません、手書きですので)

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