「そろそろイッセーにも使い魔を持たせようかしらね。」
ストーカー事件からしばらくしたある日、朱乃ちゃんの入れた紅茶を飲んでいたリアスがふとそう口にした。
「使い魔っすか?」
「ええ、イッセーが悪魔になってからしばらく経つし、そろそろ頃合いかと思ったの。」
頭に?を浮かべるイッセーにリアスは説明する。
「……なるほど面白そうだな、俺たちもついて行っていいか?」
「ええ、もちろんいいわよ。むしろタツヤも誘うつもりだったから♪」
そう言ってリアスは俺の頭を撫でる。ちなみに俺の隣に座るのはみんなでローテーションして決めていて、今日はリアスの番なんだそうだ。
「てか竜也様、使い魔ならべーやんさんがいるんじゃないんすか?」
白音とお菓子を頬張っていたミッテルトが尋ねる。
「いや、べーやんはあくまで契約関係だからな。本人の前で言うなよ、キレるから。」
「はいっす。」
容易に想像できたのかミッテルトは素直に頷きまたお菓子を食べ始める。
「すみません部長、今日はカーラマインさんと剣の鍛練をする約束がありますので……」
木場が申し訳なさそうに手を上げてリアスに言う。
「いいのよ裕斗、約束なら仕方ないわ。」
「申し訳ない木場殿、私のために……」
今度はカーラマインが申し訳なさそうに木場に頭を下げる。
「いいんだよカーラマインさん。部長も許してくれたし、それに前から約束していたことだもの。」ナデナデ
ポンッ「はっはひぃ//////」
木場はカーラマインの頭を撫でカーラマインは顔を真っ赤にする。すると誰かがドアをノックする。
「どうぞ、入って。」
ガチャッ「失礼します。」
ドアを開けて入って来たのは生徒会会長の支取蒼那だった。
「リアス、生徒会長と知り合いだったのか?」
「ええ、昔からの幼なじみなの。」
「支取蒼那改めソーナ・シトリーです。どうぞよろしく。」
そう言って支取蒼那もといソーナ・シトリーは挨拶する。曰く、彼女は昼間の学校の管理を任されているらしく、彼女も新しい眷属を得たのでその眷属も同行させてもらうために来たそうだ。
「こちらがその眷属です。匙、挨拶を。」
「はい会長、俺は匙 元士郎、ソーナ・シトリー様の『兵士』です。よろしくお願いします。」
「ふ~ん、俺と同じ『兵士』なのか。」
イッセーが興味深そうに匙 元士郎と名乗った兵士を見る。
「ふふん、並みの『兵士』といっしょにしてもらっちゃ困るぜ?なんせ俺は『兵士』の駒を4つ使って転生したんだからな!」
匙は自慢気に言う。それならイッセーは一時的とは言え『変異の駒』2つなんだが。
「自分の実力をひけらかすのはやられの典型だぞ?」
「なっなんだと!?」
イッセーは呆れたように眉を寄せて匙に言い、匙はイッセーに食って掛かる。
「止めなさい匙。」
「ですが会長こいつが!」
「イッセー、変に挑発すんな。」
「……別にそんなつもりはなかったんだけど…」
匙は生徒会長に注意されるも食い下がるが、イッセーは俺が注意すると大人しく引き下がる。もともとケンカをふっかける気はなかったのだろう。
「……て言うかなんで人間のあんたがいるんだ、雷門竜也?」
匙が怪訝そうに俺に尋ねる。
「まあ俺も関係者ってことさな。」
「ええ、そうよ。そして私の最も愛しい人よ♪」
そう言ってリアスは両手を俺の腕に絡める。……なんか嬉しいような恥ずかしいような…見ると匙は面食らったような顔をしている。
「……はっ?まっまままままマジですかぁ!!!?」
「ええ、ちなみに両家の親公認よ♪」
「ええっ!!!?」ガビーン
匙はさらに驚き飛び退く。……えらくテンション高いなこいつ…
「そんな…バカな……あの落第生の雷門竜也ごときが……」
『『『『あぁ?』』』』
切な、部室の空気が凍りつき、匙に大量の殺気が向けられる。
「………おい、てめえ今なんつった?アニキがごときだぁ?」
イッセーが普段見せないようなドスの効いた声を出し匙を睨み付ける。
「えっ!?ちょっ!?な、なんだよお前急に…」
「あなた、匙と言ったかしら?」
そこにリアスが割って入る。だがその殺気はイッセーに負けず劣らず…というよりイッセー以上だ。
「よく覚えておきなさい匙、自信があるのは結構なことだけど度を過ぎればただの過信よ。せめて自分の身をわきまえた発言をしなさい。あんまり調子に乗ったことを言っていると………消し飛ばすわよ?」ガシッ
「はっはいぃぃぃ!!!すいまっせんしたあああぁぁぁ!!!」
リアスが匙の頭をひっつかみ恐ろしく低い声でそう告げると匙は凄まじいスピードで土下座し頭を床に擦り付ける。……いっいつものリアスじゃない……
「……なあみんな、俺のために怒ってくれるのは嬉しいけどそれくらいにしてやってくれ。俺は気にしてないから。」
「……そうね、少しやり過ぎたわ。ごめんなさいねソーナ、でも下僕のしつけはちゃんとしておきなさい。」
どうにかリアスはいつもの調子に戻り、みんなもなんとか殺気を納めてくれた。いやぁ、こうして見ると、俺って愛されてるんだなあ…
「えっええ、ごめんなさいリアス……と言うかあなた性格変わった?」
「そうかしら?…さて、それじゃあ行きましょうか。」
こうして俺たちは魔方陣で転移した。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「………へえ、ここが使い魔の森か。」
「ゲットだぜ!」
「「「うおっ!?」」」
魔方陣で使い魔の森とか言う薄暗い森に移転したと思ったら、野球帽をかぶりTシャツに短パンという少年のような格好をしたオッサンが現れた。
「俺の名はマダラタウンのザトゥージ!使い魔マスターを目指したいるんだぜぃ!」
「………リアス、冥界に精神病院ってあるか?」
「気持ちはわかるけど落ち着いてタツヤ、彼はこれで正常なの。」
「いきなりヒドイんだぜぃ!?」
聞けばこのザトゥージとやら、使い魔の森の生態調査的なことをやっているらしく、こうして新人悪魔に使い魔の森のガイドをしているらしいのだ。
「さて、どんな使い魔がご所望かな?強いの?速いの?それとも毒持ち?」
ザトゥージは気を取り直して使い魔の希望を聞く。
「……そうさな、オススメとかはないのか?」
俺はとりあえずオススメを聞いて見る。
「俺のオススメはこれだな!五大龍王の一体、『
『ほほう、ティアマットか。』『懐かしいな』『元気かな?』
(おやダハーカ、なんかえらく久しぶりに声を聞いたな。)
『ほっとけ、確かあいつはドライグのことをえらく嫌っていたな。』『赤龍帝ヤバいかも』『かわいそー』
(へえ、それまたなんで?)
『さぁ、それは我らも知らん。』『どうだろうね』『ドライグに聞いたら?』
「だな、おいみんな。」
俺はみんなにダハーカとの会話の内容を説明した。
「……ああ、道理でさっきからドライグが変にびくびくしてると思ったら……」
『知らない……ボク知らないもん……』
いや何やったんだよドライク。まあ十中八九昔の黒歴史のことだろうけど……
「……まあ、そんなわけでティアマットはなしで、」
「わかったんだぜぃ!じゃあとりあえずこの先に行くんだぜぃ!」
こうして俺たちは使い魔の森へと入って行った。
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