「……さてと、それじゃあそっちもとっとと終わらすとしますかね」
俺はそう言って信長へと向き直る。
「おいおい、この上お前まで加わるのか?過剰戦力もいいところだな」
信長はそう言って微笑する。
「ケハハハ!心配しないでもダンナの出るまでもなく終わらせてやんよ!『
「『バーニングサラマンダー』!!!」
「『
フリードが顎を模した影を、イッセーが炎の竜を、黒歌が五本の尾から鬼火を、それぞれ信長に向けて放った。
「……」スッ
すると信長は刀の柄を縦になるように持った。
「『壱の太刀』」
次の瞬間、信長は刀を地面に叩きつけた。すると凄まじい衝撃波が発生してイッセーたちの攻撃をかき消した。
「んな!?」「はぁ!?」「にゃんと!?」
大技ではないにしろ、自身の攻撃がかき消されたことに動揺するイッセーたち。
「どうした、もう終わりか?」
「っ!?…けっ!んなワケねえだろうが!」
そう言うとフリードは『魔鋏砕牙』を閉じた状態で構えて信長に迫る。
「『ソウルチョッパー』!!!」
相手の肉体だけでなく、魂までも切り裂く刃が信長に降り下ろされる。
ガキィィィィィィン!!
「なっ!?」
しかし、フリードの刃は信長の刀、『蛇鉄封神丸』によって防がれた。
「成る程、速いな。それだけでなく切っ先は的確に急所を捉えている。……だが、俺には届かん。」
「ちっ!」
「『鬼伸突』」
「グガッ!!!?」
信長の突きがフリードに突き刺さり、フリードは肺の空気を吐き出され木に叩きつけられる。
「フリード!!!?」
「さあ、次はーー、む?」
そこまで言い、信長は違和感を感じる。どういうわけか足が動かない。見ると、自分の影に黒い杭のような物が数本刺さっていた。
「『杭影』、ただじゃやられねぇよ。ケハハハ…ガッ」
「肺の空気吐き出した後に笑うんじゃねぇよ。黒歌、頼む」
「りょーかいにゃん」
フリードを黒歌に任せて、俺は信長に構える。
「フリードの働きを無駄にするな!やつに並の攻撃は効かん、出し惜しみはなしだ!」
「『紅蓮赤龍波』!!!」
「『ルイン・カノン』!!!」
「我々も行きますよ、ルフェイ!」
「はい!『
先ほどよりも巨大な炎の龍、高密度の消滅の魔力の砲弾、聖剣『コールブランド』の聖なる刃波、被弾と同時に炸裂する炎の矢が一斉に信長へと向かう。それぞれが並の魔獣なら跡形もなく消滅する威力だ。
「成る程、ここからでも解るそれぞれが凶悪な威力の技だ。ならば、『参の太刀 天守閣』!!!」
信長は再び刀を地面に叩きつける。すると瞬く間に信長の足元の地面が浮き上がり、岩でできた城が出来上がった。
「なぁっ!?城!?」
「動けぬなら、足場を動かすまでだ」
イッセーたちの攻撃は全て岩の城に当たり、城は倒壊。それと同時に信長の拘束も解除される。
「さて、そろそろこちらも反撃にーー」
「移れる余裕があるといいな」
「……何?」
突然の声に信長の言葉が遮られる。声のした方を見ると、上空にタンニーンと翼を展開して飛ぶヴァーリの姿があった。
「ヴァーリ!タンニーン!」
「よう、兄さん。さっき会場に変なやつが飛んで来てな」
「それで、飛んで来た方角を追ったところたどり着いたと言うわけだ。」
どうやら先ほどキントウン3号機に殴り飛ばされた美猴はヴァーリたちの警備していた会場に落ちたようだ。
「そうか、で、そいつは?」
「今朱乃ちゃんが縛り上げて尋問中」
「ああ、そうか……哀れな…」
「だな」
見ると他のみんなも頷いている。アーサー兄妹は首を傾げているが。
「やれやれ、裏切り者を捕らえるつもりが、仲間は捕まり、『白龍皇』に『魔龍聖』まで現れるとは、今日は厄日だな。」
信長はそう言いため息を吐く。
「で、お前はどうする?」
俺はそう言って信長に笑いかけてやると、信長はギョッとした顔をする。失敬なやつだ。
(出た~、アニキの悪役顔)
(久しぶりに見ましたが、相変わらず凶悪な顔ですね)
(この状況といい、どっちが悪人なのかしら)
(俺たちって……)
……なんか、うちの連中が意気消沈してるんですけど…
「う、うむ、今日のところは引き上げさせてもらうとしよう。」
「ほう、我々がみすみす逃がすと思うか、小僧」
「無論、俺一人では逃げるのは困難だろう……ゆえに」
すると、信長は懐に手をやり、中から漆黒の小さな画面のついた機械を取り出した。っておいおいおい、あれってまさか……
「リロード!トループモンズ!ゴーレモンズ!ムシャモンズ!そして、マッドレオモン!」
すると信長の手にある機械の画面が光り、その光から様々な怪物が現れた。ざっと数えると、全身が黒いゴムで包まれガスマスクを着けたやつが20体、岩でできた体に仮面を着けたゴーレムのようなやつが5体、鎧武者のようなやつが3体、そして紫色の赤い目をしたライオンのようなやつが1体。
「おいおいおい!『蛇鉄封神丸』って名前でなんか変だと思ったが、まんまデジモンじゃねぇか!?」
俺は思わず叫んでしまった。
「兄さん、こいつらを知っているのか?」
「っ!?…知っている、ということはお前、やはり…」
「ああ、だいたいお前の想像であってると思うぜ」
「っ!?……そう、か」
まったく、昔のあのカス野郎でだいたい予想はしていたが……三人目がいたとはな……
「信長様、この度はどの様なご用意でしょうか?」
「しゃべった!?」
紫色のライオン、マッドレオモンが信長に膝を折る。
「俺が撤退する間、奴らの足止めを任せる。いいな?」
「はっ!お任せ下さい!」
「そうはいかねぇ」
「? アニキ?」
俺はそう言って前に出る。
「予定が変わった。お前は俺が引っ捕らえる。」
俺は雷速で一気に信長に接近する。
「なっ!!!?のっ信長様!!」
「『インパクトノッキング』!!!」
「ふっ…『鬼神突』!!!」
俺の拳と信長の突きが衝突して、辺りに凄まじい衝撃波が発生する。
「なっ!?兄さんの雷速に反応しただと!?」
「一瞬とはいえ音速越えてるんだぞ!?あり得ねぇって!!」
イッセーやヴァーリが何か言っているが、全く耳に入らない。それほどにこの衝撃は大きかった。
「お前には聞きたい事がある!」
「それは俺もだが、それはまた今度だ。リロード、ファルコモン!」
信長は再び漆黒の機械、クロスローダーを取りだし、デジモンをリロードする。現れたのは、忍び装束を着た黒いミミズクのようなデジモンだった。
「さらばだ、
「『打竹落とし』!!!」
信長がそう言ったところでファルコモンは竹筒をばらまき、竹筒は爆発し、中から煙が立ち上がる。煙が晴れると、そこにはもう信長の姿はなかった。
感想等お待ちしております。次回、VSマッドレオモン、お楽しみに