我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

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秘密と家族

前回、俺とヴァーリとイッセーと朱乃ちゃんで修行のためにディメンジョンARM『修練の門』をくぐった(と言うか落下した)のですが…

「「「「イヤァァァァァァァァァァ!!!!」」」」

 

未だに落ちています。

 

「ウオォォォ死ぬ!!このままじゃ死ぬ!!修行始まる前に死ぬぅぅぅぅ!!!?」

 

「キャアァァァァァァ竜也くぅぅぅん!!!!!」

 

「おぉおお落ち着けみんな!!!ヴァーリは神器を出せ!!朱乃ちゃんは堕天使の翼を!!イッセーは俺に捕まれ!!」

 

俺たちはそれぞれヴァーリは『白龍皇の光翼』を、朱乃ちゃんは堕天使の翼を展開し、俺は魔法『翼』(エーラ)の翼を出してイッセーの手をつかむ。

 

「あぁ、助か「フニャー!!!」ブフォッ!!!」

 

安心して一息つこうとすると、俺の顔面になんか黒いものが覆い被さる。

 

「ニャー」

 

「クー、お前も来たのか?…しょうがない、頼むから暴れないでくれよ?」

 

俺はクーを頭に乗せ、俺たちは少しずつ地面に降りて行く。

 

「ようっ!!お前ら待ってたぜ!!!」

 

地面に降り立つとそんな声が聞こえ、振り向くと、そこには色の黒いオッサン、……と言うかまんまメルヘヴンのアランさんがいた。

 

「…あの、あなたは一体?」

 

朱乃ちゃんが恐る恐る尋ねる。

 

「俺の名はアラン。言うなればここの管理人だな。お前たち五人にはこれからあることをしてもらうぜ。」

 

アランさんは俺たちに説明する。あることって何だろうか?……て言うか五人?

 

「あの…アランさん、俺たち四人なんですけど?」

 

「あん?ちゃんと五人いるだろうが、ほれ。」

 

そう言ってアランさんは俺の頭にいるクーを指差す。

 

「いや、あの、クーは猫なんですけど?…」

 

「あん?だって妖怪だろそいつ?」

 

「「「「えっ!!!」」」」

 

アランさんの言葉に俺たちは驚く。クーが妖怪?悪魔に追われていた時点でただの猫じゃないとは思ってたけどまさか妖怪とは……ん?黒猫で妖怪……てことはまさか!!!?

 

「ほらお前、いつまで正体隠してるつもりだ?どのみちこいつらが実力をつけりゃ遅かれ早かれバレんだろうが。」

 

アランさんがそう言うと、クーは俺の頭から降り、ドロンという音とともに煙に包まれ、煙から出てきたのは着物を着た女の子だった。

 

「にゃはは…とうとうバレちゃったにゃ…」

 

女の子は苦笑しながら言う…これってやっぱり

 

「……クーなんだよな?」

 

「そうだにゃご主人様、これが私の本当の姿、元妖怪で主を殺して逃げたはぐれ悪魔の黒歌だにゃ。」

 

やっぱりそうか!?まさかとは思ったけど本当に黒歌だったとは…思えばなんでこんなあからさまなヒントを見逃したのか…

 

「クーがはぐれ悪魔?」

 

「そんな……」

 

「嘘だろ……」

 

みんなはクーの真実に驚きを隠せないでいた。そりゃそうだよな。驚くよな普通は

 

「クー、お前なんではぐれになったんだ?何か理由があるんじゃないのか?」

 

「兄さん、理由って?」

 

「眷属悪魔がはぐれになるのは二つ理由がある。一つは力に溺れ主を殺してはぐれになるのと、もう一つは無理やり眷属にされて逃げたことだ。……だけど俺はクー…黒歌が力に溺れたとは思えない。」

 

「どうしてそう思うにゃ?」

 

「お前が俺の家族だから…ってことじゃ理由にならないか?」

 

「……ッ!!」

 

「クーいや黒歌、俺はお前を信じてる。もしお前が苦しんでいるのはなら助けてやりたい、力になりたい……それに俺には相手に無理やり口を割らせる魔法があるしな、効果はドライクで実証済だ。」

 

「にゃ!!!?わ、わかったにゃ、本当のことを話すにゃ。」

 

そして黒歌は語り出した、その昔、白音と言う妹と途方に暮れていたところをある悪魔に出会い、身の安全を保証する代わりに黒歌が眷属になったこと、妹のために力を奮ったが、主は彼女ら姉妹の仙術に目をつけ白音にも手を出そうとし、彼女ら姉妹を最悪使い潰そうとしていたこと、妹を思い、主を殺し、自分は力に溺れたことにしてはぐれ悪魔になったこと、はぐれ狩りの悪魔に追われ、傷つき倒れていたところを俺に拾われ飼い猫のクーとして今まで過ごしてきたことを………

 

「このままじゃいけないことはわかってた、ここにいちゃいけないことはわかってた、でも出来なかった。ご主人様の私を撫でてくれる手が心地よくて、ご主人様、お父さん、お母さん、ヴァーリちゃんといる時間があったかくて、だけどもうバレちゃった。もう私はみんなといっしょには……」

 

「黒歌!!!」

 

俺は黒歌を抱き締める。

 

「ご主人様……」

 

「黒歌、俺はお前を絶対に拒絶しない。お前はもう十分に苦しんだんだ。これ以上辛い思いをしなくてもいいんだ。それにお前は俺たちの大切な家族だ。俺は家族を絶対に見捨てない!!!!!」

 

「ああ、兄さんの言う通りだ!!!」

 

「私も力を貸しますわ!!!」

 

「もちろん俺もだ!!!」

 

「み…みんな……」

 

すると黒歌は涙をポロポロ流し

 

「ご主人様…私みんなといっしょにいていいの?ご主人様のそばにいていいの?」

 

「当たり前だろう、お前は俺の家族なんだから……」

 

「ご主人様……ご主人様ぁ!!!うわあぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」

 

黒歌は泣いた、これまでの苦しみを全部吐き出すかのように、俺たちはみんな黒歌を抱き締める。固く、固く、離さないように……

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「にゃはは、恥ずかしいところを見しちゃったにゃ…」

 

「気にするな、それだけ俺たちを信用してくれたってことだろう?俺は嬉しいよ?黒歌。」

 

「お~いお前ら終わったか~?」

 

すると向こうからアランさんが手を振りながらこっちに来る、あの人も気を使ってくれたんだろう。

 

「さてと、では改めてそちらの黒猫のお嬢さん、黒歌っつったか?お前さんはどうする?修行を受けるか?」

 

「にゃ、受けるにゃ、私もご主人様を守れるくらいに強くなりたいにゃ。」

 

「了解だお前も加わんな。……あと、俺にはあまり近づいてくれるなよ?」

 

「にゃ!!!?なんでにゃ!!!?」

 

「俺は猫アレルギーなんだよ!!!っとそれより、最初の試練が来たようだぜ?」

 

あっ、やっぱりそうなのか……て言うか試練?

俺たちはアランさんが指差す方を見ると細身の5体の鎧がガチャガチャと音を立てながらこちらに向かって来た。

 

「ガーディアンARM『リングアーマー』。とりあえずやつを一人一体倒してみな?」

 

なるほど、まずは腕試しと言ったところか

 

「んじゃ、ささっと終らすかねぇ!」

 

俺は雷の速さで鎧に近づき

 

「エレキナイフ!!!」

 

電撃をまとった手刀で鎧を真っ二つに切り裂いた。

 

「おお、すげぇ!!!」

 

「さすがは竜也君ですわ!!!」

 

「にゃはは、さすがだにゃご主人様!!」

 

「よっしゃ!俺たちも行くぜ!来い『赤龍帝の

籠手』!!!」

 

「俺もだ!来い『白龍皇の光翼』!!!」

 

「では私も!!!」

 

「やるにゃ!!!」

 

イッセーは『赤龍帝の籠手』で殴り飛ばし、ヴァーリは『白龍皇の光翼』で切り裂き、朱乃ちゃんは雷をまとった光の槍で貫き、黒歌は仙術で上がった身体能力で鎧を解体した。

 

「ほ~う、なかなかやるじゃねぇか?」

 

アランさんは感心したように言う。

 

「それで?俺たちはこれから何をするのですか?」

 

「待て待て、今説明する。」

 

するとアランさんはリングアーマーのいた場所に歩みより何かを拾い上げる。それは甲冑を模した銀の指輪だった。

 

「お前らにやってもらうのは宝探しだ。」

 

「宝探し?」

 

イッセーが言う。

 

「ああそうだ。お前らにはこれから二人一組でダンジョンに入ってもらう。ダンジョンの中には今みたいなガーディアンARMが徘徊しあらゆるトラップが仕掛けられている。お前たちにはその中に隠されたARMを探してもらう。」

 

「ARM?」

 

「そうだ、ウェポン、ガーディアン、ホーリー、ダークネス、ネイチャー、ディメンジョン、ゴーストなど数々のARMが隠されてある。3ヶ月の内により多く見つけたペアには特別ボーナスがあるぞ。」

 

「にゃにゃ!!!?なら私は竜也とペアになるにゃ♪」

 

「あっずるい!竜也君とペアになるのは私!!」

 

「残念ながらこいつはお前らとは別メニューだ。なんせ魔法だけでなく妖術に発電能力まであるんだ。よってこいつはお前らよりも難易度の高いダンジョンに入ってもらう。」

 

「そういうわけだ。悪いな二人とも。」

 

「にゃにゃ…それなら朱乃と組むにゃ。」

 

「しょうがありませんわね。」

 

「なら、俺はヴァーリとか…」

 

「よろしく頼むぜ?イッセー。」

「よっしゃ!ペアも決まったことだしそろそろダンジョンに転送するぜ!」

 

「おっとその前に……イッセーにヴァーリ、」

 

俺はイッセーとヴァーリにメモを渡す。

 

「……………兄さんこれって」

 

「おいおい…………」

 

『本気かこれは?』

 

『アジ・ダハーカ、お前の宿主はめちゃくちゃだな?』

 

『『『何を今さら』』』

 

「………とりあえず、終わったなら送るぞ?」

 

そうして俺たちは光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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