銀魂 真選組の新隊員   作:残月

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時にはアクション映画の様に。

 

 

ミツバから頼まれた事を……と言うよりも一度帰らねばならなくなった刹那は、ミツバの事を銀時と山崎に任せて屯所へと帰ってきていた。

 

 

「おう、お帰り刹那」

「ただいま。土方は?」

 

 

屯所へ戻るなり平隊員に土方の行方を聞く刹那。

 

 

「それが……朝から仕事だって出ていったまま戻らないんだ。定時報告も無いらしいし」

「…………ありがとう」

 

 

平隊員からの話を聞いた刹那は悩む仕草を見せた後に礼をしてから、屯所を出た。

嫌な予感がする。刹那の胸にモヤモヤと嫌な感覚が広がっていた。そこで刹那は土方の行き先に思い当たった。

 

 

「転海屋……蔵場!」

 

 

土方が朝から仕事で居ないと言う事は、大仕事があると言う事だ。そして土方はミツバ、そして沖田を不器用ながらにも気遣っている。一つの答えに辿り着いた刹那は真選組の屯所に置いてあるバイクに火を入れると取引が行われている港へと走って行った。

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

大勢の攘夷浪士達がたった一人を取り囲んでいた。普段は静かな港町に銃声や爆音、刀で斬り合う音が鳴り響く。

そこでは、土方が一人で戦っていた。土方は味方を誰一人と連れずに大立回りをしていたのだ。

しかし、土方がいくら強かろうと大量に押し寄せる攘夷浪士に押され気味になってしまい、次第に周囲を囲まれ始め、コンテナの上からも、背後からも完全に囲まれてしまう。

土方は傷ついた足を引きずって、その中心に立つ。コンテナの上から、蔵場が土方を見下ろしていた。

 

 

「残念です、ミツバも悲しむでしょう、古い友人を亡くす事になるとは。アナタ達とは仲良くやっていきたかったのですよ。あの真選組の後ろ盾を得られれば、自由に商いが出来るというもの。その為に縁者に近付き、縁談まで設けたというのに。まさか、あのような病持ちとは。姉を握れば総悟君は御し易しと踏んでおりましたが、医者の話ではもう長くないとの事。非常に残念な話だ」

「残念だ?よく言うぜ商人さんよ。ハナっから真選組抱き込むために、ミツバを利用したクセによ」

 

 

土方が蔵場を睨み上げる。その視線には、確かな怒りが込もっていた。

 

 

「愛していましたよ。商人は利を生むものを愛でるものです。ただし……道具としてですが。あのような欠陥品に人並みの幸せを与えてやったんです、感謝してほしい位ですよ」

「外道とは言わねえよ。俺も……似たようなもんだ……ヒデー事も腐る程やってきた。挙句、死にかけてる時にその旦那叩き斬ろうってんだ。本当にヒデー話だ」

 

 

土方はフラフラと立ち上がりながらタバコに火を灯しながら自嘲気味に笑う。それを聞いた蔵場はピクリとも笑わずに、土方に対して感心した風に口を開いた。

 

 

「同じ穴のムジナという奴ですかな。鬼の副長とはよく言ったものです。アナタとは気が合いそうだ」

「…………そんな大層なもんじゃねーよ。俺はただ……惚れた女にゃ、幸せになってほしいだけだ」

 

 

刀を構えた土方はタバコを口に咥えたまま何かを思い出すかのように呟く。

 

 

「こんな所で刀振り回してる俺にゃ無理な話だが……どっかで普通の野郎と所帯持って、普通にガキ産んで、普通に生きてってほしいだけだ。ただ、そんだけだ」

「なるほど。やはりお侍様の考えることは、私達下郎には図りかねますな」

 

 

そう言った蔵場の言葉が合図だった様に、攘夷浪士達はライフルやバズーカを土方に向けて構えた。

それに対して土方も迎え撃つ様に刀を構えるが、その瞬間。ライフルやバズーカを持った攘夷浪士目掛けて一台のバイクが突っ込んできたのだ。バイクに乗っていた人物はハンドルを固定したまま飛び降り、ハンドルが固定されたバイクはそのまま攘夷浪士の群れに突撃する。当然バイクは横転するが、横転した勢いをそのままにバイクは攘夷浪士を巻き込んで壁に激突し、そのお陰で一部の攘夷浪士に打撃を与えていた。

アクション映画の主人公の様な事を仕出かした人物は長い銀髪を揺らしながら土方の前に立った。

 

 

「私は真選組隊士、刹那。転海屋、蔵場……アナタを逮捕する」

「ほぅ……あの時の……」

 

 

蔵場は、以前に屋敷で会った少女だといち早く気づいた。蔵場が刹那の事を甘く見ているのは態度に出ており、それを感じ取った刹那は腰元の止水に手を掛ける。

 

 

「抵抗するなら……月とかそこら辺に代わってお仕置き」

 

 

刹那はゆっくりと腰元から止水を引き抜く。満月に照らされて、刹那の髪と止水の刀身は銀色に輝いていた。


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