銀魂 真選組の新隊員 作:残月
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沖田から竹刀を受け取った斉藤はヒュンと音を鳴らし、竹刀を刹那に向ける。
竹刀を向けられた刹那は持っていた竹刀を構え、斉藤に対峙する。
周囲がハラハラと見守る中、二人は同時に動いた。
斉藤が右手に持った竹刀を右からの袈裟懸けに斬ると刹那は竹刀で防ぎ、受け流す。
返す刀で刹那は左側から胴斬りを放つが斉藤はバックステップで下がり、それを避けた。
刹那は追い打ちを掛ける為に斉藤に肉迫し、正面から斬り掛かる。
斉藤は竹刀を横に構えて面打ちを受け止めた。
ギリギリと鍔迫り合いをしながら、至近距離で睨み合う刹那と斉藤。
どちらからかバッと離れると周囲は息を吐いた。
「すげーよ!今の攻防!」
「流石三番隊隊長!」
「いや、それと対等の刹那が凄くね!?」
今まで静かだったのが嘘の様に隊士達が騒ぎ始める。
近藤達も刹那の腕前に驚いていた。
「ま、まさか刹那がこんなに強いとは……」
「確かに予想外でさぁ。終兄さんと打ち合えるなんざ真選組隊士でも隊長クラスのみ。それを刹那は互角に渡り合ってやがる」
「思わぬ力量だな。これが組織の連中が言っていた刹那の兵器としての力か」
各々が刹那の感想を言う中、土方は何処か納得した口振りだった。
小柄な少女が真選組隊長クラスの力を持っているとなれば、コレはかなりの脅威となる。
そこらの敵対組織など問題にならない程の力を得た事になるからだ。
「刹那が動いた!」
土方が自身の思考に深くのめり込んでいたが隊士の言葉でハッとする。
視線を戻せば、斉藤と睨み合いをしていた刹那が竹刀を左手に持ち替えて腰を低く構えて右手を前に突き出していた。
そして引いた弓のように弾け、飛び出すと勢い良く左手の竹刀で突きを放った。
斉藤はコレに驚いた様子だが半身を捻りながら竹刀で受け流した。
突きを避けられた刹那は距離を空けると再度、腰を落とし弓形の様に構えた。
「ってちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!なんで牙突、使ってんだ!色んな意味で危ない技使ってんじゃねぇ!」
「……違う」
土方の叫びに刹那は首を横に振った。
「この技は牙突(きばづき)、他の読み方なんて存在しない」
「いや、どっからどう見ても牙突(がとつ)、だろうが!パチもんはお前の読み方だからな!?なんでソフトクリームも知らなかった奴が牙突は知ってるんだ!」
刹那の主張をバッサリ切る土方。
「まあ、いいじゃないですかい土方さん。刹那には真選組らしくこのまま『トシ・即・斬』で行ってもらいやしょう」
「『悪・即・斬』だろうが!俺か?俺を狙わせる気か!?」
土方と沖田が言い合う中、先に構えを解いたのは斉藤だった。
斉藤は刹那に歩み寄ると頭を撫で、目を細めた後に竹刀を片付けて道場を後にしてしまった。
頭を撫でられた所からキョトンとした顔をした刹那だが近藤が刹那に歩み寄る。
「終は無口でクールなんだが悪い奴じゃない。今回も刹那が真選組でやっていけるか試したかったんだろう。邪険にせずに終にも接してやってくれ」
「………ん」
ポンと刹那の肩に手を置いて斉藤のフォローを入れる近藤。
刹那はコクりと頷いた。
次回、斉藤の心境を語ります