銀魂 真選組の新隊員 作:残月
銀時達はパトカーの中にあった真撰組の制服に着替え、列車を追いかける。
パトカーの中には他にもマシンガンやバズーカなどの武器も入っていて、突入には申し分なかった。
刹那は元々、制服を着ていたのでそのままである。
「御用改めである!」
「テメー等、神妙にお縄につきやがれ!」
「真撰組、推参だ!」
新八がハンドルを握り、銀時と神楽、九兵衛がバズーカやマシンガンを撃ち、パトカーの上で土方と刹那が並んで乗っていた。
その姿は真撰組、副長らしい風格を漂わせていた。
しかし、バズーカを撃った事で列車の一部や周辺の木々を破壊してしまい、それぞれの破片がパトカーに迫る。車内にいた銀時達は無事だが、外に居た刹那と土方には雨のように破片が降り注いだ。飛んできた木の破片を刹那は避けたが、土方の顔面に破片がクリティカルヒットし、土方はそのまま転がり落ちそうになる。
「痛ったぁぁぁぁぁぁ!痛あぁぁいぃぃぃぃっ!!」
「てんめぇぇぇ!少しの間くれぇカッコつけてらんねーのか!仲間の士気を高めるためには、副長健在の姿を見せねーとダメだっつっただろうがっ!」
銀時の檄が飛ぶも、ヘタれた土方はパトカーに必死にへばりついていた。しかし、その視線は一緒に屋根に乗っていた刹那のスカートに注がれている。
「無理、やっぱ僕には無理だよ!」
「ふざけんな!人を殴る時だけ復活してスグ元に戻りやがって!しかも、刹那の揺れるスカートの中身を気にしてんじゃねーよ、クソオタク!」
「……えっち」
土方の弱々しい叫びに銀時は怒鳴り付け、スカートの中を覗かれていた刹那は、落ちそうになっている土方の頭を踏んだ。
「で、あのゴリラ局長はどこにいる」
「アレアル!離れた位置を走るあの車両!敵がみーんな、彼処へ向かっていくネ!」
銀時は土方を蹴りながら近藤を探す。そして神楽が怪しげな列車の一団を見付け、彼処に近藤が居ると確信を持った。
「……だそうだ土方氏。あとは自分で何とかしろ」
銀時がパトカーのドアを開け、土方を突き飛ばす。
突然外に投げ出された土方は、ドアにしがみついて引き摺られる形でついてきた。
「ちょっと待ってよ、坂田氏ィィ!!こんなところに拙者一人を置いていくつもりかァァァ!!それはヤムチャをナメック星に送り込んで宇宙の命運を託すが如き、行為だよ」
「大丈夫、お前はベジータだ。やれば出来る!」
ドアを必死に掴んで抗議する土方に、銀時は追い打ちとばかりに蹴りを放つ。
「だったら銀時も行って」
「危ねぇぇぇぇっ!?何してくれてんだテメェ!!」
そんな銀時を刹那が突き飛ばし、銀時も土方同様にドアにしがみついた。
「大丈夫、銀時なら王下七武海になれるから」
「ふざけんなクソガキ!……ってスイマセン!俺が悪かったから背中に乗らないでください!!」
刹那の行動に異を唱えようとした銀時だが、刹那が背中に乗ってきた為に途端に卑屈になる。
「た、助かったよ刹那氏ぃぃ!」
「土方はさっきスカート覗いた事を反省して」
そう言って土方と銀時の背中に片足を乗せて仁王立ちの刹那。先程の件も相当に腹に据えかねていたらしい。
「刹那ちゃん!?流石にそれは傍若すぎるよ!?」
「私、ボージャックよりもクウラが好き」
「いや、なんの話をしてんだテメーは!?それと劇場版ならブロリーだろ!」
新八のツッコミに対して、明後日の答えを出す刹那。銀時もツッコミを入れるが状況が状況なだけにパニックになっているらしい。
その時、ようやく真選組のパトカーが銀時達に追いついた。原田の乗ったパトカーが、銀時達と並走する。
「ったく……ようやく来やがったか。もうコイツ等のお守りはたくさんだ。さっさとコイツ等引き取ってくんな。ギャラの方は幕府からこの口座に入れとけや……」
「伊藤の野郎ついに本性を表しやがったか!だが副長と刹那が戻ってきたからには、もう大丈夫だぜみんな!!」
ドアにしがみついていた銀時と土方はどうにか車内に戻る。そして銀時は、やれやれと溜め息を吐きながら口座番号の入ったメモを原田に渡そうとするが、原田はテンションが高いのか銀時の発言を無視してるのか、そのまま話を進める。
「副長、敵は俺達が相手します!副長はその隙に局長を救い出してください!」
「オイ、待てェェェェ!テメー等の副長おかしな事になってんだよ!オタクになってんだよ!オイ、聞けやハゲェェ!!」
銀時の発言をシカトしたまま離れていく原田達。取り残された銀時はただただ悲痛な叫びを上げるしかなかった。