我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

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プール開きと水着

 

プール掃除も無事終わり、俺たちは早速泳ぐことにしたのだが、生徒会とドーナシークとカラワーナの教師は仕事があるからと帰ってしまった。匙のあの絶望と無念に染まった顔を俺は忘れない。(フリードとヴァーリは裏で爆笑してた)。ドーナシークは『プ~ルゥ~』と嘆くカラワーナを引っ張って行った、

現在、早く着替えた俺たち男子は女子たちが来るのを待っている。

 

「いや~、しかし待ちきれないねぇ。いっそ先に入っちゃう?」

 

待ちきれなくなったのか、フリードがそんなことをのたまった。

 

「アホ、こういう時黙って女子を待つのが男の務めってもんよ。銭湯しかりプールの着替えしかり。」

 

「そうだよフリード君。」

 

「黙って待つのが男の美徳だぜ?」

 

「かーー!いいよなダンナや木場ちんやイッセー君はよぉ、愛しのハニーがいるんだからさぁ。いいよいいよ!せっかくの高校生活だし、俺っちも彼女作っちゃうもんね!」

 

フリードはプールサイドに立ちポーシングをとる。どこからともなくババーンという効果音が聞こえて後ろに日の出模様が見えた。

 

「気を着けろよフリード、桐生は女子の皮を被った狼だぜ?」

 

イッセーはニヤニヤとした顔でフリードの肩をポンとたたく。

 

「心配ご無用!何故なら俺っちは美男子の皮を被ったケダモノだから!」

 

「何最低なこと言ってるんだ。」

 

ヴァーリはフリードに冷ややかに突っ込む。

 

「ちゅーかヴァーリくんはどうすんのよ?白にゃんに告白とかはしないわけ?」

 

フリードの発言にヴァーリは一気に顔を真っ赤にする。

 

「バッ!?おまっ、そんなすぐできるわけないだろ!……白音の気持ちもあるし………」

 

「私の気持ちがどうしたんですか?」

 

「どぅえ!!!?わっだっどわっ!?」バシャーン!!

 

いきなり本人に声をかけられたことに気が動転してプールに落ちるヴァーリ、そして必死に笑いをこらえるイッセーと指を指して爆笑するフリード。こいつら後でしばかれるな……

 

「大丈夫ですかヴァーリさん?」

 

「あ、ああ、大丈夫だ……」

 

白音にプールから引き上げられるヴァーリ、絵図からして逆だな。それを見てさらにバカ笑いするフリードととうとう耐えきれなくなったのか声を上げて笑うイッセーと苦笑する裕斗。

 

「すみません、急に声をかけて驚かせてしまい……」

 

「いや、いいんだ。俺もオーバーにリアクションし過ぎた。……それと、水着、似合ってるぞ。」

 

見ると、白音は上がタンクトップ状になったセパレート水着を着ていた。

 

「にゃ!?…あ、ありがとうございます……」

ヴァーリの言葉にほんのりと頬を赤く染め、あわてて顔を伏せて頭を猫手でくしくしとかく白音………案外脈ありなんじゃないか?

 

「「お兄ちゃーーーん!!!」」

 

「おわっ!?プールサイドで走ったら危ないだろうイル、ネル。」

 

俺に突撃してきたイルとネルをあわてて抱き止め注意する。いくら悪魔と言えど転んで怪我でもしたら大変だ。

 

「だってお兄ちゃんに早くイルとネルの水着見て欲しかったんだもーん☆」

「見て見てお兄ちゃん!今日のためにふたりで選んだの!」

 

見ると、イルは桜色、ネルはレモン色のフリルのついた可愛らしい水着を着ている。年相応のあどけなさがあり実にキュートだ。

「うん、二人ともとても似合ってるぞ。とってもキュートだ。」

「わーい!お兄ちゃんに誉められたー!」

「お兄ちゃんもっとなでなでして~」

二人の頭を撫でてやるともっと撫でてとせがんでくる。可愛いやつらめ。

 

「あらあら、どうやらお待たせしてたみたいですね。」

「ごめんなさいね、待たせちゃって。」

 

すると続々と着替え終わった女性陣がやってきた。リアスは自身の髪と同じ赤いビキニ、朱乃ちゃんは黒のビキニにオレンジのパレオを巻いた水着(ちなみにこれ、ビーチドレスとワンピースにもなる優れものである)、アーシアはピンク、ミッテルトは黒のフリルのついたビキニ、イザベラとカーラマインは競泳水着、ゼノヴィアはセパレート水着だった。

 

「どう?似合ってるかしら?」

 

「いかがでしょうか陛下、教会にいた時はこんなことに興味を持てなかったのですが…」

 

「悪いけど俺は不器用でね、あまり気の聞いたことはいえないが……みんなとても似合ってるぜ?実に魅力的だ。」

 

「うふふ、その言葉だけで十分よ♪」

 

「イッセー君イッセー君!どう、この水着!イッセー君のために買っちゃった♪ほら、イリナも!」

 

「うぅ~、待っててば夕麻ぁ……ど、どうかなイッセー君、似合ってる?」

 

見ると黒のビキニを着た夕麻と白のビキニを着たイリナがイッセーのもとに直行していた。あの決闘まがいの後、同じ男を愛するライバルかつ同士としてなんだかんだで仲良くなったようだ。ちなみに正妻は夕麻らしい。

 

「ああ!夕麻ちゃんは黒髪と相まって大人な魅力があってイリナは清楚な白がよく似合ってる、さすがは俺の女神たちだぜ!」

 

「そんな…女神なんて…キャー」

 

「もうイッセー君たら……大好き♡」

 

イリナの告白からイッセーもなんか吹っ切れたらしく、『二人とも一生全身全霊で愛し続ける』と、この前二人に宣言したそうだ。ちなみにあの修羅場を経験し『もうこれ以上増やす勇気は俺にはない』とのことだ。あと自身の発言を振り返って軽く自己嫌悪に陥ったらしい。……それなら四人と婚約してる俺はどうなるんだ……

 

「裕斗様…どうでしょうか?」

「うん、とっても素敵だよ、カーラマインさん//////」

 

「はぅっ!?あ、ありがとうございます////」

 

あの後、裕斗はカーラマインに正式に告白して二人は付き合うことになった。この前デートの仕方を聞かれた。正直今さらな感じがするが………

「だぁりーーん♪(むにゅ」

 

刹那聞き慣れた声が聞こえて俺の背中に柔らかい感触が…見ると黒のミニコンを巻いた着た黒歌が俺の背中に抱きついていた。

 

「く黒歌!?当たってる!当たってるから!」

 

「当ててるにゃん、もうだぁりんったらわかってるくせに♡」

 

黒歌はさらに俺にその胸をむにむにと押し付けてくる。お、俺の精神がゴリゴリと削られていくぅ……

 

「黒歌?あなたなにうらやまゲフン!…ハレンチなことをしてるの?」

 

「黒歌さん自重してください(私よりも先にやるなんて)」

 

リアスと朱乃ちゃんが背中からどす黒いオーラを放ちながら黒歌に言う……若干本音が見えたが…

 

「ぶ~いいじゃにゃいの朱乃~これでも去年よりも自重したにゃ」

 

「当たり前です。どこに市民プールにスリングショットを着てくる人がいるんですか」

 

『『『!!!?』』』

 

「す、スリングショットぉ!!!?パネェ!黒歌姉さんマジパネェ!」

 

「黙れフリード、こちとらあれで色々限界だったんだよ。」

 

そう、去年の夏休み、皆で行った市民プールで黒歌はあろうことかスリングショットを着てきたのだ。あの時は俺たち全員で説き伏せ、なんとかレンタルの水着で過ごしてもらった。

 

「「いい加減に……」」

 

すると二人から魔力が膨れ上がり手のひらに収縮していく。

 

「ちょ!?二人ともストップストップ!プール壊す気か!!!」

 

この後なんとか二人をなだめ、背中にオイルを塗ることで許してもらった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「よ~しその調子、そのままばた足を維持だ」

 

「は、はひ!」

 

「いいぞ、この様子ならそろそろビート板なりで一人で泳げるだろう」

 

「…はい、ありがとうございますヴァーリさん」

 

現在俺たちは泳げないアーシアと白音の泳ぎの練習を手伝っている。俺がアーシア、ヴァーリが白音の手を引いてばた足の練習をしている。

 

「兄さん、二人ともそろそろビート板で泳げるだろう」

 

「わかった、ちょっと取ってくる。」

 

俺は一旦プールから上がりビート板を取りに行く。

 

「?」

 

ふと見ると、パラソルの影で黄昏るゼノヴィアが目に入った。

 

「どうしたゼノヴィア、そんなとこで黄昏て」

 

「ああ陛下、どうも馴染めなくて、これまでこういった娯楽とは無縁だったもので……」

 

ゼノヴィアは苦笑して答える。まあ当然か、これまでは神に支えることが生きる目的の全てだったんだからな。

 

「それなら趣味でも作ってみたらどうだ?」

 

「趣味……ですか?」

 

「ああ、何か趣味の一つでもあったら少しは気が紛れるだろう。何なら今度一緒に玩具屋でも行くか?」

 

「陛下……はい!ありがたき幸せであります!」

 

「うん、よろしい」

 

この約束があんな悲劇に繋がるなんて、俺は知るよしもなかった。

 

 





次からはしばらく日常回を考えております。
感想など楽しみにしてます。次回もお楽しみに

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