銀魂 真選組の新隊員 作:残月
土方は真選組から姿を消した。局中法度を犯したとして無期限の謹慎処分となったのだ。伊東は切腹を主張したが近藤や他の隊士達が拒んだ為に謹慎で済んだのだ。
そんな中、刹那も真選組の屯所から姿を消していた。
「刹那ちゃん、そんなにむくれないでくれ。キミを預かってる身としては心苦しいんだが」
「……むくれてない」
刹那は柳生家に預けられていた。真選組内の重苦しい雰囲気に刹那を味わわせたくないのと、土方を追放した事から刹那の機嫌が悪くなっているのを察した近藤が交流の深い柳生家に預けると決め、刹那は既に数日を柳生家で過ごしていた。しかし刹那の不機嫌な姿に九兵衛や柳生家関係者は頭を悩ませていた。
「あー……刹那殿?少しよろしいですか?」
「どうした東城?」
そんな中、東城が話し掛けずらそうに刹那に歩み寄る。何事なのかと九兵衛は眉を潜めた。
「テレビに土方殿らしき人物が映っているのですが……」
「土方が?」
東城の発言に刹那は顔を上げた。そしてテレビに視線を写すと確かに土方らしき人物が映っていた。
オタクの様な格好をして、お通親衛隊の隊長の新八と喧嘩をしている土方らしき人物が。
「あれ……本当に土方か?」
「うーん、前にお会いした時と随分雰囲気が変わったね」
テレビを見ながらタラリと汗を流す九兵衛と十夜。刹那はテレビに食い入る様に見ていた。
「せ、刹那殿……動揺する気持ちは分かりますが……」
「やっぱり……なんか変。土方らしくない」
東城が明らかに妙な様子の土方を見て動揺している刹那に話し掛けたが刹那は確信を持っていた。
「変って……確かに土方らしくないけど……」
「土方は少し前に刀を変えてから様子がおかしくなった。今もあの刀を持ってる」
テレビに映っていた土方は刀を所持していた。それは土方の様子がおかしくなった頃から持ちはじめた刀だと刹那は覚えていた。
「ふむ……だとすれば土方殿が奇っ怪な行動をしているのは、あの刀が原因と?」
「分からない……でも、あの刀を持ち始めた頃から土方はおかしくなった」
東城の言葉に刹那は意を決した様に立ち上がると着ている服を脱ぎ始めた。
「せ、刹那ちゃん!?」
「何をしてるんだい!?」
刹那の急な行動に九兵衛も十夜も慌て始める。因みに東城は普段から持ち歩いているハンディカメラを構えたが、即座に九兵衛に沈められた。
そんな事をしてる間に刹那は真選組の制服に着替えていた。
「刹那ちゃん、制服に着替えて何をする気なんだい?」
「土方を探しに行く」
九兵衛の言葉を背に、着替え終えた刹那は腰に刀を差して出ていこうとしていた。
「近藤さんからキミを頼むと言われてるんだけど?」
「土方、見付けてから近藤の所に行ってくる」
十夜が溜め息混じりに刹那に話し掛けると、刹那は銀髪を揺らして柳生家の屋敷を飛び出して行った。