我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

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いや、何と言うか、ノリって怖いっすね


無双と暴走

 

時はさかのぼること数分前、ゼノヴィアは急旧校舎へと走っていた。

 

「ん?あれは…」

 

「三大勢力の者だ!撃ち取」

 

「退けぇ!!!」

 

キィィィィィィン!!!

 

「「「「ギャアァァァァァァ!!!?」」」」

 

「はぁ…はぁ…頼む……無事でいてくれ……ッ!!」

 

『禍の団』の魔法使いをデュランダルのオーラで吹き飛ばし、ゼノヴィアは走る。全ては仲間(MGドム)のために。

 

「はぁ…はぁ……ついた…」

 

ついにゼノヴィアは旧校舎に到着するが、旧校舎はテロリストの襲撃(を、返り討ちにしたギャスパーたちの一撃)によって、見るも無惨な姿と化していた。

 

「ッ!?………クソッ!無事でいてくれよ!」

 

ゼノヴィアは瓦礫を片っ端からかき分ける。

 

「ッ!…………あった!!!」

 

そしてついに見つけたMGドム。パーツごとにバラけてしまってはいるが、幸い重要な部分は無事だ。ゼノヴィアは戦闘そっちのけですぐさま組み立てにかかった。

 

「はぁはぁ……永かった…なぜだろうか?誰のものよりも輝いて見えるよ。同じなのに不思議なものだ。」

 

もはや完全に自分の世界の中だった。

 

「よし、後は頭だけ……さぁ…聞かせてくれ、心の起動お《ドン!!》……………へ?」

 

思わずすっとんきょうな声が出た。MGドムの胴体は横から体をかすめて飛んできた魔力弾によって見るも、無惨に粉砕された。

 

「ふふふ、戦場のど真ん中でボーッとするなんて、バカな子ね。」

 

魔力弾を飛ばしたと思われる魔法使いの女が嘲笑する。後ろから仲間の魔法使いがさらに五人現れる。

 

「……は…はは、おかしいな………?頭がうまくはまらないぞ………」

 

ゼノヴィアがどう頑張っても、胴体を失った頭はスカスカと虚しく空を切るのみ。

 

「ふふふ、さぁ、言い残すことはあるかしら?」

 

魔法使いたちは魔力弾を構成しゼノヴィアに向け構える。

 

「……………ふ、ふはは………」

「?」

 

「ふははははは、はーーははははははははははははははははははははははははッ!!!」

 

突然、ゼノヴィアは狂ったように笑い出した。

 

「な、なんだこいつ……?」

 

「あらあらかわいそうに、死の恐怖でおかしくなっ」

 

次の瞬間、旧校舎は跡形もなく消し飛んだ。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

竜也side

 

「………さて、こっちは片付いた事だし、向こうはどうなってるかな?」

 

縛り上げたカテレアをそこらに捨て置いて、俺が外で見たのは

 

ズガーーーン!!!ドカーーーーン!!!

ズドーーーン!!!チュドーーーン!!!

 

ズガガガガガガガガガガガガガガッ!!!

 

「ギャアァァァァァァァァ!!!?」

 

「イヤーーーーーーーーー!!!?」

 

「ヤメテェェェェェェェェ!!!?」

 

「タスケテェェェェェェェ!!!?」

 

「ママーーーーーーーーー!!!?」

「ひどいやーーーーーーー!!!?」

 

「ヒャッハーー!!!汚物は消毒だぜぇーーー!!!」

 

「悲しいけど……これって戦争なんすよねぇ」

 

「敵は殲滅慈悲はなし、ですよ?」

 

「モチコース!!」

 

「いかがですか?テロリストの皆さん。これが駒王の雷ですわ。」

 

「いいあなたたち!!逃げるやつはテロリストよ!!逃げないやつらはよく洗練されたテロリストよ!!まあとにかくサーチ&デストロォォォォォォォォイ!!!」

 

『『『『『『イエァァァァ!!!』』』』』』

 

「………なんだこの世紀末」

 

アザゼルが呟く。爆音が鳴り響き、激しい光が立ち込め、テロリストたちの断末魔の叫びが響き渡る。まさに阿鼻叫喚、死屍累々の地獄絵図であった。

 

「「「ガウッ!」」」

 

ふと、鳴き声のした方を向くと、魔獣モードのベルが3つの頭にそれぞれ何かくわえてやってきた。ベルはその何かをベシャッと下に落とし、光を放ちその姿を変える。

光が止むと、そこには長い黒髪をリボンでポニーテールにして束ね、大きめの胸を隠すのに巻かれた黒い布とホットパンツという開放的な服装に、犬耳としっぽを着けた中学生くらいの女の子がいた。

これぞベルが俺の調教という名の魔改造によって身につけた変身能力。人形モード、犬モード、魔獣モードの3つの姿になることができるのだ。

 

「ご主人様さまーー!」

 

「うおっと!お帰り、ベル」

 

ベルは人形になるとすぐに俺の胸に飛び込んで来た。俺はそれを優しく受け止める。

 

「ご主人さまご主人さま!ボクはたくさん敵をやっつけたぞ!ほめてほめて!」

 

「おーそうか~よしよし、ベルは賢いなぁ~♪」

 

俺が頭を撫でてやると、ベルは目を細めてしっぽを振る。

 

「クゥ~ン…ご主人さまのなでなでは気持ちいいぞ~♪もっとなでてご主人さま~」

 

「よしよ~し……ところでベル。お前さんがくわえて来たあのぼろ雑巾みたいなやつらは何だ?」

 

「んぁ?ああ、きゅーこーしゃってところで魔法使いを吹っ飛ばしたあとになんかこそこそやってたから捕まえたんだぞ!」

 

「ふーん、どれどれ……」

 

よく見るとそれは、ライザー、ジーク、ディオドラのストーカー三人衆であった。

 

「…………何してんのお前ら?」

 

ビクッ!!!「………や、やぁブラザー久しぶり」

 

「久しぶりじゃねぇよ。何でここにいんの?今の状況わかってるのか?」

 

「い、いやぁそれは……」

 

「…………まさか、お前らとうとうテロリストにまで身を堕としたんじゃねぇだろうな?」

 

「そんなわけないだろうが!いくら家から勘当されてストーカー行為を働いていようとそこまで落ちぶれてたまるか!!!」

 

「そうだ!だいたい犯罪ギリギリのラインでイタズラするのが楽しいんじゃないか!!!」クワッ!!

 

(((((十分身を落としてるだろ)))))

 

「じゃあ何でここにいるの?」

 

ギクッ!!「そ、それはええっと…………」

 

ふと目線を向けると、三人の腰に不自然に膨らんだウエストポーチが目に入った。

 

「…………お前ら、そのウエストポーチ何入ってるの?」

 

ドキッ!!「べっ別になにもぉ!」

「た、たいしたものは入ってないぞ!なぁ!?」

 

「う、うんうん!」ダラダラ

 

「………………………」ガサゴソ

 

「ちょっ!?止めて!勝手に開けないで!!!」

 

俺はジークの制止を無視してウエストポーチのチャックを開ける。すると、中にはブラやパンツなどの下着が詰め込まれていた。

 

「…………………………………これは?」

 

サッ!「「「…………………………………」」」

 

三人は目を反らす。どうやらこの騒ぎに乗じて下着ドロを働こうとしたらしい。

 

「ベル、食い殺せ」

 

「がーお♪」

 

「「「ギャァァァァァァァァァァァァァァ!!!」」」

 

さて、バカも葬り去ったことだしそろそろ終幕と………

 

『おまんら全員アホンダラじゃああああああああああああ!!!!!』

 

……はならないようだ。声のした方を向くと、校舎の頂上に立つゼノヴィアの姿があった。頭と腹にはダイナマイトが巻き付けられており、脇にはドムの遺影が抱えられている。

 

「こちとら命捨てる覚悟なんざぁとっくの昔に出来てるんでぇ!!三大勢力も和平会談も知るかぁ!!こうなったら私がこの世の全てに終止符を打ったらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

するとゼノヴィアの後方からバカでかいミサイルがゴゴゴゴゴッ!!!と音を立てて現れた。俺もイッセーたちもテロリストも魔王も天使長も堕天使総督も3バカも、全員が言葉を失い唖然とその光景を見つめていた。

 

「…………おい竜也、なんだありゃ?」

 

「……ヴァーリ?」

 

俺はゆっくりとヴァーリに顔を向ける。

 

「ああ、俺が前に暇潰しに作った世界を3べん焼き尽くす超破壊ミサイルだな。」

 

『『『『『『『………………………………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?』』』』』』』

 

ヴァーリ以外の全員が絶叫する。

 

「ちょっ!?おま!はぁぁぁ!?お前まじでぇ!!!?」

 

「なんちゅーもん作ってんだこのバカ息子ぉ!!!」

「いやちょっ!!!?ゴメンて!ほんの出来心なんだって!!!」

 

「出来心の暇潰しでんな破壊兵器作り出すなぁぁぁ!!!バカなのか天才なのかどっちなんだお前はぁぁぁぁ!!!」

 

「ギャアァァァァァァァァァァ!!!」

 

「ゼノヴィア!バカな真似は止めなさい!」

 

ヴァーリがイッセーとアザゼルたちに袋叩きにされる中、ミカエルさんはゼノヴィアの説得を試みる。

 

「あーーーはははははははははは!!破壊だぁ!!!世界は全て無に帰すのだぁ!!!」

 

あぁ、駄目だこりゃ。完全に理性が吹っ飛んでる。大方目の前でドムを破壊されたんだろう。

 

《爆発まで、あと30秒》

 

そうこうやってる間に破壊までのカウントダウンが始まった。

 

《25》

 

「おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!なんとかしろぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

《20》

 

「無理無理、あれ起動したら手動でしか停止できないもん」

 

《15》

 

「こんのバカ息子ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

《10》

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!もうダメだぁぁぁぁ!!!」

 

「おろろろろろろろろろろろろろろろ」

 

「死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない」

 

「狼狽えるなジーク!吐くなディオドラ!お前死なねぇだろうがライザー!て言うか何でいるんだよ3バカぁ!!!」

 

「夕麻ちゃーーーん!!!イリナーーー!!!愛してるよぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「「イッセー君ーーーーー!!!」」

 

「カーラマインさーーーん!君に出会えて良かったぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「裕斗様ーーー!!最後の時は一緒ですぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

「たっくーーーん!!!好きーーー!!結婚してーーーーー!!!」

 

「竜也ーーーーー!!!愛してるわーーーーー!!!」

 

「竜也さーーーーーーん!!!」

 

「竜也君ーーーーーーーー!!!」

 

「だぁりーーーーーん!!!白音ーーーーー!!!愛してるにゃーーーーー!!!」

 

『『『『『竜也(様)ーーーーー!!!』』』』』

 

《9》

 

「ゼノヴィアーーそれ使ったら全部まとめて吹っ飛ぶぞーーー」

 

《6》

 

「はははははは!!望むとこ」

 

「オモチャ屋やガンプラ工場も吹っ飛ぶぞ?」

 

「ーーーーーーーーッ!!!?」

 

《3、2………中断が選択されました。中断します》

 

「………………………………………あれ?」

 

「助かった……………………のか?」

 

全員が顔を上げ、やがてゼノヴィアの方に顔を向ける。

 

「………ああ!そうじゃないかっ!?……いやぁ、危ない危ない…」

 

『『『『『ダァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!?』』』』』

 

もう何度目か、全員がずっこけた。




ベルのモチーフはエンジェルマスターのケルベロスです。

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