「『
「『ルイン・ウィップヒュドラ』!!!」
ソーナの放った水流が螺旋を描きリアスに迫るが、リアスは消滅の魔力によって作り出した九つの蛇の頭を操り、ソーナの水流をかき消した。
『……リアス・グレモリー様の『兵士』一名、並びに、ソーナ・シトリー様の『兵士』一名、共に戦闘不能。』
(っ!…どうやら二人は痛み分けに終わったようね)
戦闘中聞こえてきたグレイフィアのアナウンスに、リアスは奥歯を噛むが、直ぐに思考を切り替える。
リアスとソーナ、『王』同士のぶつかり合い、一見均衡に見えるこの戦いだが、徐々にリアスが押されていた。
ルールによって屋内では全力の出せないリアスに対し、ソーナは水を壁に纏わせて自身の力で破壊してしまうのを防いでいる。
リアスは、『造形魔法』によってなんとか渡り合ってはいるが、肉体的にも精神的にも徐々に疲労が積み重なっていた。
その時、リアスの足元の水が突然波打ち、リアスの足を絡め捕った。
「っ!?しまっ」
「『
その一瞬を逃さず、ソーナの放った水の斬激がリアスに迫る。
「っのぉ!『ルイン・シールドアーケロン』!!!」
リアスは、消滅の魔力で出来た海亀を模した盾で水の斬激を防ぐ。
「やっと隙を見せましたね!『
「っ!!」
しかし、それはソーナの陽動だった。ソーナはリアスの後ろから水を被せ、水の牢獄に閉じ込める。
「これで終わりです。『エアゼロ』」
「ぐっ!!…ぅぼぁ!?」
ソーナは水牢の水を操り空気を抜き取る。リアスは消滅の魔力で吹き飛ばそうとするが、水中で酸欠に陥り朦朧とする意識では上手く魔力を纏うことが出来ない。徐々にリアスの意識が薄れ行く。
「ーーーギリギリセーフね」
「なっ!?《ドスッ》ぁぐあ゛!!!?」
突然聞こえた声に反応し、ソーナが振り替えるより早く、光の矢がソーナの背に突き刺さる。悪魔にとって光は猛毒に等しい。ソーナはその凄まじい痛みのあまりに意識が乱れ、それにより水牢が弾けリアスは解放される。
「ゲホッ!ゲホッ!ゴホッ!~~~っはぁ!」
解放されたリアスは、飲み込んでしまった水を吐き出し、すんでのところで意識を取り戻した。
「なんとか間に合ったみたいね、リアス。」
ソーナに向けて矢を放った者、夕麻がリアスに話しかける。
「ハァ…ハァ…ええ、ありがとう夕麻。あぶないところだったわ。」
息も絶え絶えではあるが、リアスは夕麻に返事を返す。
「う…ぐぁ…な、なぜ…ここに…?外には椿姫たちが……」
ソーナは激痛に苦しみながらも立ち上がり、夕麻に問い掛ける。
「外では白音や木場たちが全力で抑えこんでくれているわ。そのおかげで私はここまでこれた。」
『ソーナ・シトリー様の『女王』、『騎士』、並びにリアス・グレモリー様の『女王』、戦闘不能。』
そこにグレイフィアのアナウンスが入る。
「……どうやらこのゲームも大詰めみたいね。リアス、二人でソーナを倒すわよ!」
夕麻は光の弓矢を構える。
「……ごめんなさい、夕麻。こんなこと評価されたものじゃないことは解ってる。……けど、お願い!ソーナとの決着は、私1人で着けたいの!」
「……竜也様に怒られるわよ?」
「ふふっ…ええ、そうね。きっと叱られちゃうわ。……けど、それでも私はっ……!」
「……わかったわ、好きになさい。けど、負けたら承知しないわよ。イッセー君との初ゲームが敗北なんて」
そう言って夕麻は弓矢を下げた。
「さあ、ソーナ……決着を着けましょう」
「……ええ、リアス」
二人は静かにお互いを見据え、魔力を練り上げる。
「『クリムゾンネイル』!!!」
「『
リアスは消滅の魔力、ソーナは水流で出来た爪を両手に纏い、全力を込めて相手に走る。
「ソーナァァァァァァァァァァァ!!!」
「リアーーーーーーーーーーース!!!」
ザン!!
二人の影が交差し、過ぎ去り、二人は動きを止める。そのまま時が止まったかのように錯覚してしまいそうになる。……そして、遂に
「………流石、です…ねぇ…」
ドサッ
ソーナはそう言って、前のめりに倒れた。
『ソーナ・シトリー様、戦闘不能。よってこのゲーム、リアス・グレモリー様の勝利です。』
こうして、リアス・グレモリーとソーナ・シトリーのレーティングゲームは、リアスの勝利に終わった。
その後、その戦いを見た者たちから、リアスには『撃滅女帝』、ソーナには『水流令嬢』の異名がつけられるのだが、それはまた別の話。
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