「また兄さんの突然の呼び出しか」
「今日は何なんだぁ?」
「新しい依頼って言ってたけど……」
現在、『龍の紡ぐ絆』メンバーは、竜也の召集命令を受けて地下秘密基地へと集結していた。そしてその中に何故かアザゼルの姿もあった。
「って、なんでいるんすかアザゼルさん」
「さぁ?なんでも、今回の件で少なからず関係してるから取り敢えず来いってよ」
そんな雑談をしていると、一同は会議室の扉に差し掛かった。扉に近づくと扉は自動で開き、中には竜也と竜也に連なり先に着いていたドーナシークの姿があった。
「諸君、よく来てくれた。それでは今回の仕事について説明しよう。」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「下着ドロぉ?」
茶菓子のクッキーをかじりながら、イッセーは竜也の言葉をおうむ返しする。
「ああ、最近巷を騒がせてるはぐれ悪魔で、名をスケール・サルガタナス。通称『ふんどし仮面』。赤いふんどしを頭にかぶり、ブリーフ一丁で闇夜を駆け、綺麗な娘の下着をかっさらい、それをモテない男にばらまくという妙なやつだ。」
「いや、なんだそら?鼠小僧の変態バージョン?」
困惑した表情を浮かべるイッセー
「なるほど、このパンツにはそんな意味が…」
「お前貰っとったんかいぃぃぃぃぃぃ!!」
見るとアザゼルの手にはパンツが握られていた。
「ケハハハハハ!!!そりゃあんた、モテない男と見なされた勲章だよ!」
「哀れだねぇ!ぷぷぷ~」
アザゼルを指差して大笑いするフリードとディオドラ。しかし、動いた拍子に懐からそれぞれ何かがこぼれ出た。
「おーい見えてるぞお前らー。モテない男の勲章がこぼれ落ちてるぞー」
「で、そのふんどし仮面とやらが駒王街に潜伏してる、と?」
朱乃の煎れた紅茶をすすり、ヴァーリは竜也に尋ねる。
「ああ、実際に被害者も出ている。そこで、俺らの出番という訳だ。」
きびつを返し幹部勢を見渡す竜也。しかし皆の反応は薄い。
「……アニキぃ、それって結局いつものはぐれ狩りだろ?しかも下着ドロて…モチベーション上がんねぇよ」
「これを見ても同じことが言えるか?」
「え?」
「ヘイカモン」
竜也の合図とともに、夕麻とイリナが部屋に入って来た。その表情はどこか沈んでいる。
「あれ?夕麻ちゃんにイリナ。いないと思ってたらどうし……」
その時、イッセーは何かを覚った。
「……ま、ましゃか…ふ、二人とも……」
「う、うん……」
「盗られちゃった…みたいなの、パンツ……」
「ぬぅわぁぁぁにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?!!?!!?」
イッセーは激怒した。そして、心に固く誓った。今は見ぬかの変態を必ずや血祭りにあげると。
「おのれぇぇぇふんどし仮面んんんんん!!!よくも俺の女神のパンツをぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!野ぁ郎ブッ殺してやぁるぅぅぅぅぅぅううううう!!!!!」
般若のごとき形相で絶叫し怒り狂うイッセー。あまりの怒りから額の血管は文字通りぶちギレ血が吹き出し、全身からは怒りの炎が立ち上がる。
「うお!あまりの怒りに人体発火した!?」
「これ以上刺激するな。何かに変身しそうだ。で、だ。このままだと駒王街中の娘達が被害にあうだろう。しかし、冥界、人間界共に民衆、特にモテない男達からなまじ人気があり、さらにはそいつの能力もあってなかなか捕まらないらしい。」
「ケッ、変態風情がいっぱしの義賊気取りか。……よし、今回は俺も協力する」
そう言うとアザゼルはフラりと立ち上がる。
「あ、アザゼルさん?」
「フザケンナ、フザケンナよ…俺はモテないんじゃねぇ!独身なんじゃああああああああ!!!」
ビリビリビリビリィ!
「「「「ああああああパンツゥゥゥ!!!」」」」
アザゼルは怒りに任せ手に持ったパンツをビリビリに破り捨てる。
「いくぞ野郎どもぉ!!」
「乙女の純情と男のプライドを踏みにじった白ブリーフを己の血で真っ赤に染めたらぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
『『『『お、お~~』』』』
「いや、勝手にしきんないでほしいんだけど……」
こうして、若干温度差はありながらも、作戦は開始されたのだった。
続く!