我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

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重要報告と女装少年

授業参観後、雷門家にて父兄組は現在進行形で絶賛子供自慢中

 

「どうだ見ろ秀!ヴァーリが初めて俺の作業を手伝ってくれた時の写真だ!」

 

そう言ってアザゼルはスパナを持って一生懸命作業を手伝うヴァーリの写真を見せる。

 

「なんの!ならこっちはヴァーリと竜也の二人三脚の写真だ!」

 

負けじと竜也の父、秀はアルバムのページを見せつける。

 

「ふふん、ならば私のリーアたんの初晴れ舞台の写真を刮目せよ!」

 

「だったら私もー!ソーたんが私とペアルックの服を着てくれた時の写真見せちゃうもんねー☆」

 

そこへシスコン魔王二人が参戦する。

 

「ならば私は幼少期のイリナの七五三の写真を!」

 

「朱乃の初巫女姿には敵うまい!」

 

「だったら僕もイッセーの取って置きの写真を!」

 

さらにそこへ現役悪魔祓いのイリナの父、グリゴリ幹部で朱乃ちゃんの父バラキエル、そこに一般人であるイッセーの父まで加わってアルバムのページをめくり相手に見せつける。

本来なら敵対している三勢力の要人たちが、酒が回っているのもあるのか嬉々として自分の妹、息子、娘を自慢している。そしてそれぞれの隣で酒のお酌をしている奥様方。その光景は正しくカオス。

 

「………地獄だわ」

と、虚ろな目で呟くリアス

 

「ああ、地獄だ……」

とまた虚ろな目で同意するヴァーリ

 

「お父様……」ワナワナワナ

ワナワナと肩を震わす朱乃ちゃん

 

「ううぅ~お父さんってばもう………」

両手のひらで真っ赤にした顔を被うイリナ

 

「………………」

 

「お~い、イッセー生きてるか~?」

 

その中でも最も憔悴が激しく、真っ白になり床に突っ伏すイッセーを揺さぶる竜也。なぜこうなったかと言うと数分前、三勢力会談を控えいよいよ本格的に裏世界に関わることを感じたイッセーは、サーゼクスさんたちを交え、自分の両親に自分のことを包み隠さず洗いざらい話したのだが………

「……こちとら最悪拒絶されるのも覚悟して打ち明けたのに、何が『ああ、そうなんですか!いや~昔からどうも普通とは違う子だとは感じていたんですよ~』だよ……俺の覚悟を返してくれ……」

 

結果はイッセーの両親はあっさり認めてしまい、挙げ句は全員名前で呼び合うほど仲良くなる始末。ぶっちゃけこれ和平会談いらなくね?ってぐらいに……いや、まだ天使側がいないから駄目か……

そして完全な空回りに終わってしまったイッセーは完全に燃え尽きていた。

 

……さて、話すなら今か……

 

「みんな、重要な話しがある、基地に来てくれ。」

 

俺の何時にない真剣な言葉に、みんな羞恥も忘れ困惑した顔で顔を見合わせる。俺たちは秘密基地に移動した。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

地下秘密基地の奥深く、登録した者しか入れない秘密部屋に俺たちはいた。

 

「……それで、重要な話って何なのかしら? 」

 

リアスが俺に尋ねる

「前に言ったろ?俺はこの会談で色々やらかすって……具体的に何をやらかすかが決まった。心して聞いてくれ」

 

俺は今回の計画を包み隠さずみんなに話した

 

「………マジですか?」

 

「本気かよアニキ……」

 

俺の言葉に反応は様々、感嘆、呆気、困惑、喜び、驚愕……そして

 

「本気なのね?」

 

哀しみと葛藤

 

「ああ、本気だ」

 

「っ!!!?……」

 

俺の言葉にリアスは悲痛な顔をする。

 

「この選択で各々の人生が大きく左右される。強要はしない。けどよく考えて、後悔のないように決めてくれ。」

 

俺はみんなの顔を見回し、リアスの頬を撫でる。

 

「会談の日、答えを聞かせてくれ。」

 

『『『『『……了解』』』』』

 

「……わかったわ、必ず…必ずその時は答えを聞かせるから……」

 

「ああ、わかった」

 

その日、重い空気のまま解散となった

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「『僧侶』?リアスの『僧侶』は黒歌じゃないのか?」

 

「封印されてたのよ、詳しいことは着いてから話すわ。」

 

「朱乃ちゃんは知ってるのか?」

 

「はい、数回お会いしましたわ。」

「お友達になれるでしょうか?」

 

「心配するな、アーシアなら大丈夫だ」

 

俺たちは指定された部屋の前に着く。なんでも先日の授業参観の後、封印していた『僧侶』の解放許可をもらったらしい。なんでも今までその能力が危険視されてリアスでは扱いきれない為、上から封印するように言われていたそうだ。そしてその封印されている部屋、通称「開かずの部屋」なのだか……

 

「……なんかいかにもって感じだよな」

「今までスルーしてたけど……」

 

『kEEP OUT!!』のテープが何重にも貼られ、術式も厳重に敷かれたこの部屋、前から知ってはいたがあえて触れないようにしていた。

「一日中ここに住んでいるのよ。一応深夜には術式が解けて旧校舎内だけなら部屋から出てもいいのだけれど、中にいる子自信がそれを拒否してるの」

 

「それって完全にヒッキーじゃん」

 

「フリード君、そういうのは思っても言わないのがお約束だよ」

 

「扉を開けるわ」

 

朱乃ちゃんとリアスが術式を解除し、扉を開ける

 

「イヤアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァッ!!!!?」

 

とんでもない大絶叫が響き渡った。

「な、なんっすか今の……」

 

「頭割れるかと思った……」

 

「はぁ……入るわよ」

 

リアスはため息をつき朱乃ちゃんと一緒に扉に入る。

 

「ごきげんよう、元気そうで何よりだわ」

 

「な、な、何事なんですかぁぁぁぁ!!!?」

 

「あらあら、封印が解けたのですよ?もうお外に出てもいいんです。さあ、私たちと一緒に出ましょう?」

 

「やですぅぅぅぅぅぅ!!!ここがいいですぅぅぅぅ!!外に出たくないぃぃ!人に会いたくなぃぃぃぃぃ!!!」

 

「………重症だな」

 

「だな、対人恐怖症、引きこもりの典型だな」

 

ヴァーリが冷静に分析する。突っ立っててもしょうがないので、まずは俺とヴァーリ、イッセーが中に入り、残りは扉から覗き見ている。

カーテンが閉めきられた部屋、ぬいぐるみなどのかわいい装飾が多いが、そんな中で明らかに不自然なこれは……棺桶?

そしてリアスと朱乃ちゃんがいるその先には床にへたり込み、赤い瞳を涙で潤ませぶるぶる震える金髪の少…女?いや、駒王学園の女子生徒の制服きてるけどこれって……

 

「ひょー!金髪貧乳美少女!ソウキュー!」

 

「かわいいっ!なでなでしたいっ!」

 

「わ、私のアイデンティティーのピンチっす!?」

 

後ろで身を乗りだし騒ぐミッテルトとイリナとフリード

 

「おーいお前ら、喜んでるとこ悪いが」

 

「……こいつ多分男だぜ?」

 

「だな」

 

『……………はい?』

俺、イッセー、ヴァーリの言葉に古参のリアス眷族以外が全員固まる。ちらっとリアスを見ると無言でうなずいた。

 

「……っは!!!?い、いや、いやいやいやいやいやいや!!どっからどう見ても女の子でしょ!!!?」

 

「もーダンナったら冗談きっついなーもぅ!」

 

「本当よ、女装趣味があるの」

 

あ、何名か崩れ落ちた

 

「んなアホな……難易度高過ぎっしょ……」

 

とフリード

 

「神コノヤロウ……私に一体何の恨みがあると言うんすか……」

 

「落ち着けミッテルト」

 

「そんな……私よりかわいいのに男の子なんて……」

 

「だ、大丈夫だイリナ!お前にはお前の魅力があるだろう!?」

 

「イッセー君♡(ウルウル」

 

「……というよりあなたたちよくわかったわね?」

 

「俺は男性ホルモンの匂いで」

これは俺、

 

「俺はなんとなく気配で」

と、イッセー

「俺は骨格とか身体のつくりからだな」

と、ヴァーリ

 

「……もうなんでもありね、あなたたち三人は……」

「てか、何で誰も見ないのに女装してるんだ君は?」

 

「だ、だ、だ、だって女の子の服の方がかわいいんだもん!」

 

「金髪女装美少年………ジュルリ 」

 

「ハァハァ……ありだな…」

 

後ろの方で息を荒げるイザレラとカラワーナ

 

「ドーナシーク、カーラマイン、裕斗、連行しろ」

 

「「「了解」」」

 

「ちょっ!?離せドーナシーク!!」

 

「カーラマイン!私はヤらねばならない使命が!!」

 

「そんな使命ティッシュでくるんで捨ててしまえ」

 

二人はそのまま連行されて行った。

 

「と、と、と、ところで、後ろの人たちは誰ですか?」

 

「あなたが寝ている間に増えた眷族と協力者たちよ。」

 

「どうもはじめまして、俺の名は雷門 竜也。少し規格外な一応人間だ。よろしくどうぞ」

 

『『『『『竜也(様)(君)/(アニキ)(兄さん)(陛下)(ダンナ)は少しじゃすまないでしょ(だろう)』』』』』

 

全員にツッコまれた、失敬な

 

「リアス部長の『兵士』となった兵藤一誠だ。気軽にイッセーと呼んでくれ。」

 

「リアスの『僧侶』になった黒歌にゃん。同じ『僧侶』としてよろしくにゃん♪」

 

「元グリゴリ所属、現在は竜也様の配下でイッセー君の『正妻』の堕天使、天野夕麻よ。よろしくね?」

 

「なんで正妻を強調したんすか……同じく、ミッテルトっす。他にもドーナシークとカラワーナってやつがいるっす。」

 

「元教会所属の悪魔祓いで現在は竜也陛下の配下、ゼノヴィア・クァルタだ。よろしく頼む。」

 

「同じく、紫藤イリナよ。よろしくね♪」

 

「同じく元教会所属ってとこは合ってるけど、はぐれ悪魔祓いのフリード・セルゼンだぜ☆よろしく35!」

 

「だから4×9=36だっての」

 

「ちなみにこの他に元ライザー・フェニックスの眷族である『戦車』のイザレラと『騎士』のカーラマインと双子の『兵士』イルとネルがいる。」

 

「ヒィィィィィィィィィィィィィ!!!?ヒトがいっぱい増えてるぅぅぅぅ!!!」

 

………これは本当に重症だな、過去に何かトラウマでもあるのか?

 

「お願いだから外に出ましょう?ね?あなたはもう封印されなくてもいいのよ?」

 

「嫌ですぅぅぅぅ!!!僕に外の世界なんて無理なんだぁぁぁぁぁぁ!!!怖い!お外怖いぃ!!!どうせ僕が出ていっても迷惑かけるだけだよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「…………(イラッ」

 

あ、ヴァーリがイラついたな。こいつこういう事故否定してばっかのやつ嫌いだからなぁ……かと言う俺も少しイラッと来た。多分イッセーもだろう。

 

「…………おい」ギロッ

 

「ヒィィィィィィィ!!!」

 

少年の絶叫と同時に世界が停止した、悪魔で世界が……

 

「な、なんでみんな動いてるんですかぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 

そう、停止したのは世界だけ、俺たちは誰一人として止まっていない。

 

「どうして?んなもん俺たちがお前より強いからに決まってるだろう?」

ヴァーリが少し乱暴にいい放つ

 

「時間停止……神器か?」

 

「ええ、『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』よ」

 

ヴァーリの問い掛けにリアスが答える。ヴァーリはため息をつく

「『停止世界の邪眼』、書いて時のごとく世界の時間を止める神器。かなり強力な力だな」

 

「そ、それは……」

 

「だが精神があまりにも弱過ぎる、これでは暴走させてしまっても無理はない」

 

「おいヴァーリ!」

 

「だが事実だイッセー……本当にムカつく」

 

「うぅ……」

 

少年は涙目になりうつむく

 

「名前と種族は?」

 

「へ?」

「名前と種族は?自己紹介もまともにできないのか?」

 

「ぎ、ギャスパー・ヴラディですっ!!しゅ、種族は吸血鬼と人間のハーフです……」

「そうか……なあ兄さん、イッセー」

 

「俺はアニキの判断に任せるぜ?」

 

「そうか………リアス?」

 

「任せるわ、もともとこうなるとわかった上で来てもらったもの」

 

よし、了承はもらった。俺はヴァーリとイッセーに無言で頷く。

 

「……ギャスパー・ヴラディ」

 

「はっはい!《ダキッ》………へ?」

 

「強制連行」

 

俺はギャスパーを抱き抱えそのまま疾走する。ヴァーリとイッセーがあとに続く。

 

「い、イヤァァァァァァァァァァァァ!!!?」

 

ギャスパーの絶叫があとにひびいた




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