我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

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訪問者と侵入者

俺たちはリアスの【探索】の反応のあった場所に黒歌に仙術で気配を消してもらい向かった。気配をたどって向かうと、そこには魔法使いの特徴であるとんがり帽子をかぶった少女を庇い剣を抜いた眼鏡を掛けた青年。そしてその剣の切っ先には、棍棒を構えた男と陣羽織を羽織り鞘の上から鎖が巻かれた刀を向ける男がいた。

 

「あいつら……」

 

「?」

 

「はぁ……まず俺とリアスで行く。お前たちはそのまま潜んでろ。」

 

「「「「了解」」」」

俺はリアスと共に茂みからゆっくりと出る。

 

「あなたたち、冥界の悪魔の領土でどういう了見なのかしら?」

 

リアスが高圧的に言う。

 

「うお!?なんだってんだ!?気配も感じなかったのにいきなり……」

 

棍棒を持った男は偉く驚いている様子だった。

 

「あっ!竜也さん!」

 

「おや、竜也君。」

 

「ルフェイ、アーサー、お前ら何やってんの?」

 

同じようにこちらに気がついた魔法使いの少女ルフェイと兄のアーサーが声をかける。

 

「タツヤ、彼らは知り合いなの?」

 

「ああ、アーサー・ペンドラゴンとその妹のルフェイ・ペンドラゴン。かの有名なアーサー王の子孫だよ。」

 

「なんですって!?」

 

リアスが驚き声を上げる。アーサーとルフェイは照れくさそうに苦笑いを浮かべている。

 

「以前世界を旅していた時に知り合ってね、今でも時々連絡を取り合っていたんだ。」

「あっ!?ああそうだぜぃ!『禍の団』の同行を内部から探るスパイといてな!けどまさか『魔源覇王』繋がってたとは……驚きだぜぃ」

一瞬呆けていた棒を持った男が思い出したと慌てて言う。

 

「お前ら……バレたのかよ」

 

「あはは……はい…近々合流しようと思い、冥界に向かったところつけられていた様で」

 

「連絡を取ろうとしたところでバレちゃいました」

 

「お前ら……はぁ、しょうがねぇ。ちょっと待ってろ、今助けるから。リアス、やるぞ。」

 

「わかったわ。上級悪魔クラスが四人から二人に減って数はこちらが有利、思ったより楽に片付きそうね。」

 

そう言って俺とリアスは構える。

 

「くくくっ、言ってくれるじゃあないか。あまり我々を嘗めるなよ。」

 

すると陣羽織を羽織った男が初めて口を開き刀をこちらに向ける。

 

「さて、まずは自己紹介と行こうか。俺の名前は織田信長。『禍の団』英雄派所属にしてそいつの元上司だ。」

 

陣羽織を羽織った男、織田信長が名乗る。

「織田信長……するってぇとかの有名な大六天魔王の子孫か。」

 

「はい、その通りです。英雄派は彼や私のような英雄の末裔によって構成された派閥です。」

 

織田信長と名乗った男に代わりアーサーが答える。

 

「てことは他にもお前らみたいな英雄の末裔が『禍の団』にはいるってのか?はぁ…嘆かわしいねぇ、ご先祖様が泣いてるぞ、おい。」

 

「あはは、耳が痛いです」

 

アーサーは苦笑いを浮かべて言う。

 

「俺っちは美猴ってんだ!闘戦勝仏の末裔の猿の妖怪だぜぃ!」

 

棒の男…美猴が棒を肩に担いで言う。

 

「闘戦勝仏……ってことは孫悟空か?おいおい、かつて名を馳せた連中の子孫が揃いも揃ってテロリストとは…世も末だな。」

 

俺はそう言いつつ神器を展開する。

 

「ま、名乗られたからにはこちらも名乗らないとな。『龍の紡ぐ絆』司令官、雷門竜也。少し規格外な一応人間の人外だ。」

 

「あなたは少しじゃ済まないでしょうに」

 

リアスからお決まりのツッコミをもらった。

 

「てか人間の人外って……ワケわからんな」

 

信長に呆れ顔で突っ込まれた。

 

「うるせ、ほれ、いいからかかってこいよ。相手してやるから」

 

俺はそう言って人差し指を前後する。

 

「くくくっ、ならば俺がお相手しよう。」

 

そう言って信長はこちらに刀を向ける。するとそれを美猴が手で制する。

 

「いんや信長、『魔源覇王』は俺っちがやるぜぃ。」

 

「む、何故だ美猴?」

 

信長が美猴に尋ねる。

 

「聞いた話じゃあいつ、かつて俺っちの爺、孫悟空が使っていた妖術、果ては如意棒の偽物まで持ってるって話じゃねぇの。どんな手を使ったかは知らねぇが、そんな偽物野郎を黙ってる訳にはいかないんだぜぃ!」

 

ああ、あれね。一応あれも()()なんだが……違う世界のだけど

 

「なるほど、良かろう。と、なると俺の相手はそこのお嬢さんか?」

 

信長は美猴の横に移動して退屈そうに言う。

 

「あら、女が相手なのは不服かしら?心配せずとも、私も伊達に『龍の紡ぐ絆』の『参謀』は名乗ってないわよ?」

 

「それに少なくとも退屈はさせねぇよ。お前ら、出ろ!」

 

「「「了解!!!」」」

 

俺の合図と共に茂みに潜んでいたイッセー、フリード、黒歌が飛び出す。

 

「見たところ、お前が一番やるようだからな。アーサー、ルフェイ、お前たちも加われ。」

 

「はい!」

 

「了解です」

 

アーサーたちはそう言ってリアスたちに加わり、信長を取り囲む。

 

「おいおい、多勢に無勢とは卑怯じゃないか?」

 

信長が刀の背で肩を叩き言う。

 

「へっ、悪いな。敵はサーチ&デストロイが俺たちの方針なんだよ」

 

「ケハハハ!犯罪者に人権は無いので~す☆」

 

「フルボッコだにゃん♪」

 

敵に情けの欠片もないやる気十分な『龍の紡ぐ絆』一同。

 

「気をつけて下さい。彼は『禍の団』の中でも相当の実力者です。」

 

アーサーが剣を構えて言う。

 

「ありがとう、でも心配には及ばないわ」

 

リアスはそう言ってアーサーから信長に目線を移し消滅の魔力を両手に纏う。

 

「くくくっ……良いだろう。まとめて相手をしてやる。この俺の神器、『蛇鉄封神丸』でな!」

 

そう言って信長は()()()()()()()()()刀を構える。戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 




だんだん染まってきた『龍の紡ぐ絆』一向。織田信長とは何者なのか?戦いの運命やいかに!?次回もお楽しみに

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