我が道を行く自由人   作:オカタヌキ

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今回は少し長めです


友情と新たな目覚め

あれやこれやという間に4年がたち、俺は中学に上がりヴァーリとイッセーは小学6年生になった。あれから数ヶ月後、イリナは親の都合で海外に引っ越してしまい、俺とイッセーとヴァーリと親たちと共同でサプライズお別れパーティーを開いた。俺の手作り料理を振る舞い、俺たち三人で練習した歌と踊りを披露し、俺はリボン、ヴァーリはペンダント、イッセーはブレスレットを贈り(プレゼントを選ぶ時、イッセーは初めてイリナが女だと知り、めちゃくちゃ驚いていた)、最後はみんなで写真を撮り絶対に会う約束をして泣く泣く別れた。

ちなみに、イリナのお父さんは俺たちのことを気づいていたらしく、

「君たちならイリナを任せられる。」と言われてしまった。

そして12月のはじめの日……

 

「……なあ、タツ兄、ヴァーリ、二人に話したいことがあるんだ。」

 

「ん?なんだ?」

 

「どうしたんだイッセー?改まって?」

 

「ああ、実はこれなんだけど…」

 

そう言ってイッセーが左手をかざすと紅の籠手が現れる

 

「なっ!!?」

 

「………ッ!!!?な……何で……どうして……」

 

ヴァーリはひどく動揺していた。……ついにこの日がきたか。だけどどうしてだ?イッセーが赤龍帝として目覚めるのはまだまだ先のはず…何でこんなに早くに…

 

「ヴァーリ、気持ちはわかるが落ち着け。イッセー説明してくれ。いつからそれが出せるようになったんだ?」

 

「あっああ、あのさ、前にタツ兄とヴァーリが俺が中学生の不良に絡まれてたところをそいつらをボコボコにして助けてくれたことがあっただろ?俺、その時二人みたいに強くなりたいって思ってさ、ランニングしたり筋トレしたり父さんに頼んで空手習ったりしてさ、そしたら昨日夢の中ででっかいドラゴンが出てきてさ、そんで朝起きたらこれが左手に出てきて……出たり消したりできるみたいだけど」

 

そうか、それでイッセーはこんなにも早く目覚めたのか、俺たちに影響されて…

 

「…あ…あっ…ああ……うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「!!!?待て!!ヴァーリ!!!!」

 

俺の制止も聞かず、ヴァーリは『白龍皇の光翼』を展開して窓の外へ飛び去って行った。

 

「おっおいっ、タツ兄!!ヴァーリはどうしたんだ!!?」

 

「……イッセー、今から俺の言うことをよく聞くんだ。」

それから俺はイッセーに話した。この世界の裏側のこと、神器のこと、二天龍のこと、そして二天龍の神器の所持者の戦いの運命のことを……

 

「そっそんな…じゃあヴァーリは俺のせいで…」

 

「いや、さっきも言ったようにイッセーもいつかは目覚めていた。それが早まったに過ぎない。イッセー、それを踏まえた上でお前に聞くぞ………お前はどうしたんだ?」

 

「…俺は……俺はヴァーリと戦いたくない!!!ヴァーリは俺の親友だ!!!戦うなんて、傷つけるなんてできない!!!」

 

「……わかった!!来い『魔源の三つ首甲』!!!」

 

俺は『魔源の三つ首甲』を展開する。

 

「たっタツ兄それって…」

「詳しいことは後だ!!ダハーカ!!!ヴァーリの魔力をたどれるか!!?」

 

『任せられよう』『検索中ダゼ』『見つけた!!』

 

「よし!!!イッセー!俺に捕まれ!!!」

 

「わっわかった!!!」

 

俺は魔方陣を展開してそこをくぐった。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

ヴァーリsaid

 

『…ヴァーリ本当にこれでよかったのか?』

 

「……ああ、これでいいんだ。」

 

『…………ハァ、好きにすればいい。お前の人生はお前のものだ。俺は何も言うまい。……ヤレヤレ、俺も焼きが回ったものだな。』

「ああ、ありがとうアルビオン」

恐れていた時がとうとうきた。イッセーが赤龍帝として目覚めた。龍は力を引き寄せる。だからってこんなかたちで……俺が…俺が不用意に力を使ったから……もうここには居られない。俺は大切なみんなを傷つけたくないんだ!!!

兄さん、父さん、母さん、クー、今までありがとう。イリナ、約束守れそうにないや。イッセー、ごめんな。

翼を広げ飛び立とうとすると目の前に兄さんの転送魔方陣が出現し、中から兄さんとイッセーが現れた。

 

Saidout

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「…………ヴァーリ、俺、タツ兄から聞いたよ、俺とヴァーリの神器のことも、この神器を宿した人たちがずっと戦って来たことも…」

 

「……ッ!!…だから…だから俺は!!!」

 

「ヴァーリ、俺、お前とは戦わないよ」

 

「……………え?」

 

「俺はお前とは戦わない。宿命なんか知らない!ヴァーリは俺の親友だ!戦いたくなんてない!!!傷つけたくない!!!」

 

「いっイッセー、…お……俺もイッセーと戦いたくない!!!…お前を…おま゛え゛を傷つけるなんでやだよぉ……」

 

「……ッ!!!?…ヴァーリぃ…」

 

『……なあ、赤いの』

 

『……なんだ?白いの』

 

『その、なんだ、たまには…戦わない時があってもいいのではないか』

 

『????どういうことだ?』

 

『それはその…ええ……ダアァァァァ!!!俺は思ったよりこいつらに毒されちまったってことだよ!!!俺はこいつらを見てるのが楽しい!!!こいつらを引き裂いてやりたくない!!!』

 

「あっアルビオン……」

 

『……俺も神器の中からこいつらを見ていた。確かにこいつらを見てると楽しい。飽きない。だが、俺たちは長きに渡り争ってきた。それに神器の奥底の歴代所持者の怨念のこともある。』

 

「そんなの知らない!運命なんか関係ない!!!怨念なんかに負けない!!!俺は親友を傷つけない!!!俺たちは殺し合いなんか絶対にしない!!!!」

 

「…ああしない、するもんか!!!!運命なんかねじ曲げる!!!!怨念なんか吹き飛ばす!!!」

 

『………フッ、俺たちの敗けだな』

 

『…………ハハッ、ああ、そのようだ』

 

「……ッ!!!?ヴァーリ!!!」

「イッセー!!!」

二人は涙を流し抱き合う。この二人を見ればわかる、これから先、二人が歴代所持者たちのように争い殺し合うことは永遠にないだろう。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「………そういえば、二人が戦ってきた理由って結局なんだったんだ?」

竜也が思い出したように言う。

 

「そういえば…」

「結局なんだったんだ?」

イッセーとヴァーリも尋ねる。

『フム、我らも気になるな』『なんだったんだ?』『なんだったんだ?』

アジ・ダハーカもちゃっかり乗っかる。

ギクゥッ『そっそれはだなぁ……』

 

『なっなんと言うかそのぉ………』

あからさまに誤魔化そうとする二体。

 

「………ダハーカ」

 

『『『おう!!!』』』

竜也が合図すると『魔源の三つ首甲』から念波のようなものが『赤龍帝の籠手』に放たれる。

 

『ヌアァァァァァ!!!!?』

 

『ドライグ!!!?』

「こいつは俺の開発した魔法『フランクウェーブ』相手に隠し事を洗いざらい白状させることができる。さぁ言え。」

 

『……………ほ』

 

『『『「「ほ?」」』』』

 

『おいっ!!!!バカ!!!?やめろぉ!!!!!!!』

 

『……惚れたメスドラゴンにどっちが先に告白するかで言い争ってたらもう他のドラゴンとくっついてた。』

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

『『『「「「……くっだらねぇ」」」』』』

 

『『ウワァァァァァァァン!!!!!!!!!』』

 

この後、ドライクとアルビオンは一週間塞ぎ混んだ

 

 

ちなみに、神器の中の歴代所持者の怨念たちも、理由を聞いてアホらしくなり、大部分が解放されたそうな。

 

 

 


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