「で、俺の相手はお前かい?」
俺は目の前で棒……恐らくはこの世界における如意棒を構えた美猴に尋ねる。
「そうだぜぃ偽物野郎!この美猴様がお前を……
「そうかい、伸びろ棒」
ドギュン!ボカッ!
「ウキィ!!?」
「んな!?」
「「「「「「出た、不意討ち」」」」」」
手の内につまようじぐらいのサイズに縮めてあった如意棒をノーモーションで顔面にお見舞いしてやる。
「て、てめえ……卑怯な……」
「甘いな、これは試合じゃない。ゴングなんざありゃしねえのよ」
「よっ!いっそ清々しいほどの外道っぷり!」
フリードが相槌を打つ。
「て、てめえ…い、いや!そんなことはこの際どうでもいい!おいてめえ!それをどうやって作りやがった!?」
美猴は俺の如意棒を指差し吠える(猿なのに)。
「作った?言っておくが、こいつはれっきとした
異世界の、だがな?
「んな!?うっ嘘をつけ!如意棒はこの!俺っちが爺からぶん取ったこの世にただ一本だけだぜぃ!」
美猴はそう言って手に持った如意棒を掲げる。
「だが本物なんだからしょうがねぇだろ」
「く、クソッ!ふざけやがって!金斗雲!」
すると美猴の足元に金色の雲が現れ美猴は宙に飛び上がった。
「ほほう、なら俺も、キントウン!」
「なに!?」
美猴は身構えるが、竜也の足元には一向に雲は現れない。
「あ……?ははっ!なんだぜぃ、ただのはったり……」
「どこを見てるんだ?ここだ」
「は?」
ドギュン!ボコッ!
「タマリン!?」
刹那、竜也が胸に着けた炎を模したようなワッペンから雲が飛び出し、またもや美猴の顔面に直撃した。撃墜され地面に落ちる美猴。
「ええぇぇぇぇ!?“ソレ”ってただのワッペンじゃなかったのかよ!?」
イッセーが驚きのあまりシャウトする。
「そう、“コレ”にはキントウンが収納してあるんだ。」
一同は再びキントウンに目を向ける。ふわふわと宙を漂うキントウンとそのそばで倒れ付し痙攣している美猴。
「よっしゃとどめだ。いけ、キントウン!」
「いけ?」
ニョキッ!!ボカッ!!
「なんだベァ!!?」
『『『ええぇ!!?』』』
するとキントウンから細長い手足が生えて美猴の顔をぶん殴った。
ドカバキドカガスボカスカドカガス!!
「ギャアアァァァァァァァ!!!」
「ええぇぇぇぇ!?雲から手足が生えて殴る蹴る等の暴行を加えとる!!?」
イッセーがまたもや驚きシャウトする。
「よし、もういいぞキントウン、戻れ」
そう言うとキントウンはてくてくと歩いて戻ってくる。その姿は雲にたれ目の顔があるって言うか雲全体が顔になっているようなフォルムでそこから細長い手足が生えており、額にあたる場所には4の文字がある。
「ぜぇ…ぜぇ…ぅおいてめえ!なんだそれ!?本当に
「うん?ああいかにも、こいつは、キントウン
俺は高らかに宣言する。
「4号機!?なんだそれ!?」
「え?格闘系のキントウンだけど、知らないの?」
「知るか!!他に何系があるんだよ!?てかなんだ4号って!?1~3号があるって前提か!?あるとしても1号から出せよ!意味わかんねぇだろ!!」ウガー!!
「あー、それがな、あのおっさんは『給料増やせ』だの『休み増やせ』だの不平不満が多いから“クビ”にしてやったんだ。」
竜也の頭の中にはハゲ頭でランニングシャツのおっさんの姿をしたキントウン1号に宿った精霊が浮かんでいた。
「えーーー!!?1号っておっさんなの!?しかも給料制!?」ドビーン
衝撃の事実に驚きを隠せない美猴。
「もう訳わかんねぇ!まとめてぶっとばしたらぁ!」
美猴は再び金斗雲に乗り空に飛び上がった。
「その前に俺がぶっ飛ばす。行くぞキントウン!」
竜也はキントウンの背中?に飛び乗る。そしてキントウン4号機は竜也を背負って走りだした。
「えぇ!?走っとる!?」ガボーン
またもやツッコミを入れるイッセー。
「飛ぶ前に助走がいるだけだ!さあ飛べキントウン!」
ゼェー…ゼェー…ハァ、ハァ、オェェェ―
「助走で息切れしてますけど!?」
イッセーのツッコミが入る
「おい!なんだそのザマは!?」
するとキントウン4号機はプラカードを取りだし、それにはこう書かれていた。
【いやぁ昨日、ヒック、飲み過ぎちゃって】
「いや二日酔い!?おっさんか!?」
これは竜也のツッコミである。
【失礼な!!ワシはまだ93才じゃ!おっさんじゃないわい!(*`Д´)ノ=3】
「93!?」
「こりゃ失礼、おじいさんってか、よくみたら顔赤っ!まだ酔ってるだろ!!」
ウィィ【とんでもヒックない!見てよこの足取り!!】
だが、キントウンの顔は確かに赤くなっており、足取りも完全に千鳥足である。
「フラッフラじゃねーーか!!」
【!!Σ(゜Д゜)】
「「?」」
オロロロロロ【き、気持ち悪い……やっぱ飲み過ぎた……】
と、書かれたプラカードを片手にゲロを吐くキントウン。もう何なんだこの物体は?
「あっはっは!どうしたどうした!?ぶっ飛ばすんじゃなかったか!?」
形成逆転とばかりに元気になる美猴。
「クソ!キントウンやってしまえ!」
オロロロロロ【ムリ】
「あっはっは!ムダだぜぃ!後ろ見てみろ♪」
ブロロロロロ!!ドカン!!
「チンパン!?」
「うんお前がな?」
すると美猴の後ろから4つのタイヤのついていて、先頭に2の文字がある雲が走って来て美猴を撥ね飛ばした。
「今度は雲にタイヤ着いとる!?」
「陸専用機のキントウン2号機だ。よくやった2号ーー」
ギュン!!ゴーーー!グシャ!!
【ギャァァァァァァァ!!】
2号機は竜也の呼びかけを無視してそのまま4号を轢いた。4号と2号はそのまま取っ組み合いの喧嘩を始める。
「な、なんなの……」
「2号と4号は仲悪いんだ」
キィィィィンドゴーーーン!!
【ギャアアァァァァァァァ!!!】
すると美猴は妖気の砲弾を2号と4号に飛ばし2機はまとめて吹っ飛んだ。
「あっはっは!これでもう飛べないぜぃ!さぁ!ここからは俺っちの独壇じょーーー」
そこまで言って美猴は気づく。急に自分の体が影に覆われたことに、下にいる竜也以外の全員が驚愕の表情で目を見開いていることを、そして後ろを振り向くと……………
『ガウ(ども)。』
全身黒塗りで、胸と額に3の文字が刻まれた巨大ロボの姿があった。
「なななななななななんじゃああああああぁぁぁぁぁぁああああああ!!!?」
美猴は叫んだ。もうこれ以上ないってぐらいに
「クハハハハハ!!!そいつはキントウン3号機だ!!」
「「「もはや雲のカケラもねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」」」
イッセー、フリード、そして美猴のツッコミが重なった。
「てゆーかどっから来たにゃ!?」
『ガウ(あっち)。』
黒歌のツッコミに律儀に答えるキントウン3号機。
「クソ!食らえってんだぜぃ!」
美猴はもうヤケクソ気味に妖気の砲弾を放つ。
パクッボフン!
「ウソーン!!?」ガビーン
しかし、美猴の砲弾は3号機にあっさり食われてしまった。しかもまったく堪えていない。
『(ニターーッ)』
「あ……あぁぁぁ………」
『ガウアーーー!!(キントウンパーンチ!!)』
ボカァァァァァァン!!!
「ウータァァァァァァーーーン!!!!」
3号機のパンチを食らい天高く吹っ飛ぶ美猴。
「き……キントウンって一体……何………?」キラーン
((((((さぁ?))))))
そう言い残し、美猴は冥界の空の彼方へと消え、ついに星になった。
感想等お待ちしております。次回VS信長!お楽しみに