これは『龍の紡ぐ絆』初ライブ修了後のこと
「え~それでは、我々の初レーティングゲームが無事我々の勝利によって終わり、なおかつ初ライブの成功を祝って」
『『『『乾杯!!!!』』』』
ここは『龍の紡ぐ絆』地下基地の宴会場。竜也たちの参加した若手悪魔たちによるレーティングゲームが修了し、竜也たちは勝利の宴を行っていた。
「はい、イッセー君あーん♥」
「あーん♥」
「イッセー君、ジュースのお代わりは?」
「うん、注いでー♥」
「ハグハグハグハグモシャモシャモシャモシャゴキュゴキュゴキュゴキュムシャムシャムシャムシャバクバクバクバク」
「白音、もうちょっとゆっくり………いや、なんでもないにゃ……」
「フリードきさまぁ!!そのチキンは私のものだぁ!!」
「へへーん早い者勝ちですぅ~」
「クハハハ!………ん?」
ふと、竜也はどこかしずんたま朱乃の姿を見つける。
「よう朱乃ちゃん、楽しんでるかい?」
そう言って竜也は朱乃の隣に腰かける。
「ぁ、竜也君……え、ええ、楽しんでいますわ」
「嘘だね」
「え?」
「長年の付き合いの勘…かな?な~んか思い悩んでる感じがする」
「………ふふっ、竜也君に隠し事は出来ませんわね……」
そう言われて、朱乃は空になったグラスを見つめてポツリポツリと語り出す。ゲーム中、油断して攻撃を放ったところをソーナ眷属『女王』の椿姫の神器『
「どこか傲っていたのかもしれません。私は竜也君の女なんだ、負けるはずないんだと……その結果がこの不様な有り様。恐らくこのゲームの評価において、私はチームのマイナス点になっているでしょう。……そして、それはまた竜也君の…」
「てい」
「あうっ!?」
朱乃の語りは竜也の軽めのチョップで中断される。
「ま、失敗を反省するのは良いことだと思うよ?けど、それをいつまでも引きずるのはだめだ。」
「うぅ……」
「何、次で挽回すればいいさ。チャンスはいくらでもある。絶対大丈夫だ。お前は俺の自慢の仲間で、俺の惚れた女なんだから」
「竜也君……はい、そうですね。次で挽回してみせますわ♪……ありがとう、竜也君。」
「クハッ、いいさ。ほれ、んな辛気くさい顔してないで、今日はみんなで勝利を祝おうや。ほら、おひとつ」
「クスッ、頂きますわ♥」
そう言って竜也は近くにあった瓶を手にして、朱乃の空のグラスに注ぐ。
「へっ陛下!それはジュースではなく酒です!」
「えぇ!?」
ドーナシークの指摘に竜也は注いだ瓶を見る。フルーツの絵が描かれているが、よく見ると果汁を使用した酒と書いてあった。
「だっ大丈夫か朱乃ちゃ」
「注げ」
「え?」
言葉を遮られ、目の前に突き出されたグラスに、竜也は一瞬理解が追い付かず思考が停止する。
「注げ」
「えぇ……?」
朱乃の淡々とした今までにない粗っぽい物言いに、竜也は困惑する。
「注げ!」
「え、えぇっと……あ、朱乃ちゃ…」
「酒が足りねぇつってんだよぉ!樽ごと持ってこいやゴルァ!!!」
バリィィィィィィィィン!!!
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!?」
『『『ッッッ!!!?!?!??』』』
突如、朱乃は手元にあった酒瓶を掴んで竜也の頭を殴りつけた。よほどの力で殴ったのか、酒瓶は粉々に砕け竜也は撃沈する。その突然の凶行にその場にいた一同が唖然となる。
「おいてめぇ何寝てんだよ、夜はまだこれからだろうが!!」
そう言って朱乃は竜也に強烈な往復ビンタを叩き込む。
「ギャッ!?バッ!?ブッ!?ベッ!?ボッ!?ゴッ!?ガッ!?」
「え、ええええええええええええええ!?誰あれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
「おいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?どうなってんだこれぇ!?酒入ったとたんに別人になってんぞ!!?」
「竜也ぁぁぁぁぁぁぁ!!!竜也が殺されるぅぅぅぅぅぅ!!!」
朱乃の豹変に騒然となるイッセーたち。
「ちょっちょっちょっと待って!?あっ朱乃ちゃん!え?朱乃ちゃん?朱乃ちゃんだよねこれ!?俺チェンジとかしてないよね!?朱乃ちゃんが朱乃ちゃんだよねぇ!?」
「あぁ!?ったりめぇだろ!こちとらてめぇのためにこんなおめかしして酌してやってんだろぉが!!!殺すぞこの野郎!!!」
「い、いやてかまだお酌したの俺だけってギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!?」
そう言って朱乃はまた竜也をリンチにする。それを見ていたイッセーたちは、このままでは竜也の命が危ないと直感的に思ったが、自分に飛び火するのが恐くてだれも近づけないでいた。
「よ~しぃ、それじゃあ盛り上がってきたところでいっちょゲームでもすっかぁ~」
そう言って朱乃はフラフラと立ち上がる。
「ほれやんぞぉ~あっちむいてほい~負けたら一枚ずつ脱いでくやつな~」
「ちょっ!?朱乃ちゃん不味いってみんなもいるのに……っていねぇ!!?」
気がつけば、開場からは竜也と朱乃を残して皆いなくなっていた。そして、当のイッセーたちは宴会場の襖の隙間から二人を見守っていた。
『すまない兄さん、俺だちに今の朱乃ちゃんを止める勇気はない』
『み、見てはいけないものを見てしまったわ………』
『酒乱ってレベルじゃねぇぞあれ。まるっきり別人じゃねぇか』
『にしてもびっくりしたにゃあ~、朱乃の知られざる一面だにゃ』
「おらぁ、誰もいねぇんだからいいだろぉ?や~れ~よ~」
「ちょっや、やめ……!」
『うわぁ~、完全に飲み屋でホステスに絡むおっさんだよ』
『逆じゃね?絵面的に』
「あんだよ~、私の裸見たくねぇのかよ~~」
そう言って朱乃は服をずらして肩をはだけさせる。
「い、いやそういうこっちゃなくてさぁ……」
「……んふ~~、見たいんだぁ~~。エ~ロ~い~、たっくんエロ~~い♥」
「メンドクサッ!?朱乃ちゃんメンドクサッ!!」
朱乃の絡みに竜也は頭をかきむしりながら叫ぶ。
「んじゃ~~私が負けたら一枚ずつ脱いでくから~、お前も負けたら一枚ずつ脱いでけよ~、皮を」
「朱乃ちゃん!!辞書でフェアって字引いて!!赤線引いて!!」
「んじゃ~~行くぞ~~」
「聞けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「さいしょはぐー!じゃんけん」
「くそっ!」
「「ポン!」」
竜也 チョキ× 朱乃 グー○
「ゲッ!?」
「あっちゃ向いてオラァ!!」バキッ!!!
朱乃はグーを保ったままアッパーカットを放ち、竜也に炸裂する。
「朱乃ちゃんこれもうすでに罰になってるぅぅぅぅぅぅ!!!」
「じゃ~んけ~んポン!」
竜也 パー○ 朱乃 グー×
「よっしゃあ!あっちゃ向いてほ「ふんっ!」《バキッ!!!》あ"あ"あ"あ"あ"!!!朱乃ちゃんこれ俺勝ったけど結局これ俺負けてるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
朱乃は竜也が言い終わる前に竜也の指した人差し指を無理やりねじ曲げた。
「さいしょはグー!《バキッ!!!》「グボァ!!!」あっち向いてドーン!《ボカッ!!!》「がぺぇ!!!」」
こうして、あっち向いてほいという名のリンチが繰り広げられられること数分
「ゴクゴクゴク プッハァ!おぉい!なにぼーとしてんだよ。ほらぁ、酌してやっからお前も飲め」
そう言って朱乃はらっぱ飲みしていた酒瓶を突きだす。
「い、いや、俺、酒はちょっと……」
「いいから黙って飲めやぁ!」
「グボァ!?」
そう言って朱乃は竜也の口に酒瓶を無理やりねじ込んだ。
『お、おい!不味いぞ!アニキって……』
『ああ、ブランデーケーキ一口で気分が悪くなるほどの下呂だ』
『『『え!!!?』』』
案の定、竜也は顔を真っ赤にして倒れてしまった。
「あれぇ~?たっくんも~ダウン~?起~き~ろよ~、起きないと~襲っちゃうぞ~?」
『『『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』』』
『………………ま、まさか』
「……………………ジュル うへっ、うへへへへへへへへへへへへへ♥……いいの?え?これホントにいいのぉ?♥」
(((や、ヤる気だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!)))
『おいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!ヤバイぞこれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!このままじゃアニキの貞操の危機だぞ!!?』
『初体験が幼馴染みに襲われたなんて永遠のトラウマ物だぞ!!?』
『朱乃、竜也に欲情?』
『てか言ってる場合じゃないにゃ!』
『もう我慢ならないわ!行くわよみん……』
「おいお前ら、邪魔したら殺すぞ」
朱乃の据わった目から放たれるそれだけで人が殺せそうな視線を浴び、イッセーたちは一瞬で理解した。
(((一歩でも踏み入れたら殺られる!!?)))
「ん…んむぅ……」
すると、竜也がフラリと起き上がった。しかし、まだ酔いが回っているらしく、顔は真っ赤で目は虚ろだ。
「あれぇ~?たっくん起きちゃったの~?でも~、ここまできたらかんけ~ないよね~?んふ~では~いっただっきまっ《チュッ》んむぅ!?」
『『『!!!!!??』』』
竜也は朱乃を確認すると、突如朱乃に抱きつき唇を奪った。突然のことに朱乃は混乱し、そのまま押し倒されてしまう。
「チュッ チュッ チップッ チュパッ クチュッ チュッチュッチュ~~~~~」
「んっんみゅっふむぅ、ちょっ、ま、まって、たちゅやく、んっんっんぅ~~~~~~♥♥♥♥♥♥」
しばらくして、朱乃は数度痙攣し動かなくなった。
『『『・・・・・・・・・・・・・・』』』
その光景に、一部始終を見ていた『龍の紡ぐ絆』メンバーたちは、唖然として固まっていた。
「……………むふっ」
「え?」
それは一瞬のことだった。竜也がこちらをみて笑ったかと思ったら、気がつけば目の前に竜也の姿があり、そしてリアスが押し倒されていた。
「んむっ!?うっ ふぅっ あっ んっ んぅっ た、竜也ぁ…だめ…こんなの…ゃあ…あっあっあっあうぅ~~~~~~♥♥♥♥♥♥」
『『『・・・・・・・・・・・・・・・・・』』』
ムクッ「………………………………ふへっ」
『『『ッッッ!??!!!!?』』』
「にっ逃げろぉぉぉぉぉぉぉ!!!キス魔だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
『『『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!!』』』
「ふへへへへへへへへへへへへへへへへへっ!!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「……………ん、んん゛ぅ…………あれ?俺は……」
翌日、昼に差し掛かろうという時間に、竜也は目を覚ました。
「づぅっ!?あ、頭いてぇ……たしか俺……朱乃ちゃんに酒飲まされて……それから……だめだ、思い出せん……あの後なにが…………ん?ん!!?」
そこで、竜也が見たのは
「えへへへへへへぇ~~~♥竜也くぅ~~~~~ん♥♥♥」
「たちゅやぁ~~~ちゅきちゅき~~~~~♥♥♥」
「あひぃん……たちゅやしゃ~~~ん♥♥♥」
「にゃあ~~~ん♥♥だぁり~~~ん♥♥もっとちゅっちゅっ~~~♥♥♥」
「ん……竜也……我に欲情?」
「た、竜也様ぁ……激しいぃぃん♥♥♥」
「竜也様ぁ……こんなの知ったらぁ……もう……私、らめだぁ♥♥♥」
「「お、お兄ちゃぁぁん♥♥♥」」
「へ、陛下ぁぁぁぁん♥♥♥」
「ふ、ふふ……やったぞ……俺は守りぬいたぞ………!!」
「よがっだ……カーラマインさん……無事でよがっだぁ………」
自分の回りで惚けた表情で悶える『龍の紡ぐ絆』女性陣、ある者は壁やテーブルにめり込み、ある者は何かて頭を強打して気絶している男性陣、そして自分の思い人を抱き締めむせび泣くイッセーと木場……その状況はまさに死屍累々。
「………な、何だこれ?何だこれぇ!?何だこの状況!?い、一体なにが……」
「あ、起きたのか、兄さん」
ふと声のした方をみると、いつの間にかそこにはヴァーリが立っていた。
「ヴァ、ヴァーリ!?おいっ!何だこの状況!?一体昨日の宴会で何が……」
ヴァーリは、混乱する竜也の目の前に、水の入ったグラスを無言で差し出した。
「……………取り敢えず、飲みなよ。………俺も、昨日のことは、忘れるから」
死んだ魚のような目をしたヴァーリは、消え入りそうな声でそう言った。
「え?え、え゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええ!!!?」
グラスを手渡し、そのまま無言でヴァーリは立ち去る。
「い、一体昨日の晩に何が起きたんだ!?俺は一体何をしたんだ!!?誰かぁぁぁぁぁぁぁぁ教えてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
後に、その夜のことは『龍の紡ぐ絆悲劇の宴会』として団員たちに語り継がれることとなり、団員たちの間で竜也と朱乃に酒を飲ませることは硬く禁じられた。
おまけ
リアス「ねぇ竜也ぁ、こんどデートに行かない?二人っきりで、ね♥?」
朱乃「竜也くぅん、何だか竜也君を見てるととっても切ないんですのぉ♥」
アーシア「た、竜也さぁん、ふ、服を買いに行こうと思うんですが、た、竜也さんが、え、選んでくれません、か?/////」
黒歌「だぁり~ん♥ちゅ~、ちゅ~するにゃ~ん♥」
オーフィス「竜也、ちゅー、する?」
カラワーナ「た、竜也様、授業でわからない箇所などございませんか?も、もしよろしければ、こんど私と二人っきりで……/////」
イザベラ「竜也様、よろしければ組み手にご協力くださいませんか?………夜の」
イル「お、お兄ちゃぁん/////」
ネル「イルとネルとお散歩…いこ?/////」
ゼノヴィア「へ、陛下!私とガンプラ作りませんか!?/////」
竜也「…………なんか、あれ以来みんながえらく積極的になった……」
フリード「いや~、にしてもあの宴会は衝撃的だったな」
イッセー「ああ、まさか朱乃ちゃんが酒乱でアニキが酔ったらキス魔になるとは………酒ってこえぇな……」
フリード「それに見ろよあの被害者たちを、完全に堕ちてんぞ。どこのエロゲースキルだよ」
木場「あれ?そう言えはヴァーリ君は?」
イッセー「なんか精神的衰弱が激しいから白音ちゃんによる療養(?)中」
木場「そっか……尊い犠牲だったね」
イッセー「ああ、これから先、あんな悲劇が二度と繰り返されないようにしようぜ」
「「ああ」」