我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

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激励と激昂

コカビエルの言い放った「神は死んでいた」という発言にその場にいた全員が衝撃を受けた。

「……嘘だ……嘘だ……」

「そんな、そんなバカなことある訳……」

 

ゼノヴィアとイリナ、声には出さないがアーシアも体を震わせ激しく動揺している。しかしコカビエルは非情にも言い放つ。

 

「本当だとも、先の三つ巴の大戦、そして二天龍との抗争の中で魔王だけでなく神も死んだのさ。」

 

その言葉にゼノヴィアはカランとデュランダルを落とし、イリナ、アーシアと共に崩れ落ちる。当然だ、今まで信じていた神が死んでいたと知り、心の支えを失ったのだから。

 

「アーシア!!!?イリナ!!!?」

 

俺はアーシアとイリナのもとに飛ぶ。

 

「そんな……そんなの……」

 

「神は、神はお亡くなりになったのですか?なら我々に向けられる愛は………」

 

「アーシア!!!イリナ!!!しっかりするんだ!!!」

 

「アーシアちゃん!!!イリナちゃん!!!」

 

「気をしっかり持つにゃ!!!」

 

俺たちはイリナとアーシアに必死に呼び掛ける。そんな中コカビエルはお構い無しに語らう。

 

「二つの陣営がトップを失い我ら堕天使の勝ちが見えたと言うのにアザゼルのやつはもう戦争はしないと宣い神器なんていうオモチャの研究に没頭してやがる。我慢ならないんだよ、振り上げた拳を収めるのは!!!」

「俺は再び戦争を起こす!そして今度こそ我ら堕天使が勝利を掴むのだ!!!」

 

……なんだそりゃ、そんな自分勝手な理屈でアーシアを……イリナを……俺の大切な恋人と友達を………

 

「……許さねぇ」

 

「うん?なんだ『魔源の創者』?」

 

「許さねぇぞコカビエル!!!てめえの身勝手な屁理屈で三大勢力を散々引っ掻き回し、俺の大事な恋人と友達を傷付けた!!!てめえは絶対に許さねぇ!!!」

 

「許さないのは俺たちもだ」

 

イッセーたち幼なじみ組が全身から怒りをほとばしらせ前に出る。

 

「よくもアーシアを、そしてイリナを!!!絶対に許さねぇぞコカビエル!!!焼き付くしてやる、俺の炎で消し炭にしてやる!!!」

 

「骨の髄まで氷付けにして粉々に切り刻んでやる!!!」

 

「今回は私もガチでキレたにゃ……」

 

「骨の欠片も残しませんわ……」

 

「私達もやるわよタツヤ、跡形もなくこの世から消し飛ばしてやるわ!!!」

 

リアスや白音達も憤怒の形相で前に出る。

 

「ああ、その前に……スゥゥ……ッアーシア!!!イリナ!!!ゼノヴィア!!!諦めるな!!!生きる希望を捨てるんじゃない!!!」

 

俺は出せる限りの声で3人に呼び掛ける。

 

「竜也君……だけど……だけど主はもう………」

 

「だからどうした!?神がいないと生きられないのか!?生きてちゃいけないのか!?違うだろうが!!!聖書の神はとっくの昔に死んでいた、だからなんだ!!!?お前も、俺たちもちゃんと生きている!!!みんな毎日を必死に生きているんだ!!!誰しもが当然に出来ることがお前らには出来ないのか!!!?」

 

「竜也さん………」

 

「竜也君………」

 

「竜也…殿……」

 

「支えがいるなら俺が!!!俺たちが支えてやる!!!生きているなら!心があるなら!踏ん張って!立ち上がって!必死になって!生きてみせろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

喉が張り裂けるぐらいの全身全霊の声で、俺は3人に呼び掛ける。すると3人の目に徐々に生気が戻ってきた。

 

「わたしは……わたしは立ちます!!!立って皆さんの傷を癒します!!!それがわたしの出来る唯一のことだから!!!」

 

「アーシアちゃん……私も、私も立って見せる!!!立ってイッセー君と添い遂げてやるんだからぁ!!!」

 

「イリナ……二人は立ったんだ!私がへたり込んでいてどうするんだ!!!」

 

アーシアが、イリナが、ゼノヴィアが、心を奮い立たせて立ち上がる。どうやらちゃんと届いたようだ。

 

「ハハハハ!!!素晴らしい!まるでシネマのワンシーンだ、感動したよ。」

 

そんな中、コカビエルは見下したように空気の読めない発言をする。

 

「なんだ、わざわざ待ってたのか?律儀なもんだ。」

 

「ふん、そんなつまらないまねをしてたまるか!こんなに楽しい殺し合いを!!!貴様らを正面から叩き潰し、手始めに悪魔勢力から潰してやる!!!」

 

「そうか、けど俺たちゃ最っ高に頭に来てるんだ。徹底的に潰してやるよ……禁手化ぁ!!!」

 

俺は『魔源の三首甲(ディアボリズム・トライヘッドギア)』の禁手の鎧をまとう。ダークシルバーの鎧を身にまとい、頭のヘッドギアの角は大きく伸び、両腕の甲にはそれぞれ龍の頭を模した砲身がついている。

 

「『魔源(ディアボリズム)覇王の(・ルーラー・)三頭鎧(トライヘッドメイル)』、てめえは全身全霊の一撃で沈めてやるよ。」

 

俺は両腕の砲身をコカビエルに向ける。

 

「フハハハハハ!!!素晴らしい!!!それがお前の禁手化か!!!?さぁ!俺を楽しませ」

 

「今だやったれべーやん!!!」

 

「承知!!!」シュバッ!!!

 

「何!!!?」

 

コカビエルがつらつらとほざいている間に、べーやんが一瞬でコカビエルの後ろに移動する。

「今回の件、わたくしもかなり頭に来ている。これで終わりだ!!!ベルゼブブ流究極奥義『ファイナルビッグベン』!!!」《ズドォォォォォン!!!》

 

べーやんの究極奥義がコカビエルに炸裂する。これでやつは終わった。

 

「ふん、こんなものなんとも《グギルュオォォォォ》ぬおぁぁ!!!?なんだこの強烈な便意はぁ!!!?」

 

「今だ、ぶちかませお前らぁ!!!」

「ま、ちょっまっ!!!?」

 

「『ファイボス・ブロウ』!!!」

 

「『クレセントハーケン』!!!」

 

「ガァァァァァァァ《グギュゴォォォォ》あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!?」

 

イッセーの太陽の豪炎を纏った必殺の拳とヴァーリの月光を纏った斬撃を食らってコカビエルはこちらに叩き落とされる。

「堕ちろやクソ堕天使!!!『ドラグスレイブ』!!!!」

 

「消し飛びなさい!!!『ルイン・ブラスタードレイク』!!!」

 

「聖と魔の相反する力が混ざり合い、スパークし、絶大な破壊力を得る!!!『デッド・オア・アライブ』!!!」

 

「デュランダルの輝きを味わえぇぇぇぇ!!!」

 

「『にゃんにゃん波』フルパワーにゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「『トップガン』フルパワーです!!!」

 

「燃え尽きろ!!!『ソルブラスター』!!!」

 

「骨の髄まで凍てつけ!!!『コキュートスブレス』!!!」

 

「私のブレスで消え失せろ!!!」

 

ズドガァァァァァァァァァァン!!!!!!

 

「グギィヤァァァァァァァァァァ!!!?《ぶり》あぁ……」

 

9人の必殺級の一撃を食らいコカビエルは上空で盛大に爆発し、コカビエルの羽が舞い散る。

 

「…………きたねぇ花火だ」

 

「うん、まあ確かに……」

 

そんなことを言っていると、コカビエルが上空から落下してくる。

 

「おや、あの威力じゃ跡形もなく消し飛んでると思ったんだけどなぁ」

 

ヴァーリが腕を組んでコカビエルを見下ろして言う。

 

「『非殺傷結界』だ。生け捕りにするようにアザゼルと約束したからな。」

 

すると俺の前にコカビエルの羽がヒラヒラと舞い落ち、俺はそれをつかむ。

 

「…………ちっ、きったねぇ羽だ。」

 

「ああ、アザゼルの美しい漆黒の羽とは比べるまでもない。」

 

「夕麻ちゃんの綺麗な濡れ羽色の羽とは雲泥の差だぜ。」

 

「お父様の凛々しい羽とは似ても似つかない薄汚れた羽ですわ。」

 

俺は羽を握り潰す。若干3人の間に火花が散っているような気がするがそっとしておくことにする。俺はコカビエルを『バインド』で厳重に縛りあげる。なんかちょっと臭かったので触れないようにした。

こうして聖剣事件は幕を閉じたのだった。




これにて聖剣編終局です。この章はかなり難産でした。主にセリフで、
感想など楽しみにお待ちしています。
次回はエピローグです。お楽しみに

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